国会論戦・提案

公立保育所増設こそ 「3歳の壁」問題 堀内氏「国責任で」 衆院厚労委

日本共産党の堀内照文議員は9日の衆院厚生労働委員会で、0~2歳児が入所する小規模施設で卒園後の受け入れ先が見つからない「3歳の壁」問題を取り上げ、国が責任をはたすよう求めました。

 堀内氏は、神戸市で今春、小規模施設を卒園する270人(市全体)のうち43人の受け入れ先が決まらず、3歳児全体で246人が保留通知を受けていることを示し、(受け入れ先となる)「連携施設」の設定状況や3歳児の行き先把握はどうなっているのかと質問しました。

 厚労省の香取照幸雇用均等・児童家庭局長は、4月に調査を行うと表明。受け入れ先が見つからない場合は、小規模施設に引き続き入所させる「特例」で対応する考えを示しました。

 堀内氏は、「『特例』では子どもの成長や発達は保障できない。0~2歳児の施設に3歳児が混在することは問題だと思わないのか」と追及。塩崎恭久厚労相は、保育士配置などの「基準は順守されるので問題があるとは考えない」と開き直りました。

 堀内氏は、「基準を守るのは当然であり、問題ないとの認識こそ重大だ。今でも連携先や行き場がない事態があり、『特例』が常態化しかねない」と批判しました。

 三ツ林裕巳厚労大臣政務官は、連携施設では「公立保育所の役割が大事だ」と答弁しました。堀内氏は、公立保育所の運営・整備費の一般財源化(2004年度~)を見直し、公立保育所の廃止・民営化を促す「公共施設等総合管理計画」ではなく、国が財源確保をするべきだと求めました。塩崎厚労相は「民営化するかどうかは地方が考えること」だと答えるにとどまりました。

2016年3月10日 しんぶん赤旗 より

 

衆議院会議録  厚生労働委員会 2016年3月9日

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 子ども・子育て新制度から間もなく一年となります。新年度を前に、待機児童の問題は引き続き深刻であります。
 午前中の山尾委員の質問も受け、大臣は先ほど、「保育園落ちたの私と私の仲間だ」、この署名を受け取られたと伺いました。二万七千六百八十二名と、文字どおり、多くの皆さんの痛切な願いのこもった署名だと思います。
 これを受け取られた受けとめをまず冒頭に伺いたいと思います。
○塩崎国務大臣 先ほど三人の女性の方々から、お二人はお子様も連れてこられておりましたが、直接お話をお聞きし、署名、そしてまたお一人お一人が御自分の思いを書かれたという分厚いものをいただきました。入る寸前だったものですから、まだ中身は拝見をしておりませんが、戻ってからしっかりと見たいというふうに思っております。
 いずれにしても、東京あたり、特に都市部で、御苦労されて、保育に恵まれないで、仕事が、そして子育てがなかなかうまくいかない、こういう人たちがどのように困っていらっしゃるかということをしっかりと受けとめ、私どもはこのところ十万単位で保育所の定員をふやしてきておるわけでありますけれども、追いつかないということを踏まえながら、これからさらにこれを加速するということをやっていきたいというふうに思っております。
 第二の矢でありますこの子育て支援、しっかりとやっていきたいというふうに改めて思ったところでございます。
○堀内(照)委員 ぜひ正面から真剣に受けとめていただきたいと思います。
 待機児童解消ということで昨年から始まった新制度では、保育士の配置基準などを規制緩和した地域型保育を導入しています。しかし、この小規模保育等を卒園した子供たちの行き先が決まらない、三歳の壁というのが今起こっております。
 保護者からは、やっと入れたと思ったけれども三歳でまた保育所探しをしなければとか、仕事しながらの保育所探しで本当に大変だ、いつまで保活をしなければならないのかと悲鳴が上がっております。
 小規模保育や家庭的保育は、そもそもゼロ、一、二歳のみの施設ですから、三歳になれば卒園しなければなりません。その受け入れ先の連携施設をつくらなければならないんですが、今、全国で、小規模保育は千六百五十五カ所、家庭的保育は九百三十一カ所です。これらのうち、連携施設が決まっているのは何カ所で、何人の三歳児の受け入れが可能になっているのか、お答えいただけますか。
○香取政府参考人 御答弁申し上げます。
 家庭的保育、あと小規模型の地域の保育でございますが、今先生お話ありましたように、都市部において非常に待機児童が多いということで、待機児童の多くがゼロ―二歳だということもございまして、こういったゼロ―二歳の子供について特段の対応をするということで、新たな制度として子ども・子育て新制度でつくられたものでございます。
 お話しのように、ゼロ、一、二がベースということですので、その後の三歳児以降の受け入れということで、原則として連携施設というのを設定するということをお願いしてございます。これにつきましては、一応経過措置が置かれておりまして、五年を経過する間は確保しなくても開設ができるということになってございます。
 これにつきましては、制度を施行してまだ一年たっておりませんので、現時点で連携施設がどれくらい設定されているか、あるいはその連携先との関係で三歳児をどれくらい把握できているかということについては、まだ一律的な把握はしておりません。これにつきましては、四月に改めて調査をすることにしておりますので、その段階で確認をして把握をいたしたいというふうに思っております。
○堀内(照)委員 五年の経過措置というんですが、この春から三歳児が出て、行き先が問題になっているわけであります。
 NPO法人全国小規模保育協議会のアンケート調査では、回答のあった三二%の事業者がまだ連携施設を設定できていないと答えています。半数の事業者が三歳児以降の受け皿としての連携施設が見つからない。つまり、連携施設が設定できても、三歳児の受け入れができないというところもあるんだと。それはそうだと思うんです。みずからのゼロ、一、二歳がそのまま上に持ち上がれば、もう筒いっぱいで入らないということになるわけです。
 ですから、連携施設とその受け皿の問題、今、把握を四月からとおっしゃいましたけれども、三歳児の受け入れ先についても国が責任を持って実態を把握すべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 平成二十八年の四月時点での各自治体における連携施設の設定状況について、これについては調査を行うこととしておりまして、実態を把握の上で、連携施設の設定促進に役立ててまいりたいと思っておりますが、今お話がありましたように、必ずしも三歳以降の受け入れがなされていないというような、そういうことも、連携施設といいながら、なかなかうまくいっていないというところがあるという御指摘もございまして、今申し上げたように、この設定状況について調査を行うということを今考えているところでございます。
○堀内(照)委員 受け入れ先が問題ですので、そこをしっかり把握していただきたいと思うんです。
 神戸市のある小規模施設では、連携施設があるにはあるんですが、直線距離で十キロ以上離れている、車でも二、三十分かかるところで、とても利用できない。三歳児が今五人いるそうなんですが、このままだと三歳どころか四歳になっても行き先がなかなか展望が見えないと。
 神戸市全体では、この春、小規模からの卒園児が二百七十人いるということですが、現時点で一次選考に漏れた方が四十三人、三歳児全体の保留通知が二百四十六人もいますので、これは本当に入れるのか。連携先で受け入れられない、市町村の利用調整でも入れない、こうなってくるとどうなるのか。小規模を退園して仕事をやめなければならないのか。これはどうするのでしょうか。
○香取政府参考人 連携施設のお話でございますが、マクロで見ますと、三歳児の受け入れ児童数が約百四十五万人ということで、定員が百四十五万人でございます。三歳児の待機児童は約三千人ということで、二十七年度の全体の二万三千人に対してはその一〇%程度ということですので、マクロでいうと三歳児の待機児童は一般的に多くないということなんですが、お話しのように、個別の地域によっては、三歳児で保留が出るということはもちろんございます。
 ということで、今お話がありましたように、一つは、市町村の利用調整で定員にあきのある保育所について調整を行うということが一つ。もう一つは、利用調整の際には小規模施設から上がってくる子供については優先入所ということで、調整の中で優先的な取り扱いをするということを行っております。最後、例外的に、どうしても受け入れがないという場合には、当該小規模保育等でそのまま受け入れ続けるという選択肢も一応残すということで対応いたしたいというふうに思っております。
○堀内(照)委員 つまり、行き先がなければ特例としてそのまま小規模に入り続けるということだと思うんです。
 ゼロ歳からの乳児の居場所に三歳以上の子供がともに生活することになるわけです。現場の保育士さんから伺いますと、ゼロ、一、二歳を一緒に預かるだけでもなかなか大変なんだと。例えば、二歳児ぐらいになると動きが活発になってきます。ゼロ歳の子を寝かせるためには、一緒にできないので、上の子供たちを夏の暑い中でも散歩に連れ出さなければならない、体調を崩した子もいる。雨の日になると外に出られませんので、ゼロ歳児が泣き通しだと。
 一歳と二歳の子供を二人小規模に預けていたお母さんは、上の子の方がだんだんと活動範囲が広がっていく中で、施設の居室だけではなかなかおさまらずに、それでも保育士の手は限られていますので、保育者の方から、私たちがもっと外に連れ出してあげられたらよかったのですが、こう言われたというんですね。
 現場の保育士さんの実感から見ても、子供の安全が守られ、成長や発達が本当に保障されるんだろうかと思うわけであります。ゼロ、一、二歳児のみの在籍を前提にした施設で三歳児が混在する、これは大臣、問題だとは思われませんか。
○塩崎国務大臣 基本的には二歳までということになっておるわけでありますけれども、特例的に三歳児までということになりますと、今先生御指摘のように、元気な、活発な子がゼロ歳児と一緒にいるみたいなことがあり得るわけです。
 三歳未満の子供を主に対象とする小規模保育事業等においても、例外的に三歳以降の子供を受け入れるということが可能でありますけれども、その場合においても、保育者一人当たりが保育することができる乳幼児の数、乳幼児一人当たりに必要な面積、必要な設備、構造等について、国が定める基準に従って条例で定める基準、これを遵守していただくこととされているわけでありまして、このため、安全面それから子供の発達についての問題があるというふうには考えておりません。
 一方で、小規模保育事業等の施設においても、安全面が確保されるように保育室を区切るとか保育室の利用の仕方を工夫することや、小規模保育事業等の保育内容について支援などを行う保育所等の連携施設における子供同士の触れ合いなどを通じて、年齢に応じた子供の活動への配慮が行われることが適当ではないかというふうに考えております。
 いずれにしても、本来的には、希望する三歳以上の子供について、保育所それから認定こども園などに適切に入所できる環境整備に努めてまいることが基本だというふうに思っております。
○堀内(照)委員 問題があるとは考えていないというのは重大だと思うんですよ。
 厚労大臣が発した厚労省告示である保育所保育指針では、「三歳未満児の保育に関わる配慮事項」として、特に感染症にかかりやすい時期であるとか、事故防止に努めながら活動しやすい環境を整えるですとか、情緒の安定を図りながらなどとされているわけであります。
 活発になっていく三歳児以上とこうした配慮が必要な乳児とが一緒に保育されるという、基準を守るのは当然なんですが、それでもなお危険があるじゃないかと私は指摘しているわけであります。
 三歳児の発達という点でも、外遊びや集団遊び、それから人間関係でも集団行動というのが必要になってくる年齢であります。こういった指針が掲げている方向から照らしても、それとは異なる状態を生み出してしまう。しかも、連携先が見つからない、もしくは受け入れ先が見つからない、そうした特例というのが常態化しかねないんじゃないかと私は危惧をするわけであります。
 今大臣は、ですから保育所ですとか受け皿をしっかり整備する必要があるんだとおっしゃいました。本当にそこが私は求められているんだと思うんです。規制緩和された施設のさらに特例なんということになると、本当に安全、発達に責任を負えるのかと思うんです。
 そこで、この三歳児の行き先、私はやはり公立保育所で受け皿をつくるなど自治体が責任を持つべきだと思うわけですけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。
○三ッ林大臣政務官 お答えいたします。
 小規模保育事業等の事業者に対しては、利用乳幼児に対する保育が適正かつ確実に行われるとともに、卒園後も満三歳以上の児童に対して必要な教育または保育が継続的に提供されるよう、連携協力を行う連携施設を適切に確保することを求めております。
 厚生労働省としては、各市町村に対して、みずから公立施設を連携施設として設定することも含め、積極的な関与や役割を果たすよう求めております。
 また、公立保育所の施設整備費については、地方六団体の提案による三位一体改革の結果、平成十八年度に一般財源化されたものでありますが、施設整備に係る事業費のうち、五〇%が一般財源化に係る地方債の対象とされ、その償還金の財源として地方交付税措置が講じられているところであります。こうした枠組みに沿って対応していただきたいと考えております。
○堀内(照)委員 自治体の責任ということを本当にはっきりさせる必要が私はあると思っています。
 小規模に預けていたある方は、子供が三歳になって、行き先が見つからない中で、何度も行政の窓口に相談に行ったというんですね。ところが、担当者からは、あなたが小規模を選んだのだから仕方がない、こう言われたというんです。しかし、最初に利用申し込みをしたときには、認可保育所に入りたいという希望を伝えたんです。しかし、そんなことを言っていたら入るところはないですよ、こう言って、第一志望を小規模にするように促されていたわけであります。
 新制度の指針でも、新制度の教育、保育給付や他の支援事業は市町村が実施主体だと明記されているわけであります。決して親の責任じゃない、自治体の責任だということをやはりはっきりさせるべきだと思います。
 今答弁がありましたように、自治体が責任を果たす上で、やはり公立の役割というのは大事なんだと思います。認可保育所を思い切ってふやす、その中でも、この公立の役割が非常に大事だ。
 しかし、きょう資料でお配りしていますが、全国で公立保育所はむしろ減っているわけであります。廃止、民営化が進んでいます。グラフにありますように、今本当に、そして答弁がありましたように、整備、運営にかかわる財源が一般財源化されたからにこれはほかなりません。ちょうどその時期を境に公立と私立の施設数が逆転をしているわけであります。私立の方が今や多くなっている。そこへ、今、施設の老朽化が進み、建てかえや改修が必要になっている。そういうことも契機となって、今、次々と公立保育所が廃止されたり、民営化が進んでいるということです。
 この財源、やはり一般財源化したということが私は大きな原因だと思います。ここをしっかりもとに戻す、そして、公立保育所の老朽化対策等、自治体の裁量ではなくて、財政面で、先ほど五〇%はという話がありましたけれども、しっかり国がもっと責任を持つ、今でもこうですから、もっとしっかり責任を持つということが必要ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○三ッ林大臣政務官 お答えいたします。
 先ほどもお答えいたしましたけれども、公立保育所の施設整備費については、地方六団体の提案による三位一体改革の結果、平成十八年度に一般財源化されたものでありますが、施設整備に係る事業費のうち、五〇%が一般財源化に係る地方債の対象とされ、その償還金の財源として地方交付税措置が講じられているところであり、こうした枠組みに沿って対応していただきたいと考えております。
○堀内(照)委員 そういう対応ができるじゃないかということでありますけれども、もう一方で、総務省は、自治体に向けて、公共施設等総合管理計画の策定要請を今出しております。公共施設等の最適化などと称して、老朽化が進む公共施設の維持管理について、自治体に中長期計画を持たせ、人口や利用需要、そして民間代替可能性などを検討して、整理統合、解体、撤去を進めるものだと言わなければなりません。
 この公共施設というものに公立保育所は含まれるんでしょうか。
○内藤政府参考人 お答えいたします。
 公共施設等総合管理計画につきましては、過去に建設された公共施設等がこれから大量に更新時期を迎える一方で、地方公共団体の財政は依然として厳しい状況にあること等を踏まえまして、各地方公共団体が公共施設等の全体を把握し、長期的視点に立って、保有する公共施設等の維持管理、更新等を適切に行っていくため、各地方公共団体に対し、策定を要請しているところでございます。
 このような趣旨を踏まえまして、計画の対象施設は、公共施設、公用施設その他の当該地方公共団体が所有する建築物その他の工作物全てとしておりまして、御質問の公立保育所も含まれるものでございます。
○堀内(照)委員 公立保育所の整備費が一般財源化された中で、老朽化した公立保育所の改修、建てかえなどは、自治体にとっては本当に財政的に苦しい事業なんだと思います。運営費も当然一般化ですから、改修した後、維持するということも懸念として出てくるわけであります。そこへ、今のメニューですね、公共施設の最適化。集約化、複合化、除却を進めよと。取り組みを後押しするために地方債措置をとるとしているわけであります。
 これでは、さらなる民間移管や廃止へ国が誘導しているようなものじゃないかと思うわけですが、大臣、いかがですか。
○塩崎国務大臣 もともと、三位一体の議論の際に、国と地方の役割分担ということで、いろいろな議論がありましたが、こういう形になって、一般財源化というものが行われたわけであります。
 今、保育が民営化の方に追いやられるんじゃないか、こういうことだろうと思いますが、それはそれぞれの地方がお考えをいただくというのが地方自治の基本だというふうに思いますので、必ずしもいわゆる民間の保育だけに偏っていくということではないんだろうというふうに思います。それは地方が決めることではないかと思います。
○堀内(照)委員 財政的に苦しい中でそう追いやられている実態があるんだと私は言わなければならないと思うんです。
 連携先が、そして受け入れ先がない中で、本当はふさわしくない特例をせざるを得ない、こういう問題を解決するためには、やはり思い切って公立が積極的な役割を果たすことが必要だと。これは、答弁も今あったとおりです。
 その公立が大事だと言いながら、今現に公立保育所はどんどん少なくなっている。ここをどうするのかということが私は問われていると思うんです。だからこそ、公立保育所の運営、整備にかかわる国の財政的な責任をもっと果たしていく必要があるということを厳しく指摘したいと思うんです。
 保育園ふやし隊@杉並の皆さんが、三歳の壁について保護者アンケートをとっておられます。八四%という圧倒的多数が認可保育所への入所を希望しております。先ほども少し答弁で、保育所だけではなくて、こども園ですとか幼稚園の預かりなんかも確かに受け皿の一つなんだと思うんです。しかし、八四%がなぜ認可と言うかというと、理由は、幼稚園での預かり時間では仕事を続けられないと言うんです。
 確かにそうで、私、神戸市の公立で調べましたら、一番長く預かってくれるのは五時までなんです。四時までとか、週何回しかできませんとか、これではフルタイムで働くお母さんはとてもじゃないけれども預けられない。だから、なかなか三歳の行き先が今ないんだ。とりわけ、そういう中ですから、やはり公立保育所が役割を果たすことが必要なんだと思うわけであります。
 こういう声に応えるためにも、規制緩和ではなくて、公立を初めとした、基準がきちんと定められた認可保育所のさらなる増設へ思い切った手だてを強めるべきだと厳しく指摘したいと思うんです。
 保育士確保、処遇改善についても伺いたいと思います。
 今、保育士のなり手が少なく、公立の正規でも人が集まらないですとか、保育士を採用できずに開所できなかった小規模施設があるなど、保育の受け皿づくりの上でも、保育士確保が欠かせません。
 神戸市の認定こども園で働く一年目の保育士の女性の方から私は話を伺いました。ゼロ歳児保育の担任をしておりまして、やりがいもあるけれども、勤務時間のほとんどがどうしても子供を見る時間に割かれ、記録や打ち合わせの時間がなかなかとれない、結局、事務作業はサービス残業になる、家に帰っても、くたくたで、もう仕事がたまる一方だ、仕事がきつく、幼い命を預かるその責任の重さの割に、手取りでは月十四万ほどだ、本当に割に合わないと。そして、割に合わないだけじゃなくて、いよいよ体調を崩してやめていく人も、先輩を見ていて、大体みんな二年ぐらいでやめていくんだという話でありました。こういう実態はどこも共通していることだと思います。
 この間、公務員の給与改定に対応して、公定価格に算定される保育士の本俸基準額も引き上げられてきましたけれども、十九万九千九百二十円、資料の二枚目に表をつけておきました。国家資格を持った専門職として、そして命を預かる責任の重さから見て、それに値する水準とは、私、決して言えないと思うんです。キャリアを積んだ主任保育士でも二十三万四千四百九十八円が基準額です。手取りにすると、二十万そこそこあるかないかじゃないかと思うんです。
 大臣にこれを伺いたいんですけれども、これで、生涯にわたって生活を支える職業として選択するに値する賃金と言えるでしょうか。
○塩崎国務大臣 待機児童の解消に向けて保育の受け皿拡大を大きく進めていく中で、大事なことは、保育の担い手をどう確保していくかということで、極めて重要かつ喫緊の課題であるということは、我々も深く認識をしているところでございます。
 個々の保育士の賃金水準は、置かれた状況によってそれぞれでありますけれども、御指摘のように、生活できるような待遇になっていないと断定するというところまで言えるかどうかというのは、いろいろ評価があろうと思うわけでありまして、保育士として勤務しない理由などに給与水準の低さが挙げられることが多いということは、やはり保育士の処遇を改善していくことは人材確保を図る上で重要な課題であるということ、これはやはり変わりはないんだろうというふうに思っています。
 それで、平成二十七年の四月から施行いたしました子ども・子育て支援新制度、この中で、消費税財源を活用して、処遇改善等加算として三%相当の改善を行うとともに、人事院勧告に従った処遇改善も行ったところであるわけであります。
 今後とも、この処遇改善に取り組んでいくことが重要だと思いますけれども、何分にも、先ほど来議論が出ているように、財源であります。財源なしに、上げることだけをお約束するのは空手形になってしまうわけでありまして、恒久的にやはり財源を確保していくということが極めて大事であるわけで、一体改革の中の、先ほど来も取り上げられております三千億超の財源確保につきましても、私ども自由民主党の中でも、かつて私がまだ自民党で政調会長代理をやっていた際には、本当に、この三千億をどう確保していくのかということを、しばしば議論を真剣に行ってきたことであります。
 この財源確保によって実施をする事項に、質の向上というのが中心的な役割を果たしていくというふうに思っているわけでありまして、その中で、二%相当の処遇改善が約四百億円ぐらいかかるわけでありますけれども、この財源を恒久財源として確保しながら取り組まなければならないということで、引き続き全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。
○堀内(照)委員 消費税財源について、私たちは全く立場は違うわけでありまして、財源論の話をし出しますと、それこそ、なぜこれだけもうかって内部留保をため込んだ大企業には減税なのか、財源といえば、もっと取るところがあるじゃないか、それはもう議論がもちろんあるわけですから、当然、私たちは、そういう財源はしっかり確保してやるべきだと訴えているわけであります。
 今、処遇改善のことも言われました。資料の三枚目にそのイメージ図をつけておきました。これを見ていますと、階段状に、勤務年数、経験年数に応じて加算がされていくということになっているわけですが、これは十一年で頭打ちなんです。
 これはなぜ十一年で頭打ちなんでしょうか。十一年以内に離職するということが前提なんでしょうか。
○中島政府参考人 お尋ねの処遇改善等加算でございますけれども、これにつきましては、保育士さん等の人材の確保及び資質の向上を図り、長く働いていただける職場の構築を促すべく、職員の平均勤続年数や賃金改善等に応じた人件費の増について評価をさせていただくという仕組みでございます。
 委員御指摘のように、この加算率については、平均勤続年数が十一年を超えた場合には一律となるという仕組みになっていることは、御指摘のとおりでございます。
 これにつきましては、二十七年四月施行のいわゆる新制度の施行前に、民間の保育所に対しまして、現在の処遇改善等加算と同様の機能を果たしていた民間施設給与等改善費、保育士等処遇改善臨時特例事業において同様の考え方で制度を組んでいたということでございまして、十年を超えた場合、加算率が一五%で一律ということだったということでございます。
 新制度、去年の四月施行でございましたが、それ以降の現在の処遇改善等加算では、それにさらに工夫を加えまして、平均勤続年数を一年延長して十一年に、そして加算率を一%分上乗せして四%とさせていただくということで、保育士等のさらなる処遇改善のために努力はさせていただいているというところでございます。
○堀内(照)委員 長く働いていただくためだと言いながら、なぜ十一年でとまるのかという話なんですね。理由は、結局、以前から民改費等はそういう仕組みだったということですから、十一年で頭打ちにするという確たる理由は見当たらないんだと私は思うんです。
 厚労省告示である「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」というのがあります。ここでは、給与水準の確保の必要性とともに、「従事者のキャリアアップの仕組みを構築するとともに、国家資格等を取得するなど、高い専門性を有する従事者については、その社会的な評価に見合う処遇が確保され、従事者の努力が報われる仕組みを構築する必要がある。」こう書いてあるんです。
 まさに、社会的評価に見合う処遇の確保のために、本俸の部分をしっかり引き上げることと、そして、従事者の努力が報われる仕組みというんだったら、この勤続年数に合わせて、十一年で頭打ちではなくて、しっかりそういう勤続年数が反映されるような、昇給が続くような財源保障を公定価格でもしっかり見るべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 年功によって引き上げていくという考え方は、一般的に我が国の雇用慣行ではあるわけでありますけれども、これは、民間の、企業でのお話はともかくとして、今内閣府から答弁があったように、公定価格ということで決められているわけであります。
 これについては、やはり財源をどうするかということが大事であって、消費税等に関する考え方が違うというお話がありましたが、私どもとしては、当初、七千億は消費税で、その中で三%の引き上げを行ったわけでありまして、あと、必要だということで、民主党、公明党、自民党の中で合意を見た後、三千億分に対応する二%相当の処遇改善をしていくということを、何度も申し上げますけれども、恒久財源を確保しながらやっていくということを今最大の課題としているわけでありまして、とりわけこの処遇に関しては、先ほど申し上げたように、約四百億円かかるわけでありますので、ここのところをどうするのかということで、今回、この十一年以上、以下の問題については、限りある財源の中でここまで精いっぱいやったというふうに理解をしております。
○堀内(照)委員 先ほど紹介しましたけれども、保育士で十九万九千九百二十円、主任保育士でも二十三万四千四百九十八円、所長でも二十五万三千三百円が基準額なんです。ですから、本当に、今の大臣の答弁を保育を目指す学生が聞いてどう思うかと私は思うんですね。やはり、抜本的にここは引き上げないと、本当に保育士確保というのであれば、夢を持って、志を持って保育を目指す学生が、この仕事なら続けられると思うような仕組み、メッセージを発する必要があるんだと思うわけです。
 保育士の給与をこの基準からさらに引き下げる要因になっているのが、私は人員配置の低さだと思うんです。保育士は、子供の保育だけが仕事ではありません。勤務時間の中で事務や打ち合わせ、研修等も必要です。それらを保障するために、公定価格上、保育士の配置がどのように算定されているんでしょうか。
○中島政府参考人 保育士さんに行っていただきます事務処理や会議への出席、さらには研修への参加に伴います負担を軽減していただくということは、大変重要な課題だと思ってございます。
 したがいまして、公定価格の基本分単価におきましては、以下申し上げる二点を盛り込んでおるところでございます。
 一つは、これは新制度施行の前から措置されていたものでございますけれども、保育士さんが事務処理や会議出席、休憩の時間を確保できるよう、いわゆる休憩保育士、そうしたものを加配していただく、そういう部分の人件費というものを引き続き措置させていただく。
 そして、これに加え、新制度になりました今日は、消費税一〇%への引き上げを前提とした、いわゆる七千億メニューを前倒しする中で、研修を受講する保育士さんのかわりに保育に従事していただくために加配される、いわゆる研修代替保育士に係る人件費といったものもあわせて新たに評価をさせていただくということで、保育士さんのもろもろの負担軽減等について、職員配置上、公定価格で手当てをしているということでございます。
○堀内(照)委員 今の休憩代替は具体的に何人分でしょうか。それから、研修代替は年に何日分でしょうか。
○中島政府参考人 いわゆる休憩保育士につきましては、利用定員が九十人以下の施設につきましては常勤保育士一名、それから九十一名以上の施設につきましては非常勤保育士一名の費用を算定しているというのがまず最初のお答えでございます。
 二つ目、研修代替保育士につきましては、年間二日分の費用を算定させていただいているというところでございます。
○堀内(照)委員 クラスは何クラスもあるわけで、一人分、それから研修は年二日分、これは本当に負担軽減になるんだろうか。
 計画を立てる、記録をつける、保護者への支援、職員相互の話し合い、小学校に送付する資料づくり、これは全て保育指針で定められている業務なんです。そういう保育指針で定められた業務自体が、幼稚園の場合は基本四時間教育、残りは事務作業に充てられるでしょう、ところが、保育所の場合は、勤務時間のほとんどがやはり子供と向き合う時間ですから、そういう事務などの時間がとれないわけであります。
 そもそも、保育所職員の配置基準が実態に見合わない、少ないんだと私は思うんです。大臣、これはぜひふやすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○三ッ林大臣政務官 お答えいたします。
 保育所等の職員配置基準については、児童の年齢ごとに、国が定める最低基準を上回る範囲で都道府県において定めることとされております。
 昨年四月より始まった子ども・子育て支援新制度においては、消費税財源を活用し、三歳児の職員配置について、最低基準である保育士一人当たり二十人を上回って、保育士一人当たり十五人とした場合に公定価格上の加算を行う改善を図ったところであります。
 今後、〇・三兆円超の質の向上メニューに含まれる一歳児や四、五歳児の職員配置基準についても、必要な財源を確保しながら、さらなる改善を行っていくこととしております。
 このほか、平成二十八年度においては、保育補助者の雇い上げ費用の支援や、保育所等におけるICT化の促進を行い、保育士の負担軽減を行うこととしており、これらを通じて保育の質の確保に努めてまいりたい、このように考えております。
○堀内(照)委員 ぜひ現場の実情をしっかりつかんで対応していただきたいと思うんです。
 NHKの朝の情報番組で取り上げられておりました埼玉のある園なんですが、子供の午睡の時間に正規職員の打ち合わせ会議ができるように、パート職員を上乗せ配置しております。しかし、その給与というのは、正規職員の給与を削って捻出しているわけです。
 今、虐待など子供とのかかわりでも、親への対応、支援でも難しいケースがふえています。にもかかわらず、配置基準が少ないがために、ただでさえ少ない給与を削減してでも手厚く人を配置する必要が出てくる。現場ではそういう努力が行われているわけであります。
 ですから、この低賃金、過重労働が改善しないわけです。配置基準を実態に見合ったものに抜本的に改善すべきだと強く指摘をしたいと思うんです。
 最後に、保育の担い手確保ということで、朝夕の保育士配置の要件を変えようとしております。保育士は最低二人以上必要なわけですが、児童が少数である時間帯に保育士一名と無資格者でいい。今年度に限り特例で認めていたものを、省令改正して広げようということだと思うんですが、これは少数でやるというんですが、何人なんでしょうか。
○香取政府参考人 御答弁申し上げます。
 御指摘のように、今、必ず保育士は二人配置ということで、どんなに人数が少ない場合でも、朝夕で子供が少なくなった場合でも二名配置ということになっているものにつきまして、一定の緩和措置を講じるということでございます。
 この場合の児童の少数の考え方でございますけれども、例えば一歳児ですと、子供六人に対して保育士一人というのが標準的な配置になります。それに対して、現在は、六人を下回った場合でも二人配置をしなさいというのが今の基準で、これを、一名プラス研修を行った者一名という形で代替するということになりますので、その意味でいいますと、子供六人に対し一人ということになりますので、六人を下回った場合ということになろうかと思います。
 例えば、五人預かる場合、基準上は一人でいいものを、二人と今しておりますので、一人プラス一人という形でやっていただけるようにする、こういう趣旨でございます。
○堀内(照)委員 私は、少数だからいいというわけにはいかないと思うんです。
 朝夕の時間というのは、乳児、幼児混合の保育となります。けがをしないようにと、それだけでもしっかり目を配らなければならない時間帯であります。そういうときに、朝は、例えば、きょうは子供が熱を出しましたと保護者から電話がかかってくる、早くから来ている乳児にはお茶やお菓子を出したりする。夕方は、けがなんかがあったら、きちんとそのことを親に申し伝えなければなりませんし、保護者への支援という育児相談などの時間にもなるわけであります。何かと保育士が忙しい時間帯でもあります。
 厚労省の資料の中に自治体へのアンケートもありましたけれども、そこでも、七一%が特例を認めていない。けが等の発生が多いことから、最低基準に基づく保育士の配置は必要だとか、保育の質及び子供の安全面の確保という観点から、質や安全性の低下を懸念する意見が多く寄せられています。
 現場からこういう声が上がっているのに、どうして導入するんでしょうか。大臣、いかがですか。
○香取政府参考人 今回の措置につきましては、今の話では、保育士二名の配置のうち、一名については保育士と同等の知識、経験を有するものと認められる者で代替してもよろしいということになりますので、職員を二名配置している、その意味でいうと、人を減らすということではないということが一つ。
 それから、この措置につきましては、地方団体からの要望を踏まえて、一年間の特例措置で行ったものを延長するということでございますので、むしろ自治体側の御要望も踏まえて私どもとしては対応したということでございます。
○堀内(照)委員 そのアンケートでも、やるべきだというのは二七%に対して、やるべきではないというのが二九%というのが出ていましたよ。
 それで、この問題を報道で知った学生が、こう言っているというんですね。これは大臣にぜひ最後にお答えいただきたいんです。学費をかけて四年間学んだにもかかわらず無資格者と変わらないのか、子供の貧困や虐待なども含め専門性を身につけたいと学んでいるのにどういうことなんだと。
 これでは、保育への志をそぐことにしかなりません。保育士確保にはむしろ逆行だ、やはりこういうのはやめるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
○塩崎国務大臣 一生懸命勉強していただいて保育士の資格を取って、その方々が保育を行うというのが原則であることは、これは変わりがないところでございまして、今回の保育の受け皿整備を進める中で、時限的な対応として、先ほど来申し上げているように、先ほど来御指摘のような制度を行っているわけであります、朝夕における保育士配置要件の弾力化などを行うということにしているわけであります。
 これはやはり、十一時間開所をして、いっぱいいっぱいに皆さん頑張っておられる、そういう保育現場の実情に応じて柔軟な人材活用を可能とするということが趣旨でございまして、例えば、朝夕など児童が少数となる時間帯において、保育士一名に加えて、先ほど来出ている子育て支援員の研修を修了した者、保育所で保育業務に従事した期間が十分にある者、家庭的保育者などの、先ほど地方からの声がという話がありましたけれども、都道府県知事が認める一定の知識等を有する者が一名配置されていればよいということとしているわけで、専門職である保育士と一定の知識のある者がチームを組んで行う体制としているわけでございまして、保育の質の確保は引き続きしていく。
 先ほど申し上げたように、この弾力化措置は、児童が少数となる時間帯に限って、待機児童を解消して受け皿拡大が一段落するまでの時限的な対応ということで、保育所等における保育は、さっき申し上げたように、生涯にわたる人間形成の基礎を培うものでありますので、専門的な知識と技術を持った保育士にお願いをするというのが原則であることに変わりはございません。
○堀内(照)委員 時間なので終わりますけれども、指針でも子供の最善の利益ということが明記されているわけであります。それを考えると、やはりやるべきではない。
 さらなる規制緩和でもある企業主導型保育なんかも検討されているわけで、そうではなくて、認可保育所をしっかりふやしていく、保育士の処遇の抜本的な改善に乗り出す、そのことを強く重ねて申し上げて、終わります。