国会論戦・提案

派遣法改悪案 参考人、廃案を要求

正社員への道閉ざす 派遣法改悪案 参考人、廃案を要求

衆院厚労委 堀内氏が質問

 衆院厚生労働委員会は2日、労働者派遣法改悪案をめぐって2回目の参考人質疑を行いました。

 意見陳述したJMIU(全日本金属情報機器労働組合)の生熊茂実委員長は、「これ以上、非正規雇用を増やしてはならない」と強調。改悪案は臨時的・一時的業務に限るという考え方を転換するものであり、「正社員は激減し、派遣労働者は正社員になる道を閉ざされる」とのべました。

 トヨタの関連子会社・光洋シーリングテクノで、偽装請負とたたかい、3年の期間制限などもあるなかで、当時の派遣労働者全員が正社員になることができたと強調。改悪案は廃案にし、「派遣労働の実態にもとづいた抜本的改正を」と語りました。

 元派遣労働者の廣瀬明美さんは、専門業務と偽って違法に働かされてきた実態を告発。改悪案は「派遣の固定化につながるものであり、正社員が派遣に置き換えられる」とのべました。

 質問にたった日本共産党の堀内照文議員は、政府がキャリアアップや雇用安定措置により「正社員化」をはかると主張していることについて質問。生熊氏は、「3年たって業務を継続するなら、正社員化しなければならない。キャリアアップするだけで自動的に正社員化がすすむものではない」と語りました。

 堀内氏は、「派遣という不安定な雇用をさせない担保こそ必要だと思うがどうか」と聞きました。生熊氏は、「現行法の期間制限は、3年を超えて働かせる場合、直接雇用にしなさいというのが、基本の考え方だ。期間制限は、常用代替を防止する重要な担保だ」とのべました。

2015年6月3日(水)しんぶん赤旗より

 

◆議事録 2015年6月2日衆議院厚生労働委員会 参考人質疑

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 きょうは、貴重な御意見を本当にありがとうございます。私からも幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、廣瀬参考人にお伺いします。
 女性の派遣労働者数が七十万人に上り、そのうち過半数が主な収入源が自分自身の収入だけ、つまり派遣労働者としての収入だけだということであります。多様な働き方ということがよく言われ、派遣労働者にも派遣としての働き方のニーズがあるんだと言います。とりわけ女性の場合、育児との両立など、派遣労働者になりたいというニーズがあるんだという議論があるわけでありますが、女性の視点として、こうした議論というのはどうお考えでしょうか。
○廣瀬参考人 お答えします。
 多様なニーズとよく言われて、一九八五年に派遣制度が制定されて八六年から施行されましたが、本当にそれは私は甘言だと思っておりまして、実際は、やはり安価な労働力として、女性の労働力としてなされてきたと思っております。
 多様な働き方の中で、出産したりとか育児をするということが、今まで女性は正社員でもなかなかこれが困難であるのに、非正規労働者はよりハードルが高くなっております。派遣労働者は正社員の育児休業取得率の十分の一と言われていますよね。そういったところから、ちょっと論点が外れてしまったかもしれませんけれども、多様な働き方とは私は思っておりません。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 次も廣瀬参考人に伺いたいと思うんですが、今回の法改正の一つの理由として、専門二十六業務を廃止する理由として、一般業務との区別がわかりにくいというふうにしているわけですが、現場で働いていた実感からしてどうなのかということであります。
 廣瀬参考人自身は以前の適正化プランの適用第一号で、結果的に御自身はかないませんでしたけれども、同じ職場の仲間が直接雇用に結びついたわけです。
 ところが、今回の法改正で業務での区別がなくなり、個人単位、事業所単位の新たな期間制限、事実上形骸化となれば、これまで違法状態だったものが合法化され、正社員への道がまさに閉ざされることになります。
 そういう点でも、どういう方策が求められているのかということもあわせてお聞きしたいんですが、この点、生熊参考人から、やはり専門業務がややこしいというんだったらこれを厳しく限定して、疑義があるものは省令から外すべきだという御意見がありましたし、かつて、優先雇用義務ということで、直雇用につながる仕組みもあったわけですね。
 ですから、二つですね、一般業務と区別しにくいという議論があるけれども、それをどう見るのかということと、雇用の安定ということではどうあるべきかということをお聞きしたいと思います。
○廣瀬参考人 最初の質問をもう一度お願いできますか。
○堀内(照)委員 一般業務との区別がつきにくいという議論について。
○廣瀬参考人 今、十三業種のところから二十六業種に広がったわけですが、私も生熊さんと同じで、厳格化、私の発言でもありましたけれども、専門業種を厳しく厳格化していくこと、絞り込んで、例えばファイリングなどは、ファイリングとは言わないですけれども、その二十六業種の中で本当に混乱しやすいものは省いてしまって、物によってはしっかりと厳格化していく、絞り込んでいく、残していくものは残していくという方向にするべきだと思っております。もともと派遣法が専門業種からスタートしていることを見詰め直すべきだと思います。
 二つ目の質問ですが、もともと専門業種には、四十条の五に雇用優先義務がありました。三年目に同じ派遣先の職場に新たに人を雇い入れる場合、同じ業務で正社員を雇い入れる場合に、先にいた派遣社員の方が正社員化になる、直接雇用化になるというふうなものが二〇一二年度法案の前までありました。
 それが二〇一二年度法案で削除されたんですが、この理由が、専門二十六業務派遣が派遣先との交渉力が高くて雇用が安定しているという理由でした。とても安定しているとは思えないんですけれども、それを削除したのであれば何で、安定しているから専門二十六業務を残すという理屈でした、二〇一二年度改正は。であるならば、今回、何でそれを、専門二十六業種をなくして、不安定で、雇用をなくしていくんですかというふうに私は思っております。
○生熊参考人 私も、専門業務については、ファイリングとか事務用機器操作というのは本当に今は一般化しているわけですね。かつてはコンピューターを使う人というのは少なかったかもしれませんが、今は誰でもやるわけです。先ほど例に挙げたデザインの業務でも、パソコンでデザインするわけですから、実はデザイン業務ではなくて事務用機器操作で派遣を受けている。こんなことがあるわけですから、そういう誰が見てもおかしいというのは、もうはっきりしているわけです。そういうものは省令で削除すべきであろうというふうに思います。
 それから同時に、先ほどからお話があります二十六業務、これも三年という期間を設けられたらかなり大量の打ち切りが出るのではないか、こういう心配があって、私もその心配があるというふうに思います。
 そういう面では、先ほどからお話がありましたように、例えば、これがもしこのまま通るのであれば、今まで期間制限のなかった二十六業務について期間制限を設けるとなったら、三年が来た後には特例としてでもそれは優先的に直接雇用するとか、そういう抜本的な修正がない限りは、心配なさっているような専門業務の派遣の打ち切りということが起こり得るというふうに思いますので、このまま成立させることは非常に問題が大きいというふうに感じているところです。
○堀内(照)委員 ありがとうございました。
 次も廣瀬参考人に伺いたいと思います。
 今回の法改正で新たに個人単位の期間制限が設けられますが、部署さえかえればということになっております。
 この点、先ほどもありました特定の問題です。
 廣瀬さん自身が、日赤から、献血バス勤務からルームへ配転ということで、まさに特定ということを経験されたわけですが、そういう経験から、今回の、個人制限をかけたといっても部署をかえる、その際、どうしても特定につながらざるを得ないというこの法案の問題点についてどうお考えか、お聞かせください。
○廣瀬参考人 法案が今度、課をかわるということとつながっていきますよね。ということでよろしいですかね。
 私、面接と配転と両方ありまして、どちらが特定目的行為だったかは労働局がちゃんと出してくれてはいないんですけれども、両方とも特定行為をされていることは事実なんですね。
 これを実際今回の法案に当てはめて考えますと、バスからルーム、派遣先の日赤が直接私を選んでいるんですよ。それをやっちゃうと、これを今回の法案に当てはめると、だから課をかえるわけですよね、A課からB課に。そうすると、違反になっちゃいますよね。
 今回、三年たって課をかえればいいとなりましたよね、一方で。そうすると、前回、高橋議員がこの問題を指摘されましたけれども、私は現行法で特定目的行為違反として出ているんですけれども、課をかえる場合、誰がこれを選ぶんですか、三年先。これは問題なんですよ。
 私、この法案は欠陥法案だと思います、はっきり言って。これは使えないと思っております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 次は、生熊参考人に伺いたいと思います。
 これは今までも議論がありましたけれども、今回の法改正で、政府は、キャリアアップとか雇用安定措置を講じて正社員化だと言っておりますが、陳述の中でも、実態を見ていないという御批判がありました。政府は、三年ごとにじっくり見直してということを言うわけですが、これも陳述の中で、見詰め直すのは業務の方じゃないかということで、おっしゃったとおりだと思います。
 特に、光洋シーリングテクノは、まさに業務を見直して、技術継承のためには正社員化が望ましいということで正社員化の道が開かれたわけですが、現場の感覚からして、こういったキャリアアップや雇用安定措置を講じて正社員化ということを、果たしてそう言えるのかということですね。そのあたり、お聞かせください。
○生熊参考人 光洋シーリングテクノの場合も、そんなに簡単にできたわけではないんですね。
 ちょっと申し上げますが、確かに光洋シーリングテクノの場合は偽装請負という形でしたから、七年も八年も働いていて、実質的な派遣、偽装請負の労働者が正社員に仕事を教えるというようなこともあったわけですね。しかし、経営者の側からそれを進んで改善するということは当然なかったわけです。なぜならば、それは、低賃金で、いつでも契約を解除できるというか、いわゆる安全弁というふうに言う方がいますけれども、そういうことであれば、経営側にとって不都合がないわけですね。
 それを、経営者をしてこれは変えなきゃならないというふうにさせたのは、その契機、つまりチャンスがあったわけです。その一つが、やはり偽装請負という違法労働だということであり、もう一つは、三年間の期間制限があったということなんですね。ですから、もちろん私たちは、現場でもいい仕事をやっていこうということで経営者ともいろいろな話をしてきましたけれども、経営者がそこに決断をするにはやはりそういう契機が必要なんだと。
 だから、そういう面でいえば、先ほど申し上げましたように、三年間の期間制限というのは、経営者の側で業務を見直して、業務が継続してあるのならば直接雇用にしなきゃならない、あるいは正社員にしなきゃならない、そういうものを考えてもらうことが非常に大事なのではないか。やはり、単にキャリアアップをするだけでは、それは自動的に進むとかそういうものではないというふうに私は思います。
○堀内(照)委員 次も生熊参考人に伺いたいと思います。
 先ほどの陳述の中で、二〇〇三年の有期契約の問題で陳述されたこともおっしゃっていましたけれども、一年の臨時では単純な仕事しかできないけれども、三年に延長されれば相当のことができるようになるんだ、ですから有期がふえていくという懸念をされ、それがまさに現実のものになったんだという陳述でありました。それから、今もありましたとおり、経営者にとったら、まさにそういう人をずっと派遣として利用できるなら使い続けたいということで、正社員の雇用が控えられ、激減するだろうという御指摘でありました。
 常用代替の防止が派遣先労働者の保護なんだとよく言われますけれども、正社員の仕事を派遣が食ってしまうのではなくて、まさに正社員と同じ仕事をしているなら、派遣労働者を正社員にすべきだと。今ありましたように、派遣という不安定な働き方をさせない仕組みや担保こそ必要だというふうに思うわけですが、その点、お聞かせください。
○生熊参考人 こういう議論があるわけですね。実は、今の現行の派遣法というのは、正社員の保護をするものであって、派遣労働者の利益に反しているんだということが言われるわけですが、そうではないというふうに私は思います。
 実は、期間制限というのは、それ以上長く働かせるんだったら直接雇用しなさい、そういうことがこの法の基本的な考え方だと思うんですね。ですから、現行の派遣法は、やはり派遣労働者を保護するための期間制限を設けているんだということだろうというふうに思うんです。それがなくなれば、やはりそれは、先ほども申し上げましたように、正社員をたくさん雇う必要はないではないかということになっていくわけで、常用雇用の代替というのが進んでしまう危険があるわけですね。
 そういう面で、私は、期間制限というのは常用労働者の代替を防止する非常に重要な担保だ、このように考えているところです。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続きまして、鎌田参考人に伺いたいと思います。
 労政審のあり方についてです。
 そもそもこの法案は、労政審で、労働側からは、例えば二十六業務の区分を廃止することには反対するなどの意見がありましたが、そういった強い反対や懸念を無視して強引に取りまとめられたという批判もよく私も聞いております。そうした批判についてどうお考えかということをお聞かせください。
○鎌田参考人 今の御質問は、私が労働力需給制度部会の部会長ということで御質問されたのかなというふうに思うんですけれども、強引に取りまとめたというふうな御指摘はちょっと当たらないのではないかというふうに思っております。
 部会長としては、労使双方の御意見を伺いながら進めていくということで、それぞれのメンバーの御判断の中で一定の成案を得るべく努力していたということでございますので、今先生の御指摘のようなことはなかったというふうに理解しております。
○堀内(照)委員 そういう批判があったんだということで私は伺いました。
 最後に、生熊参考人に、今と同じ質問が第一点なんですが、労政審のあり方についてどうお考えかということと、それから、この法案は昨年の臨時国会冒頭に公明党から出された修正も取り込んだわけですが、そういう中身についてはそもそも労政審にもかかっていないわけであります。官邸主導の強力なやり方が目に余るという批判もあるわけですが、二点、労政審の今回の法案の取りまとめに当たってのあり方と、それから、労政審の原則さえ踏みにじっているようなこういう運営について、ぜひお聞かせください。
○生熊参考人 御存じのように、労政審の審議というのは、いわゆるILO基準に基づくといいますか、公労使、政労使という三者でこういう労働政策については決めていくんだという非常に重大な原則があるわけですね。
 そういう面では、さまざまな利害の調整なども含めて、本当に全体で、労働者の保護などを含めて、どうやっていいものにしていくのかということが大原則だろうと思いますが、最近は、労働者側の、認められないというような意見までついているにもかかわらず、すぐ答申してしまうとか、こういう運営がされていることに、私たち労働者、労働団体としては本当に非常に危惧を持っているところであります。
 先ほどお話のあった、前回の公明党さんの修正による臨時的かつ一時的労働の原則の問題ですね。
 これは、先ほども私申し上げたんですが、まさに法の根幹に触れる問題だというふうに思います。このことについて労政審議会で再度議論をすることなく、この法案の審議に入ってしまったということは、非常に重大な問題だと思っています。
 まさに論議不足だったし、こういう根幹に触れる修正、この問題についてされなかったということが、先ほど申し上げましたが、政府委員が派遣可能期間の延長というのをリセットと言う、こういうようなことがあり得るのかと。派遣可能期間の延長とリセットというのは、全く意味が違うんじゃないでしょうか。こんなことが政府委員から答弁されるというようなことは異常なことだというふうに思います。こういうことも、労政審議会で議論がされていなかった、このことの重大な反映ではないか、このように感じているところです。
○堀内(照)委員 ありがとうございました。
 時間になりましたので、以上で終わりたいと思います。時間の都合で秋山参考人には質問できなかったことを御容赦ください。
 ありがとうございました。