国会論戦・提案

労働者派遣法改悪案 生涯派遣 歯止めなし

生涯派遣 歯止めなし

派遣法改悪案 高橋・堀内両議員が追及

 日本共産党の高橋千鶴子、堀内照文両議員は27日の衆院厚生労働委員会で、労働者派遣法改悪案の論拠を突き崩し、「徹底審議か廃案しかない」と主張しました。

 堀内氏は、派遣期間を延長する際の労働組合からの意見聴取の義務付けについて、聴取を拒否された場合はどうなるのかと追及。坂口卓派遣・有期労働対策部長は「(聴取できなくても)違反にはならない」と答えたため、堀内氏は「『努力義務』と実質変わらない」と批判しました。

 堀内氏は、キャリアアップ措置について「法案には正社員になれる保証はない。多くの労働者はキャリアを持ちながら首を切られている。派遣制度が、労働者のキャリアを傷つけている」と批判。坂口氏は「レベルアップすることが正社員への近道」と答えるにとどまりました。

 高橋氏は、個人単位の期間制限について、「個人の派遣期間制限を管理するということは、派遣法で禁止されている労働者の特定につながる」と指摘。坂口氏は「個々の労働者について制限するもので、特定とは別だ」としか答えられず、高橋氏は「使い勝手のよい労働者を選別したいという派遣先の論理が優先されることになる」と批判しました。

 法案付則で「雇用慣行が損なわれるおそれがある」としている意味について、塩崎氏は「正社員から派遣への置き換えが常態化する場合」と答弁。高橋氏は「派遣労働者のニーズや多様な働き方といってきたのに、派遣が増えたら見直すというのは矛盾している。欠陥法案だ」と指摘すると、坂口氏は「もともと3年の見直し規定があった」などとしか答えられませんでした。

2015年5月28日(木)しんぶん赤旗より

 

 

◆議事録 2015年5月27日 衆議院厚生労働委員会

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 冒頭、この間の問題について一言述べたいと思います。
 いわゆる一〇・一問題のペーパーの問題や、質疑の中で大臣初め当局の答弁などをめぐって、これらの問題の整理と謝罪をということで、先週金曜日の委員会が飛びました。きょうは、その整理、謝罪を受けての委員会でありますが、そもそも、この法案がこれまで二度にわたって廃案に追い込まれたのも、国民の反対とともに、条文のミスですとか、答弁がころころ変わるといった問題があったわけです。今回だけの問題ではありません。この問題の根底にあるのは、十月一日のみなし規定を効力なきものにせんがために事を急いでいる中での、余りにずさんな対応のあれこれだということではないか。
 一応、大臣の謝罪があり、その中では、議員によって異なる資料を用いたことや、事実に関する的確な報告がなされてこなかったということなどは言うものの、それが国会での審議を余りにも軽んじていることへの言及や認識は定かではありません。結局、この謝罪が、今後審議を進めて九月一日施行に間に合わせてくださいというものであるならば、それは違うし、引き続き、国会軽視も甚だしいと言わなければなりません。
 本来、問題の重みを考えれば、こんな法案は撤回すべきだと厳しく抗議をして、質問に入りたいと思います。
 きょうは、そもそも論からやりたいと思っています。
 派遣労働の原則は、常用代替の禁止、臨時的、一時的雇用に限るというところにあります。定義や言葉の問題もこれまでこの委員会で議論になってきましたけれども、では、そもそも雇用の原則とは何なのかということであります。
 戦後、労働法制が確立していく中で、労働者供給事業や中間搾取についてどういう規定が盛り込まれたかということをお答えいただきたいと思います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今御質問の労働者供給事業並びに中間搾取の関係でございますが、まず、労働者供給事業でございますが、こちらの方は、職業安定法の第四条第六項におきまして定義を置いておりまして、労働者供給とはということで、「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第二条第一号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする。」と規定されております。
 その上で、委員御指摘の労供の関係の問題として、職業安定法の四十四条でございますけれども、同法四十五条に規定する場合を除くほかということでございますけれども、「労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。」と規定することによりまして、労働者供給事業は原則として禁止されているということでございます。
 また、続きまして、中間搾取の関係でございますけれども、こちらの方は、労働基準法の第六条におきまして、「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」ということで、中間搾取の排除について規定をされているというところでございます。
○堀内(照)委員 ですから、雇用は直接雇用がやはり原則であって、あくまで派遣というのは例外だと。
 ところが、一九八五年、派遣労働の導入以降、九九年の原則自由化、二〇〇三年の製造業解禁など、規制緩和が重ねられる中、本来正規雇用の職員が担うべき恒常的な仕事を派遣労働者が行うという意味で、実態として常用代替がかなり進んできた。
 本会議での質問で、私は、総務省の調査も引いて、正規がこの間五百万人減る一方で、非正規が一千万ふえたと指摘をしました。派遣労働者数を見ても、九九年の原則自由化後、三十万から五十万人規模で推移をしてきた派遣労働者数が、製造業解禁で八十五万、百六万人と急増し、〇八年、ピーク時には百四十万人。リーマン・ショック後、減ったとはいえ、百万人前後で推移をして、現在、百二十万人であります。
 個々の職場でもそうした状況が広がっています。沖電気の職場を明るくする会というところが発行している職場新聞によれば、沖電気埼玉県本庄工場では、リーマン・ショック後の二〇一〇年から二〇一四年にかけて、正社員がおよそ半分に減る一方で、派遣労働者はふえ続けて、ついに職場の六割近くを占めるに至っております。
 この間の派遣法のたび重なる改悪がこうした常用代替を進めてきたという認識が大臣にはございますでしょうか。
○塩崎国務大臣 労働者派遣法につきましては、常用代替防止の原則を維持しながら、経済産業構造の変化に応じて、派遣で働く方の一層の保護と雇用の安定を図りながら、働く方々の多様なニーズに応じた働き方の実現を目指して、累次の改正を重ねてきたところでございます。
 長期的に見れば、昭和六十年、一九八五年の労働者派遣法制定以降、派遣労働という形態が多様な働き方の一つとして定着をしてきたことは、これは事実だろうというふうに思います。
 一方で、労働者派遣事業報告によりますと、平成二十年度以降、派遣で働く方の人数は減少傾向にあるということでございまして、いっとき、平成二十年ですかね、二百二万人でしたけれども、平成二十六年、百二十六万人ということでございます。
 派遣で働く方の中には、正社員を希望する方もいれば、臨時的、一時的な働き方として派遣をむしろ積極的に選択している方も同数程度いるところでございまして、厚生労働省としては、正社員を希望する方については、正社員への道が開かれるようにする、同時に、みずからの働き方として派遣を積極的に選択している方については、その待遇、処遇の改善などを図ることが重要だというふうに考えているところでございます。
○堀内(照)委員 多様なニーズとおっしゃるんですけれども、厚労省自身の調査の中で、就業形態別に問うているものがあるんですけれども、なぜ今の就業形態を選んだのかと。自分の都合のいい時間に働けるからとか、家事、育児などと両立しやすいからということなどの項目はあるわけですが、派遣社員の中では、むしろそういうことで派遣についたという人は二割ぐらいなわけですね。一番多いのは、やはり正社員として働ける会社がなかったということで、派遣労働者の四四・九%がそう答えています。
 正社員になりたいけれどもなれないという、選びようのない状況をつくっておきながらニーズと言うことは、やはり許せないと思うんですね。派遣労働者のニーズがあるんじゃなくて、正社員になりたいというニーズにこそ応えるべきだと思います。
 先ほどの沖電気の、ある四百人の職場では、派遣社員がやはり急増して、正社員が一割、派遣社員が約三百人、七五%にまで達しているというところまであるというんですね。二十四時間操業の現場で、派遣労働者が生産の主力になっている。直接雇用の原則に立ち戻って、本当に派遣労働を一時的、臨時的なものに厳しく限定し、直接雇用に向けた法的縛りこそやはり強めなければならないというふうに思うわけであります。
 ところが、法案は、その担保となる期間制限を、実際には効力なきものにしようとしています。
 前回、質疑の中で、事業所単位での期間制限延長にかかわって、過半数労働組合の意見聴取について伺いました。
 ちょっと答弁が余りすっきりしなかったので、理事会で御協議いただいて、厚労省の見解を整理していただきまして、そこには、「過半数労働組合等が拒否した場合であっても、派遣先が適切な手続に則って意見聴取をしようと働きかけたと客観的に認められる場合には、派遣先が意見聴取を怠ったとは考えにくいため、意見聴取義務違反にはならないものと考えております。」というものでありました。
 つまりは、意見聴取が行われなくても、働きかけが行われていればいいということでいいんでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
 まずもって、今回の改正案では、理事会のペーパーにも書かせていただいたとおり、「派遣先の事業所単位の期間制限を延長する際には、派遣先は過半数労働組合等の意見を聴かなければならない」ということがまず義務づけられているということでございますので、それが大前提ということでございます。
 ただ、前回、委員から御質問ありましたように、過半数労働組合が、そういった意見聴取について、派先が適切な手続にのっとって働きかけたと客観的に認める場合に拒否したという場合についてということでございましたので、そういった場合につきましては、派遣先が意見聴取を怠ったとは考えにくいため、意見聴取義務違反にはならないということで考えておるというところでございます。
○堀内(照)委員 結局、これでは、派遣先の労働者代表が異議を唱えようが意見聴取を拒否しようが派遣先の意向どおりにできるということで、本当に何の歯どめにもならない。実質はもう努力義務ということであります。
 労働組合の意見聴取にかかわってもう一点なんですが、実際の労働組合の組織率は二割を切っているわけです。労働組合のない事業所での過半数代表者の実態も、選挙で選ばれたというのは八・三%にすぎません。会社が指名したというのが二八・二%。社員会、親睦会などの代表が自動的に過半数代表者になったというのが一一・二%です。先ほど、井坂さんの資料の中で、反対が少なかったり、特に意見が出されなかったという背景はここにあるというふうに思うんですね。
 でも、こういう実態の中で意見聴取が行われて、それが正当な手続と言えるんでしょうか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 意見聴取に当たっての過半数代表の取り扱いということでございますが、この点につきましては、この法案の提出に当たって御議論をいただいた労働政策審議会の建議におきましても、「適正な意見聴取のための手続」ということで、「過半数代表者は、管理監督者以外の者とし、投票、挙手等の民主的な方法による手続により選出された者とすることが適当である。」ということとされておりまして、私どもとしましても、このような取り扱いで取り扱ってまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 今の労基法上の省令でも、会社の指名はだめだというふうになっていると思うんですが、それでも三割近くが会社の指名だという実態なんですね。
 しかも、今、建議の中身で、民主的な方法ということをおっしゃいましたけれども、挙手でもいいんだということであります。これでは、会社の意を酌んだ結論にしかならないんじゃないですか。
○坂口政府参考人 今議員の方からも挙げられましたけれども、労働基準法上の過半数代表の選出のあり方についても同様の取り扱いをしているところでございまして、挙手も含めて、しっかり管理監督者以外の形の者を過半数代表として選ぶということでの民主的な方法での選出方法ということで、適当であるということで私どもとしては考えてまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 本当に会社の意を酌んだ代表しか選ばれないんじゃないかというふうに思うわけであります。
 それで、もし、そこの正当に選出されない代表者が意見聴取をされたという場合には、やはりこれは期間制限違反として、みなし規定の対象となるんでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねのように、今回の改正案では、期間制限の規定を設けておりまして、その手続としての過半数組合、あるいは過半数組合がおられない場合は過半数代表という形での意見聴取を義務づけておるところでございますが、派遣先が過半数労働組合等の意見を聴取せずに期間制限を違反して派遣労働者を受け入れた場合ということになりますと、一定の手続違反を除きまして、労働契約申し込みみなし制度の適用の対象となるということで私どもとしては考えております。
○堀内(照)委員 いや、聴取せずじゃなくて、聴取した相手が正当に選出されていないという場合はどうなのかということなんです。
○坂口政府参考人 労働契約申し込みみなし制度の適用の対象外となります手続違反の範囲につきましては、今後、労政審で議論を深めていただきたいということでは考えておりますけれども、今も御質問のあったような、過半数代表者が民主的に選出されていない場合というようなことになれば、これはやはり、意見聴取の手続の中でも、意見聴取を行っていないものと同視し得るような重大な手続違反ということで考えられるかと思いますので、私どもとしては、現段階では、労働契約みなし制度の適用の対象になるということで考えております。
○堀内(照)委員 意見聴取しなければならないというのは、これは法律の大前提ですので、それが正当な代表でないということになれば、ここはきちんと、もちろん、みなし規定の対象とすべきであります。
 同時に、そういった代表が正当かどうかというのが派遣労働者にはわからないわけですね。それで、意見聴取や説明の際、その内容について記録し、一定期間保存するとともに、派遣先の事業所において周知するということになっていると思うんですが、そこにぜひ、労働者代表が正当な資格を持っているのかどうか、選出方法についても記載すべきだと。そのことによって、正当な選出を行っていく担保、縛りにもなると思いますので、そのことも指摘をしておきたいというふうに思います。
 適正な手続さえ踏まないのは、期間制限違反になって、みなし規定の対象になるのは当然であります。しかし、手続さえ踏まえれば、もうとにかく、いろいろ反対があっても説明さえすれば期間の延長は可能なわけで、そこには本当に歯どめがないわけですね。
 井坂さんの資料の中で、実際には反対する労働者代表、労働組合は少ないじゃないかというのがありました。そういう一面というのは確かにあると思うんですね。
 前回、私は、医療材料の配送で働く、冷蔵庫の中で過酷な勤務をしているという労働者の例を紹介しましたが、そこの現場もどんどん派遣に置きかわっていったわけですね。やはり、そういうきつい仕事は、正規労働者が嫌がる過酷な仕事を使い勝手のいい派遣に置きかえていくということはあるわけで、そういう点では、本当に労働者保護というのなら、何より、一番の当事者である派遣労働者の意見こそ聞くべきではありませんか。
○坂口政府参考人 一連のお尋ねの、この意見聴取、事業所単位の期間制限の関係ということは、これは、派遣先において正社員から派遣労働者へのいわゆる常用代替ということが起きないようにということの、防止を目的として、このような形で、同じ事業所における継続的な派遣労働者の受け入れについて期間制限を課すということとしておるものでございます。
 そういった制度の趣旨に鑑みますと、この意見聴取をする相手方につきましては、やはり派遣先の労働者の方々から成る過半数労働組合等からの意見聴取を義務づけるということをその趣旨としております。
 そういう関係上、やはり派遣労働者御本人につきましては、こういった意見聴取という対象としては取り扱わないということで、ただ、派遣労働者御本人に対しても、いろいろな形でその保護ということをしていくということは重要という観点がございますので、今回の改正法案につきましては、派遣会社、派遣元の方にいろいろな一義的な雇用責任というものを課して、派遣労働者の保護ということをしっかり担保してまいりたいということで考えております。
○堀内(照)委員 派遣労働者に派遣先企業との団体交渉権を認めるなど、派遣労働者の声が反映される仕組みがやはり必要だということを指摘しておきたいと思います。
 事業所単位での期間制限といっても、結局は、やはり何の歯どめもありません。三年、六年、九年と続けば、きょうもいろいろ議論がありましたけれども、結局、このどこが臨時的、一時的なのかということを私も聞こうと思っていたんですが、既に大臣の答弁もありました。
 そこで、先ほど、個人単位でも期間制限があるんだということも大臣はおっしゃいましたけれども、これは楽天リサーチ株式会社が二〇一三年三月に調査をしているんですけれども、期間制限抵触後に部署変更した人のうち、この法案で規制の対象となる係の異動ですね、同じ課、グループの中での異なる係、チームへの異動だという人は二一・八%にすぎません。今でも八割近い人が、課や部、事業所を超えて部署変更して、派遣延長になっているわけです。しかも、その半数が、仕事内容はほとんど変わらないと答えているんですね。
 ですから、事業所単位での期間制限も三年、六年、九年と続くし、個人単位の方も、いや、係の異動を今度規制するんだといっても、実際にはもうほとんどがそういう条件はクリアしていて、しかも、半数の人が同じ仕事内容なんだということでは、本当に、個人単位の制限といっても、これは何の歯どめにもならないんじゃないか。これを組み合わせると本当に一生涯派遣ということにやはりなりかねないんじゃないですか。これは大臣にぜひ答弁いただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 これも繰り返し御答弁申し上げておりますけれども、今回の改正案では、派遣先に対して、同じ事業所における継続的な有期雇用の派遣労働者の受け入れは三年までという事業所単位の期間制限を課すということとし、三年を超えて受け入れる場合には、先ほど来お話で出ております過半数組合等からの意見聴取を義務づけるということになっております。
 この事業所単位の期間制限は、言うまでもなく、雇用が不安定な有期雇用の派遣で働く方の当該事業所での受け入れは一律三年までとすることであって、過半数労働組合の意見を聞いて延長することは可能でありますけれども、その延長後の受け入れは改めて三年間の期間制限が課せられるということで、今、事業所単位でも三年、六年、九年という話が出ましたが、やはり新しく、改めて始まる三年間の期間制限が課せられるということだと思います。
 個人もそれは同じことであって、同一の組織単位で上限三年ということであるわけでございまして、なかなか、課単位ということで言っておりますけれども、新しい課に移るために必要な技能というか知識とか、そういうものもあるわけでございますので、これの取得を進めるために私たちはキャリア形成支援制度というものも設けているわけであります。でありますので、その次に正社員にステップアップをする、あるいは無期雇用になる等々のためには、やはり力をつけていくということが大事ではないかなというふうに思うわけです。
 ですから、事業所単位、個人単位、それぞれの三年間の受け入れを臨時的、一時的な利用として取り扱うわけでございまして、結果として、事業所にあっては、常用代替の観点で問題がないという延長がされた期間を通算しても、臨時的、一時的と考えているものではないわけであって、個人単位については、やはり一旦立ちどまって、ここで考えて、もちろん雇用安定措置のもとで幾つかの選択肢がございますので、そういうことで、一生ずっと派遣でいく、固定化をするということは避けていくということが基本だというふうに考えております。
○堀内(照)委員 いろいろおっしゃいましたけれども、先ほど阿部さんとの質疑の中で大臣が、三年ごとに考えてもらうハードルを少し高くしたんだとおっしゃったんですよ。少しというところにそのニュアンスが出たのかなと私は思ったんですけれども、結局、いろいろ制限だと言っても、軽々と乗り越えられるハードルなわけなんですね。だからこそ、私は、組み合わせたら本当に三年、六年、九年とずっと派遣ということになるじゃないかということを指摘したわけです。
 キャリアアップということもおっしゃいました。キャリアアップについて、厚労省は正社員化を含むキャリアアップだということで説明をされております。
 しかし、法案の条文では、派遣元事業主に教育訓練等の実施を義務づけ、職業生活の全期間を通じその有する能力を有効に発揮できるように配慮しなければならないとか、職業生活の設計に関し相談の機会の確保などを行わなければならないというふうにあるんですが、どこに派遣労働者が正社員化される措置が含まれているのか。これは政府参考人でも結構です。
○坂口政府参考人 今委員御指摘のように、今回の改正法の第三十条の二でございますけれども、派遣元事業主について計画的な教育訓練を義務づけているというものでございます。
 この点につきましては、今お尋ねございましたが、職業能力を向上させて正社員となる可能性を高めるというためには、現在の派遣の仕事をするに当たって必要な能力でありますとか知識のレベルアップを図っていくということがやはり一番の近道だろうということでございまして、そういった観点から、今回の改正法案で計画的な教育訓練などのキャリアアップ措置というものを義務づけることによって、正社員化にもつながっていくということで私どもとしては考えているということでございます。
○堀内(照)委員 近道だとかつながっていくということなんですけれども、保証という点では示されなかったと思うんですね。
 キャリアアップを図ったりスキルを身につけないと正社員になれないということじゃないと思うんですね。もともとキャリアがないから派遣労働にとどまっているというわけじゃないというふうに思うんですね。専門二十六業務は、そもそも高度な専門性を持つ仕事です。
 私がお話を伺った四十代の女性は、もともと外資系で通訳の仕事をばりばりして働いていた。安定した雇用と思っても、結局派遣しか求人がない。この二十年を振り返ってみたら、結局、安上がりで、雇用の調整弁として使われてきたんだと。
 ある製造業で働いてきた男性は、二十四時間操業で、気温が四十度近くにも上がる過酷な現場で、十二時間二交代の勤務をこなしてきた。この方は偽装請負から派遣とずっと働き続けてきたわけですが、正社員よりもベテランになっていく。機械音を耳で判断して、きょうは機械の調子が悪いから回転数を落とそうとか、湿度なども考慮して、材料をまぜるタイミングやまぜる時間を秒単位で調整するなど、感覚、技術を研ぎ澄ませて、三〇%だった不良率を五%にまで減らすなど抜群のスキルを有していましたけれども、それでも派遣だったんです。
 キャリアアップして正社員と言いますけれども、キャリアがある人は、正社員になるためにはあとは何が足らないというんでしょうか。努力なんでしょうか。これは自己責任の世界なんでしょうか。大臣、お願いします。
○塩崎国務大臣 これはきょうも何度もお答えを申し上げたところでありますけれども、雇用関係というのは、最終的に、使用者側が働く人を雇うという格好になるわけでありまして、その際に、法律で義務づけることと義務づけられないこととございますので、最後にどういう形で選ぶかというのは、やはり使用者が雇用をどういう形で決めるかということにかかってくるわけでございます。
 私どもとして大事なことは、制度として、できる限り、相対的に弱い立場にある働く人たちの立場が守られるということが大事であって、それを私たちは、先ほど来申し上げているように、これまでの派遣法のたてつけよりもはるかに、一人一人の働く人たちの能力アップと、それから、立場を守るということに関しては、雇用安定措置もそうですし、それからキャリア形成支援制度も、同じように、その人の価値を上げるということで、そういうことをやはり重ねていくための、よりやりやすい仕組みということをつくるのが、私たちの公共政策としての責任だろうということを申し上げているわけでございます。
 先ほどから申し上げているように、正社員に間違いなく一〇〇%なれるというようなことを保証できれば、それはそれにこしたことはございませんけれども、やはりそういうことは、この自由主義の、資本主義の世界の中、日本の中でやることはなかなか難しいということで、最大限、そういう可能性が出てくるような手だてを私たちとしては御用意をしているというのが今回の法改正だというふうに思います。
○堀内(照)委員 使用者が雇用を決めるというふうにおっしゃいました。そのとおりで、足りないのは派遣先企業の雇用責任だと私は思うんですね。
 それで、先ほど紹介した男性は、結局首切りに遭いまして、培ってきた技術が生かせないのが悔しいとおっしゃっています。こういう働かせ方が、物づくりの日本の技術も低下させている。つまり、後輩が入ってきても、自分のスキルを教えられない。教えたら、自分より時給の安い後輩にかわっちゃうんじゃないかということで、教えられなかったと言うんですね。
 キャリアアップと言うけれども、派遣労働の制度そのものが労働者のキャリアに傷をつけていると言わなければならないというふうに思うんですね。派遣先企業の雇用責任、臨時的、一時的というんだったら、そこをしっかり厳しく限定して、正社員化への道を本当にしっかりとつけていく。直接雇用の大原則に戻るということを厳しく求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。