国会論戦・提案

失業給付制限 見直しを 参考人質疑 堀内氏に井上全労連事務局長 雇用保険法等改定案

衆院厚生労働委員会は15日、6法案を一括した雇用保険法等改定案について参考人質疑を行いました。日本共産党から堀内照文議員が質問しました。

 堀内氏は、政府が失業給付の基本手当の拡充に消極的で、「早期の再就職が大事だ」と答弁していることについて意見を求めました。

 全労連の井上久事務局長は、この間の給付削減によってブラック企業であっても経済的理由から急いで就職せざるをえず、辞めたくてもブラック企業にしがみ付くしかない実態があると強調しました。

 堀内氏も「辞めても安心して職探しや職業訓練が行えてこそ、雇用は安定する」と指摘。“自己都合”で退職すると失業給付に給付制限期間が生じることを問うと、井上氏は、労働相談を通じても“自己都合”といいながら「実質的に辞めさせられた人が大半」だと述べ、給付制限期間は「見直すべきだ」と語りました。

 また、井上氏は、シルバー人材センターを通じて派遣・職業紹介された人の労働時間の上限を週20時間から40時間に拡大することについて、「低賃金労働を広げ、雇用の質を下げる」と批判しました。

 堀内氏は、介護休業の問題も質問しました。堀越栄子・日本ケアラー連盟代表理事は「都市部では、労働基準法を上回る週平均49・5時間も家族介護している調査結果もある」と述べ、政府が介護者に関する調査を行うべきだと主張しました。

2016年3月16日 しんぶん赤旗より

衆議院会議録情報 第190回国会 厚生労働委員会 第5号

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 きょうは、参考人の皆様、お忙しい中、貴重なお話をいただきまして、本当にありがとうございます。限られた時間ですので、早速質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、井上参考人にお伺いしたいと思います。
 私も、先週火曜日の本会議と金曜日のこの委員会で、この法案、質問に立たせていただきまして、失業給付の拡充を求めてまいりました。政府からの答弁では、早期再就職が大事だということで消極的なものでありましたが、早くいい仕事につきたいというのは誰しも思うことであります。しかし、井上参考人も述べられましたように、どんな仕事でもいいというわけにはいかないと思うんです。
 参考人は、失業や求職活動を通じて労働者の心がくじかれる、人が壊れていくという実例を幾つも見てきたということでありますが、なぜ給付の改善が必要なのか、この給付制度のもとでの労働者、失業者の実態というのをより具体的に御紹介いただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。
○井上参考人 実態といいますか、実際上、給付が削減されてきましたので、受けられないという方々が、経済的な理由から、とにかく急いで探さなきゃいけないというふうになっているんですね。
 もともと、やはり失業された方、求職者の方は探そうとしていますから、それが悪循環を生んでいるというのは、見つけてみたらまたブラック企業でぼろぼろになるとか、大体、毎日ハローワークに通っても、そう仕事が変わっているわけではないですから、結局、なかなかなくて時間ばかりかかる、次々書類を送っても書類審査で落とされるとか、そんなことが多々あるというふうになっていまして、それが求職者の問題だと思うんです。
 もう一つあるのは、そうした中で、やはり意に沿わない、余りよくない仕事にしがみついていなければならない、半失業などと言われる方々がたくさんいらっしゃる、一千万人を超えている、求職者の方で言えば、そうした状況があるということが言えるんだというふうに思います。
○堀内(照)委員 今のこととも関連して、さらに井上参考人にお伺いしたいんですが、陳述の中にありました失業する権利という言葉、私は新鮮に受けとめました。
 つまり、ブラック企業であってもしがみつかざるを得ないという現実がある中で、しかし、そういう会社をやめることができる、やめても安心して職探しや職業訓練等を行って、次のいい仕事に結びつけることができる、それでこそブラック企業は排除され、雇用の安定が図られるんだと思うんです。これは非常に大事な視点だなと思って伺いました。
 このことと関連して、みずからやめると自己都合となり給付制限期間が生じるなど、給付に差が生まれてまいります。しかし、井上参考人が述べられましたように、それでは質の悪い企業から離職することが困難になると思うんです。実際には解雇であっても、企業が自己都合での退職を強要した事例も多いということでありますけれども、このあたりの実情についてお伺いしたいと思うんです。
○井上参考人 労働相談で実際に来られる方でいいますと、離職票自身は自己都合というふうになっていても、実際にはいじめやいろいろな形で、事実上やめさせられた方というのが大半であります。しかし、そうした方が実際上は解雇だったという証明をするのはなかなか、証人をどう立てるか困難な局面もありますし、実際上の問題としてやはりこの区別が、その後待期期間、三カ月以上ということが出てきたりしますので、不都合を生じているんだと思います。
 そもそも、二〇〇〇年の改正で雇用保険財政が厳しいからという形でこういう離職理由による区別ができましたけれども、雇用保険の制度上はその区別をする理由はもともとないものだというふうに思っていますから、そこはきちんと見直していただきたいなというふうに強く感じております。
○堀内(照)委員 続いても井上参考人に伺いたいんですが、今回の法改正で、シルバー人材センターの派遣、職業紹介業務について、週四十時間までの就業を可能にしようとしています。
 井上参考人は、高年齢者が働くことを通じて生きがいを得るとともに地域社会の活性化に貢献するという大原則を曲げる改悪だと指摘をされましたけれども、具体的にどんな問題が生じるとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○井上参考人 最初にも申し上げましたけれども、もともと生きがいですから、最低賃金の規制がかかっていません。ところが、これが実際上、今相当いろいろな分野に広がっていまして、だから、一般の雇用をそういう低賃金の仕事が奪ってしまっているという状況が生まれています。
 これは、やはりその原則を、しかも今回四十時間まで認めるというふうにしたときに、これからどれだけ広がるのかということは原則に立ち戻って考えなければならないというふうに思っておりまして、相当なやはり悪影響が、低賃金労働が広がってしまう、日本の雇用の質を下げることにならないかというふうに危惧をしております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続きまして、佐藤参考人と、あと堀越参考人にお伺いしたいと思います。
 今回の法改正で、介護休業について、九十三日間を三回に分けて使えるようにするなどとしているわけですが、この休業は、みずから介護をするためではなくてマネジメントのためだということでありますが、今の介護制度のもとでは、在宅ともなりますと、デイにせよショートステイにせよ、利用できる時間というのは限られているわけで、同居家族への負担というのは大変大きいものがあると思います。
 一方で、介護休暇の方は年五日、今回半日に分割ということで、最大でも十日ということで、堀越参考人からは、一カ月に一回とっても年十二回になっていくではないか、必要ではないかという話もございました。
 ですから、まだ課題という点ではさまざまあるんだろうというふうに思うわけですが、佐藤参考人からは、国に求められることということで、最後に介護サービスの見直しということも指摘をされました。その課題といった点、介護サービスの見直しということでどういう課題があるのか。それから、堀越参考人には、現場ではなお家族負担の深刻な実態というのがやはりあるんだと思うんです、その実態と課題ということを改めて整理していただくとどうなるのかということで、お伺いしたいと思います。
○佐藤参考人 私の資料の一番最後の点だと思いますけれども、現状の介護保険サービスについても見直す必要があるだろう。
 その視点は、先ほどお話ししましたように、やはり、介護保険制度ができたときの要介護者の家族のあり方と現状というのは相当変わってきますし、これからもどんどん変わっていく。やはり、要介護者の家族が働いている、それも、できれば、働きたい人は働きたいように働けるということだと思います。
 そうすると、例えば、今デイサービスのお話がありましたけれども、従来は十時から四時というような形で、確かに前回の法改正で少し長いサービスが入りましたけれども、十時から四時というようなことでいうと、例えばフルタイムで働きながらその制度を使うというのはやはり難しいわけでありますよね。
 前回の改正、その点では評価できるわけでありますけれども、今後も、ほかのサービスについても、やはり要介護者の家族が働いているという、そういう意味ですと、例えば二十四時間のサービスも出てきましたけれども、仕組みとしては出ても、先ほどお話ししましたような、人材がいないのでできないということがありますので、そういうことも含めて、やはり全体として、次の介護保険制度の見直しのときに、そういう要介護者の家族のあり方が違うということを踏まえた上でどうするのかということをぜひ検討していただきたいという趣旨であります。
○堀越参考人 まずは、実態が明らかになっていないということを言いたいんです。
 日本の介護者の調査というのは体系的にやられていなくて、国民生活基礎調査というのがあるんですけれども、その中でも、どのくらいの介護をしていて、例えばどんな、介護者に対して、健康や生活への影響が出ているかとか、働くことに影響が出ているかとか、それを経年的にきちんと調査をするということはできていないと思います。国によっては、国勢調査の中にそういう項目を入れている国もありますけれども。
 それで、民間でかなり調査をやって、私たちも調査をしたわけですけれども、介護する前から働いている人、あるいは、もうそのときに働いていなかった人がもちろんいまして、介護する前に働いていて、介護によって転職をした、退職をした、どういう支援があれば退職をせずに済んだかということもあるわけですよね。そういうことをきちっと調査をする。
 あるいは、実際に働きながら、あるいはもう職は退いているけれども、介護を一日どのくらいの時間している、サービスを利用している日にどのくらいの時間介護をし、サービスを利用していない日にはどのくらいの時間介護をし、ならすと一週間にどのくらいの介護をしているのかとか、そういう実態がきちっと把握できていなくて、私たちも今回、二〇一〇年の調査の後、二〇一五年にも今やっていますけれども、物すごく大変な人というのは、おおよそですけれども、介護者の二割ぐらいはとても孤立していて、とても疲れていて、言葉は悪いですけれども、介護殺人、介護自殺、介護心中にいきそうな方というのはいるんじゃないかと。
 平均で見ても、対象は少なかったんですが、都市の方で、一週間四十九・五時間、平均介護しているという結果も出ています。労働基準法の一週間の労働時間は四十時間ですよね、それを上回る介護をしていて、しかも土日の休業もない。なので、それは一部じゃないかと言われれば一部なので、みんなが納得できるような調査をきちっとするということがまずとても大事なことだというふうに思っています。
 課題とすれば、新聞記事にも書きましたけれども、一つは、非常に孤立をしてしまう。社会から孤立をする、孤立をして切り離されることによって非常に追い詰められる、追い詰められることによって虐待が起こったりするということで、介護は家族がすればいいという単純なものではないというところの、そこから入っていただいて、きちっと調査をして、課題を明らかにするということがとても大事だというふうに思っています。
 ちょっと直接な答えにはなっていないんですけれども、そういうことを考えています。
○堀内(照)委員 ありがとうございました。
 最後にもう一度、井上参考人に伺いたいと思います。
 全労連が行った女性アンケートを拝見いたしますと、マタハラの温床になっているのが職場の余裕のなさだということが指摘をされておりました。今回のような法改正は当然もちろん必要なわけですが、男性は育児や家庭生活と両立できないような長時間労働であるとか、女性は家事、育児と仕事の両立で、本当に大変だという。
 労働者の働かせ方自体が大きく問われているんだと思うわけですが、その点について御所見を伺いたいと思っております。
○井上参考人 おっしゃるとおりだと思います。
 マタハラだけではなくて、育児・介護休業などをとれるかどうかとか、いろいろな部分も含めて、職場の労働条件がいいといいますか、労働時間が適切に管理されていて、長時間の残業等がないということがやはり必要だと思います。
 という意味でいいますと、別の法案ですけれども、労基法の改正法案、八時間労働制の原則を崩すのをやめて、上限規制をしっかりされることが必要だというふうに感じております。
○堀内(照)委員 以上で終わります。全ての皆さんに質問できなかったことを御容赦ください。
 ありがとうございました。