国会論戦・提案

2015年04月23日

国保改悪 財政運営の都道府県移管

国庫負担 5割へ拡充を

衆院委 国保改悪で堀内氏

 日本共産党の堀内照文議員は23日の衆院厚生労働委員会の参考人質疑で、医療保険制度改悪法案の柱である国保の財政運営の都道府県移管について質問しました。

 国保の財政基盤強化について、全国市長会の岡崎誠也高知市長は「保険料をこれ以上引き上げるのは現実的に難しい水準だ」と答弁。大阪社会保障推進協議会の寺内順子事務局長は、国の財政支援3400億円について「実際の国の負担は600億円ほど。国保を“持続可能”にする気がないと思える」と批判しました。堀内氏は、「国庫負担を定率で5割に増やすべきだ」と訴えました。

 堀内氏は、保険料滞納者に対する無法な差し押さえを批判。寺内氏は、鳥取県の児童手当差し押さえは違法だと確定した判決にふれ、「自治体に違法行為をさせないように国が通知を出すべきだ」と求めました。

 連合の花井圭子総合政策局長は、低所得者が多い問題について「非正規から正規雇用への転換や、社会保険の適用拡大の対策が必要だ」と応じました。

 一方、公明党は、市町村が都道府県に払う納付金算定に収納率を反映させるよう求め、取り立て強化を主張。維新の党は「持続可能な社会にするには、出ていく部分をしっかり削らないといけない」として医療費削減を強調しました。

2015年4月25日(土) しんぶん赤旗より

 

◆議事録 2015年4月23日衆議院厚生労働委員会 参考人質疑

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 本日、参考人の皆様、早朝よりの御出席と意見陳述、本当にありがとうございます。
 私からも幾つか質問させていただきたいと思います。
 初めに、寺内参考人に幾つかお伺いしたいと思います。
 今度の法改正に当たりまして、国の方から挙げられております国民健康保険制度の構造的な課題として、これはきょう幾つか皆さんおっしゃったんですが、一つに、年齢が高く、医療費水準が高い、二つに、低所得者が多い、三つに、小規模保険者が多いということでありますが、加入者の年齢や所得などは、都道府県に財政運営を移しても、構造そのものは変わるものではありません。
 小規模という点では、市町村から都道府県に財政運営が移ることで、確かに規模は大きくなる。国に言わせれば、これで安定的な財政運営を確保するんだということでありますが、自治体の規模の大小で財政のあり方が、大きいほどよくて小さいほどなかなか悪いということなんでしょうか。
 大阪府下の自治体の担当者の皆さんとかなり懇談もされているということですので、その辺の実情をお伺いしたいと思います。
○寺内参考人 自治体財政の困難さでいいますと、実は、小規模自治体よりも大規模自治体の方が大変です。
 これは、まず医療機関が多い、そして低所得者がたくさん集まってくる、そういうふうなことはやはり大都市にその問題が集中しますので、この十年間ずっと大都市の会計を見ていましても、神奈川県であれば横浜市、京都府であれば京都市、大阪府であれば大阪市、一番大きな自治体が赤字を大きく抱える、そういう状況がずっとありました。
 小規模自治体は、医療機関がまず少ないという問題がありますので、そのために保健事業も非常に頑張ってきた、目が届く範囲で収納などもやりやすかった、そういうふうな部分がありますので、実際には小規模自治体の方が財政がよかったという状況があったんですが、ただ一点、今後それが逆転する可能性が大変高いということがあります。
 ことしから始まります共同安定化事業の一元化では、大きな自治体にお金が集まるようになるという問題と、それからさらに、例えば千七百億円などについても、ことしからの分ですけれども、やはり人口規模の大きなところにお金が全部行くようになりますので、そういうふうなことでいきますと、財政の大規模化というのは、大規模自治体には有利に働くけれども、小規模自治体で小ぢんまりと安定した財政をこれまで賄ってきたというところが実は困難に陥る、そういうことで、そういう事態が逆転するのではないかというふうに考えております。
○堀内(照)委員 もう一点、三千四百億円の財政支援を拡充するということでありますが、実際には負担軽減につながらないということで意見陳述がございました。
 それで、その中で、介護保険のときの経験からも、財政安定化基金からはなかなか借りることがないんじゃないかということでありましたけれども、介護の実情とあわせて、どういった懸念があるのかということをお聞かせください。
○寺内参考人 介護保険にも、財政安定化基金、都道府県ごとにあります基金がございます。
 介護保険は、第一期、第二期は大変安い保険料で設定をされました。第一期と第二期はほとんど保険料が上がらなかったがために、第二期にお金が足りなくなりまして、財政安定化基金から多くの自治体が借り入れを行いました。その結果、第三期には大幅な保険料値上げということが引き起こりまして、その経験から、市町村は第四期にはほとんど基金からお金を借りない、そういう状況になりました。
 そこで何が起きたかといいますと、会計検査院の方から指摘がありまして、お金を積み上げているのに借りることがない基金は意味がない、お金を返しなさい、そういうふうな意見まで出されたということがございます。
 自治体はそういう経験をしていますので、保険料を大幅に上げるということを非常に嫌いますので、その結果になるような借り入れは多分しないだろうということで、それでいきますと、借り入れなくてもいいような保険料設定をするというふうに動くのではないかと私は考えております。
○堀内(照)委員 それから、差し押さえについての意見陳述もございました。
 昨年十一月の、大臣の、ぬくもりのある行政をという答弁以降もなお深刻な事態があるんだということでありますが、具体的な事例をもう少し御紹介いただけたらと思いますのと、それを防ぐ上での国への要望などがございましたら、お聞かせください。
○寺内参考人 先ほど前橋市の話をいたしましたが、私は、現在、全国から、国保の問題で学習会の講師に行きますので、いろいろな状況を聞いてびっくりするようなことがあるんですが、先月聞いたお話は、これは山口市です。
 納付相談も納付もしてきた滞納者に対して、夜間営業中の客がいる飲食店に突然市の職員が十人ほど押しかけて家宅捜索をする、そして店主の財布の中から現金を差し押さえる、そういうふうな追い剥ぎのような差し押さえが、一件だけではなくて数件起きている。全体的には二百数件の差し押さえが起きていますので、把握できていないようなことがあると思います。そのことによって、仕入れもできない、営業も続けられないという状況に陥っています。
 また、全国二十八都道府県で今設置されています債権回収機構、こういうものがございますが、ここでは住民の納付相談に一切応じない、そういうふうな事態になっているという報告を受けております。債権回収機構も、結局遠いところにございますので、大きな機構になりますと全く住民の顔が見えないので、そういうふうな対応になる、そういう状況になると思います。
 一昨年十一月に鳥取県で、児童手当の差し押さえに対して、それは違法である、そういう判決が高裁の方で出ましたけれども、それに対しては、まだ国の方からきちっとした通知が一度も出ておりません。
 各地で今行われている違法行為についても、裁判を起こさない限り自治体が是正をしないということではなく、初めから違法行為をしない、そういうふうな自治体にさせるための、きちっとした総務省それから厚生労働省からの通知が出ることを望んでおります。
 以上です。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 岡崎参考人にお伺いしたいと思います。
 加入者とはまさに相対する自治体として、国保の運営ではさまざまな苦労もおありかと思います。きょうも、それこそ階層別の変化ですとか構造的な問題ということもお伺いしたところです。
 二〇一一年十月二十四日の、国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議への提出資料の中で、医療費の増加に伴い被保険者の保険料負担が限界に達している保険者も多いことを踏まえると、公費負担割合を五〇%以上にする必要があると考えるとしているわけですが、この点を少し詳しく教えていただけませんか。
○岡崎参考人 国民健康保険は、五十年余りたちましたけれども、最初の設立のときと今の構成、いわゆる構成比が全く異なっておりまして、非常に財政が逼迫をしております。
 基本的に、それぞれの保険は大体公費が半分入っていまして、あと保険料でというのが一応目安なんですが、国保の場合はどうしても保険料が足りませんので、さまざまな観点で継ぎはぎのようにいろいろな補助金が入っておりますので、財政的に非常にわかりにくく、また、国民、住民の方々には見えにくくなっております。
 今回、一定のまた新しい財政支援制度と都道府県国保化ということになりますので、できるだけ住民の方々に見えるような制度として、広く周知をされるということが大事だと思いますし、やはり保険料をこれ以上引き上げるのはかなり現実的に難しい水準になっておりますので、いわゆる公費としての支援をいかに拡充していくかということが今後ともに大きな課題だという認識を持っております。
○堀内(照)委員 継ぎはぎという言葉もありましたけれども、私たちとしても、国は調整交付金も含めて五割だとおっしゃるんですけれども、定率国庫負担でふやすべきだということを主張もしているところです。
 岡崎参考人と福田参考人、お二人にお伺いしたいと思います。
 患者負担を軽減するという点では、それぞれ乳幼児医療費助成が行われていると思います。高知市では就学前まで、栃木県では所得制限なしで小学校六年生までであります。栃木では県の努力によって各市町村でさらに上乗せもされ、負担軽減につながっているのではないかと思うわけですが、その一方で、国は、これによって減額調整、ペナルティーを科しているわけであります。
 この間、この国会、我が党の同僚議員が各委員会で随分この問題を取り上げましたが、今やどの自治体でもこういった制度が行われていますので、医療費の新たな波及増はないんだ、そういう意味ではペナルティーを科す根拠がないということを国自身も認める答弁をしており、この問題は検討課題にもすると大臣も述べられているわけですが、お二人に、国のペナルティーの問題についての考えをお聞きしたいと思います。
○岡崎参考人 それぞれの市町村におきましては、特に乳幼児医療の無料化を進めております。これは、入院、外来、それから所得制限を入れているかどうか、いろいろな区分がございますけれども、今、ほとんど全国の市町村全て入ってきておると思います。
 従前から、地方単独事業で行う事業に対して国保の調整交付金をカットするということは、全く関係がない話なので撤回すべきというのが、市長会、町村会のこれまでの一貫した強い要望でございます。
 それと、我々も厚生労働省の方々にさらに説明をしておりますのは、例えば障害者の医療、これは、精神障害を含めまして、障害者医療は都道府県単位で、市町村の判断ではなくて県単位で、県の判断でやっている事業があります。ただ、そのときにも市町村国保の調整交付金がカットされますので、我々の判断と関係ないところで、県が決めたことによって市町村の調整交付金をカットするということは非常におかしな話でございますので、そのことも含めて強く撤廃を求めているところです。
○福田参考人 お答えいたします。
 雇用、結婚、出産、子育て、これは地方創生のかなめであるというふうに思っております。
 そういう中にありまして、全国の各自治体がおのおの工夫を凝らしながら、地方単独事業として子供医療費の助成などを行っておりますけれども、国は国保の補助金というところでペナルティーを科す、こういうことになっておりまして、全国知事会としても、毎年、国への要望の中で、国庫負担金調整措置の廃止については申し上げているところでありますので、これからも、国保基盤強化協議会の中でもこの問題は廃止を求めて協議をしていきたいというふうに思います。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 花井参考人にお伺いしたいと思います。
 国保の構造的な困難に、非正規雇用がふえて、低所得者の国保加入者がふえているということがあると思います。その点、正規雇用を一層拡大することによって、今、低所得で国保に入っておられる層が、健保組合にも入って、保険料負担の中でしっかり医療給付も受けられるということになるわけですから、そういう点からも正規雇用の拡大ということが望ましいと考えるわけですが、この点、いかがでしょうか。
○花井参考人 ありがとうございます。
 非正規雇用労働者が四割に達しようとしております。多くの方が、本来は雇用労働者として被用者保険に入らなければいけないわけですが、国民健康保険に入っているという実態がございます。
 私どもは、一つは当然、非正規から正規雇用への転換ということを進めるのと同時に、社会保険の面からは、社会保険の適用拡大を求めております。来年の十月から、二十五万人という、大変少ないと思いますが、短時間労働者への社会保険の適用、五条件がついていますが、拡大がスタートいたします。そういったことも、もう少しさらに拡大していくようなことを求めていきたいというふうに考えております。
 雇用の面と社会保険の適用拡大と、両方から対策が必要だろうというふうに考えております。
 以上です。
○堀内(照)委員 最後に、もう一度、寺内参考人にお伺いしたいと思います。
 保険は保険で賄うべきだという議論もあるわけですが、国保は、先ほどもありましたとおり、当初から、低所得者が多く加入するものであって、国庫負担で賄うということを条件として制度設計されたということでありますが、その国庫負担のあり方について、改めて最後にお聞かせください。
○寺内参考人 今回、三千四百億円というお金が何度も出てきておりますが、実質的に、ことしからの千七百億円は、全額国庫負担ではもちろんございません、その三分の一です。それから、もう一つの千七百億円は、花井さんがおっしゃったように、もともと協会けんぽへ出していたお金です。ということは、三千四百億円のうち六百億円ぐらいしか新たな負担というのはないわけですね、国の方は。
 ですから、この金額を見たとき、本当に国が、この国民健康保険を国の責任で持続可能なものとする気がないのではないかと一瞬思わざるを得ないような、そういう中身であったというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、国保は戦前からございます。私は国保の歴史もずっと研究しておりますけれども、戦前は、農協、農業会などが国庫負担なしで運営していたものですけれども、それが新しい国保になったのは、高度経済成長の中で、日本の国が、国民が、その当時三分の一が無保険であったその状態ではこれから経済成長ができない、そういう国家戦略のもとで皆保険制度がスタートしております。そのときに、三分の一であった無職者、高齢者それから無収入の方たちをどうするかという問題を全部引き受けたのが国保です。
 ですから、保険料で賄うという、初めからそういうふうな制度設計にはなっておりませんので、やはり国が本当に持続可能なものにするのであれば、言葉だけではなく、実際にお金をどれだけ出すかという部分でいきますと、今回の三千四百億円は非常に不十分で、きょうもありました、県やそれから市町村が不安に思っているというのは当然だと思います。きちっとした、全額国庫負担をどこまで持っていくのか、そういうふうな突き詰めた議論がもっと必要だったのではないかというふうに思っております。
 以上です。
○堀内(照)委員 以上で終わります。ありがとうございました。