国会論戦・提案

本会議で質問 介護職員等の処遇改善法案と雇用保険法

介護職賃上げ法案 審議入り ひな壇の野党議員に拍手

衆院本会議で8日、政府提出の雇用保険法等改定案に加えて、日本共産党、民主党、維新の党、生活の党、社民党の野党5党が共同提出(2日)した介護職員等の処遇改善法案が審議入りしました。

 ひな壇(大臣席)に提案者の、民主党の中島克仁、維新の党の初鹿明博、井坂信彦、日本共産党の高橋千鶴子の各議員が座ると、議場から拍手が起き、「いいぞ」の声があがりました。

 質問に立った日本共産党の堀内照文議員は野党法案について、貧困な介護の現状打開と介護の受け皿づくりのために介護労働者の処遇改善は要をなす問題だと強調。「法案が、介護労働者の処遇改善に、どのような役割を果たすのか」と質問しました。

 答弁に立った共産党の高橋氏は、労働者が慢性的人手不足と離職に悩み、他職種に比べて月額約10万円低い賃金におかれている現状を告発。「本来は介護報酬改定で抜本的な処遇改善を行うべきなのに、昨年4月、2・27%の報酬引き下げが行われ、事業者に深刻な影響が出ている」と、政府の社会保障削減路線を批判しました。そして、「法案は、優れた人材を確保し介護・障害福祉サービスの基盤を立て直す一歩である」と強調しました。

 民主党の岡本充功議員は、介護・障害福祉サービスに直接携わる人以外にも助成金を使えるようにした理由を質問しました。

 これに対し、維新の党の初鹿氏は、ヘルパーなどもっぱら保健医療・福祉サービスに携わる職員の処遇改善だけでは、同じ事業所のその他の職員の処遇改善が事業者の負担となり、十分行われない可能性があると答弁。同党の井坂氏は、介護従事者の疲弊状況について、人手不足と低賃金が労働者の精神的身体的負担に拍車をかけていると答え、「この問題は党派を超えて解決すべき日本の課題だ」と強調しました。

2016年3月9日 しんぶん赤旗より

 

堀内氏「基本手当改善を」  衆院本会議 雇用保険法等改定案に

政府提出の雇用保険法等改定案が8日の衆院本会議で審議入りし、日本共産党の堀内照文議員が質問に立ちました。

 同改定案は、雇用保険法、高年齢者雇用安定法、育児・介護休業法など6本の法律の改定を一括で行うもの。堀内氏は「一括して審議に付すべきものではない」とそれぞれの十分な審議を求めました。

 雇用保険については、度重なる給付水準の引き下げや受給資格要件の制限などで、完全失業者が200万人を超えているのに基本手当の受給者は約41万人にとどまっています。

 堀内氏は、前回改定時の付帯決議で検討を求められた「生活安定機能を充実させるための基本手当の改善」をなぜ行わないのかと質問しました。塩崎恭久厚労相は、基本手当の在り方については「検討していく」と答弁しました。

 また、堀内氏は、シルバー人材センターの派遣・職業紹介について「おおむね月10日又は週20時間以内」の業務に限定する規制を改定案が緩和し、週40時間までの就業を可能にしようとしていることについて、安価なシルバー派遣が拡大し低賃金で劣悪な労働条件の雇用が広がることは明らかだと指摘。中止を求めました。

 さらに堀内氏は、改定案は介護休業を3回に分割して取得できるようにしているが、休業期間は93日のままだと指摘。「介護離職ゼロ」を掲げるなら、期間を拡大するとともに期間内の取得回数に制限を設けるべきではないと主張しました。

 女性労働者の6割近くを占める非正規労働者の育休取得は極めて低い水準にとどまっています。今回の改定でどれだけの有期契約労働者が育休を取得できるのかとの堀内氏の質問に、塩崎厚労相は約6万人増を見込んでいると答えました。

2016年3月9日 しんぶん赤旗より

 

衆議院本会議 議事録

○堀内照文君 日本共産党の堀内照文です。
 私は、日本共産党を代表して、議題となりました両案について質問をいたします。(拍手)
 雇用保険法等改正案は、雇用保険法、高年齢者雇用安定法、育児・介護休業法など六本もの法律の改定を一括で行うものです。一つずつの法案が広範な労働者の働き方に直接影響を与えるものであって、一括して審議に付すべきではありません。それぞれの法案について十分な審議を行うことを求めて、質問に入ります。
 まず、雇用保険法についてお聞きします。
 二〇〇八年のリーマン・ショック以降、年越し派遣村に象徴された雇用破壊を受け、派遣労働者や契約社員などを雇用保険の対象とするなどの改正を行ってきました。
 しかし、一方で、たび重なる給付水準の引き下げ、離職理由による受給資格要件の制限などによって、完全失業者が二百万人を超えているにもかかわらず、基本手当の受給者は約四十一万人にすぎません。全体の二割しかカバーできていないのです。
 完全失業者の三割以上が一年以上の失業者です。にもかかわらず、受給資格者の約六割が九十日しか受給できません。基本手当で離職前賃金を大きく下回っているのが実態です。大臣は、この現状をどう認識されているのですか。
 雇用保険法は、第一条において、必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にすることを制度の目的としています。この現状で法律の目的を果たしていると言えるのですか。お答えください。
 今の実態がとても生活と雇用の安定を図るものとは言えないからこそ、前回法改正の際に附帯決議で、生活安定機能を充実させるための基本手当の改善について検討を行うこととしたのであります。これは、今回の労政審の議題にもなりましたが、結論は先送りにされました。
 なぜ基本手当の改善を行わないのですか。基本手当の給付水準の引き上げ、給付制限期間の廃止に踏み込むべきです。
 法案は、基本給付には手をつけない一方で、就職促進給付は拡充して、早期再就職を促すとしています。再就職のためには、賃金などの労働条件、仕事の適正などを熟慮できる十分な求職活動期間の確保が欠かせません。
 現に、ことし一月の有効求人倍率は、正社員に限れば〇・八倍であり、正社員就職は狭き門です。早期再就職だけを促進すれば、低所得、不安定な仕事でもいいから就職せよということになってしまうのではありませんか。答弁を求めます。
 法案は、六十五歳以降に新たに雇用された者についても雇用保険を適用するとしています。ところが、給付については、一回限りの一時金である高年齢求職者給付金のみとしています。この給付金は、最大でも五十日分の支給にすぎません。六十五歳の誕生日前に離職した一般被保険者が九十日から二百四十日の基本給付を受けられるのに、六十五歳を過ぎればなぜ五十日で切ってしまうのですか。明確な説明を求めます。
 保険料は同様に徴収しながら、給付は年齢で差をつけるものであり、到底認められません。雇用労働者と位置づける以上、六十五歳以上の失業給付も一般被保険者と同じ給付基準とすべきではありませんか。
 雇用保険法には、失業給付に対する国庫負担が明記をされています。憲法の生存権、勤労権を保障するために、政府も責任を負うことが義務づけられているからです。にもかかわらず、昨年の財政制度等審議会の建議において国庫負担の停止が公然と言及されていることは看過できません。
 国庫負担を堅持するつもりがあるのですか。国庫負担は、少なくとも本則の四分の一に戻すべきではありませんか。答弁を求めます。
 次に、高年齢者雇用安定法についてお尋ねします。
 法案は、生きがい就労と位置づけているシルバー人材センターの派遣、職業紹介について、おおむね月十日または週二十時間以内の業務に限定するという規制を緩和し、週四十時間まで働くことを可能にしようとしています。
 なぜこのような規制緩和が必要なのですか。
 意欲を持って積極的に就労する高齢者がいる一方で、低年金や無年金、年金支給開始年齢の引き上げなど、経済的理由から、健康不安を感じながらも就労する高齢者は少なくありません。高齢者が安心して働き続けられる社会をつくるためには、社会保障を拡充し、老後の生活を保障した上で、働く意欲と条件のある方に、労働条件や労働安全衛生を確保して雇用機会を提供するものでなければなりません。
 ところが、既にシルバー派遣の現場では、収益を目的としないため比較的割安で利用できますという売り文句での営業まで行われています。
 この規制緩和について、省令で、競合する事業者の利益を不当に害することがなく、他の労働者の就業機会に著しい影響を与えることがない場合に限るよう定めるとしていますが、どのような指標によって判断するのですか。
 そもそも、シルバー事業は生きがい就労であるがために、最低賃金以下での就労や業務上の労働災害に対する労災保険の未適用などの問題が指摘され続けてきました。国として、こうした実態の調査をすべきです。
 今回の緩和によって、週二十時間を超える安価なシルバー派遣が拡大し、低賃金で劣悪な労働条件の雇用が広がることは明らかです。労働法制が適用されない生きがい就労、請負と、労働法制が適用される派遣とが同一センター内に混在し、何が違法で何が適正な就労であるかが今まで以上に曖昧になりかねません。このような規制緩和はやめるべきです。
 育児・介護休業法についてお聞きします。
 法案は、介護休業給付の給付率を引き上げ、介護休業を三回に分割して取得できるようにします。給付率の引き上げは、我が党も求めてきたことであり評価できますが、通算の介護休業期間は九十三日のままとなっています。
 平均的な在宅介護期間は三十カ月と長期に及び、特別養護老人ホームへの入所待ちは五十二万人にふえ続け、介護離職者は毎年十万人に上るなど、介護の実態は深刻です。介護離職ゼロを掲げるのであれば、介護休業期間を拡大するとともに、少なくとも、期間内の取得回数に制限を設けず、一日単位、時間単位での取得を可能にするべきではありませんか。大臣の答弁を求めます。
 また、子供が病気のときの看護休暇の取得について、年五日にとどまる取得日数の拡大や時間単位での取得を可能にすべきです。
 第一子の妊娠、出産を契機とする女性労働者の離職は改善していません。女性労働者の六割近くを占める非正規労働者の育休取得は極めて低い水準にとどまっており、この改善が急務です。
 今回の改定によって、どれだけの有期契約労働者が育休を取得できるようになるのですか。お答えください。
 最後に、野党五党提案の介護の人材確保に関する特措法について伺います。
 貧困な介護の現状を解決し、求められる介護の受け皿をつくるためにも、介護人材の確保が欠かせません。そのためにも、介護労働者の処遇改善はかなめをなす問題です。
 今回の法案が介護労働者の処遇改善へどのような役割を果たすと考えるのか、提案者に伺って、私の質問を終わります。(拍手)

 

○国務大臣(塩崎恭久君) 堀内照文議員にお答えを申し上げます。
 失業者に占める雇用保険受給者の割合等の雇用保険の現状認識についてのお尋ねがございました。
 完全失業者の中には、新たに仕事を探し始めた方、そもそも雇用保険の対象とならない方も含まれているなど、雇用保険受給者数等との単純な比較は困難だと考えております。
 また、基本手当は、安易な離職を促したり早期再就職を阻害することのないよう、再就職時の賃金水準も勘案し、離職前賃金の一定割合を支給することとしております。
 今後とも、基本手当等の支給を通じて、求職活動期間中の生活の保障を図るとともに、ハローワークにおける計画的な就職支援などを通じて雇用の安定を図り、雇用保険法の目的を果たすよう努めてまいります。
 基本手当のあり方と早期再就職促進についてのお尋ねがございました。
 基本手当については、労働政策審議会において労使双方から意見があり、引き続き検討すべきとされたため、今後これに沿って検討してまいります。
 早期再就職の促進については、就職時期が早いほど再就職時の賃金が高くなる傾向が見られ、低所得、不安定な仕事への就職というような傾向は確認できません。
 ハローワークにおける担当制によるきめ細かな職業相談などを通じて、求職者が望む仕事にできるだけ早くついていただけるよう取り組んでまいります。
 六十五歳以上の方への雇用保険の給付についてのお尋ねがございました。
 六十五歳以降に離職をされた場合には、他の年齢層と比べて求職活動が多様であること等から、一時金として高年齢求職者給付金を支給することとしており、その水準は、基本手当と異なり年金との併給がされること、受給のために必要な被保険者期間が他の年齢層より短いこと、一時金として一度に全額支給され、定期的な失業認定が不要であること等を踏まえて、最大五十日分の給付としています。
 このように、基本手当と異なる給付でありますが、高年齢者の実態に応じた給付内容となっていると考えております。
 失業等給付に対する国庫負担についてのお尋ねがございました。
 雇用保険の国庫負担は、失業が政府の経済政策、雇用政策と関係が深く、政府もその責任の一端を担うべきとの考え方によるものでございます。
 国庫負担の当面のあり方については、昨年末に経済財政諮問会議において取りまとめられた経済・財政再生計画の改革工程表において、積立金や雇用保険料の水準、経済雇用情勢の動向、雇用保険法附則第十五条の規定、国庫が果たすべき役割等を勘案し、二〇一八年度末までに関係審議会等において検討し、結論を得て、検討の結果に基づいて必要な措置を講ずることとされており、その方針にのっとって検討してまいります。
 シルバー人材センターの要件緩和の必要性等についてのお尋ねがございました。
 今般の改正は、少子高齢化が進む中で、高齢者がその能力や希望に応じて働き続けることができるよう、シルバー人材センターの就業時間の規制を緩和し、会員である高齢者に多様な就業機会を提供することを可能とするものでございます。
 要件緩和に当たっては、地域の事業者の利益や働く方の就業機会等に悪影響がないよう、省令で定める基準に基づき、都道府県において総合的に判断していただくこととしております。その判断を行う際の具体的な指標としては、地域の高齢化の状況や緩和しようとする業種等の求人の充足率などを想定しております。
 シルバー人材センターで働く方の実態等についてのお尋ねがございました。
 シルバー人材センターにおいて請負で働く高齢者が受け取る配分金については、最低賃金を下回ることのないよう指導を行うとともに、就業中の傷害等の補償を行う傷害保険等に加入していただいており、不適切な事例には個別で対応をしております。
 また、今回の要件緩和は、労働基準法等の適用がある派遣と職業紹介に限り行うものです。
 さらに、シルバー人材センターが取り扱う派遣と請負の区分に関する基準など、適正就業のためのガイドラインを作成、周知することとしており、緩和後の実施状況については、都道府県と連携のもと把握し、働く方の保護を損なうことのない適正な就業環境を確保してまいります。
 介護休業の期間と取得単位についてのお尋ねがございました。
 介護休業は、労働者みずからが介護に専念するために利用することを想定しているものではなく、介護を要する家族を支える体制を構築するために一定期間利用することを想定した制度でございます。
 また、介護を経験した労働者が一週間以上連続して休んだ日数は、二週間以内が七五%、回数は、三回までが約九〇%を占めております。
 このため、今回の改正案では、休業期間の延長、取得回数に制限を設けること、一日単位や時間単位での取得も認めることとした対応ではなく、事業主の雇用管理の負担も考慮し、最低基準として三回まで分割取得できるようにしました。
 介護離職ゼロの実現に向けては、在宅・施設サービスの整備量の上積みを行うとともに、介護休業の分割取得に加え、介護終了までの残業免除などを講ずることとしており、仕事と介護の両立が進むよう取り組んでまいります。
 子の看護休暇についてお尋ねがございました。
 子の看護休暇の取得日数については、休暇を取得した際の業務分担の変更等に関する事業主の負担も踏まえ、年五日としているものでございます。
 また、時間単位での取得については、労働政策審議会の議論も踏まえ、これを認めた場合の事業主の負担に鑑み、今回は半日単位での取得を認めることとしたものでございます。
 休暇の日数や取得できる単位は、いずれも法律上の最低基準であることから、企業においてこれを上回る取り組みが行われるよう働きかけてまいります。
 有期契約労働者の育児休業取得についてのお尋ねがございました。
 今回の法案では、有期契約労働者の育児休業取得要件を緩和することとしております。
 これにより育児休業が取得できるようになる有期契約労働者の数について、詳細な推計は困難ですが、あらあら試算をすると、将来的には、育児休業等を理由とする上司、同僚などによる不利益取り扱いの防止措置義務の新設などの効果もあり、約六万人増となることを見込んでおります。
 有期契約労働者の育児休業の取得促進に取り組んでまいります。
 以上でございます。(拍手)

 

○高橋千鶴子君 堀内議員から、介護労働者の処遇改善に今回の法律案が果たす役割についてお尋ねがありました。
 毎年十万人もが家族の介護のために離職する現状は、社会の損失であります。収入をなくし、社会的生活からも閉ざされる中で、深刻な事件が後を絶ちません。
 求められるのは、受け皿と担い手をふやすこと、軽度者外しなどをやめ、公的介護保険を再構築することです。
 公益財団法人介護労働安定センターの平成二十六年度調査によれば、介護の仕事を選んだ理由のトップは、働きがいのある仕事だと思ったから、これが五二・六%でもあるのに、一六%以上の離職率、慢性的な人手不足に陥っています。
 人の生き死ににもかかわる尊厳ある仕事なのに、一人夜勤や分刻みの介護に追われ、その上、他の業種と比べて月額十万円程度も低い賃金水準にとどまっています。介護・障害福祉従事者の処遇改善は喫緊の課題であります。
 介護サービスも障害福祉サービスも公定価格であり、本来は、報酬改定において抜本的な処遇改善を行うべきです。しかしながら、昨年の介護報酬改定において二・二七%もの引き下げがされ、事業者に深刻な影響が出ています。
 今回の法律案は、このような状況の中で、介護・障害福祉従事者の処遇を改善するための緊急的な対策として御提案しているものであり、これにより、介護・障害福祉のすぐれた人材を確保し、介護サービス、障害福祉サービスの基盤を立て直す、そのために必要な一歩であると考えております。(拍手)