国会論戦・提案

労働派遣改悪法案を批判

 

派遣期間 歯止め失う 厚労省示唆 労組意見聞かず延長

衆院委で堀内氏 改悪法案を批判

 日本共産党の堀内照文議員は15日の衆院厚生労働委員会で、労働者派遣法改悪案について、これまで最長3年までとされてきた期間制限の歯止めがなくなると追及しました。

 改悪案では、派遣先企業が派遣の受け入れを延長する場合、職場の過半数労働組合などの意見聴取が義務とされています。堀内氏が「組合がそもそも意見聴取に応じなければどうなるのか」とただすと、坂口卓厚労省派遣・有期労働対策部長は「派遣先は意見聴取を働きかけたので、手続きを怠ったとは考えにくいが、審議会で議論してほしい」とのべ、意見を聞かなくても期間延長できることを示唆しました。堀内氏は「(法案には)意見を聞かなければならないとはっきり書いてある」と批判しました。

 堀内氏は、改悪案が“無期雇用の派遣労働者は雇用が安定している”として期間制限を撤廃している問題について、「有期雇用より解雇されていないというデータがあるのか」と質問。坂口部長は「具体的データということではない」として示せませんでした。

 堀内氏は、技術者派遣大手シーテックが2009年、無期雇用の派遣労働者4800人を1~2カ月「自宅待機」にした後に解雇した事例を示し、「安定とは程遠い」と強調しました。

 堀内氏は、改悪案の施行日を9月1日にしたのは、違法派遣の場合に派遣労働者を直接雇用にする「みなし制度」の10月施行を発動させないためだとのべ、「動機も目的も労働者保護とはかけ離れたものだ」と批判しました。

2015年5月16日(土)しんぶん赤旗より

動画

https://youtu.be/ZgGu-K03le4

◆議事録 2015年5月15日 衆議院厚生労働委員会

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 きょうは、派遣法の改正案にかかわりまして、いわゆる一〇・一問題と、それから、昨年の臨時国会の審議前に公明党から示された修正案を今回取り込んだということで、審議に入る以前の問題、前提の問題としてこれも曖昧にできないというふうに考えていますので、まずその問題からお聞きをしたいと思っております。
 一〇・一というのは労働契約申し込みみなし制度の施行日でありまして、期間制限違反など違法派遣があった場合、派遣先企業が派遣労働者に対して直接雇用の契約を申し込んだものとみなす制度です。今度の法案は、その施行の一カ月前の九月一日が施行日となっています。
 本会議で私が安倍総理に質問しましたが、法案施行日が九月一日になっているのは、このみなし規定を実質発動させないためではないですかとお聞きをしたわけですが、総理の答弁は、施行日については、円滑に施行するため、周知期間等を踏まえたものであり、みなし規定を実質発動させないためとの指摘は当たりませんというものでした。
 大臣も同じ認識だということでよろしいでしょうか。
○塩崎国務大臣 このペーパーは、何度も申し上げておりますけれども、法案担当課において、昨年冬ごろ、法案の施行日の説明を行う際の補足資料として作成をされたものでございまして、議員に御説明に伺ったときに、個別に施行日に関する御質問があった場合などに必要に応じて使うということがあったというものでございます。
 これは、平成二十四年の法改正によって、派遣先において、派遣受け入れ期間の制限を上回るなど違法な派遣の受け入れがある場合に、その派遣で働く方に直接雇用の契約を申し込んだものとみなす制度が設けられ、本年十月一日からの施行が予定をされているということがまずあったわけでございます。
 一方で、現行制度では、いわゆる二十六業務について派遣受け入れ期間の制限対象から除外をしているわけでありますけれども、対象業務に該当するかどうかというのがわかりにくいなどの課題があるために、改正案では、現行の期間制限を廃止して、全ての業務に適用されるわかりやすい仕組みを設けることとしたわけでございます。
 これは、附帯決議がその二十四年当時にあって、自公民の合意を踏まえて期間制限をわかりやすくしたわけでありまして、これで派遣先の懸念を解消し、労働契約申し込みみなし制度が円滑に施行できる環境を整備していくための見直しを行うものであって、私も総理と同様に、みなし規定を実質発動させないためとの御指摘は当たらないものというふうに認識をしております。
○堀内(照)委員 今答弁ありましたけれども、まさにこのペーパーは施行日の説明のためなんだと。
 最初のペーパーでは、もう明確に、経済界等の懸念だとして、「申込みみなし制度が施行されることを避けたい。」と明記されているわけなんですね。いろいろおっしゃいましたけれども、削られたこの部分というのは、まさに今回の法改正の本当の動機、本音を私はよくあらわしているというふうに思うんですね。
 なぜ九月一日なのか。大臣、答弁の中で、派遣先の懸念を解消するんだとおっしゃった。ちょっとその一端があらわれたのかなと思ったんですけれども、まさに、この一〇・一をそのまま迎えたくない、みなし規定の施行を避けたいという経済界の懸念に応えたものじゃないですか。
○塩崎国務大臣 今回の改正案は、一部届け出制となっております労働者派遣事業を全て許可制にするとともに、業務単位の期間制限を見直して、全ての業務に適用されるわかりやすい仕組みを設けるなど、派遣で働く方の保護の観点から必要な規制を強化するということを図っているものでございまして、早期に施行することが望ましいというふうに考えているところでございます。
 また、いわゆる二十六業務に該当するかどうかによって派遣期間の取り扱いが大きく変わる現行の制度については、派遣で働く方や派遣元、派遣先企業にわかりやすい制度となるように速やかに見直すことは、平成二十四年改正の際の、先ほど申し上げた自公民の三党の共同提出の附帯決議にも書かれていたものでございます。今回の改正は、この附帯決議を踏まえて、派遣で働く方の保護を強化するものでございます。
 さらに、いわゆる二十六業務に該当するか否かがわかりにくい現行制度のまま十月一日から労働契約申し込みみなし制度が施行されると、派遣先が意図せずに違法派遣を受け入れ、そして労働契約申し込みみなし制度が適用されてしまうというリスクを回避するために、派遣先が派遣で働く方の受け入れを十月一日前にやめる可能性があるとも考えているわけでございます。
 これらの背景から、施行日を九月一日とするものであり、九月一日を施行日にしている意図は、経済界からの懸念に応えるものではないのかとの御指摘は当たらないものと考えております。
○堀内(照)委員 大臣は、施行日の説明のためのペーパーなんだと。
 当初のところでは、もう明確に経済界の懸念だということで書かれていたわけですから、法案を作成した担当課としては、施行日がこの経済界の懸念を受けたものなんだと意図していたという事実は否定できないんじゃないですか。
○塩崎国務大臣 今もう御説明したとおりで、それに尽きると私は思っております。
○堀内(照)委員 総理の答弁で、施行日については、円滑に施行するため、周知期間等を踏まえたと言っているんですよね。これは大臣も同じだと冒頭お認めになりましたけれども、周知期間が要るのであれば、なぜそんなに九月一日と急ぐんですか。これは不自然だと思うんですね。
 なぜ九月一日かというと、やはり一〇・一に間に合わないというのが一番の動機であるということですよね。これはやはり、経済界の懸念に応えるということしか理由はないんじゃないですか。
○塩崎国務大臣 私どもは同時に、いろいろなことを考えるわけでありますが、大事なことは、やはり派遣で働いていらっしゃる方々のお立場も考えなければいけないというふうに思っております。
○堀内(照)委員 派遣法の枠組みを根本から変える大転換なんですよ。保護と言いますけれども、みなし規定が施行されると、違法派遣なんかがあったら直雇用されるわけですよね。それを、実際には期間制限を効力なきものにしていくわけですから、これは本当に重大な、保護どころか保護されないわけですよ、派遣労働者が。そういう重大な転換を、周知期間がわずか、もう目の前に迫っている、そんなことで施行するというのはあり得ないんじゃないですか。
○塩崎国務大臣 新しい法律に基づく期間制限で、そこで違反をするようなことがあってもいけませんし、いずれにしても、この十月一日からの労働契約申し込みみなし制度は、既に法律が成立をして施行が決まっているわけでありますので、ここで現場の混乱が起きないようにすべきではないかということを考えてこういうことでございまして、もともとこの十月一日からのみなし制度というものは我々が通したものでございますので、それにきちっと対応できるようにしておくということでございます。
○堀内(照)委員 混乱と言うんですけれども、期間制限のない専門業務だといいながら、実際には一般業務もさせてきた、いわば違法、脱法行為があるわけですよね。その現状をきちんと規制しなければならないときに、それをもう合法化するようなことなわけですよね。だから、その一〇・一を目の前にして企業が慌てているということであって、だから経済界の懸念に応えているということにしかならないじゃないですか。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおり、もともと平成二十四年の法改正の際に附帯決議がございまして、それに基づいてわかりやすい制度にしていくということで、これは、あくまでも派遣で働く方の保護を強化するという立場からの見直しを私どもはしているわけで、それによって、今回は、派遣元の規制の強化ということで、この二十六業務の、今までは期間制限がなかったわけでありますけれども、これも三年の期間というものを設けるということにいたしたわけであります。
 一方で、先ほど申し上げたように、十月一日からの労働契約申し込みみなし制度は、もともと既に施行が決まっていることでありますので、これに現場の方々に混乱がないように、しっかりとやっていくためにこういう形にしているということでございます。
○堀内(照)委員 これだけ聞いても、ごまかしはだめだと思うんですよね。
 専門業務がわかりにくいと言いますけれども、期間制限のない専門業務だといいながら、実際には一般業務の仕事をさせてきたという違法行為がやはりあるわけですから、みなし制度が生きていると、そういう人は直雇用されていくわけですよね。身分がより安定するわけですよ。それがなくなってしまうわけですよね。
 後でちょっとまた期間制限のこともやりますけれども、そういう、一〇・一を前にして企業が慌てて懸念をしている、そこに応えるというのがまさに本当の理由であって、余りにもそれを正直に書いたものですから、あからさまだから、その批判を前にペーパーを変えたというのが今回の騒動の本当のところだと私は思うんですね。まさに経済界の要望に応えて、労働契約申し込みみなし制度の施行が始まる前にその実効性を失わせようというのがこの法改正の本質だと言わなければならないというふうに思うんです。
 もう一点、さきの臨時国会で公明党から出された修正を取り込んでいるという件なんですが、これも本会議で私お聞きしたんですが、労政審を通っていないじゃないかと。この指摘に、大臣からは、建議の内容の範囲内のものであると認識をしているため、改めて諮問しなかったという答弁でありました。
 それなら、この修正というのは修正前と大差がないのか、何のための修正だったのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○塩崎国務大臣 今回の労働者派遣法改正案は、公労使から成る労働政策審議会の建議を踏まえた改正法案でございます。
 さきの臨時国会からの修正に関しても、建議の内容の範囲内のものであると認識をしているために、改めて労政審にお諮りをしなかったものでございまして、一方で、今回の修正は建議の内容の範囲内ではあるものの、これにより、派遣は臨時的、一時的という趣旨がより明確になるなどの意義があるものだというふうに考えているところでございます。
○堀内(照)委員 明確にしたとおっしゃるんですけれども、実際には、国民の批判や、前回の国会審議を通じて明らかになった法案のぼろを取り繕ったというのが本当のところだというふうに思うんですね。
 これは厚労省も説明ペーパーをつくっています。修正前、修正後ということで整理もされていますけれども、今大臣が明確にしたという言葉どおり、明確化ということも出てくるんですね。
 例えば、過半数労働組合等に対する対応方針等の説明、これはいつするのかというのがありましたけれども、期間制限に達するまでにやるんだと明確化したと書いてあるんですけれども、まさにこれは前回の審議の中で大臣の答弁が二転三転したところじゃないですか。私はこのときはいませんでしたけれども、議事録を拝見させていただきました。
 明確にしたということは、つまりは取り繕っているということではありませんか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員の方から御指摘ありました点は、派遣受け入れ期間延長に対する説明という部分のことでございますけれども、これにつきましては、先ほど御指摘ありましたように、廃案となりました臨時国会に提出した法案では、派遣先が第三項の規定により派遣可能期間を延長したときは速やかにという形での、対応方針等の説明をしなければならないという規定ぶりになっていたものですから、今委員の方からも御指摘ありましたとおり、延長した後に説明すればよいというようなことの誤解のおそれがあるのではないかという御指摘もあったということもございまして、今回につきましては、この説明のタイミングを、過半数代表から異議があった場合に、期間制限に達するまでの段階で説明しなければならないということを明らかにするという形で、「延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、」という形で、まさに明確化という形で改正、修正をさせていただいたというものでございます。
○堀内(照)委員 やはり、お聞きしたら、取り繕ったというふうにしか思えないんですね。
 それで、この修正について私、もう一点、本会議で、修正で盛り込まれた「雇用慣行が損なわれる」ということについて、これはどういう事態ですか、どういう事態を想定しているんですかということで総理にお聞きをしました。総理からは、正社員が派遣労働者に置きかわる常用代替が常態化するような状況が考えられると答弁がありました。
 これはつまり、やはり、この法案によって派遣労働者がふえるということじゃないんですか。
○塩崎国務大臣 これも何度も答弁申し上げておりますけれども、派遣で働く方がふえるか減るかということにつきましては、さまざまな要因が重なって最終的に決まることだというふうに思っておりまして、景気とか、雇用あるいは失業情勢、あるいは働き方において多様性というものを希望する労働者の意向とか、さまざまな要因で、景気全体の上向きか下向きかということもいろいろあると思います。ですから、トータルとして最終的にふえるか減るかというのはなかなか予想困難というふうに考えるべきだろうと思っております。
 なお、今回の法改正では、派遣先に対して、事業所単位の期間制限を課して、そして三年を超えて派遣で働く方を受け入れようとする場合には、過半数組合等からの意見聴取や対応方針等の説明を新たに法的に義務づけることによって、常用代替の防止を図ることとあわせて、派遣元に対しても、キャリアアップ措置とか派遣先への直接雇用の依頼等の義務を課すといったことなどによって、派遣で働く方の正社員化を推進することとしております。
 しかしながら、さきの国会での議論も踏まえて、万が一にも常用代替が進んだ場合のセーフティーネットとして、施行後のいかなる状況にも対応できるように、見直しの検討を行う旨の規定を設けることとしたものでございます。
○堀内(照)委員 さまざまな要因の影響を受けるというのはもう当たり前の話でありまして、景気が悪いからこそ、例えば経営者にとったら、安上がりで雇用の調整弁として使い勝手のいい派遣労働者を使おうとするわけですね。大事なことは、雇用は正規、直雇用が当たり前というルールをしっかりつくっていくことだ。そうすれば、景気が悪かろうが、派遣労働はふえようがないじゃないですか。
 結局、やはりこの法案というのは、経済界の言うままに、みなし規定を発動させないがために、これはちょっと後で。今大臣の答弁もありましたけれども、では、期間制限は実際にかかるのかということであります。これをなきものにし、一方で、国民的な批判を前に形だけの修正で取り繕ってみた、ほころびだらけのものだということが本当にはっきりしてきたというふうに思うんですね。そういう意味では、本当に、まさに審議に値しないんだと厳しく指摘をしておきたいと思います。
 その期間制限、実際、臨時的、一時的なものに限定する担保になる、非常に大事だと思うんですが、今度の法案ではこれが本当に骨抜きにされているというふうに思っております。
 ちょっと通告から二問飛ばしますけれども、無期雇用は、今回、期間制限から外すことになっています。これは、有期雇用の派遣に比べると雇用が安定しているんだという理由なんですが、私は二つ問題があるというふうに思うんですね。
 一つは、では、そもそも雇用は安定しているのか。本会議でこれを安倍総理に私は問いましたけれども、総理の答弁は、無期雇用労働者は有期雇用のように雇いどめの対象とならないことから、一般に、有期雇用に比べて雇用が安定していると言えるというものでした。
 なぜ無期雇用労働者は雇いどめの対象とならないのか、その根拠は示されなかったと思うんですね。何をもってそう言えるのでしょうか。
○坂口政府参考人 今御指摘ありましたけれども、まさに今御指摘、御質問がありました形態というのは無期雇用の派遣労働者ということでありますので、派遣会社との関係が無期雇用、まさしく期間の定めのない契約であるということでございますので、まさに雇いどめの対象とならないということで、雇用が安定しているということでございます。
 ただ……(発言する者あり)リーマン・ショック、あの喪失といいますか、その後にも、二十四年の法改正、前回のこれは法改正でございますけれども、無期雇用の方に限らずということになりますけれども、派遣先の都合で派遣契約を解除する場合に、派遣先に対しまして、新たな就業機会の確保、あるいは休業手当の支払いに要する費用の負担等の措置を講ずることを二十四年の法改正で義務づけるということでございまして、無期雇用派遣で働く方についても、労働者派遣契約の中途解除で雇用を失うというおそれは少なくなってきているということだろうと思います。
 また、無期雇用派遣労働者につきましては、今回の改正法案におきましても計画的な教育訓練等を義務づけておりますけれども、特にこの無期雇用派遣労働者については、長期的なキャリア形成を視野に入れてそういったことに臨むべしということでございましたり、あるいは、派遣会社が派遣契約の終了のみをもって解雇することがないことを許可基準に盛り込むというようなことを図っていくなどして、無期雇用の派遣で働く方につきましても、さらなる雇用の安定を図っていくという方向で臨んでいきたいということでございます。
○堀内(照)委員 根拠を示してくださいと言ったんですね。仕組みとしてそうだということなんですけれども、何かデータとしてあるんですか。有期と比べて解雇されていないというような数的なデータがあるんですか。
○坂口政府参考人 具体的なデータということではなく、やはりそもそもの制度の、使用者との雇用契約ということが、根っこが期間の定めのない契約であるということによるということでございます。
○堀内(照)委員 実際はそうなっていないから聞いているんですね。
 それで、本会議では、総理の答弁の中で、派遣契約終了をもって解雇されることがないようにするために、派遣会社の許可基準に示すんだという答弁がありました。労政審の建議では、派遣元は無期雇用の派遣労働者を派遣契約の終了のみをもって解雇してはならないと指針に書き込むんだ、許可基準にも明記するということであります。
 ただ、契約終了のみをもって解雇してはならないということは、それのみではなくて、いろいろ努力は尽くしたけれども新たな派遣先は見つかりませんでしたということになったら、やはり解雇は可能になるんじゃないですか。
○坂口政府参考人 今御指摘のとおり、今回、労働政策審議会の建議の中で、派遣元事業主が無期雇用の派遣労働者を派遣契約の終了のみをもって解雇してはならないということを指針に規定する、また、許可基準に記載するということとされております。
 私ども、この方向で対応してまいりたいと思っておりますけれども、派遣元指針にこの旨を規定することによって、違反の事例については指導ができるということになるものかと思っております。
 ただ、委員御指摘のようなケースにつきましては、個別の度合いということもありますので、ここで判断をするということはなかなか一概には難しいんですけれども、ただ、派遣契約の終了後直ちに解雇ということではないというケースのようにも考えられますので、そういったケースであれば、指針には反するというものではないかと考えられます。
 ただ、そもそもの、先ほど最後御質問されましたように、解雇とすることがどうかということにつきましては、これは派遣で働く方のみならず、その方を含めて、解雇については、委員御承知のとおり、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効とするという解雇権濫用法理が、これは労働契約法の十六条の方にも法定化されておりますので、個別具体的な事案について解雇が認められるかどうかということについては、これに基づいて最終的には司法の場で判断がされるということかと存じます。
○堀内(照)委員 リーマン・ショックのときには、無期雇用の労働者も派遣契約が切れたことをもって大量に解雇が行われております。
 技術者派遣大手シーテックは、二〇〇九年四月に、派遣先による派遣契約打ち切りを理由に四千八百人の派遣労働者を解雇しました。派遣契約解除を理由にいきなり解雇すると、今も少しありましたが、整理解雇四要件に照らして違法になるので、一カ月または二カ月の自宅待機、休業させた後解雇しているんですね。理由は、新たな派遣先を探したが見つからなかったと。つまり、解雇回避努力義務は果たしたんだということで、やはり解雇しているわけですね。ですから、無期雇用とはいえ、とても安定しているとは言えない。
 もう一つ問題なのは、雇用が継続しても、あくまでそれは派遣労働者としての身分が固定化されるにすぎないんだと。
 私がお話を伺った神戸のある方、Aさんは、医療材料、医材の物流を担う会社の派遣労働者として、最初は登録型で三年、その後、派遣会社の正社員、先ほどありましたけれども、派遣元の社員として十年間勤務をしてきました。要冷品、要冷蔵の薬などを扱って、一日じゅう温度五度の冷蔵庫の中での激務でありました。
 要冷品の扱いというのはもともと正社員が担っていたんですが、徐々に、低賃金で、物を言ったら解雇されるということで、なかなか物が言えない派遣労働者にどんどんかわっていった、シフトしていった。Aさんは、その中でもある部署の責任者まで任されていたというんですね。休日出勤、当直もどんどんふえて、心身ともに疲弊して、やめざるを得なかった。
 雇用が安定といっても、心身を壊してやめなければ、劣悪な雇用環境、労働環境が継続するだけなんですね。これはやはり、雇用が安定しているからいいんだというようなことはとても言えないと思うんですね。無期雇用の派遣労働者から期間制限を外してしまえば、解雇される可能性が相当に高い不安定な身分か、低賃金、劣悪な身分の固定化かのいずれかしかない。いずれにしても、やはり安定とはほど遠いと言わなければなりません。
 それから、新たに事業所単位、個人単位で期間制限を設けるんだと。国はさまざまに義務を課すことで規制を強化しているとおっしゃるんですけれども、実態はいずれも、義務を課したといっても、期間制限を守らせる歯どめとはなり得ない。逆に、その義務さえ果たせば期間延長がどんどん可能になるという意味において、結局、期間制限の効力をなきものにしていると言わなければなりません。
 事業所単位で期間制限を延長する場合、過半数労働組合等から意見聴取を義務づけ、反対意見があれば対応を説明しなさいということでありますが、逆に言えば、説明さえすれば延長できるわけなんですね。臨時的、一時的雇用に限る担保だというんだったら、なぜせめて同意としなかったんでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のように、今回の派遣法改正法案でございますが、派遣先に対して、同じ事業所において継続的な有期雇用の派遣労働者の受け入れは三年という事業所単位の期間制限を課すこととしておりますが、今御指摘ありましたように、三年を超えて派遣労働者を受け入れようとする場合については、過半数労働組合等からの意見聴取を義務づけるということとしておるものでございます。
 この点につきましては、労働政策審議会の建議の中でも、この趣旨は、派遣労働者の受け入れを法律で一律に制限するのではなく、現場でよく知る労使の判断に委ねるということでございまして、現場を重視する我が国の労使関係等からしますと、派遣先が労働側の意見を無視して一方的に受け入れ期間を延長するということは想定しにくいのではないかということで考えております。
 また、今回、意見聴取の仕組みに際しましては、反対意見に対する対応方針の説明でございましたり、記録の一定期間の保存を義務づけるといったことも含めて、この意見聴取の手続の適正さと透明性を担保する仕組みを設けておりまして、こういった新たな仕組みも含めまして、労使の実質的な話し合いの仕組みということをしっかり確保していくということとしているところでございます。
○堀内(照)委員 想定しにくいというだけで、実際には、説明すれば派遣先企業の思うようにできるということは、仕組みとしてはっきりしているわけですね。担保というのはどこにもないわけであって、これでは、三年、六年、九年、十二年と、その都度ずっと派遣を使えるという仕組みになるじゃありませんか。そうじゃないというふうに否定できますか。
○坂口政府参考人 今お答え申し上げましたとおり、今回、事業所単位で三年という期間制限を設けまして、それを超えた上という形になりますと、三年ごとに、三年を超えてその都度派遣で働く方を受け入れようとする場合については、この意見聴取の手続を義務づけているということでございます。また、先ほど、反対意見があったときはということで申し上げましたとおり、対応方針等の説明ということを新たに義務づけたところでございます。
 特に、先ほどは簡単に御説明をしましたけれども、今回の意見聴取の手続につきましては、派遣先に対して、意見聴取の参考となるデータの提供というようなものでございましたり、あるいは意見聴取の記録の周知というようなこと、あるいは先ほど申し上げた対応方針等の説明というような形で、これまでの意見聴取、これは、これまでの業務単位での一年というものを三年に延ばすという際の意見聴取の手続は一方通行的なものでございましたけれども、今回は、先ほど申し上げましたような仕組みを新たに課して、双方向の仕組みの流れをつくったということでございますので、そういった形での対応ということでしっかり対応してまいりたいと思います。
○堀内(照)委員 双方向じゃないんですよ。説明さえすれば一方的にできるという仕組みなんでしょう。
 ですから、当該労働組合にとってみたら、どんなに反対しても、説明されてしまったらもう法的には派遣受け入れ延長は押し切られるわけですね。
 だったら、そもそも意見聴取に応じませんよとなったら、これはどうなるんですか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
 先ほどのような形での法的な枠組みを、今回、改正法案については盛り込むこととしておるところでございますけれども、今委員御指摘のような、例えば、派遣先が適切な手続にのっとって過半数労働組合の意見を聴取しようと働きかけたにもかかわらず労働組合がこれを拒否した場合ということになりますと、やはり派遣先が意見聴取を行ったということは考えにくいと考えますところでございますが、いずれにしましても、労働政策審議会においてまた御議論いただきたいと考えております。
○堀内(照)委員 つまり、労働組合が拒否をしたら、もうそれは押し切れないということでいいんですね。
○坂口政府参考人 今お答え申し上げたとおりでございますけれども、派遣先の方が一定の手続に沿って働きかけたにもかかわらずこれを拒否した場合ということでありますと、派遣先とすれば、意見聴取の手続をやっていこうということを働きかけているわけでございますので、意見聴取の手続を行ったということは考えにくいということで私どもとしては考えますけれどもということで申し上げたとおりでございます。
○堀内(照)委員 つまり、どういうことですか。済みません。法案文では、「意見を聴かなければならない。」となっているんですね。聞けていない状態でしょう。
○坂口政府参考人 失礼しました。発音が不明瞭で申しわけございませんでした。
 派遣先が意見聴取をしようと働きかけたにもかかわらず過半数組合がこれを拒否した場合には、派遣先が意見聴取の手続を働きかけようとしたわけでございますので、この意見聴取の手続を怠ったとは考えにくいということで考えておるというところでございます。
○堀内(照)委員 意見聴取の努力をすれば、それでいいということなんですか。これは「聴かなければならない。」と書いてあるんですけれども、聞いていないんですけれども、それはどうなるんですか。
○坂口政府参考人 冒頭申し上げましたとおり、派遣先が意見聴取をしようということを手続にのっとって働きかけたということにもかかわらず過半数組合側がこの意見聴取の手続を拒否した場合ということでございますので、これは、派遣先は意見聴取を行おうということで、行っていこうということで働きかけたにもかかわらず行えなかったということなので、派遣先が意見聴取を怠ったとは考えにくいということで御答弁したところでございますけれども、冒頭申し上げましたとおり、いずれにせよ、労働政策審議会において御議論をいただきたいということで考えております。
○堀内(照)委員 これはちょっと重大ですよ。ここははっきりさせないと、「意見を聴かなければならない。」とはっきり書いているわけですから。働きかけなければならないじゃないでしょう、これは。そこは全然やはり違うわけでありまして、そこははっきりしないんですか、つまりは。
○坂口政府参考人 繰り返しになりますけれども、これは意見聴取に過半数組合側が応じない、拒否するということでございますので、適切な手続にのっとって働きかけたにもかかわらず拒否した場合ということでございますので、先ほど申し上げましたようなことで私どもとしては考えられるのではないかということで、今お答えしたところでございますけれども、いずれにせよ、労働政策審議会において御議論いただきたいということでございます。
○堀内(照)委員 はっきりしないのではやはり困るというふうに思うんですね。ちょっともう時間がないので、これはぜひはっきりさせていただきたい。紙で出していただくということを要望したいというふうに思います。
 委員長、では、紙で出していただくということを。
○渡辺委員長 もう一度きちんと言ってください。
○堀内(照)委員 委員長、紙で出していただくように要請したいと思います。
○渡辺委員長 理事会で協議いたします。
○堀内(照)委員 結局、期間制限の歯どめというのは事実上なくなる。派遣法案というのが、まさに労働契約申し込みみなし規定をなきものにしようという経済界の要望に応えたものだということが本当にはっきりした。動機も目的も労働者保護とはかけ離れたものだとやはり言わなければなりません。
 きょう紹介した医材の物流で働いていた方は、冷蔵庫での作業、正社員が担っていたものがどんどんと言いましたけれども、夜勤や休日出勤の中で、八時間の通常業務の後、翌朝の朝八時半までの勤務。それもなかなか八時半には終わらずに十時半ごろまでという日もよくあったそうで、にもかかわらず、深夜勤務の手当や残業代は一切出ずに、代休をとってくれと。本当に違法な働かせ方をさせられていました。まさに廃人寸前のようだったところ、母親が見るに見かねて労働組合に相談をして、退職という形で、過労死することなく救われた。
 結婚や子育てどころか、人間らしい生活や友人づき合いさえできないような過酷な労働環境に悩まされ続けてきたわけですね。人間を使い捨てるようなこんなやり方は、根絶こそすれ、広げるようなことは絶対に許すわけにいかない。
 きょうは与党のみの審議入りでしたけれども、この審議入りに改めて抗議をして、こんな法案は廃案しかないと厳しく指摘をして、質問を終わりたいと思います。