国会論戦・提案

実態調べ予算措置を 堀内氏、児福法改正に賛成 衆院を通過

 19日の衆院本会議で児童福祉法改正案が全会一致で可決されました。これに先立ち、18日の衆院厚生労働委員会で日本共産党の堀内照文議員が質問に立ちました。

 改正案は、児童虐待対応件数が増大し、子どもの生命を奪う重大事案が後を絶たないなか、市町村の責務として支援・指導業務を明記し、児童相談所が「専門的な知識を要しない」事案について市町村に送致することができるとしています。

 堀内氏は、市町村の相談対応職員は、児童福祉司と同様の資格保持者が1割しかなく、非正規や兼務の職員が多いなど体制が弱く、自治体間格差も著しいと指摘。実態を調べ、専門職の配置を含めた職員配置基準を定め、その裏付けとなる財政措置を求めました。塩崎恭久厚労相は「現状のままでは大変なことは認識している。実態を調査し、予算面も含め支援のあり方を検討する」と答えました。

 法案は、児童相談所の機能分離について2年以内に検討するとしています。堀内氏は「虐待通告は親への支援の始まりでもある。保護と支援の機能を切り離していいのか、現場には意見がある。児童福祉の専門性を深くとらえ、結論を急ぐべきではない」と述べました。

2016年5月25日 しんぶん赤旗より

 

衆議院会議録情報 第190回国会 厚生労働委員会 第18号

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文君です。
 冒頭、熊本地震対策について伺います。
 障害福祉サービスの事業所の報酬は日割り計算です。被災地では、発災後、利用者が通所できなかった四月の後半、報酬が請求できず、このままでは運営費が激減をして、存続の危機に立たされるという事業所も少なくありません。
 利用者二十六人のある施設は、通常の給付が月二百五十万から三百万円のところ、四月計算分は百二十万円程度の減額になりそうだといいます。このままでは七人の職員の人件費が払えない。
 当然、その間は職員は必死で働いていたわけです。地震直後から、通所利用がなくとも、利用者の安否確認、避難所での生活支援、障害が原因で避難所を移るときの付き添いや移動支援などに追われていました。利用者欠席時の加算制度もありますけれども、これは上限がありまして、なかなか助けにならない。
 この間、私は、東日本の際には通所がない期間であっても安否確認等の支援を報酬上評価するということがありましたので、同様の措置をということで求めてまいりました。その内容の通知がきのう発出されたと伺いました。どのようなものでしょうか。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の熊本地震における障害福祉サービス等の提供に関します報酬上の取り扱いにつきましては、発災以降、何回か事務連絡等を発出したところでございます。
 今先生御指摘の件につきましては、やむを得ない理由により、利用者の避難先等におきまして安否確認や相談支援等のできる限りの支援の提供を行った場合は、これまでのサービスといたしまして報酬の対象とすることは可能であるといったような、そういった事務連絡を出してございます。
○堀内(照)委員 大臣、この点で三点確認したいんです。
 一つは、四月請求分は五月の十三日までとなっておりまして、過ぎております。多くのところでは、四月の後半、特に通所がなくて大変でありました。今からでもこれを請求できるようにして、しかも、その支払いを間に合うようにさせるべきだと思うんです。翌月請求にのせたのでは支払いは一カ月おくれになりますので、その間の運営が大変になりますから、これをしっかり間に合わせる。
 二点目は、請求実務も大変です。概算でも請求が可能かどうかということを確認したい。
 三つ目には、周知徹底です。安否確認等でもサービス提供として請求できるということや、取り急ぎ概算でも請求できるんだということも含めて、事業所がよくわかるように、丁寧に、そしてきちんと行き渡るように周知徹底をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今回の震災で避難所などにおいて生活を余儀なくされている障害のある方、この方々に対してできる限りの障害福祉サービスが提供されることが極めて重要だと思っております。
 このため、例えば、居宅介護を避難所等の居宅以外の場所において提供した場合も報酬の対象とするということ、それから、被災によってサービス提供記録などがなくなった場合等では、今お話がありましたが、概算で報酬の請求を行うことを可能とするということ、それから、必要に応じて、請求の期限を過ぎて請求することも可能とするということを、弾力的な運用として、事務連絡においてこれが可能であるということをもう既に発出しておるところでございます。
 こういうことでありますので、障害福祉サービス等事業者が被災をされた障害のある方々に滞りなく必要な支援を提供できるように、これまで複数回発出してまいった報酬の取り扱いに関する事務連絡などについての内容をしっかりとさらに周知することによって、円滑なサービス提供と請求手続が行われるようにしたいというふうに思います。
○堀内(照)委員 ちょっともう一つ確認したいんですけれども、概算といった場合には、記録が紛失した以外にも、今言いましたように、もともと当初あった計画以外にも、避難所でのいろいろな安否確認等のことも報酬上評価するというお話でしたので、そういうことについても概算でいいのかということと、支払いを間に合わせるという点でも答弁がございませんでしたので、その点をちょっと確認したいんです。
○藤井政府参考人 繰り返しの部分もちょっとあろうかと思いますが、何点か御答弁申し上げます。
 今回、事務連絡を何回か出してきておりますけれども、具体的な内容といたしまして、避難所において居宅介護等を提供した場合も報酬の対象とすることができるというようなこと。
 それから、やむを得ない理由によって、利用者の避難先等におきまして安否確認とかあるいは相談支援等のできる限りの支援の提供を行った場合につきましても、これまでのサービスとして報酬の対象とすることは可能であるということ。
 それからまた、被災によりましてサービスの提供記録等が滅失したり毀損をしたりしたような場合、それから、地震発生直後におけるサービスの提供内容につきまして十分に事業所の方で把握することが困難であるような場合に概算請求ができるというようなこと。
 また、四月以降のサービス提供分に係る障害福祉サービス等の請求につきましては、個別の状況を踏まえてでございますけれども、必要に応じて過誤請求等で修正をしていくようなことができるといったようなこと。
 そういったことを周知しているところでございます。
○堀内(照)委員 ぜひ、今言いました三点、努力していただきたいと思います。
 続いて、法案について質問します。
 幼い命が犠牲になるなど深刻な児童虐待の問題の解決へ、関係機関の体制強化は急がれるし、重要な課題であるということは言うまでもありません。このたびの法改正もそのためのものだとされています。しかし、実際改善に資するかどうかということを見ていきたいと思うんです。
 今回、法改正で、児童相談所と市町村の役割分担がうたわれ、市町村が、通報窓口にとどまらずに指導や支援などを行うということが明文化されました。加えて、児童相談所の権限強化の一環として市町村への事案送致が盛り込まれるなど、市町村の役割が格段に重くなっております。しかし、果たして市町村はそれに対応できるのかということが問題だと思うんです。
 現状、市町村の体制はどうなのかということで、お聞きしたいのは、市町村の児童家庭相談業務の窓口の設置場所及び各市町村の要保護児童対策地域協議会、要対協の調整機関の設置場所のそれぞれについて、上位三つの部署とその割合を示していただきたいと思います。
○香取政府参考人 御答弁申し上げます。
 平成二十六年一月に、厚生労働省で、市区町村における児童家庭相談業務の実施状況等の調査結果というのを公表しております。
 二十四年四月一日現在の市区町村における児童家庭相談業務の主たる相談窓口の設置場所ですが、一番多いのは児童福祉の主管課、これが四九・三%、二番目が児童福祉と母子保健の統合課、課を統合している場合ですね、この課が窓口になっているというのが二三・二%、福祉事務所、これは福祉事務所の中の家庭児童相談室等ということになりますが、これが三番目で一四・二%となってございます。
 同じく、二十七年三月に、子どもを守る地域ネットワーク等調査結果というので、要対協、要保護児童対策地域協議会について調査をしておりますが、二十五年四月一日現在で要対協の調整機関の設置場所の上位三つとその割合ですが、児童福祉主管課が五九・五%、児童福祉・母子保健統合課が二六・五%、三番目が福祉事務所、家庭児童相談室等ということになりますが、これが五・五%ということになってございます。
○堀内(照)委員 これは、社会保障審議会児童部会のもとに置かれた新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会の委員だった加藤曜子教授も調査しておりまして、きょう資料でつけております。今ありました市町村の窓口の方は二十四年四月一日が一番最新の数だということで、加藤先生のものは要対協も二十四年の数字であらわしています。
 左と右にそれぞれ、市町村の窓口、要対協の調整機関ということで、それぞれの設置場所なんですが、今答弁ございましたように、おおむね児童福祉主管課がともに五割前後、児童福祉・母子保健統合課が二五%前後、それから福祉事務所は、二十五年度は若干数字が動いていましたけれども、一〇%前後ということで共通しておりまして、加藤先生も、おおむね相談担当の設置場所と調整機関の設置場所は同じ部署に置かれて同じ人が担当していることが多いと推測されるとしております。
 さらに、別の角度から見てみたいと思います。
 市町村の相談窓口の担当職員について、児童福祉司、そしてそれと同様の資格を持つ者の割合について教えていただきたいと思います。
○香取政府参考人 御答弁申し上げます。
 御指摘の調査報告でございますが、これによりますと、二十四年四月一日現在の市区町村における児童家庭相談業務の主たる相談窓口の職員のうち、児童福祉司及びそれと同様の資格を有する者の数は千六十六名ということで、これは、主たる相談窓口の職員に占める割合は一二・九%ということになってございます。
○堀内(照)委員 この児童家庭相談に従事する方は非常に大事な役割を担っているんだと思います。援助に必要な社会福祉などの制度に精通し、そしてまた、深い人間理解のもとで、支援が必要な方にその意思がなくともアプローチをしっかりし、的確に対処する、虐待の危険性、緊急性を判断して必要に応じて児童相談所への送致を行うなど、独特の専門性が求められると思います。そうした専門家の配置がとりわけ急がれると思うんです。今一二・九%だということでした。
 私も見ましたけれども、市区町村別や人口規模で見ると、町や村になるとなお比率が下がっていくと思います。人口十万未満の市でも、担当者の四人に一人が一般事務職が当たっている。町や村では半数近くが一般事務職じゃないかと思います。
 もう一点確認したいと思います。
 市町村の相談窓口業務に従事する職員の正規、非正規の割合、専任、兼任の割合もお答えいただきたいと思います。
○香取政府参考人 御答弁申し上げます。
 同じく、市区町村における児童家庭相談業務の実施状況等の調査報告、これの二十四年度のものでございますが、二十四年四月一日現在で、市区町村における児童家庭相談業務の主たる相談窓口の職員のうち、正規職員が五千四百八十七名で六六・三%、非正規職員は二千七百九十四名で三三・七%でございます。
 同様に、専任、兼任でこれを見ますと、専任職員が四千八十四名、四九・三%、兼任の職員というのが四千百九十七名で五〇・七%ということでございます。
○堀内(照)委員 おおむね三人に一人が非正規で、専任、兼任でいうと半々ということになると思います。
 傾向としては、これも市町村別のを見ましたら、正規率が高いと兼任が多くなる、専任が多いところでは非正規率が高いということになっています。
 私がお話を伺った名古屋市では、児童相談所と兼務する形で、経験のある児童福祉司を各行政区の窓口に配置して、行政区の職員とその方と二人体制で事案に対応できるように連携しております。これは設置主体が同じ市長である政令市だからできることでありますが、そういう意味では先進的な取り組みをされているんだなと思いました。しかし、それでも区役所の方の職員は嘱託が多い。正規になるとどうしても兼任になる。嘱託だと二人でペアで行けるけれども、正規職員がペアの場合は、他の業務との関係でなかなか事案に当たれない。結局、児童福祉司の方が一人で駆け回るということになっている。政令市、比較的体制が厚いと思われるところでもこういう実態なんだと思います。
 そういう市町村に、通報窓口にとどまらずに、地域でのさらなる支援を担わせる。その上、児童相談所から市町村への事案も送致される。
 この事案送致ですが、児童相談所が扱うべき事案と市町村が扱うべき事案というのはどういう基準で区分けされるんでしょうか。
○香取政府参考人 児童虐待への対応で、都道府県、児童相談所と市町村の役割分担でございますが、これは基本的な考え方は、先ほど大臣からも御答弁申し上げていますが、市町村は、基礎的な地方公共団体ということになりますので、身近な場所における支援相談、児童相談所は、より専門的な知識、技術や広域的な対応ということになってございます。特に市町村は、先ほど大臣からも答弁ございましたが、在宅の支援といったようなこともありますので、そういった身近な支援を行うということになってございます。
 現行法上は、市町村から児童相談所に対する事案送致の規定というのはあるわけですが、今般、この逆の規定、児相から市町村への規定というのを置くということにいたしております。これは、個々のケースに応じて適切な機関における対応がなされるようにということで、双方向の規定を置くということにいたしたところでございます。
 具体的な送致の事案の考え方でございますけれども、申し上げましたように、在宅での継続的な養育支援というのが必要なケースでありますとか、あと、事案によっては、虐待事案であっても、市町村が行っておりますいわゆる地域子育て支援事業等の子育て支援事業を使って対応していくという方が適切な場合、あるいはそちらで対応できるようなケースといったような、身近な市町村で継続的な支援ができるものについては、基本的には市町村の方に送致をいたしまして対応していただくということを考えてございます。
 この場合、これは専門委員会でもここはかなり議論になって、きちんとやりましょうという話になったところですが、市町村と児童相談所の間で漏れが生じる、あるいはそごが生じる、あるいは、どっちでやるんだということで調整がうまくいかないというようなケースがあるということになってはいけませんので、私ども、国、厚生労働省におきまして、この振り分けに関しては、共通の基準となるアセスメントのツールをつくって、これをお示しして、これに沿って地域ごとに分担を決めるという形で、両者の連携をきちんと図っていくということをいたしたいと思っております。
 特に、やはり漏れが生じたり、そごを生じるということはあってはならないので、こういった仕組みを通じて、児童相談所と市町村の間で事案がそごなくきちんと役割分担ができるようにということで対応してまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 これは事前にもちょっといろいろやりとりしたんですけれども、なかなかはっきりわかりにくいんですね。専門性があるものは児相なんだ、身近な場所で、在宅支援、継続的な支援が必要なのは、虐待の事案であっても、今のお話ですと市町村になるということです。
 そうなると、措置が必要なことは、当然これは児相にしかできません。しかし、それ以外の在宅や地域支援のものは市町村に行くということになると、今、虐待相談は全体で八万件ですけれども、措置にかかわるのは一割程度だったと思いますので、かなり多くのものが市町村になる。とてもこれを受け入れられる体制に現在ないと思うんですね。自治体によっては、当然、体制に大きな格差もあります。これを無視して一律にというわけにいかないと思うんですね。
 結局は、受け入れる自治体の力量によって、送致できるかどうかということになると思うんですが、その点は。とにかく一律というわけにはいかないと思うんですが。
○香取政府参考人 御指摘の点は、私どもも、県と市町村の役割分担ということで考えております。
 アセスメントツールは基本的な考え方をお示ししますが、お話しのように、例えば、県と市町村といった場合でも、町村の場合と市の場合とありますし、中核市のように、いずれは児相をみずから設置するというような体制まで来ているところとございますので、これは市町村側の受け入れ体制との関係で、ある程度児相の側で出張って抱えるということも当然あり得るわけです。
 基本的な考え方をお示ししますが、ここはやはり、大事なことは、押しつけ合いみたいなことが起こらないようにするということが重要ですので、基準に従って各市町村と都道府県の間でお話をしていただいて、アセスメントツールを頭に置きながら、そごが生じないように役割分担をするということでお決めいただくということだと思っております。
○堀内(照)委員 いずれにしても、市町村のところでかなりの厚い体制や専門的な人員配置というのがやはり必要になると思うんですね。現状は、今ずっと見てきたとおり、なかなかそうじゃない。
 今度の法改正で、例えば、子育て世代包括支援センターの設置が努力義務となり、保健師、助産師などの専門的職員を一人置くようになるとか、児童等に対する必要な支援を行うための拠点を整備しなさいですとか、それから、要対協でも専門職の配置を義務づけるということにはなっているんです。
 しかし、これも先ほども議論もありましたけれども、要対協は既に八割で専門職を置いていますし、子育て世代包括支援センター、恐らくこれは母子保健センターなどが母体になるんでしょうが、母子保健センターでいえば、既に専門家はいるわけでありまして、しかも、そうしたところが拠点とも位置づけられるということになるわけですから、新たな仕組みづくりはいろいろ法定されるんですが、実質的な人員配置という点でなかなか手厚くならないなという思いがあるわけです。
 そういう中で、法案が求めているような、在宅や地域での指導などを行うようなふさわしい体制を市町村で築いていこうと思えば、より実動部隊がやはり必要ですし、手厚い、正規での職員配置は欠かせないと私は思うんです。さきの加藤教授も、ある新聞紙上で、虐待の問題は親の就労や精神保健なども絡む家族の福祉問題、経験と専門性を持つ職員の常勤配置が責任ある対応につながると指摘されています。
 そうした実効ある体制にしていくためにも、これは大臣にお尋ねしたいんですが、専門職も含めた職員の配置基準を定めて、それを裏づける財政措置がやはり必要じゃないかと思うんです。市町村の体制の実態という点では、今紹介いただいた市町村の相談窓口業務については平成二十四年の調査が最新なので、最近の状況もしっかり調査もやって、つかんで、配置を強めていく、このことが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今、堀内委員御指摘のように、今回、措置権限を持つ児相を持っている都道府県ないしは政令市等々と、それから市町村の有機的な役割分担というのがやはり大事だろう、特に市町村については、子供に一番身近な行政として、支援に役割を今まで以上に果たしていただくということでございます。したがって、今の現状のままでそれをやっていただくということではなかなか大変であることは御指摘のとおりで、私たちもそれはよくわかっているところでございます。
 今、押しつけにならないようにという局長からの説明でありますけれども、やはり今、児相は児相で、それこそ案件でぱんぱんになって、さっき申し上げたように、児童虐待対応件数で、対応できない方が多いということで、その対応できない部分で家庭に戻して不幸なことが起きるということの繰り返しが多いわけでありまして、そうならないようにするために市町村に新たな役割を担ってもらおうということでありますので、今回、この送致の場合にも、押しつけではなく、やはり納得をして受けてもらっていくということが大事で、児相が忙しいから回しちゃおうみたいなことでは、とてもではないけれども命を守ることにはならない、こう思っております。
 それで、今、配置基準それから財源措置の話がございました。
 私どもとしては、今回新たに市町村に期待をし、またお願いをする役割が個々のケースごとに適切に果たされるように、先ほどお話し申し上げた児相から市町村への事案送致の規定を設けるとともに、市町村において、特に在宅ケースを中心とする支援体制を一層充実するため、相談、指導、関係機関との連絡調整等の支援を一体的に提供する拠点の整備についても努めることとしているわけでありまして、先ほども答弁申し上げましたけれども、在宅措置という新しい発想も入れ込んでいこうということでございます。
 市町村における子供、家庭への支援の体制について、市町村によって取り組み状況に差が見られることから、今お話がありましたように、実態をよく調査をして把握をして、その上で、市町村レベルでのこうした取り組みを進めるべく、予算面を含めて具体的な支援のあり方を検討しなければならないというふうに考えております。
○堀内(照)委員 調査、把握ということも言われました。現状のままでは大変だという認識も述べられました。それで法改正で強化も幾分するんだということですが、それでは法案が求めているような市町村の役割というのは、今有機的な役割ということも言われましたけれども、なかなか果たせないんじゃないかというのが私の問題提起でありまして、ぜひ職員の配置、市町村のところでの手厚い配置を具体化していただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。
 次に、今、児相もぱんぱんだとおっしゃった、児相の体制の問題です。
 今年度予算では、人口百七十万人の標準団体当たり、職員六十一人、そのうち児童福祉司が三十六人の配置に加えて、児童福祉司三人の増員ということの措置をとっています。
 法案では、児童心理司、医師または保健師、児童福祉司のうち他の児童福祉司の指導、教育を行うスーパーバイザー、こういう配置も義務づけています。
 さらに、このたびまとめられた児童相談所強化プランでは、人口四万から七万人に一人の配置とされてきた児童福祉司を四万人に一人とした上で、相談件数も加味して、平成三十一年度までに五百五十人程度の増員を目標としているということであります。そのうちスーパーバイザーは百十人ふやすんだ、児童心理司や保健師も増員するということであります。
 伺いたいのは、児童福祉司の増員なんですが、人口四万人に一人ということにするということですが、既に達している自治体もあると思います。幾つになるでしょうか。
○香取政府参考人 御答弁申し上げます。
 児童福祉司の配置基準につきましては、今お話ありましたように、現行おおむね四万から七万に一人というものですが、今回、今お話しのように、プラン等々で増員をするということになってございます。
 現状で人口四万人に一人以上の割合で児童福祉司が配置されているところでございますが、児童相談所単位ではちょっと把握しておりません。都道府県あるいは政令市単位ということになります。複数児相を置いているところもありますので、県単位ということになりますけれども、人口四万人に一人以上の割合で児童福祉司が配置されている自治体は、児相を置いている都道府県、政令市、それから二つの中核市の中で二十四都道府県市ということになります。これが二十七年四月一日の数字でございます。
○堀内(照)委員 具体的には、十二府県十政令市二中核市になると思います。その中には、神奈川県や京都府、大阪府、福岡県、また、さいたま市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市と、都市部も多くあります。相談件数も加味するにしても、こういった都市部で既に達しているわけですから、どれほどの増員になるのかなと思うわけであります。
 全国の児童相談所の数は二百カ所余りでありまして、強化プランで五百五十人ふやすということでありますが、一カ所当たりにすると、単純に割りますと平均で二、三人の増員にすぎないわけです。そういう規模の数ですから、今既に達しているところでは、恐らく相談件数ということでは深刻な場合があって増員が求められているんであろうけれども、果たしてどれだけふえるんだろうかと思うわけです。しかも、五百五十人の増員というのは、スーパーバイザーも、初期対応に当たる職員も全て含んだものであります。
 心中以外の虐待死事例が発生した児童相談所における当該事例担当職員の受け持ち事例数というのが発表されていますが、一人当たり平均百九・一件、うち虐待事例の担当は平均六十五件だったということでありますが、この負担を軽くするということが大事なんだと思います。
 大臣に伺いたいんですが、実際に事案を担当している児童福祉司さんをしっかりと応援していく、そういう増員にしていくためには、現場の職員配置の実態もよくつかんで、さらに思い切った増員が必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 子供や保護者への直接の指導などを担う児童福祉司、これについて、児童相談所強化プランを四月に出しましたが、その中で、配置基準については、人口当たりの数をふやすとともに、人口だけではなくて、やはり児童虐待相談対応件数を考慮することとして、その件数に応じた児童福祉司の加配を可能とする、それから、平成三十一年度までの四年間で全国で五百五十人程度の増員を目指す、これは平成二十七年度と比べると一九%増となるわけでありますけれども、こういう増員を目指すこととしておりまして、この配置目標に向けて、必要な地方交付税措置がなされるものと承知をしているわけであります。
 こういった取り組みで児童福祉司の配置の充実を図り、児童虐待発生時に迅速的確な対応が今後なされるようにしていかなければならないと考えているところでございます。
○堀内(照)委員 先ほど大臣もおっしゃいました、もう既に児相がぱんぱんになっているということを本当に解決していく上では、まだこれでは足りないんだと私は思いますので、ぜひ検討して進めていただきたいと思うんです。
 増員を図るだけではうまくいきません。専門職採用していない自治体も多い中で、児童福祉司さんの平均勤続年数が二、三年、そういう実態もあります。若くて経験の浅い職員、児童福祉司さんがふえている中で、経験のある児童福祉司、いわゆるスーパーバイザーが非常に重要になっていると思うんです。
 現在の運営指針では、スーパーバイザーは、児童福祉司五人に一人、経験十年となっていると思います。この指針どおりのスーパーバイザー、現時点で全国に何人いて、それはスーパーバイザー全体の何割に当たるんでしょうか。
○香取政府参考人 スーパーバイザーでございますが、現行の児童相談所運営指針におきましては、児童福祉司としての経験、少なくとも十年以上の経験を有するなど相当程度の熟練を有している者ということで、こういった方を、教育・訓練・指導担当の児童福祉司、通称スーパーバイザーと私ども呼んでおります。その意味では、必ず十年以上の経験がなければならないというかたい縛りをしているわけではございませんが、相当程度の熟練ということでございます。
 スーパーバイザーは、二十七年四月一日現在で四百六十九名配置してございます。
 スーパーバイザーの中で十年以上の人がどれくらいいるかという数字はちょっと把握しておらないわけでございますが、逆に、児童福祉司全体の中で十年以上の経験のある方がどれくらいいるかということで申し上げますと、同じく二十七年四月一日の時点の調査で、児童福祉司が全体で二千九百三十四名、そのうち四百九十四名が十年以上の経験者ということで、比率でいうと約一七%ということになります。
○堀内(照)委員 自治労連の調査なんですが、十年経験のあるスーパーバイザーは一六%だということです。五年の経験の人は五割になるんだ、三年未満の人は二割だということであります。
 このスーパーバイザー、今度は経験がおおむね五年ということで、研修を受けるということも義務づけて、スーパーバイザーとしてしっかり働いていただくということになるんだと思います。国は児童福祉司をふやす方向であり、その育成環境の整備は急務です。スーパーバイザーの役割はますます大事になっていると思います。
 今度は大臣に伺いたいんですが、それだけに、スーパーバイザーの配置、現在参酌基準を置いているということですが、それにとどまらずに、やはり一般の児童福祉司とは別建てで、基準をしっかり設けて、交付税措置の算定基礎にもきちんと盛り込むということが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今回の改正案では、児童相談所の体制強化それから専門性向上を図るために、一時保護や施設入所などの措置など、子供の命にかかわり得る行政権限を適正に行使するということができるように、児童福祉司の指導、教育を行うスーパーバイザーを法定するということを行ったわけであります。
 児童福祉司とは別に、スーパーバイザーの配置について、政令で定める基準を参酌して都道府県が定めることとしておりまして、現在、児童相談所運営指針、これは局長通知でございますけれども、これを定めておりまして、その中の、児童福祉司おおむね五人につきスーパーバイザー一人と同様の内容を政令で定める方向で検討しているところでございます。
 今後、平成二十八年十月の施行に向けて、配置の基準を政令で定めてまいりたいと思っているところでございます。
○堀内(照)委員 国がしっかり責任を持つという点で、ぜひ踏み込んでいただきたいと思っております。
 ちょっと時間がありませんので質問を飛ばしたいと思うんですが、指摘だけにしておきたいと思うんですが、法案では、児童心理司や保健師の配置も法定されます。しかし、児童福祉司のような配置基準があるわけじゃありません。
 これについては、全国児童相談所長会の要請書も実は厚労省に出されておりまして、児童心理司については児童福祉司三人に対して二人の割合での配置、精神科医や保健師を全ての児童相談所に最低一名の配置をという要請も出されていると思います。
 ぜひこういう点でも配置基準が必要じゃないか、これをちょっと質問したかったんですが、時間の関係で、こういうことが必要だということを指摘にとどめたいと思います。
 それで、今度の法案の検討規定の中に、これは先ほども少しありました、児童相談所の業務のあり方について掲げられています。これは何を検討されるんでしょうか。
○香取政府参考人 御指摘の、施行後二年以内に児童相談所の業務のあり方について検討するという規定でございますが、これにつきましては、きょう、先ほど委員会の御質問でもありましたけれども、児童相談所は、児童虐待への対応に関しましては、問題の程度あるいは緊急度に応じまして、一方では親子分離といいますか介入をするという面と、その後の再統合、支援ということになりますが、両面の機能を持っているということになっております。これを、一つの組織の中で両様の仕事をしているということで、現場からは、一旦分離した後、再統合のプロセスの中で、保護者との関係でいろいろなトラブルが生じるというようなこともありまして、児童の迅速な保護あるいは支援に支障が生じているという御指摘があります。
 他方で、これにどういった形で対応するかということで、では、児相の機能あるいは組織体制を分離するか、分化するかという御議論もございました。
 これについては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、機能をどういうふうに切り分けるかということと組織の体制をどうするかということについては、これはやり方はいろいろあるんですが、機能的な分離というのはやはり必要であろうということで、実際に機能分離した児相もかなりあるわけですけれども、組織体制も含めてどういうふうにするかということになりますと、支援の流れの中でやはり谷間に落ちるケースが出るといったようなこともありますので、ここはなかなか、どういうふうに児相の業務の中でこの二つの機能を振り分けて全体として機能するようにするかということについて、少し議論が要るだろうと。
 特に、機能を独立させた場合に、人の配置でありますとか、あるいはそれを前提とした業務分担、あるいは標準的な業務のプロトコルをどのようにつくるか、この辺についてやはり一定整理が必要であろうということで、こういった問題意識を踏まえて、一方で、今回、児相の体制強化で職員等専門職の配置の増員をするわけでございますが、そういったことも踏まえて、今後児相の業務のあり方について全体的に見直していく、あるいは、分離と統合の機能、それをどのように組織の中で役割分担し、機能分化をしていくか、この辺について、少し現場の意見も聞きながら、あるいは専門家の方の意見も聞きながら検討していくということで、今回はこの二年以内の検討規定というものを設けた、そういうことでございます。
○堀内(照)委員 命を守るというのはもちろん最優先にしなければなりませんが、そのための保護機能を強化する余りに、今ありました、支援と切り離すということで果たしていいんだろうか、いろいろな受けとめがあるんだと思います。
 二年以内の検討規定なんですが、大臣、国が出した児童相談所強化プランや市町村の体制強化も、二年以内となりますと途上であります。
 児童相談所のあり方、市町村を含む虐待対応の体制を大きく変える内容を含んでいるだけに、今もありましたように、現場の実態をしっかりつかんで、専門家の、現場の方々の意見も聞いて、結論を急がないということが大事だと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 現場の声は何においても大事でありますけれども、どこを現場と考えるかというのはいろいろあって、もちろん、児相、それから市町村の現場、要対協、学校等々、やはりしっかり私たちは考えていかなきゃいけないし、よく話を聞かなきゃいけません。
 今般、私どもには、児童虐待については総合調整機能が厚生労働省になりましたので、我々は、さらにそういった関係するところにしっかりと情報を得られるようなパイプをふだんから持って、現場の声をしっかりと受けとめながら今後の業務に当たっていかなきゃいけないというふうに思っております。
○堀内(照)委員 時間が来たので終わりますけれども、読売新聞が昨年秋に「児童虐待の深部」という連載をやっていまして、そこで、ある小児科医の言葉が紹介されています。
 小児科医は親の話を信じて診察するけれども、虐待対応では疑ってみなければいけない、でも、親と敵対すれば治療もできなくなる、そういう葛藤も描かれて、本当に子を傷つけたい親はいない、病院に連れてくる親は心の中でSOSを発している、虐待通告は親への支援の始まりでもあるんですと、まさに保護と支援が一体であるということを語っている。
 大阪の児相の方の言葉も紹介されています。ここは親を追及し、懲らしめる機関じゃない、子供たちが振り返ったとき、大事に思ってくれるところがある、人生捨てたものじゃないと思ってもらえる場所でありたいと。
 最前線で取り組んでいる方々の言葉は非常に重いと思います。児童福祉の専門性というものを深く捉えるということが大事だと思いました。
 まずは、やはり市町村及び児相の体制強化が抜本的に求められているんだと思いますので、そのことも指摘して、質問を終わります。
 ありがとうございました。