国会論戦・提案

「ブラック企業の求人拒否」と「和歌山年金機構再委託問題」で質問

 

ブラック企業の求人拒否

衆院厚労委、法案可決 共産党と運動の成果

 過酷な労働を労働者に強いるブラック企業に対する規制を盛り込んだ青少年雇用促進法案が4日の衆院厚生労働委員会で全会一致で可決されました。すでに参院本会議で可決されており、衆院本会議で可決されれば成立します。

 法案はブラック企業の新卒求人をハローワークが拒否することを盛り込んでいます。対象となるのは、残業代不払いなど違法行為を繰り返す企業や、セクハラなどで社名が公表された企業(推計で1600事業所)。民間の職業紹介会社についても拒否できるように指針で定める考えです。学生らからの求めに応じ、企業が職場情報を開示することも義務化。開示情報は、募集・採用や、労働時間、研修の状況から企業が選べるとし、具体的内容は指針で示します。

 国民の運動と、ブラック企業規制法案を提出し法規制を求めてきた日本共産党のたたかいに押されたものです。

 採決に先立ち、日本共産党の堀内照文議員は、より実効性のある法案にするため、新卒者向けの求人票への離職率記入を、従業員300人以上の企業に義務付けることを求めました。塩崎恭久厚労相は「具体的方策について検討する」と答弁しました。

 法案ではジョブカードの普及もうたわれています。同カードは、個人の勤務実績について企業が評価を行い、就職活動での応募書類に活用されます。堀内氏は、企業による恣意(しい)的な評価が固定し、求職活動の際、不利な情報の開示が迫られるなど若者に不利益になることを指摘し、同カードの求職活動での活用をやめるよう求めました。

2015年9月5日(土)しんぶん赤旗より

 

年金機構再委託問題 給与支払いを最優先

衆院委 堀内氏に機構理事長

 日本共産党の堀内照文議員は4日の衆院厚生労働委員会で、日本年金機構の和歌山事務センターから個人情報の入力業務等を受託した共栄データセンター(福井県)が、禁止されている他業者(富山県)への再委託を行い、労働者に賃金も払わず一方的に事業停止した問題について同機構と厚労省の責任をただしました。

 堀内氏は、日本年金機構が共栄データセンターに求めている違約金「1500万円弱」について、委託料との相殺通知を出していることを追及。「労働者を泣かせたままで、自分(機構)の取り分だけはしっかりもらうというのか。労働者の給与支払いを最優先にすべきだ」と求めました。

 日本年金機構の水島藤一郎理事長は、「基本的にはその通りだ」と労働者の給与支払いを優先させることを認めました。

 堀内氏は、和歌山事務センターが業務内容の指揮命令を行う委託先の責任者に対し、同責任者の「雇用条件通知書」に記載された内容とは異なる業務まで指示していたことを追及。水島理事長は、「通知書は知らない」としか答えられませんでした。

 堀内氏は、「偽装請負の疑いが強まる」「厚労省のお膝元でこんなブラックな働き方は許されない」と批判。個人情報を扱う業務の外部委託を「本当に無理がある」と批判して、外部委託を義務付けた「日本年金機構」基本計画の閣議決定(2008年)の見直しを求めました。

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◆議事録 2015年9月4日衆議院厚生労働委員会

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 この間、我が党は、ブラック企業をなくせ、若者が人間らしく働ける雇用の実現をと、参議院にブラック企業規制法案を提出するなど取り組んでまいりました。私も地元兵庫で、そうした若い世代の皆さんの声を受けて、兵庫労働局などへ告発や要請に足を運んだりもしてまいりました。
 いわゆるブラック企業に対しては、国民的な批判も起こり、社会問題となる中で、厚労省も調査や対策に乗り出してきたところだと思います。今度の法案は、そうした国民の声が反映した前向きなものだと受けとめています。これをどう実効性あるものにし、法の目的が達せられるものにするのか、そういう角度から質問したいと思います。既にるる出されていることも、重なる問題も多いわけですが、改めて私から確認をさせていただきたいということで、質問させていただきます。
 法案では、まず第一に、新卒者の募集を行う企業に対して、職場情報について幅広い情報提供を努力義務化する。応募者等から求めがあった場合は、三類型、募集、採用に関する状況、労働時間等に関する状況、職業能力の開発、向上に関する状況、この三類型ごとに一つ以上の情報提供を義務化しました。
 この点、議論になっていますけれども、情報提供を求めた応募者が不利益な扱いを受けないのかということや、情報提供の中身について必ずしも求めている情報が提供されるわけではないという問題もあると思います。指針等で不利益な取り扱いをしないことを盛り込むということもありましたけれども、どこまで実効性があるのかということがあると思います。せっかく法律で規定をしても、新卒者にとって本当に必要な情報提供がされるかどうか見込みがないわけであります。
 まず第一に問いたいのは、なぜ職場情報の提供を努力義務にとどめ、応募者から求められたときだけ義務としたのかということであります。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 若者の適職選択の支援ということで、就労に係る情報、実態が若者に提供されるということは、これは非常に重要な取り組みだということで、この法案の設定に当たっての労働政策審議会の中でも公労使一致した御議論であったわけでございます。
 そういった中で、先ほど認定企業のこともございましたけれども、中小企業の方々も含めて、こういった企業規模にかかわらない若者の適職選択へのアプローチをしていただくということがやはり重要だろうということがございました。
 そういった中で、中小企業にも配慮しますれば、やはり、先ほど別の委員のところでも申し上げましたけれども、一人採用した中小企業で急にその方が自己都合で離職するというような場合であっても、例えば離職率というようなものを義務づけていると、その数字だけは一〇〇%というような形で、そういった数字だけがひとり歩きして、なかなか本来の実態が伝わりにくいというような議論もあったということもございます。
 いろいろな形でできるだけ情報開示をしていただくという取り組みが重要ということで、私どももさらにいろいろな取り組みを工夫してまいりたいと思っておりますけれども、議員の方からの御質問で、なぜということに対しては、そういった御議論の経過の中で今回の提案させていただいている内容ということでございます。
○堀内(照)委員 規模等は、後でちょっと述べたいと思うんですが、検討すればいいと思うんですが、労政審の中で、若者のニーズと企業の負担の両面を勘案するということもあったと思うんですね。
 それで、企業の負担ということで少しお聞きしたいんですけれども、二〇一五年春、この春卒業の新卒向け求人票から、過去三年間の採用者数と離職者数の記入欄が設けられていると思いますけれども、その記入状況はどうなっているでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員の方から御指摘ございましたように、学生の適職選択に資するためということで、ハローワークの求人票について、過去三年間の採用者数それから離職者数を記入するということにさせていただいたところでございます。
 この件につきましては、ハローワークの方で、窓口等でも非常に企業の方に御理解を求めるということをさせていただいて、現在、こちらが記入されている求人については九割を超えているということで承知をしております。
○堀内(照)委員 ですから、ほとんどの事業者が離職率については記入をしているわけであります。
 大臣に伺いたいと思います。
 既に就職四季報などで記入欄が設けられているような、今の採用者数と離職者数ですとか、平均勤続年数、有給休暇取得率、平均残業時間、こういった基本的な職場情報については、今企業の規模等々を言われましたので、従業員三百人以上の規模の企業については提供を義務づける、そういうことをやはりやるべきではないか。少なくとも、今後、実施状況を見て、求めによらなくとも情報を提供していく、そういうやり方を検討すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 若者の適職選択を支援するために、企業の規模にかかわらず、労働条件に加えて、企業の就労実態に係る情報が積極的に提供される環境づくりが重要であるということで、今回このような形で御提案申し上げているわけであります。
 この決まった経緯、努力義務それから義務づけについては今話があったとおりでございますけれども、若者の適職選択を支援するためには、企業の自主的な情報提供を促進することがやはりまず重要であることから、求めがなくともホームページ等での積極的な情報提供が適当であること等を法律に基づく事業主等の指針に盛り込んで、ハローワークを通じて企業に働きかけを行うことなどを検討していく必要があるというふうに考えております。
 今、一定以上の規模の企業に義務づけるべきではないかということ、あるいは、少なくとも今後施行の状況を見つつ義務化を検討すべしということでありますが、やはり職場情報の提供が積極的に行われ、若者が希望する情報を安心して入手できるように、具体的な方策について検討を進めていかなければならないというふうに思っているところでございます。
○堀内(照)委員 ぜひ若者の希望に沿うような方向での検討をお願いしたいと思います。
 学生が不利益にならないような具体的な手だてという点では、これは参議院でも議論になっていましたけれども、ハローワークや学校を通して、いわば個々の学生を特定することなく、学生の求めに応じて職場情報を提供させるということは可能だということ、これは確認をしておきたいと思うんですが。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げたような、情報提供ということでございますので、やはり求めを行った方が特定できないという中で企業に対して義務がかかるということは困難ということで整理をしております。
 そういうことでございますので、直接的にはやはり匿名での情報の提供ということは難しいということでございますが、やはり学生が負担のない形で情報を得ることが重要ということについては、そういった点についてはそのとおりかと思いますので、求めがなくとも積極的に情報提供をしていただくように、企業に、ホームページ等での公表というようなことを指針で定める等して、しっかり促してまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 参議院の審議の中で、これは四月十六日の民主党の石橋議員の質問の中で、
 無料職業紹介、学校の関係もそれの関係だと思いますけれども、そういった職業紹介事業者であったりハローワークが介在する場合ということも法律の立て付けとして考えております。
  委員御指摘のようなハローワークとか職業紹介事業者が求人を受け付けて、それで、その間に立ってハローワーク等から情報提供の求めを行うというケースにつきましては、学生からの問合せを受けて求めを行うということも考えられるわけですけれども、その場合には学生を特定するということについては想定していないということでございます。
今の答弁との関係ではどうなるんでしょうか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 今ちょっと答弁が手元にないんですけれども、今読み上げていただいたように、ハローワークや学校等の職業紹介事業者に求人を提出していただいている場合ということで参議院の委員会でも私は御答弁させていただいたかと記憶をしておるんですけれども、今回の改正法の十四条に、これも同じような構成で、求人者の方への対応ということの規定を盛り込んでおりまして、一項には、求人者の方が一定のハローワークあるいは職業紹介事業者に対してこういう情報を提供するように努めなければならないということと同時に、公共職業安定所、ハローワークあるいは職業紹介事業者に申し込みをした求人者は、その申し込みをしたハローワークもしくは紹介事業者の求めに応じ、青少年雇用情報を提供しなければならないという規定がございます。
 私は、この規定を、介在するという趣旨で、ハローワークや学校等の職業紹介事業者に求人を提出していただくという場合については、ハローワーク等がその中に入りますので、そういったことでは、学生の特定を不要として職場情報の提供の求めができることとなるという趣旨で申し上げたということでございます。
○堀内(照)委員 確認しておきたいと思います。
 それからもう一点、議論になっております労働関係法令違反の求人者からの新卒求人を不受理とすることについてであります。なぜ新卒求人のみなのかということであります。法令違反を繰り返す企業の求人不受理は、新卒だけではなくて全てに適用すべきではないか、これが一点であります。
 一方で、厚労省は、指針等において、少なくとも卒後三年は新卒として応募できるようにとしています。今度の法案の枠組みでは、この新卒扱いになる既卒者へは不受理企業が紹介されるようなことになるのかどうか。
 この二点、お伺いしたいと思います。
○坂口政府参考人 まず一点目の方でございますが、ハローワークでは、職業安定法に基づいて、求人の全件受理という原則があるところでございますけれども、今回、労働政策審議会でも御議論いただいた中では、やはり新卒時のトラブルというのはその後の職業生活に長期的な影響を及ぼすことが大きいということ、それから、新卒者については、就職関連情報に対しての判断能力という意味で、経験が浅いことで未熟な面もあるだろうということで、いろいろ求人の問題についての問題の介在ということについては、他の委員も御指摘があったように、一般の方も含めてという問題点はあるにせよ、やはり、今回御議論をいただいた中で、特に新卒時の求人の質ということを確保する必要性が高いという御議論が強かったということでございます。
 そういった意味で、全体のバランス、負担感ということも含めてでございますけれども、労働関係法令違反を繰り返す求人者からの不受理という対応については、新卒向けの求人に限ったという御結論が出たということでございます。
 続きまして、既卒者等への対応ということでございます。
 今、堀内先生の方からも御指摘がありましたように、リーマン・ショックの後等もいろいろ若者を取り巻く雇用情勢が厳しくなったという中で、既卒者の方についても一定の新卒求人の対象としていただくようにということで私どももいろいろ御依頼等をお願いしているということでございますが、今回の枠組みにつきましては、今申し上げましたような形で、不受理については新卒求人のみを対象ということでございます。
 その点につきましては、やはり、既卒者等が学卒求人にまずもって応募できるような環境をしっかり広げていくということによって、求人不受理の枠組みということの効果が既卒者の方にも及びますように、私どもとしても努力をしてまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 なかなかそれでは若者雇用対策ということにならないというふうに思うんですね。
 私の知人で、福祉系大学を卒業したある女性は、大手外食チェーンが展開する介護事業に介護職として就職を決めました。しかし、研修と称して居酒屋で就労させられる。深夜労働は当たり前。昼間も研修だとして拘束されます。夜まで働いて、店でそのまま仮眠をして、そのまま出勤する。とても続かなくて退職をされました。そういう彼女の場合、次に職を探そうとしても新卒扱いになりません。そういう情報が届かないということになるわけです。
 大臣に伺いたいと思います。
 法令違反があり、新卒求人不受理となった事業所については、事業所名を公表すべきじゃないかと思います。せめて、一般求人、ハローワークで紹介する際にも、そういう事業所であるということがわかるようにする、求職者に説明するという必要があるかと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど来から、求人不受理の事業所名をわかるように説明すべきだという対象に、一般の求職者に対してもということで今お話をいただきましたが、当該企業が求人不受理の対象になった事実を一律に公表するということや求職者に事業所名を知らせることについては、改善取り組み中にもかかわらず公表された場合の影響なども考慮をする必要があることから、対応することはなかなか難しいのかなというふうに考えているところでございます。
○堀内(照)委員 これも先ほど、民間のところでどう扱うかという井坂さんとの議論もあって、それは求人者の自己申告だということもありましたけれども、なかなか実効性というのがこれで本当にいくのかなと思うわけでありまして、やはり実効あるものにするためにも事業所名の公表などが必要だと指摘をしておきたいと思います。
 もう一点ただしたいのは、ジョブカードの問題であります。
 この間、産業競争力会議や「日本再興戦略」改訂二〇一四などで見直しがうたわれ、キャリアプランニングや職業能力証明のツールとして、求職活動、職業能力開発などの各場面で一層の活用を行うとされております。
 資料で、きょうは、そのジョブカードの普及についてのペーパーと、あと特に、職業能力証明、訓練成果・実務成果の、OJT用と、そして実際の実務経験の評価用の資料をつけておきました。
 このジョブカード、具体的にどういうふうに活用されるのか、目的とあわせてお答えいただきたいと思います。
○宮川政府参考人 お答えいたします。
 新たなジョブカード制度につきましては、個人のキャリアアップや円滑な就職等を促進するため、一つは生涯を通じたキャリアプランニング、それからもう一つは職業能力証明、この機能を担うツールとして活用することを目的とするものでございまして、これによりまして、生涯を通じて労働者がみずからのキャリアプランを作成し、これらに基づきまして職業能力開発を行うよう活用すること、あるいは、職業訓練あるいは企業での実務経験等における成果に対する評価、これをさまざまな場面で、例えば応募書類等において活用することを想定しております。
○堀内(照)委員 資料の一枚目にもあるんですが、これは私は問題だなと懸念しますのが、求職活動にも大いにこれを活用しようということなんですね。二枚目以降のシートが活用されるわけですが、個人評価だけではなくて、企業評価も書かれるようになっているわけです。これは一体誰が書くんでしょうか。
○宮川政府参考人 お答えいたします。
 実務経験の評価のための職業能力証明、訓練成果あるいは実務成果のシートなどにつきましては、在職労働者が自己評価を記入し、また、当該労働者の評価担当者が評価を行い、それぞれ記入することとしております。
 なお、自己評価と評価結果に差があるなど評価結果に異議がある場合は、評価者の上司等の評価責任者が確認した上で、当該シートの記載について調整を行うこととしております。
○堀内(照)委員 その評価担当者というのは、当該労働者の身近にいる人なんでしょうか。その職場の上司に当たる人なんでしょうか。具体的にどういう人なんでしょうか。
○宮川政府参考人 お答えいたします。
 さまざまな形があろうかと思いますが、今先生御指摘の上司というのが一つの典型例ではないかと思います。
○堀内(照)委員 いわば職場の一上司の恣意的な評価が固定する。今、生涯と言われたように、これが一生ついてくるわけですね。評価に客観性が保てるのか。
 これも先ほど議論がありましたが、ちょっと確認したいのは、客観性といった場合に、基準というふうにきょうの議論の中でお答えになったんですが、その基準というのは、このOJT用のペーパーにある「職務遂行のための基準」、細かく並んでいる、これに当たるんでしょうか。
○宮川政府参考人 具体的にはその企業企業の現場現場によって違うと思いますが、その内容の基準に当てはまるかどうかというのをそれぞれチェックしていただくという形になります。
○堀内(照)委員 これを読みますと、仕事に対する自身の目的意識や思いを持って取り組んでいるかどうかですとか、次の課題を見据えながら、手がけている仕事に全力で取り組んでいるかどうかとか、どうやって客観性を保つのか、ちょっとよくわからない点もあるわけですね。本当にこれでいいのかと思います。
 求職の際、このジョブカードの電子化した情報から個人みずからが選択して必要な情報を抽出し、履歴書や職務経歴書に必要な職業能力証明の関係情報を追加、添付して求人企業等に応募書類として提出するんだというわけですが、これは個人が選べるとはいうものの、出したくない情報の開示を迫られる危険がやはりあると思うんですが、そのリスクはないというふうに言えるんでしょうか。
○宮川政府参考人 お答えいたします。
 ジョブカードは、労働者の個人が、経験した職務内容とか、免許、資格、学習歴、訓練歴を記入した上で、必要に応じ中立性の確保されたキャリアコンサルティングを受け、明らかになった本人の課題などを踏まえキャリアプランを作成、蓄積し、生涯を通じてのみずからの職業生活及び職業能力証明という形で行うことを主眼としたツールでございます。
 一方で、労働者の実際の作業を日常的に見ている企業においても、その雇用する労働者の実務経験の評価を行うことができるようになり、企業の実情や労働者の必要に応じて活用いただくことも重要と考えております。
 先生御指摘の、ジョブカードの活用の方法の際に個人が取捨選択するということでございますが、これはまさに個人が取捨選択するものでございまして、情報の提出は強制されるものではなく、現時点で御懸念のような事態は想定しておりませんが、ただ、御懸念の事態のようなものが起こらないように、ジョブカードセンターや公共職業安定所を通じた周知啓発により、適正な制度の運用を徹底していきたいと思っております。
○堀内(照)委員 想定していないということ自体が本当に驚きなんですけれども、これを普及させようというわけでしょう。普及が進めば進むほど、こういうものがあるというのが当然の前提として就職活動が進められるわけであって、企業側にしたら、どうしてこの情報がないんだと。要は、例えば、これは出したくないなというものを、このシートを一枚抜くわけですよね。そうすると、職歴と比べてみればひどく不自然になるわけですよね。どうしてこの期間のこの企業に勤めていた間のカードがないのかということになるわけでありまして、それだけでもう労働者にとっては非常な不利になるわけであります。
 大臣に伺いたいと思います。
 どの情報を出すのかみずから選べるとはいえ、出さないという時点でもう不利になってしまう。こうした情報を企業の選別の道具にするのはやはり若者のためにならないと私は思います。ジョブカードの、企業評価をやめるか、それとも原則非開示にするか、こうやってしないとやはり若者にとっては大変な不利益になる。キャリアアップのためのツールに限定して、求職情報には使わない、こういうふうにすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今回、このジョブカード、キャリア・パスポート構想研究会というところが報告書を出しておりますけれども、活用の形態とかの様式に関しましては、今まで紙でずっと一つながりでなっておりましたけれども、今度、電子化をして、それをパーツに分けて、例えばキャリアプランとか、職務経歴とか、免許、資格、あるいは学習・訓練歴、それから訓練、仕事ぶりの評価、こんなふうに分けてまいります。
 先ほど来御説明申し上げているように、就職活動の際にジョブカードに記載された情報を企業に対して提出するかどうか、何を提出するか、これは労働者本人が選択をするもので、今のような形で選択をして、出したくない情報まで出させられるというようなおそれは、それをやることによって、ないのではないかというふうに考えているところでございます。
○堀内(照)委員 これは開示が迫られなくとも、今言いましたように、このペーパーが、ここの期間が飛んでいる、ないというだけで、企業にとったら、これはやはりなかなか出したくない情報があるのかなと類推するわけですね。そういう意味では、若者にとって大変不利なものにならざるを得ないというふうに思います。就職活動での活用はやはり控えるべきだということを重ねて要望しておきたいと思います。
 それで、残る時間、雇用問題ということでいえば、厚労省のお膝元で起こっている重大問題として、私はこの間、年金機構の和歌山、福島、大分の事務センターで業務委託、再委託をされていたという問題を取り上げてまいりました。この間、民主党の山井さんも取り上げているところであります。
 百十人の二月、三月分の賃金未払い分は、前回、山井さんの質疑の中で明らかにされたように、まずは立てかえ払い制度が適用される見通しであります。しかし、これでは、私は、未払いを起こした業者、そしてそういった悪徳業者を見抜けずに委託した機構や厚労省の責任を果たしたことにはならないというふうに思います。
 未払い賃金といっても、二月分と三月分とで少し事情が違うのではないかと私は思っています。
 機構は、委託先である共栄データセンターに三月分の委託料を支払っているんでしょうか。
○水島参考人 お答えをいたします。
 機構といたしましては、平成二十七年三月分の業務委託費につきまして、共栄データセンターに対しまして、委託作業員に未払い賃金を支払う意思があるかどうか、かつ、確実に支払うことが担保できれば、委託費の支払いを検討する旨伝えてまいりました。しかしながら、回答期限を五月十一日に設定いたしておりましたが、それまでに回答を得られませんでした。
 したがいまして、やむを得ず、私どもが所有しております違約金の債権と相殺をする旨通知をいたしたところでございます。
○堀内(照)委員 大臣は、この間、山井さんの質問に、資本主義の国だから、法治国家だから、なかなか直接、機構や厚労省が労働者に支払うことはできないとされてきました。それは、理屈としてはそうだと思うんです。
 しかし、三月分でいえば、そもそも給与の原資となる委託料を業者に払っていません。この委託料を使えば、業者に労働者の三月分の賃金を支払わせることができる。これは、もちろん法的に何も問題がないはずであります。もちろん、これは業者が支払うことを確約するということが大前提でありますけれども、それは何も問題はありませんね。
○水島参考人 当機構におきましては、平成二十七年三月二十五日に共栄データセンターによる給与の未払いが判明をいたしまして以降、同社に対しまして再三にわたり電話連絡をすることに加えまして、四月二十四日には、業務委託契約に基づきまして訪問調査を行いました。未払い賃金の支払いを求めてきたところでございます。
 また、五月八日でございますが、共栄データセンター本社を訪問いたしまして、同社が委託作業員への三月分の賃金を支払う意思があり、かつ、支払いが確認できれば、機構が委託費の支払いを検討する旨、先ほど申し上げましたとおり、五月十一日までに回答するよう求めたところでございます。
 残念ながら回答がございませんでしたので、先ほど申し上げましたとおり、五月十二日に相殺の旨通知を発出したものでございます。
○堀内(照)委員 確認しておきたいと思うんですけれども、業者の支払う意思の確認がとれれば当然委託料を払ってということは、いいんですか、それは。
○水島参考人 もちろん、当時、その意図を持って共栄データセンターにその旨通知をし、回答を求めたということでございます。
○堀内(照)委員 今の時点ではそういう方向はとらないということなんでしょうか。
 私も伺っていましたけれども、なかなか連絡がつかないんだとおっしゃるんですが、直接訪問したのは実際には四日間ですね。
 私は、本気でこれは追いかけているのかなと思うんですよね。会社に行って、いないから待たせてもらうと。待たせてもらうといったって、機構が来ていると逃げている人にとってみたら、いるのがわかっていたら来ないわけですよね。KDCなんかも含めて関係者を本当に洗いざらい追いかけているのかといったら、そこまでしていないわけです、直接契約したのは共栄だからということで。本気になってそこを本当に追いかけているのかなと思うんですね。
 そこはしっかりとやるべきだということを重ねて申し上げたいのと、さらに、機構が共栄データセンターに違約金を求めていると思います。これは今の時点で幾らぐらい見込んでいるんでしょうか。
○水島参考人 最終的に確定をいたしますのは九月末でございますが、現在、約一千五百万円弱が最終的に請求するべき違約金であると考えておりまして、五月十二日に発出しております文書、私どもからの文書では、一千四百八十九万四千五百六十五円が見込み額であるということで通知をいたしております。
○堀内(照)委員 共栄データセンターへ委託している委託料は、一月当たり約一千三百万円だと思います。今の時点で、違約金は委託料の一カ月分をはるかに上回っております。
 驚きましたのは、今理事長が少し言われました五月十二日付の文書というのは、いわゆる相殺通知なんですね。相殺というのは一体どういうことか。労働者の給料未払いを残したまま、その原資となる委託料を相殺して違約金を払わせようということなんでしょうか。労働者には賃金が渡らないけれども、機構はちゃんともらう、こんなことが本当に許されるんでしょうか。
○水島参考人 いわゆる政府機関の支払い遅延防止法というのがございます。それによりますと、五月十二日が一応支払い期限でございまして、この時点で、支払いするか、あるいは相殺をするかということを決定いたしませんと、共栄データセンターに対して一定のフェーバーを与える懸念がございます。そういう意味で相殺通知を発出させていただいたわけでございますが、現在、私どもの解釈といたしましては、相殺する旨通知をしたということでございます。
○堀内(照)委員 労働者を泣かせたまま、自分の取り分だけはしっかりもらうというわけにはいかないだろうというふうに思います。労働者の給料最優先、これは確認していただきたいと思うんですが。
○水島参考人 これは法律的な詰めを十分行わなければならないというふうに思っておりますが、基本的な考え方はおっしゃるとおりだというふうに思います。
○堀内(照)委員 問いを一問だけ飛ばします。
 六月、七月の質疑でも取り上げました委託先への指揮命令の問題であります。
 七月の質疑の際、請負先のどういう役職の人へ指揮命令していたのかということを私は問いましたが、理事長からの答弁は、「業務責任者としての役職があった」ということで、これは確たる答えではないと私は当時言いましたけれども、実際そうだと思うんですね。それで、請負の一労働者に対して発注者が直接指揮命令していたとすると、偽装請負になるわけです。
 改めてお聞きします。
 昨年十月からことし三月末までのこの期間、和歌山事務センターにおける請負で働く労働者に対する指揮命令について、どの人を通じて行っていたのか、責任者としてどういう役職にどの方が配置されていたのか、お答えいただきたいと思います。
○水島参考人 お答えをいたします。
 当該業務の実施に当たりましては、業務委託契約上、本契約の履行や事務センターとの連絡調整のために事業所ごとに一名以上の事業所責任者を選任すること、また、事業所責任者が複数選任された場合、そのうち一名を統括事業所責任者とするということを規定いたしております。
 和歌山事務センターの場合でございますが、平成二十六年十月一日の業務開始時におきまして、統括事業所責任者一名、事業所責任者一名が登録されております。その後、二十七年三月九日でございますが、統括事業所責任者が退職したことに伴いまして、これまでの事業所責任者が統括事業所責任者となり、別の事業所責任者一名が新たに登録されたところでございます。
 当該契約は請負契約でございますので、機構が事業所責任者の選任に関与することはできません。受託事業者の判断により選任され、機構に登録されたものと承知をいたしております。
○堀内(照)委員 これは私、きのう電話で年金局から直接、年金局を通して機構のお答えを伺って、それから当事者の方にも確認をさせていただきました。
 事業所責任者に当初ついた方に伺いますと、確かに三月九日付で前任者が退職されて、自分は統括事業所責任者になったんだ、しかし、自分の後の事業所責任者に、新たな人がついたと今理事長お答えになりましたけれども、誰がついたんかなと。全然記憶がないんですよね。だから、本当に名ばかりじゃないのかというふうに思うわけです。
 この業務というのは、共同処理業務と入力業務と二つあるというふうに思います。
 これもきのう電話で当初やりとりしたとき、事業所責任者についた方は入力業務の仕事についていたわけです。ところが、本来、統括事業所責任者がいるはずなのに、自分のエリアを超える共同処理業務についても、とにかく指揮命令は私のところにあったんだという話でした。そのことも電話で、ちょっと話が違うよということで言いますと、後ほどまた電話がかかってきまして、この役割、統括事業所責任者は主に共同処理で、事業所責任者は主に入力業務、主にということがついているので、またがっても構わないんだという話だったんですね。
 そういう分担をされているんですか。事業所責任者というのは、私の認識では、入力業務を担当する方で、本来、共同処理について指揮があってはならない人だと思うわけですけれども、主にということで、範囲を超えて共同処理についても指揮されていても問題はない、そういう認識なんでしょうか。
○水島参考人 責任者として登録をされた方に対して機構として指示をするということについては、業務の区分はないのではないかというふうに承知をいたしております。
○堀内(照)委員 つまり、共同処理についてもやっていたということですね。私はこれはおかしいと思うんですね。
 手元に私、この事業所責任者についた方が、雇用はKDCでしたから、KDCが発行する雇用条件通知書というのをいただきまして、それを見ますと、業務の内容、日本年金機構和歌山事務センターにおける入力現場のチーフとしての指揮管理業務と明確に書いてあるんです。共同処理については何も書いてません。もう一つは、日本年金機構和歌山事務センターにおける入力チームのコスト管理サポート業務。この二つだけなんです。
 明らかに範囲を超えてやっているんじゃないですか。
○水島参考人 同じお答えになりますが、基本的に、その契約書については私は承知をいたしておりませんが、責任者として登録された者に対して機構としては指示を行うということでございます。
○堀内(照)委員 一体どういう指示になるかというふうに思うんですね、それだと。
 この事業所責任者についた人は入力業務のフロアで働いていたわけです。だから、機構から共同処理について指揮命令を受けても、入力業務のことなら、確かに自分のフロアですのでよく管理もできると思います。共同処理は自分のいるフロアじゃないわけですよね。
 そうすると、一体どういうふうな指揮命令を受けて処理をするのか。管理監督なんかできていたんでしょうか。ただ機構からの指揮命令を伝えるということになっていたんでしょうか。
○水島参考人 統括責任者でございますので……(堀内(照)委員「事業所責任者にそういう共同処理のことも言われていた」と呼ぶ)
○渡辺委員長 委員長の許可を得て発言してください。
○水島参考人 後で、いわゆるAという方がやめて、Bの人が統括責任者になって、Cの人が新たに任命された。それで、そこの届け出があって、Bの方に対して、Bの方が統括責任者になったわけですね、その方に対して指示を行っているということでございます。
○堀内(照)委員 だから、事業所責任者の時代にも、共同処理のことは統括責任者が、Aさんがいるはずなのに、とにかく自分のところに、入力業務だけではなく共同処理についても指揮命令があったんだということなんですが、そうなると、共同処理については、機構から言われたことをどうこなしていくのか。もうこれは伝達する仕事しかできなくなるんじゃないですか。どういう管理の仕方をされていたのかということを私は聞いているんです。
○水島参考人 同じお答えになりますが、両業務について責任者として届けられているわけでございますので、それに対して指示を行っているということでございます。
○堀内(照)委員 全然納得いかないですね。全く実態に合わない話だと思います。
 こうなると、本当に偽装請負の疑いというのがすごく強まると思うんです。
 労働局なんかのホームページを見ますと、形式だけ責任者型、これが偽装請負の典型的な例として紹介されています。現場には形式的に責任者を置いていますが、その責任者は発注者の指示を個々の労働者に伝えるだけで、発注者が指示しているのと実態は同じですと。
 入力業務しか責任を負えない人が共同処理のことを言われても、もう伝えるだけしかなくなるじゃないですか。そんなあり方で本当にいいのか、私はこれが問われていると思います。
 もう時間がありませんので、最後に大臣に伺いたいと思います。
 この場で何度も指摘してきましたけれども、大事な個人情報を扱うこの業務で外部委託するということは、本当に私は無理があるというふうに思うわけです。このたびは、経過の中で直接雇用となっております。本来はそれがあるべき姿だと私は思います。
 和歌山事務センターについては次の十月以降も今委託業者が見つからないということで、やはりこれは大変な矛盾があるからだと思います。しかし、なお、私が担当者に聞きますと、外部委託先をとにかく探しているんです。何でそこまで外部委託なんですかと聞くと、閣議決定があるからだというんですね。もうこの閣議決定は無理がある、私は、見直すということも考えなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 平成二十年の七月に閣議決定が行われて、年金機構の当面の業務運営に関する基本計画というのが決まっているわけでありますけれども、これに基づいて、業務の効率化、コストの削減の見地から業務の外部委託を進めているということを私ども繰り返し御説明をしてまいりました。
 年金機構の業務の委託につきましては、日本年金機構法第三十一条第二項におきまして、委託を受けた業務に従事する者や過去に従事していた者には守秘義務が課されており、それに違反した場合には罰則が科されることになっているわけであります。
 さらに、機構が実際に業務を委託するに当たっては、法令等に則し、その事業所が個人情報の適正な管理ができる事業所として認められているかを把握した上で委託先を選定しているものというふうに承知をしているわけでありまして、この基本計画自体を見直すということは考えておらないわけでございまして、ですから、問題は、機構が委託先のしっかりした選定を行っていくということが何よりも大事であって、見抜く力をしっかり持って適切な選定をするように機構に対して指導をしてまいりたいというふうに思っております。
○堀内(照)委員 大臣、私の言った趣旨を多分全然つかんでおられないんだと思います。
 再委託はもちろん問題ですよ。しかし、私が今問題にしているのは、当該事業所で、委託だろうが再委託だろうが、その相手に対して機構自身がやっていることが偽装請負に当たるんじゃないかということを問題にしているわけでありまして、きょうはブラック企業根絶など若者雇用対策が盛り込まれた法案の審議で、その一方で、厚労省のお膝元でこんなあり方が許されていいはずがありません。恒常的な業務についてはやはり委託はやめるという方向で抜本的に見直すことを強く求めていきたいと思います。
 ましてや、機構の担当者が、やりとりする中で、今後どうするんですかと聞きますと、派遣もあり得るとぽろっとおっしゃったんですね。今、派遣法審議を参議院でやっていますけれども、期間制限が事実上なくなれば、むしろ、制限なし、しかも直接指揮命令できる、この方が使い勝手がいいという本音がぽろっと出たのかなと思いますけれども、それを考えても、派遣法も含めて、この若者雇用対策の真逆の法案だと私は思いますので、廃案しかないということも含めて申し述べて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。