国会論戦・提案

「介護離職ゼロ」はごまかし 対象限定の安倍政権 衆院予算委

「介護離職ゼロ」はごまかし 堀内議員 対象限定の安倍政権   衆院予算委

 

日本共産党の堀内照文議員は8日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が掲げる「介護離職ゼロ」のごまかしをあばき、介護保険制度の抜本的改善を迫りました。

 政府は、「介護離職者ゼロ」と「特別養護老人ホーム待機者の解消」のため、介護の受け皿を2020年代初頭までに50万人分拡大すると宣伝しています。しかし実際は、すでにある38万人分の計画に12万人分を上積みしただけです。

 堀内氏は、▽介護離職者は年間10万人を超えているのに、解消の対象を1万5000人に限定している▽特別養護老人ホーム待機者52万人に対し、解消の対象は15万人に限定している―ことを暴露。内閣官房が設置した専門委員会が2025年度にむけて病床削減を進めるなかで「将来…在宅医療等で追加的に対応する患者数」として推計した29・7万~33・7万人も対象に含まれていないことも明らかにしました。

 堀内氏は、昨年4月の介護報酬引き下げが経営を直撃した小規模事業所の所長が「死刑宣告されたに等しい」と悲痛な声を上げながらも、自らの給料を月8万円に引き下げて必死に持ちこたえている実態を紹介しました。

 「安定的に介護サービスが提供されている」と繰り返し、実態を顧みない塩崎恭久厚労相。堀内氏は、介護報酬削減直前の昨年3月には事業所廃止届が4263件と倍加した事実を示し、なれ親しんだデイサービスやヘルパーがなくなるということだと批判し、「介護報酬を引き上げるべきだ」と追及しました。

 また、堀内氏は、一番問題なのは介護職員の待遇だと、他産業と比較して賃金に10万円ほどの差があることを指摘。「介護離職ゼロというなら、まず介護職離職ゼロをめざすべきだ」と述べ、抜本的な賃上げを求めました。

 さらに、塩崎厚労相の意向で設置された「懇談会」で、労働者をビデオで撮影し、一作業あたり何秒の無駄を削減できるかなど、トヨタの「カイゼン」手法を介護に導入する議論が行われていることを批判しました。

 

2016年2月9日(火) しんぶん赤旗より

 

 

第190回国会 予算委員会 議事録 2016年2月8日

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 安倍政権が掲げた介護離職ゼロについて質問をいたします。
 私も、この間、介護と仕事の両立で苦労されてきた方のお話を伺ってまいりました。要介護五の母親を在宅で介護していた男性は、週六日のデイや月十四日のショートステイを利用、仕事と両立させるためには保育園並みの時間帯を預かってもらうことが必要で、保険外サービスを自費で利用し、費用負担が月十三万円にもなったといいます。こんなことはとても続かない。かといって、仕事をやめれば収入が途絶え、貧困のふちに立たされる。親子共倒れになりかねない。
 介護が必要になっても高齢者が安心して暮らせるとともに、離職を迫られるような家族介護の重い負担の解決は、文字どおり待ったなしの課題であります。
 介護離職ゼロ、そして特養待機者の解消を目指して、二〇二〇年代初頭までに五十万人以上の受け皿をつくる、そのために十二万人分の前倒し、上乗せ整備をするというのが今回の方針だと思います。
 資料の一枚目に、厚労省がつくったイメージ図をつけておきました。しかし、介護離職者は毎年十万人、特養待機者は五十二万人です。この十二万人の前倒し、上乗せ整備によって、なぜ特養待機者の解消、介護離職がゼロになるのか。厚生労働大臣にその根拠を示していただきたいと思います。
    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕
○塩崎国務大臣 今先生から御指摘がございましたように、介護を理由に離職をしないといけないということをなくそうということで、今回、このようなプランをつくらせていただいているわけであり、緊急対策もつくらせていただいたわけであります。
 まず、サービス量をふやす目的でございますけれども、今回の緊急対策は、二〇二〇年代の初頭までに介護サービスが利用できずやむを得ず離職をする方をなくすというのがまず第一、そして二番目に、特別養護老人ホームに入所が必要であるにもかかわらず自宅で待機をされている、そういう高齢者の皆様方を言ってみれば待機しなくていい状態に、この待機状態を解消するということを目指して、現行の介護保険事業計画などに加えて約十二万人分の在宅・施設サービス等を上積みして約五十万人分以上に拡大するということにしたところでございます。
 その十二万人の根拠は何だということでございますけれども、これは年間十万人の介護離職者がおられるということがまず大前提でございますが、介護サービスが利用できなかったことを離職理由に挙げている方が毎年約一・五万人程度いるというふうにアンケート調査などから推測をされるわけであります。その対象サービスの中で在所期間の長い、一番長いのは特別養護老人ホームでございます、これの平均的な在所期間が約四年です。したがって、このことを考慮して一・五万人の四年分ということで、六万人ということでございます。
 それから、要介護度三以上の特別養護老人ホームの自宅待機者が約十五万人いるというのがこれもまた調査で平成二十五年度に出ておりますが、このことを踏まえて、二〇二〇年代初頭までの解消を目指すペースである年二・五万人分のニーズに対応することといたしまして、対象サービスの中で在所期間の長い特別養護老人ホームの今申し上げた平均的な在所期間が四年であることを考慮して約十万人、こういう計算を、言ってみれば少し余裕を持って計算をしているわけであります。
 介護離職対策に係る約六万人分の中にも特養待機者である方が重複しておられる、それが約四万人おられるのではないかということをやはりアンケート調査などから推論いたしまして、それを差し引いた結果、約十二万人分ということになっているわけでございます。
 今申し上げたように、仮に特別養護老人ホームにいればという長い期間を見ていますけれども、中には、老健施設の方は少し短いでしょうし、在宅であればそういうことは当てはまらないということでありますけれども、少し多目に見て、待機者がなくなり、そしてまた介護離職をしないといけないようにサービスがないゆえになってしまった人たちを解消しようということでございます。
○堀内(照)委員 いろいろ計算をされたということですが、多目に見てともおっしゃいましたが、私は前提の数字がやはりおかしいと思うんです。介護離職十万人なのに、解消の対象は一万五千人に限定し、特養も五十二万待機者のうち十五万人しかそもそも解消の対象にしていないわけです。まるで実態に合わないと言わなければなりません。
 離職者十万人の周りにも、介護しながら仕事をしている離職予備軍が相当数存在し、ビジネス誌でも、隠れ介護一千三百万人とか、総介護時代がやってくる、そういう見出しが躍っております。
 特養の待機者も、在宅以外の要介護三以上の人たちでも二十万人いるわけです。この人たちは、特養に入れないから仕方なく有料老人ホームや老健などに入所し、経済的にどこまで耐えられるか、そういう思いで待機をしているわけであります。また、要介護一、二の人でも、認知症の方などは入所が必要な方もおられます。そういう人たちに対しては全くの無策だと言わなければなりません。
 一方で、病院から在宅への動きは加速をしています。二〇二五年度に向けて、病床機能分化を盛り込んだ地域医療構想が策定されていきます。
 昨年六月に、内閣官房に設置された専門委員会が二〇二五年度のあるべき病床数を示しております。病床機能分化により必要病床が絞り込まれることになります。この報告書では、それによって二〇二五年度に介護施設や在宅などで追加的な対応が必要になる患者数の推計もしております。
 内閣官房にお尋ねします。幾らになっているでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘の報告書の推計でございますけれども、これは、厚生労働省が作成いたしました地域医療構想策定ガイドラインにおける推計方法に基づきまして、社会保障制度改革推進本部のもとに設置された専門調査会が推計作業を実施したものでございます。
 本推計におきましては、二〇二五年において介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療等で追加的に対応する患者数を、二十九・七万人から三十三・七万人程度と推計しているところでございます。
○堀内(照)委員 厚労大臣にお尋ねします。今度の五十万人以上の受け皿整備にこういう人たちの受け皿は含まれているんでしょうか。
○塩崎国務大臣 今般の緊急対策では、先ほど申し上げたように、二〇二〇年代初頭までに約五十万人分の受け皿を整備するということになっているわけでありますが、これは介護離職防止などでありまして、結論から言いますと、五十万人の需要を満たすということと、今三十万人の話がございましたが、それはそれぞれ別の考え方でつくられた推計ということでございます。
 御指摘の三十万人は、地域医療構想策定ガイドラインにおける推計要綱に基づいて、二〇二五年の医療需要をもとに、一定の仮定を置いて、介護施設のみならず、在宅医療等で追加的に対応する医療ニーズのある全世代の方々の数を、高齢者だけじゃなくてですね、推計したというものでございます。
 ですから、両者の対象範囲は必ずしも一致するわけではなくて、御指摘の介護の受け皿である約五十万人、それから病床機能分化により追加的な対応が必要となる約三十万人はそれぞれ別々の考え方に基づいて推計をされておりまして、この病床機能分化によって追加的な対応が必要となる三十万人の中には、介護サービスが必要な方々も当然一定数含まれているわけでございます。
 したがって、今後、平成三十年度から第七次医療計画とそれから第七期の介護保険事業計画を策定することになりますが、地域の医療、介護のニーズを的確に把握した上で医療、介護の提供体制を整備するよう、国、それから都道府県、そしてまた市町村が一体となってこれから取り組んでいかなければならないというふうに私ども考えているところでございます。
○堀内(照)委員 要するに、入っていないということなんです。
 地域医療構想を進めれば、二〇二五年度に向けて順次こういう方々が病院から在宅へ移っていきます。しかし、今回の五十万人には含まれない。これから含んでいくようなこともおっしゃいましたけれども、しかし、今の計画ではそれがないわけです。これではとても介護離職ゼロや特養待機者の解消などできないと言わなければなりません。
 こんな病院からの追い出しを進める病床削減はやめるべきだ。そして、必要な特養建設を初め介護の基盤整備を進めること、経済的な負担の軽減も含め、保険あって介護なしという事態をなくし、重い家族介護の負担をなくす取り組みに本腰を入れて乗り出すべきだということを強く求めたいと思います。
 そこで次に、昨年行われた介護報酬の引き下げについてお聞きしたいと思います。
 政府がこの間やってきたことは、むしろ介護の充実からの逆行だと言わなければなりません。ただでさえ脆弱な介護の基盤がより弱体化させられてきました。特に、昨年四月の介護報酬の引き下げは、処遇改善を除けば平均四・四八%もの引き下げです。これが現場を直撃しております。とりわけ小規模デイサービスの事業所は、介護報酬が要介護で平均九・二%以上の引き下げ、要支援で平均二一%もの引き下げで、本当に窮地に立たされております。
 東京都北区の定員十人の小規模デイサービスでは、報酬引き下げのため、十数%もの減収となったといいます。小規模なので加算もとれず、報酬引き下げがそのまま経営を直撃しています。所長がおっしゃっていました。死刑宣告をされたに等しい、小規模事業所の歴史は終わり、とどめを刺された、こうまで語っているわけです。それでも、所長自身の給料を月八万円にまで引き下げてでも、利用者に責任があるからと必死で持ちこたえているわけであります。
 介護報酬の引き下げが事業所を閉鎖の危機に追い込んでいる。大臣、この実態をどう受けとめるのか。小規模事業所にこれほどまでの報酬引き下げを行って、どうやって経営を成り立たせることができるというのでしょうか。
○塩崎国務大臣 予算委員会でも何度か介護事業者の破綻の話が出てまいりましたが、今、それにかかわる御質問だったというふうに思います。
 二十七年度の介護報酬改定、今お話がありましたけれども、基本部分はやはり全体として事業者の安定的な経営に必要な収支差は残るように配慮しながら、一方で、賃金が相対的に低い状況にある介護職員については、最重要の課題としてその確保を図るために、他の報酬とは別枠で一人月額一万二千円相当の処遇改善を実現するための加算を新たに追加的に設けたということであり、また中重度の要介護者等を受け入れる場合に加算をするという、まさに今流れがはっきりしてきているニーズの高まりに対応する、それから小規模な地域密着型サービスに手厚い報酬を設定するなど、きめ細かく配慮するということを心がけ、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬をめり張りをきかせて支払うということで、一律の引き下げにはならないように配慮してきたつもりでございます。
 その結果、介護報酬改定後も介護報酬の請求事業所数が増加をしておりまして、現在、安定的に介護サービスは提供されているのではないかというふうに思っております。
 先ほど、小規模デイサービスのお話がございました。小規模型のデイサービスについても、実は、介護報酬改定後も介護報酬の請求事業所数はむしろ増加傾向にございます。小規模なデイサービス事業についても評価の適正化を図ったことは今先生御指摘のとおりでありますが、認知症高齢者や中重度の高齢者を多く受け入れるデイサービスの事業所を評価する加算を設けるとか、あるいは質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬を払うというめり張りをつけるということは何ら変わらないわけであって、一律の引き下げをしているわけではないわけでございます。
 なお、小規模事業所については、通常規模型と比べてスケールメリットが働きにくいということに配慮して、基本サービス費を厚目に設定しているところでございます。
 今回、介護報酬はマイナス二・二七%ということになりましたけれども、報酬改定から約十カ月がたちました。厚労省としても、介護事業者の動向をしっかりと注視して、介護サービス全体として、介護報酬の請求事業所数は今申し上げたように全体としては増加をしているわけでありまして、全体的に安定的な介護サービスは提供されているというふうに思いますが、今後も必要なサービスがしっかりとニーズに応える形で提供されるように、実態の把握をしっかりしながら対応してまいりたいというふうに考えております。
○堀内(照)委員 請求件数という話がありましたけれども、総量が確保されているからといって、よしとするわけにいかないと思うんです。
 厚労省自身が昨年七月に行った調査を見ても、それまでもほぼ毎月二千件程度で推移していた事業所廃止届けが、昨年四月の報酬引き下げを前にした三月は四千二百六十三件、一気に倍に引き上がっているわけであります。
 介護報酬引き下げを前にこれだけの廃止が出されたということ自体は消しがたい事実です。事業廃止ということは、それだけ通いなれたデイがなくなる、なれ親しんだヘルパーさんがいなくなる、次の事業所を探さないといけない、そういう事態に直面するわけであります。だからこそ、多くの事業所は、利用者を放り出すことができない、本当にぎりぎりのところで踏ん張っている。
 加算とおっしゃいましたけれども、今私が紹介したのは、人を置かないといけないですから、加算なんてとれない小規模なんです。収支差ということをおっしゃいましたけれども、月八万に所長の給与を引き下げてまで頑張っている。これでどこに収支差が生まれるというのか。こういう現実を本当に見ないといけないと思うんです。
 小規模だけではなく、兵庫県尼崎市にある六十床の特養では、基本報酬百万の減収のところ、加算をとってようやく四十万から五十万の減収に抑えることができた。在宅サービス中心に姫路で頑張っている事業所は、とれる加算を全てとっても、四月から九月の累積経常利益は前年比で五百八万円の減になったと。独立行政法人福祉医療機構、WAMのアンケートでも、特養でおよそ七割の事業所が報酬引き下げによって減収となったと答えているわけです。
 赤字で踏ん張って、何とかそれでも頑張っている。ここが踏ん張り切れなくなったら、文字どおり介護保険制度の崩壊だ。介護離職ゼロどころか、家族が抱え込む介護保険制度以前に逆戻りじゃないですか。介護報酬引き下げは直ちに撤回して、引き上げるべきではありませんか。
○塩崎国務大臣 今さまざまな御懸念をいただきましたけれども、私どもとしては、都道府県それから市町村、特に市町村がこの介護保険は運営主体でございますので、そことしっかりと連携しながら今情報収集をし、三月には、今の調査、加算をどうとっていて中身はどうなっているのかということを含めて、この調査結果を踏まえた上でさらなる対応をしていきたいと思っております。
 先ほど申し上げたように、十カ月たって、今お話がありましたように、さまざまなところがございます。私どもも、幾つも私自身も視察に参っておりますし、その経営状態についていろいろとお叱りも含めてお聞きをしているところでございますが、先ほど申し上げたとおり、基本的に、請求事業所数がふえるということは、やはりニーズに応えながらそれなりにやっているところがふえているということでもございますので、ニーズがちゃんと満たされているかどうかをよくチェックしてまいりたいというふうに考えます。
○堀内(照)委員 情報収集されるということでありましたが、もう事業所を廃止するしかないとか、家賃の支払い等であと何カ月もつかの問題だとか、いずれ廃業に向かうだろう、こんな声が本当にあふれております。介護報酬の抜本的な引き上げ、その際、利用者負担をふやさないためにも、国庫負担をしっかりふやすということも強く求めたいと思います。
 続いて、人材確保について伺います。
 介護の受け皿確保の上で最大の問題は、この人材の問題です。人材不足のために、部屋があいているにもかかわらず入居者を受け入れられない、そういう事例が起こっていることは広く指摘されているところであります。
 二十五万人の人材確保策というんですが、一番問題なのは、人材確保の肝ともいうべき介護職員の処遇改善、とりわけ他産業と比較して十万円ほどの差がある賃金を抜本的に引き上げる策がないということだと思います。介護離職ゼロと言うなら介護職離職ゼロをまず目指すべきだ、こういう声に応えるべきだと思います。
 なぜ介護労働者の思い切った賃上げ策がないのか。今からでも緊急で対策を打つつもりはございませんか。
○塩崎国務大臣 これは何度も厚生労働委員会でも先生と御議論もさせていただきながら申し上げてきたところでありますけれども、確かに人材確保というのは一番大事であり、また介護職の離職をとめるということも大事であることは御指摘のとおりだと思っております。
 したがって、今回、処遇改善加算というものを一万二千円さらに上乗せする。そして、今までは十分なフォローの調査がいま一つというところがあったということを認めなきゃいけないと思っておりますけれども、どうしても経営のぐあいで下げなきゃいけないというときであれば、必ず書面でそれを報告しないといけないということで、牽制をするということで、実質的に加算がちゃんととれるようにしていくというふうにしていきたいと思っているわけであります。
 今、平成二十七年十月時点で約七割の事業所が加算の上乗せを行っております。そして、二十五年度の介護従事者処遇状況等の調査によりますと、平成二十五年四月一日から九月三十日の間の介護従事者の給与等の引き上げの実施方法というのを見ますと、給与表をちゃんと改定してから賃金水準を引き上げたというのが、私どもとしても給与表をちゃんと持って給与を上げていくということを期待しているわけで、それを二十五年の際に始めたわけで、それが一二・七%おります。定期昇給を実施したというのが七割強おるわけであります。
 いずれにしても、この処遇改善加算は実質的に、かつて平成二十一年度の補正予算で措置された処遇改善交付金より取り組みが始まったもので、平成二十五年、今申し上げた調査時点まで、加算額は月額一万五千円でありますが、これは変わっていない。それに加えて、そのような中でも給与表を改定するということで労働条件がちゃんと整えられるということが大事なので、給与表を改定して賃金水準を上げたという事業所の割合は、平成二十二年の調査で一五・一、二十四年の調査で一三・五、二十五年の調査では一二・七ということで、毎年十数%程度は存在しているということで積み上がってきているわけでございます。
 そういう形で、給与表の改定による賃金引き上げは実質的に加算が開始された以降継続して一定程度はなされてきているわけで、この処遇改善加算はベースアップによるものも含めて介護職員の処遇改善にそれなりのやはり役割を果たしているというふうに思いますが、なおそういうことが徹底され、処遇が改善されることに我々としても努力を重ねてまいりたいというふうに思っております。
    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕
○堀内(照)委員 今大臣からありましたように、処遇改善加算を行っているとはいえ、本当の賃上げである給与表の改定は一割そこそこなんですね。
 今、資料の二枚目にお配りしましたけれども、一番多いのは定期昇給七七・三%。これはもともと賃上げが予定されていた定期昇給なんですね。ですから、こういう声もありました。支給金額は増額したが、介護報酬引き下げを受けて、定期昇給はこれまでの四分の三になって生涯賃金はむしろ低くなる、こういう実態なんです。基本報酬も含めた介護労働者の抜本的な処遇改善に直ちにやはり乗り出すべきだということも求めたいと思います。
 さらに、人材確保の上で、離職防止も大事な課題だと思います。
 兵庫県内のある特養では、夜勤が月に六、七回で、半分以上だと。一人で施設内を駆け回り休憩すらできない、歩数を計測すると二万歩を超える過酷な勤務になったといいます。人員不足の現状を解決してほしいというのが現場の声であります。
 大臣、今回の人材確保策で離職防止、定着促進などを掲げておりますが、過重労働を解消するような、こうした現場の声に応える中身はあるでしょうか。
○塩崎国務大臣 人材確保のために処遇改善をするということも一つの考え方でございますけれども、同時に、今先生が御指摘になったような労働条件、過重労働が防止されるということも大変重要であることはおっしゃるとおりであります。
 今回の補正予算と来年度の予算におきまして、介護ロボットの活用促進、ICTを活用した生産性向上の推進による介護職員の業務負担の軽減を図るための手だて、地域医療介護総合確保基金を活用いたしました、働きやすい職場づくりに取り組む事業者を表彰したりコンテストで競い合ってもらったりというようなことを仕組む、あるいは介護事業者に対する働きやすい職場づくり、それから介護職員の健康確保のための専門的な相談援助などのカウンセラーなども用意をしているところでございます。
 同時に、私ども、介護のシゴト魅力向上懇談会というのをこの一月からスタートさせて議論をしていただいております。それは、介護の生産性の向上を図って、介護の仕事自体が魅力あるものになるということになる、つまり、きつい労働から解放していくためのいろいろな手だてをやっていこうということで、業務プロセスの改善、ペーパーワークを半分にするとか、ICTの専門家、先進的な取り組みを行う介護事業者などに集まっていただいて今懇談会をやっているところでございますので、先進的な現場の実践も踏まえた議論を深めて手だてを打っていきたいというふうに思います。
○堀内(照)委員 今ありました介護のシゴト魅力向上懇談会、私も資料を見て驚きました。三枚目にお配りしています。労働者の動作を後ろからビデオで撮って、作業をどれだけ時間短縮できるかグラフ化しているわけであります。
 大臣、これは、少ない介護労働者でより多くの利用者を介護せよ、ただでさえ忙しい介護労働者にもっと効率よく働けと。しかも、介護の相手というのは人間であります。本気でこんなことを導入しようとお考えなんでしょうか。簡潔にお願いします。
○塩崎国務大臣 これは、今申し上げたように、名前のとおり、介護の仕事の魅力を向上させようということでありますので、その仕組みをどういうふうにつくっていくのがいいのか。
 ロボットについても、かつては介護ロボットというのは、私どもの同期の小野晋也さんというのが言い出したときにはみんなびっくりしましたが、今は当たり前であって、それがなければ介護する方の体も守れないということであります。
 したがって、生産性といってもいろいろな形がありますから、今お話をいただいたようなことが別に私たちの目的であるわけではなく、介護の仕事を全体として魅力あるものにするために何ができるのかということを、率直な御意見を皆さんからいただいて決めていきたいと考えているところでございます。
○堀内(照)委員 時間が来たので終わりますけれども、効率化の全てを私たちも否定するわけじゃありませんが、これでは本当に過重労働の勧めであり、介護労働者や利用者の尊厳を傷つけるものだと言わなければなりません。魅力向上どころか介護の仕事の魅力を損なうものだ、やはりこういうことはやめるべきだと厳しく求めて、質問を終わります。