国会論戦・提案

アスベスト(石綿)被害について質問

石綿被害 認定の壁告発

堀内議員 未救済者に対策を

 日本共産党の堀内照文衆院議員は31日、厚生労働委員会で、吸入すると呼吸困難になる石綿肺や、肺がん、中皮腫などを発症するアスベスト(石綿)被害について質問。疾病に必要な検査や対策を政府主導で行うよう主張するとともに、厳しい認定基準により救済されずに残されている被害者の問題を追及しました。

 堀内氏は、大手機械メーカー「クボタ」旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の石綿により、多数の被害者をだした「クボタショック」から10年たった現在、現行の補償・救済制度の対象から漏れている被害者が、「数千人規模でいることが推察される」と指摘。石綿の人体への危険性を認識していたにもかかわらず十分な対策を怠り、2006年の全面禁止に至るまで被害を放置・拡大させた国と企業の責任を批判し、「健康管理手帳を被害者に発行し、全国どこにいても必要な検査を受けられるようにすることが重要だ」と迫りました。

 堀内氏は、肺がんの原因が石綿以外にも、喫煙、大気汚染などさまざまな要因が考えられ鑑別困難ではあるが、「石綿ばく露によって発症リスクは各段に高まる」と強調。「厳しい基準が認定の壁になっている」として救済制度の見直しを求めました。

 塩崎恭久厚労相は、「発症まで30~40年かかる」石綿疾病の性質上、今後も健康被害の現れは「当分の間」続き、「救済法でカバーできていない被害者が残っている」との認識を示し、「環境省と連携して考えていく」と答えました。

2015年8月1日(土)しんぶん赤旗より

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◆議事録 2015年7月31日 衆議院厚生労働委員会

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 きょうは、アスベストの問題について幾つか質問したいと思っております。
 兵庫県尼崎市のいわゆるクボタ・ショックから十年が経過をしました。環境再生保全機構が発表した環境型暴露によるアスベスト被害者は、六月末時点で、医療費受給や遺族への給付金の受給者も含めまして合計一万人を超えました。一方、石綿による労災保険の支給決定件数は、九六年以降、一万二千人近くに上っております。
 労災、環境型の区別を問わず、中皮腫による死亡者数を見ますと、二〇一二年から年間千四百人台になり、九五年以降、一万七千人を超して、深刻の度を増しております。
 アスベスト全面禁止は二〇〇六年でありまして、暴露から発症まで一般的に三十年、四十年かかるということを考慮すれば、今後さらに数十年は健康被害が広がるということが懸念をされております。
 まず、塩崎大臣に認識を伺いたいと思います。こうした現状と今後の推移について、どのように考えておられますでしょうか。
○塩崎国務大臣 今御指摘をいただきましたけれども、石綿による疾病の労災認定件数、私も今改めてグラフでも見ましたが、ここ数年は千件前後で推移をしているわけでございまして、当分の間はこれまでと同じ程度の水準で推移していくものと考えるべきかなというふうに思っております。
 今先生からもお話がありましたように、発症まで三十年、四十年かかるということでございますので、そのように認識をしなければならないというふうに思っております。
○堀内(照)委員 きょうは資料も用意していまして、一枚目にアスベスト輸入量の推移をつけておきました。
 今大臣にお答えいただきましたように、総計で千万トンですが、使用のピークが七〇年代とそれから八〇年代の終わりと二つありまして、しばらくこの傾向が続くという大臣の御答弁も、恐らく、この使用量の傾向を見ればこういう健康被害が今後続くと見込まれるという答弁だったというふうに思います。
 問題は、現行の補償もしくは救済制度で被害者をしっかり捕捉できているのかということであります。
 資料の二枚目、三枚目に、労災と救済制度の概要について掲載をしておきました。労災による補償とともに、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づいて、労災では救済の対象とならない者に対する救済給付ということの二本立てで行われているというふうに思います。
 中皮腫だけで限って見ますと、死亡者が、先ほど言いましたように、九五年以後、一万七千人を超えております。対して労災認定は、中皮腫分、これは統計が一年ずれるんですが、九六年以降、合計すると六千人余りになります。救済法に基づく救済制度の受給者で中皮腫に当たる方は計九千人弱でありまして、労災と救済制度を合わせると一万五千人なんです。
 これは療養中の方を含む数でありまして、当然、単純比較はできないわけでありますが、アスベスト由来がはっきりしている中皮腫でさえ、この間の死亡者の方が、存命の方も含む救済の認定者数よりも多いということになっております。恐らく中皮腫だけでも数千人規模で制度の対象となっていない方が残されているというふうに推察されると思うんです。
 まだ被害者の全体を捕捉できていないというふうに思うわけですが、この点、制度が両方ありますので、厚労省、環境省、両方にお答えいただきたいと思います。
○岡崎政府参考人 労災保険制度及び石綿救済法に基づきまして、業としてかかわられた方、時効にかかられた方々、これらの方々については、それぞれの補償がされているということです。
 私どもは、これらの制度での救済の対象になる方につきましてはしっかりと把握して認定していく必要がある、その辺の周知を含めて、今までもやってきておりますし、今後ともしっかりとやっていきたいというふうに考えております。
○北島政府参考人 お答えいたします。
 石綿救済法による指定疾病の認定者数は、近年、毎年おおむね七百人から八百人で推移をしております。全ての対象者を救済できているかについて判断することは困難でございますが、環境省といたしましては、法の趣旨にのっとり、可能な限り、すき間なく迅速に救済していくことが重要であると認識しております。
 このため、石綿健康被害救済制度について、医療機関や医療関係学会等に対し、セミナーなどを通じて周知を図るとともに、環境再生保全機構におきましても、医療機関を初め関係行政機関や駅などに広告ポスターを掲示するなど、また一方では、新聞や雑誌等の媒体を通じて積極的に周知を図っているところでございます。
○堀内(照)委員 周知ということで言われたわけですが、私も幾つか課題があると思っておりまして、一つに、肺がんの認定基準の厳しさの問題があると思っております。
 肺がんの原因は、石綿のほか、喫煙、大気汚染などさまざまに考えられること、同時に、その鑑別が難しいということから、肺がん患者のうち、原発性肺がんであって、肺がんの発症リスクを二倍に高める量の石綿暴露があったとみなされる場合に、石綿肺がんと認定しております。
 ですから、胸膜プラークの所見を有していても、例えば、二倍に高める量に相当するかどうかというその基準があるわけですね。乾燥肺重量一グラム当たり石綿小体五千本以上もしくは石綿繊維二百万本以上、そういう基準が設けられております。
 過去の中央環境審議会石綿健康被害判定部会に出された資料などを見ますと、認定されなかった理由として、原発性肺がんであると認められるものの、肺がんの発症リスクを二倍に高める量の石綿暴露を示す所見が認められなかった。やはり、二倍ということで線引きがされているという印象を受けました。
 環境省にお伺いしたいんですが、こうした基準、線引きが、そういうふうに認定を妨げる壁になっているんじゃないか、それから厚労省には、労災ではこの基準の実際の運用がどういうふうになっているかということ、これも双方にお聞きしたいと思っています。
○北島政府参考人 石綿健康被害救済小委員会により取りまとめられました、石綿健康被害救済制度における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方につきましては、肺がんについては、喫煙を初めとしてさまざまな原因があり、石綿を吸入することによるものであるか否かについての判定は必ずしも容易ではない、このため、現行の救済制度における肺がんの医学的判定については、原発性肺がんであって、肺がんの発症リスクを二倍以上に高める量の石綿暴露があったとみなされる場合に、石綿によるものであると判定することとされております。
 ある要因がある疾病の発症リスクを二倍以上に高める場合に、当該要因を当該疾病の原因とするものとみなすというこの考え方は、その要因の暴露を受けた後に発症した健康被害者から一名を無作為に抽出すれば、その方の健康被害の原因が当該要因である可能性の方が当該要因以外の要因である可能性と同じかそれ以上であると判断できることによるものであり、民事責任等によらず、石綿による健康被害者を幅広く救済するというこの制度の趣旨に照らせば、対象者を判定する考え方としては妥当なものであるということが同小委員会の考え方として示されているところでございます。
○岡崎政府参考人 肺がんにつきましても認定基準がございます。医学的所見と、それから石綿作業の従事期間を組み合わせております。
 例えば、胸膜プラークの所見と十年以上ということであれば、これは明らかに業務上ということにしておりますが、これに満たない場合等につきましては、それで業務外とすることではなくて、本省の協議をしていただきまして、本省の中で専門家の意見を聞いて対象になるかどうかを総合的に判断する、こういう形で現在運用しております。
 今後とも適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
○堀内(照)委員 労災の認定の際には、リスク二倍を基準にしつつも、それを下回るものについてもさらに個別に判定をしているということだと思うんです。しかし、救済制度の方は、二倍ということが基準になって、満たないものが認定されないということになっている。
 一昨年四月の中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害小委員会の「石綿健康被害救済制度における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方について」という報告の中で、胸膜プラークの所見が認められる場合の肺がん発症リスクは一・四倍だという研究についても言及されております。しかし、これも、単にプラークがあるだけということでは二倍に高める量の石綿暴露があったとみなされると判断することはできないということで、採用されていないわけです。
 しかし、先ほども述べましたように、肺がんはさまざまな要因のもとで起こっておりまして、国際化学物質安全計画、一九九九年の報告、これもいろいろな審議会の中でも出てくるわけですが、喫煙歴も石綿暴露歴もない人の発がんリスクを一とすると、喫煙歴があり石綿暴露歴がない人で十・八五倍、喫煙歴も石綿暴露歴も両方あるということになると五十三・二四倍と、発症リスクというのが格段に上がる。つまり、相乗的に作用するということが報告されております。
 確かに、石綿由来ということだけで考えるとリスクは一・四倍かもしれませんが、たばこなどほかの原因と合わさって、リスクは格段に上がるのではないか。主たる原因はたばこなどによるほかのものかもしれないけれども、一・四倍にせよ、石綿を暴露したことによって発症リスクが格段に高まっていると言えるのではないか。逆に言えば、石綿暴露がなければ発症リスクがそこまで高まることはなかったわけでありまして、そう考えると、石綿暴露が発症の確かな原因の一つとなっている。
 そういう点からも、胸膜プラークは、これ自身は石綿暴露がなければ生じないものでありますので、プラークの所見のあるものは広く認定するということが必要ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○北島政府参考人 肺がんの発症リスクを二倍以上に高める量の石綿暴露があったとみなされる場合に石綿によるものであると判定することにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 この考え方に基づきまして、御指摘の胸膜プラーク所見につきましては、広範囲の胸膜プラーク所見を認める場合には、肺がんの発症リスクを二倍に高める量の石綿暴露があったものとみなし、石綿による肺がんと判定しているところですが、胸膜プラーク所見が広範囲に満たない場合には、肺がんの発症リスクを二倍に高める量の石綿暴露があったとみなされると判断することはできないという状況でございます。
○堀内(照)委員 先ほどの小委員会の報告書でも、この一・四倍の研究について、「今後、胸膜プラークと肺がんの発症リスクに関する知見の収集に努めることが望まれる。」というふうにも書かれておりますので、これはぜひ検討すべきだと指摘をしておきたいと思います。
 労災では、ここ数年、中皮腫で毎年五百人程度、肺がんで四百人程度の認定に対して、救済制度の方は、中皮腫六百人程度に対して肺がんは百数十人という水準で推移をしております。労災と比べると、救済制度の場合は肺がんの認定が極端に少ないというふうに印象を受けるわけです。聞きますと、これはそもそも申請件数が少ないんだというお話でした。
 私も、いろいろ被害者の相談活動をしているアスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会、この方からお聞きをしますと、例えば七十歳で亡くなった方の御遺族が申請をしようと、亡くなる五年前に肺がんの手術をされた県立病院に、手術の証明書、エックス線やCTの画像、石綿小体の数のデータを請求しますと、もう五年たって、記録が、写真もなかった、それで申請を諦めたというんですね。また、肺がん末期になれば、もうレントゲンなどのフィルムではプラークの確認が非常に難しくなる。ですから、比較的まだ肺がきれいなころの写真をということで過去の写真を捜そうとするんですが、この点でもやはり古いものが処分をされていて、申請に必要な書類がそろわないというケースもあるとお聞きしました。
 医学的所見というのはもちろん大事なわけですが、そもそも申請にすら結びつかないということであれば、必要な方々の救済にやはりつながらないと思うわけであります。レントゲン写真がないと申請することすら諦めなければならないのか、申請を受け付けることのもう少し柔軟な改善ができないのかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○北島政府参考人 制度創設以降、平成二十六年度末までの累計申請件数は、肺がんについては二千八百八十六件であり、中皮腫は一万五百六十六件でございました。
 この件数が本来あるべき件数より少ないかどうかについて評価することは困難でございますが、申請に際しては、処分庁である環境再生保全機構において相談を受け付け、労災制度についても紹介するとともに、必要となる医学的資料等についても助言を行うことなどにより、可能な限り、すき間なく迅速に救済を実施できるよう努めているところでございます。
 なお、石綿救済制度に基づく救済を受けるに当たりましては、医学的判定が必要となりますことから、一定の医学的資料を提出いただくことはやむを得ないものと考えております。
○堀内(照)委員 医学的所見のみということはちょっと後でもまたやりたいと思うんですが、すき間なくとおっしゃるなら、やはり申請を柔軟に受け付けるという必要があるかと思っております。
 費用負担の問題も、この相談活動をされている方からお聞きをしました。御本人が亡くなったときに、肺の組織をとって病理検査を行って、申請に回すという場合もありますが、その際、既に亡くなった方ですので保険がきかずに、六万、七万という検査費用がかかる。私が聞いたケースは、病院の御好意で持ち出して、御遺族の負担なしに検査に回せたことによって、申請、認定に何例か結びついたということがあるんだとお聞きをしました。逆に、自己負担だと、御遺族がちゅうちょしてしまうおそれがあるんじゃないかというお話でした。
 こうした診断も含めた申請にかかわる費用負担への補助というのも必要ではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○北島政府参考人 石綿健康被害救済制度におきましては、申請時の診断書作成や放射線画像検査の自己負担に係る費用などにつきまして、議員御指摘のとおり、申請者に負担をお願いせざるを得ない部分があることは事実でございます。
 ただし、これらのうち、検査にかかった費用につきましては、認定後に、療養を開始した日までさかのぼって支給されることとなっているところでございます。
○堀内(照)委員 いかに対象者を救済するか、その立場でぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 救済制度の枠組みでは、労災とは違って、あくまで医学的所見のみで認定を進めている、これが非常に認定を厳しくしていることの一つだと思うんですが、救済制度の認定についても、医学的所見に加えて、職歴や居住歴などを勘案した暴露歴を勘案することで、より実態に即した認定ができるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○北島政府参考人 石綿健康被害救済制度におきましては、申請者は石綿暴露歴の確認が困難なケースが多く、職歴、住所歴等を含め、暴露歴の厳密な精査には限界がありますことなどから、当該救済制度では、石綿による健康被害の特殊性に鑑みまして、民事上の賠償責任から離れて、社会全体の費用負担により、広く救済する仕組みとなっているところでございます。
○堀内(照)委員 この点では、この間、健康リスク調査も行ってきていると思うんです。救済法ができたとき、附帯決議で、「政府は、石綿による健康被害の実態について十分調査・把握し、本制度の施行に反映させるよう努めること。」としていることから、大阪の泉南地域、兵庫県尼崎市など対象地域を指定して、二〇〇六年からは第一期、二〇一〇年から昨年までが第二期ということで、住民を対象に問診、胸部エックス線、CT検査を行ってきていると思います。
 この調査で何が明らかになったのか、そうした知見を認定に反映させるということはできないのか、この点はいかがでしょうか。
○北島政府参考人 平成十八年度から平成二十六年度まで実施した石綿の健康リスク調査におきましては、有所見者の八五・三%の方が初回受診時に発見されたことや、有所見率や医療の必要があると判断された方の割合は、女性よりも男性、石綿暴露歴の可能性が特定できない方よりも何らかの石綿暴露歴があったと申告している方、低年齢よりも高年齢において高かったことなどの知見を得たところでございます。
 平成二十六年三月には、石綿の健康影響に関する検討会におきまして、これまでのリスク調査での知見が得られたことから、リスク調査後の取り組み等について報告書が取りまとめられ、平成二十七年度以降は、石綿検診の事業化を見据え、肺がん検診との連携方法や事業に要する費用等について調査検討を行うよう提言されておりまして、これを受けて、平成二十七年度から試行調査を開始しているところでございます。
 なお、リスク調査につきましては、石綿暴露者の中長期的な健康管理のあり方を検討するための知見の収集を目的として行われたものであり、御指摘のような認定基準に反映させるべき知見は得られていないものと考えております。
○堀内(照)委員 私もそのペーパーをもらいましたけれども、そこには、調査対象の範囲では通常の十六倍に相当する中皮腫患者が発見されたということも報告されていると思うんですね。有所見者は、先ほどありましたように、八五・三%。
 きょう、資料の四枚目で、尼崎市の地図にプラークの所見のある人を赤印でプロットを落としたものを用意しましたけれども、やはりクボタの周辺中心に集中をしている。そういう点では、やはりこうした知見なんかも認定に生かすということが可能じゃないかと思うわけであります。
 このリスク調査は、今年度からは、希望のあった西宮市、芦屋市など、対象を広げて、新たな試行調査として行われるということでありますが、希望する自治体の手挙げを待つのではなくて、国の方から対象地域を定めてこうした調査を行うということも必要ではないかと考えています。
 厚労省に伺いたいんですが、労災認定との関係で、石綿暴露のあった事業所は当然把握されているはずだと思います。建設業の場合はなかなか事業所と現場とは同じではありませんが、製造業の場合はほぼ同一だと思います。ある程度そういう地域を特定していく、それでリスクのあるところを特定することができると思うんです。そうしたものをやはり環境省の調査に生かしていくということも必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○岡崎政府参考人 労災の認定におきましては、当然のことながら職歴もとっておりますので、そういった意味におきまして、どこの事業場で仕事をされていたか、ある程度明らかになっています。
 これらの状況につきましては、過去に同じ事業場で就労されていた方への注意喚起ということもありますし、あるいは周辺住民等の方々への健康確認の契機にもなるというようなこともあるというふうに思っておりまして、毎年度、石綿暴露作業における労災の認定、あるいは事業場、これについては公表してきているところであります。
 これまで、実数で七千八百五事業場、延べで九千五百六十一事業場につきまして、その情報を公開しているところでございます。
○堀内(照)委員 公表はされているということですが、厚労省から環境省へそういった情報を提供したり、連携をとっているというわけではないわけです。
 本気で被害者を救済しようというのであれば、そうした労災認定との関係で、該当する事業所のある地域、これは、労働者だけが被曝するリスクがあるわけじゃない、周辺住民もリスクが当然あるわけでありますので、そういった管理をしっかり行っていくということが必要ではないか。
 今後、阪神・淡路大震災や東日本大震災での瓦れき処理に伴う暴露ということも懸念をされております。そうした地域を含めて、国の方から指定をしていく、リスク管理を行っていくということが大事じゃないか。
 さらに言えば、建築関係や学校などのリスクを考えれば、やはり全国に被害が広がっていく危険もあるわけです。
 労働安全衛生法に基づく健康管理手帳のようなものを環境暴露型の方々にも発行して、全国どこにいても必要な検査なりができるようなことというのが今後重要になってくると思うわけですが、この点、いかがでしょうか。
○北島政府参考人 試行調査の前身である石綿の健康リスク調査の対象地域につきましては、その開始年度である平成十八年度以降、環境省からの打診や自治体からの参加希望を踏まえまして、順次拡大してきたところであります。
 また、試行調査の実施に際しましては、できるだけ多くの自治体に参加を呼びかけるため、都道府県を通じまして全自治体にアンケート調査を実施し、その結果を踏まえまして、九地域十一自治体を指定したところでございます。
 試行調査は、肺がん検診と連携し、医師または保健師による保健指導を実施することとしておりますことから、自治体の理解と協力が必要でございまして、今後も引き続き、自治体の意向を踏まえながら、円滑な実施を図ってまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 アンケート、希望をとってというのは、やはり自治体からの手挙げにとどまっていると思うので、これはぜひ国の方から積極的な取り組みが必要だと指摘をしたいと思います。
 ちょっと時間の関係で問いを飛ばしたいと思うんですが、労災と救済制度とで給付内容が大きく違うことも問題だと思っております。
 労災では、医療費補助に加え、賃金の八割の休業補償などがあります。対して救済制度では、医療費の自己負担分と月十万円余りの療養手当。亡くなった際には、救済制度の場合は生存中の給付額が引かれるなど、これは先ほどからもずっと答弁がありましたが、片や使用者責任を含む補償という労災と、片や責任は問えないが広く救済するという、その制度の違いがあるんだということだとは思うんですが、同じ病気で、とりわけ環境型暴露について、本人に何の非もないのに発症してしまったものにこうも違いがあるということであります。
 ちょっと塩崎大臣にお聞きしたかったんですが、後で、最後にまとめてお聞きしたいと思います。
 高橋政務官に伺いたいと思います。
 救済法の給付の額を引き上げることが求められていると私は思っています。尼崎での被害の実相を考えると、クボタの責任は本当にはっきりしているわけで、使用した企業の責任ももっと問われるべきだと思いますけれども、救済法の枠組みはそういうものではないということはもちろん承知をした上でお聞きしたいんですが、責任の所在ということでいうと、企業よりさらにはっきりしているのは、私は国だと思うんです。
 一九七二年時点で、がんの原因になるという危険性が国際的にも指摘されながら、管理使用という考え方で、全面禁止は二〇〇六年までおくれたわけであります。それが被害を拡大させたことは間違いありません。
 冒頭、塩崎大臣に認識を伺いましたけれども、使用量がこうあるので、今後、千人ペースで被害が続くだろう、数十年続くだろうとの認識がありましたけれども、そういう点では、やはり輸入使用を認めてきた国の責任というのがあると思うんです。
 まずそこから認めて、救済法の給付をせめて労災並みに近づけていく、そういう努力というのが必要ではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○高橋大臣政務官 お答えいたします。
 これまでの判決で、環境関係法規に関する国の責任は認められていないと承知をしております。御指摘のとおりでございます。
 一方、石綿による健康被害救済制度は、原因と被害との因果関係を明らかにすることが大変困難であります。ですが、このような石綿による健康被害の特殊性に鑑み、民事上の賠償責任から離れて、社会全体の費用負担により、広く救済する仕組みを運用してまいりました。
 平成二十三年六月の石綿健康被害救済制度の見直しに関する中央環境審議会の二次答申におきまして、先ほども質問にいろいろございましたが、現行の救済制度の基本的な考え方を維持するほかないとこの答申ではしております。責任の有無を問わずに救済措置を実施するという性格を維持する以上は、費用負担のあり方や類似の他制度との公平性、つまり同様の水準であるべきというふうにされております。現行の救済給付を上回る変更を理論的に裏づけ、説明することは容易ではないという答申を受けております。
 以上です。
○堀内(照)委員 しかし、使用がなければこういう被害がなかったわけであります。
 建設アスベストの問題も非常に重大な課題でありまして、全てのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求める請願には、当委員会渡辺委員長を初め、全ての政党の皆さんも加わっておられます。
 ちょっと時間がないので、この運動の中で石綿被害者補償基金制度の設立を掲げている、これはぜひ厚労省としても受けとめ、検討すべきだということを指摘し、今後の課題では、解体の問題で、石綿を含んだ建材を使用した建物の解体、これが続くと思います。
 兵庫県尼崎市が独自に解体現場全てを立入調査しますと、石綿を含む建材はないと申請した三百二十九件のうち、四分の一以上、八十八件で含む建材が使われておりました。これは、つまり非飛散性と飛散性との扱いが違うということで生じたわけですが、非飛散性のものも飛散性と同等に扱うような規制強化が必要だと思いますが、この点いかがでしょうか。
○早水政府参考人 お答えいたします。
 石綿含有成形板などのいわゆるレベル3建材と呼んでおりますけれども、これにつきましては、吹きつけ石綿などの飛散性の高い特定建築材料に比べまして石綿の飛散が少ないと考えられるために、現在、大気汚染防止法に基づく届け出義務などの対象とはしておりません。
 他方、いわゆるレベル3建材につきましては、手作業による取り外しや湿潤化などによりまして石綿の飛散を防止することが可能と考えられ、環境省が示している石綿防止対策マニュアルでもこれを奨励しているところでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、レベル3建材の解体作業時の石綿飛散状況について、まだ調査事例が限られておりますので、現在、情報収集を行うとともに、実態調査の実施を計画しているところでございます。これらの調査結果などを踏まえまして、レベル3建材の解体作業に関する規制の必要性について検討してまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 割れたら飛散するわけで、やはりそこはしっかりと対応が必要だと思います。
 時間が来ました。済みません。最後に塩崎大臣に伺って、終わりたいと思います。
 国民の命と健康を守るという点では、本当に大事な役割がある省庁だと思います。課題は環境省にかかわることが多いわけですが、ぜひ、厚労大臣としてのイニシアチブも発揮していただきたい。最後にそのことだけ御所見を伺って、終わりたいと思います。
○塩崎国務大臣 労災につきましては厚生労働省が責任を負って、泉南の最高裁の判決も受けて和解に進んだわけでございますし、私も泉南にみずから行ってまいって、おわびを申し上げたところであります。
 今、環境省との間の御議論を聞いていても、救済法でカバーし切れないという方が残っておられるということ、その現実も今よくわかったところでありますので、私どもとしては、やはり厚生労働行政とそれから環境省の行政としっかりと連携をして、健康はやはり厚生労働省の責任でございますので、考えていかなきゃいけないなということを感じたところでございました。
○堀内(照)委員 ありがとうございました。終わります。