国会論戦・提案

2015年04月17日

国保料値上げに直結 医療保険改悪案

◆国保料値上げに直結

堀内氏が医療保険改悪案批判

 日本共産党の堀内照文議員は17日の衆院厚生労働委員会で、国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県に移す医療保険制度改悪法案について、国保料の値上げや徴収強化につながると追及しました。

 国が、計3400億円の財政支援を行うため、市町村による一般会計からの繰り入れの必要性は解消するとしている点について、堀内氏は「負担軽減にはつながらない。繰り入れの解消を押し付けてはならない」とただしました。

 厚労省の唐沢剛保険局長は「繰り入れを禁止することは考えていない」とする一方、都道府県が市町村に示す「標準保険料率」には「繰入金を勘案しない」とし、市町村が都道府県に納める納付金についても「収納率は勘案しない」と答弁しました。

 堀内氏は「収納率が低く、繰入金も解消となれば、国保料を上げるしかなくなる」と指摘。「どれも保険料引き上げの圧力になる」と批判しました。

 堀内氏は「徴収強化にもつながる」と述べ、すでに地元・兵庫県内での滞納者への差し押さえ件数が3年で1・5倍化したと紹介、「売掛金や生活費まで差し押さえるのは許されない」と追及。唐沢氏は「生活に著しく窮迫している場合は差し押さえを停止できる。しゃくし定規でない丁寧な対応をしてもらいたい」と答えました。

 短期保険証の期間が「1万円なら1カ月」などと納付額によって決められている実態について、唐沢氏は「奨励しているわけではない。適切な対応を求めていく」と答えました。

2015年4月18日(土) しんぶん赤旗より

動画
https://youtu.be/QL13AhrlrI4

◆議事録 2015年4月17日 衆議院厚生労働委員会

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 初めに、国民健康保険制度の現状についてお聞きをしたいと思います。
 厚生労働省の説明でも、国保の抱える構造的な課題として、低所得者が多いことを挙げておりますが、そうした中で、保険料が高過ぎるというのが国保の大きな問題だと考えております。
 兵庫県保険医協会が兵庫県下全市町を対象に行ったアンケートでは、昨年十二月一日現在、兵庫県下で減免制度を利用している世帯が六割近くにもなる一方で、滞納が十三万九千八百五十四世帯、加入世帯全体の一七%にも上っております。
 我が党尼崎市会議員団を通じて尼崎市の資料を取り寄せますと、二〇一三年度、減免を八三・九%もの世帯で受けているんですが、滞納世帯は三五・七%にもなっております。全国的にも滞納世帯は三百六十万を超えております。保険料が高過ぎて払えないということだと。
 保険料がそもそも高過ぎるということは、もはや明らかだと思いますけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今、堀内議員から御指摘がありましたように、国保には低所得者が多く加入するなど構造的な問題を抱えていることから、相対的に保険料水準が高くなっているというふうに思っています。これまでも、低所得者の保険料軽減措置をこれに対して行ってきたところでございます。
 今回の改革におきましても、毎年約三千四百億円の追加的な財政支援を行うこととしておりまして、国民健康保険の財政基盤の強化を図るとともに、保険料の伸びの抑制などの負担軽減につなげて、保険料を納めやすい環境を整えてまいりたいというふうに思っております。
○堀内(照)委員 保険料が高過ぎて、これ以上の引き上げには耐えられないというのが現実だと思います。
 所得階級別の保険料負担を見れば、低所得世帯ほど保険料負担率が高くなっており、年収百五十万から二百万の世帯で一四%、機械的に計算しても、およそ三十万円前後の保険料負担となります。
 国民健康保険中央会が発行する「国民健康保険の安定を求めて」という冊子でも、年収二百万の四人世帯でおよそ二十万円前後、年収三百万の四人世帯では三十万円前後と、いずれも協会けんぽの約二倍の保険料になっているとレポートしております。
 そうした中で、滞納しても払う意思があり、分納もしているのに、一方的に差し押さえられる例が後を絶ちません。
 加古川市では、この間、消費税増税や資材高騰によって、過去に滞っていた国民健康保険料約八十万円が払えなくなった業者に対して、売掛金が振り込まれたその日に三十万円全額差し押さえになり、預金残高がゼロになった。加古川市では債権回収課なるものを設けて、ここ二年ほどで差し押さえ件数が倍ほどふえているわけですが、この方がこの回収課にかけ合っても、最初は、払わない方が悪いと木で鼻をくくったような対応だったといいます。
 しかし、滞納は過去のものであり、現年度分はきちんと支払われているわけであります。そして、支払いの意思も当然あるわけです。売掛金は従業員の給与や事業資金であり、その差し押さえは経営と生存を脅かすものである、そういうことなども訴えて、ようやく分納が認められたということでありますが、保険料を支払う意思があるにもかかわらず、売掛金や生活費まで差し押さえるようなやり方は到底認められないと思うんですが、こういう事例を放置されていいんでしょうか。
○唐澤政府参考人 先生から御指摘のございました国民健康保険料、保険税、国民健康保険制度を維持するために御納付をお願いしているわけでございまして、財産があるにもかかわらず滞納している場合には、これは差し押さえなどをさせていただくということも自治体の判断でお願いしているわけでございます。
 他方で、滞納している方につきましては、それぞれいろいろな御事情というものもございますので、市町村におきまして、まず納付相談というようなことで、今御指摘のございましたように、分割して納付をしていただくというようなきめ細かな相談対応をしていただきたいと考えております。
 また、いろいろな個別の御事情というものがございますので、生活を著しく窮迫させるおそれがあるような場合ということもございますから、こういう場合には滞納処分の執行の停止というような仕組みもございますので、こういうことも御勘案をいただきながら、個々の滞納者の実情をよく把握していただいて、しゃくし定規というようなことでなくて、丁寧に御対応をお願いしていきたいと考えております。
○堀内(照)委員 兵庫県下では、二〇一〇年六月一日現在で三千四百五件だった差し押さえが、二〇一三年同日時点では五千三百三十二件と、三年で一・五倍になっています。中には、姫路市は二百四十件から四百九十八件とか、洲本市で百十三件から六百四十四件とか、先ほどの加古川市は八十三件から二百四十八件と、急増している自治体もあります。
 その全てが一方的なやり方だとは言いませんけれども、分納などをしているにもかかわらず、一方的な差し押さえがやられた、もしくはそういう連絡がいきなり来たという相談がふえております。
 昨年十一月の参議院の厚生労働委員会で、今ありましたけれども、生活が困窮するような特別な事情がある世帯については機械的な差し押さえはあってはならないとの我が党の小池晃議員の質問に、大臣も、温情を持って臨まなければならないし、配慮はせにゃいかぬ、ぬくもりを持った行政をやるべく徹底をしていくということで厚労省としても言っていきたいと御答弁をされております。
 業者の売掛金の場合は、先ほど述べたように、従業員の給料であったり事業の運転資金としてはなくてはならないものであります。まさに、なりわいの成否と従業員、家族の生存のかかったものであります。こういうものはやはり差し押さえすべきではないと考えるわけですが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど局長からも申し上げましたように、保険料ですから、これは保険の制度として、保険料と税とそして自己負担という三つだけで成り立っているものをどううまく回していくかということなので、保険料についても、負担の公平の観点から必ず納付をいただくということは必要であるわけでありまして、保険料をお支払いできる財産を持っている、財産を持っていらっしゃるにもかかわらず保険料を滞納しているという場合には、やはり差し押さえまでもして徴収を行うことは必要だと思いますが、先ほどお話がありましたように、その事情を何ら勘案せずに一網打尽にやるというようなことは、なかなかこれは許されることではないんだろうということで、ぬくもりを持った行政をやるべしということを私は申し上げたわけです。
 滞納者に対して、市町村は、先ほどお話が出ましたが、分割納付などの納付相談をしっかりとやる、それから、滞納者の個別具体的な状況を踏まえて、生活を著しく窮迫させるおそれがある場合には滞納処分の執行を停止する仕組みもあるということでもございますので、冒頭先生が御指摘になったような、預金残高がゼロになるような、暮らしを続けることが苦しい、できなくなるというようなことは、やはりしっかり勘案した上で、実情をよく把握した適切な対応をすべしというふうに思います。
○堀内(照)委員 こういう例もお聞きしました。
 毎月分納をきちんとしている人が、たまたま支払ったコンビニエンスストアから市への送金が月をまたいだがために納付がおくれたとされて、いきなり差し押さえるという連絡が市から入る。コンビニの領収書を市の窓口に持っていってようやく解決したわけですが、全く実情を踏まえない一方的な事例というのも多く見られますし、売掛金とはいえ、今大臣がおっしゃっていただきましたように、預金がゼロになる、生活に困窮するという事態にもなるわけですので、そういうものまで差し押さえる深刻な事例も今聞いておりますので、そうしたことがないように必ず徹底を図っていただきたいと思います。
 保険料を滞納しますと、納付相談を経て短期証や資格証に切りかえられるわけですが、短期証の取り扱いについて確認しておきたいと思います。
 兵庫県内でいろいろ聞いておりますと、自治体の窓口に分納の相談に行くと、納めた金額によって支給される短期証の期間が異なってくるというんですね。病気が重くなって病院通いが必要なのでせめて数カ月の短期証を出してほしいとお願いすると、一万円しか納められないのなら一カ月です、三カ月分欲しかったら三万円納めなさいと、まるでお金で保険証の有効期間を買うかのような扱いであります。
 納付の意思があり、現に分納もしようというわけですから、保険証を渡すというのが原則だと思いますけれども、その期間をお金で切り売りするというようなことが起こっております。しかも、こうした取り扱いが結構各地で、一つ二つではなくて、共通してそういう現状があるんだというふうに私は伺いました。そんな運用というのが奨励されているんでしょうか。
○唐澤政府参考人 今御指摘をいただきました短期被保険者証でございますけれども、こちらは、御質問の中にもございましたように、まず、御面談をさせていただくように、納付相談をするということが一番大きな趣旨でございますけれども、私どもといたしましては、納付の金額によって期間をそれぞれ比例的にするというようなことを国として奨励しているわけではございません。
 もちろん、御事情はいろいろさまざまでございますし、短期証の発行の理由もさまざまございますので、もちろん滞納ということが一番多いわけでございますが、先ほども申し上げましたように、やはりきめ細やかな対応をお願いしたい。
 市町村の職員の皆さんも大変御苦労いただいていると思います。きめ細やかに御対応していただいて、それぞれの事情をよく御相談を受けて、そして適切に対応していただきたいと考えているところでございます。
○堀内(照)委員 命の沙汰も金次第というようなことはあってはならないと思います。
 また、先ほど紹介した兵庫県保険医協会の調査では、保険証の未交付率、いわゆるとめ置きも三・一七%、兵庫県下では二万六千四十八世帯にも上っております。これはまさに、医療にアクセスできないという人が世帯でこれだけいるということにほかならないわけであります。
 滞納者への納付相談を行うことはもちろん重要ですけれども、相談に来ないからといって、とめ置かれている状況が放置されていいはずはありません。子供の保険については直ちに郵送するという手だてがとられていることだと思うんですが、命の重さは子供も大人も同じであります。
 昨年四月の、これも参議院厚労委員会で、我が党の田村智子議員の質問に答えて当時の田村大臣が、納付相談にも乗り、必要に応じて送る、郵送も含めて渡すのだと答弁をされております。
 市町村からすれば、今挙げたような数字というのは、今後、窓口に来て納付相談も進める中で未交付数は減るということだと思うんですけれども、いっときにせよ、なおこれだけの未交付世帯がある、中には長期化していくというのもあるわけですので、やはりこうしたことが放置されてはならないと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、行政はいつもきめ細かくやらなければいけないというふうに思っております。
 しかし、一方で、短期被保険者証の交付の趣旨というのは、市町村と滞納世帯との接触の機会を設けるということが大事であって、世帯主が短期被保険者証を受け取りに来ないことによって長期間にわたって短期被保険者証が市町村の窓口でとどめ置かれていることはもちろん望ましくないというふうに思っておりまして、やはり、来ていただいて、どういう事情なんだということを話し合いながら、きめ細かく対応して御相談に応ずるということが大事なんだろうというふうに思うのですね。
 このため、市町村では、まず電話連絡を試みる、それから、必要に応じて家庭を訪問して御事情をお聞きするといった、市町村の実情に応じて速やかに短期被保険者証を交付できるようにきめ細かな対応に努めてもらいたいなというふうに考えておりまして、大事なことは、きちっとお話し合いをして、実情を踏まえて、そして対応をして、この保険料がお支払いいただけるような現実的なやり方を考えるということだろうというふうに思います。
○堀内(照)委員 きめ細かくということで、電話や訪問も含めてということでございましたので、来ないからといって長期にとめ置くということがないように、事はやはり命にかかわる問題ですので、保険証がなくて医療にアクセスできない、そして命を落とすような、こんな事態がないようにぜひ対応すべきだと申し上げたいと思います。
 法案の問題に入っていきたいと思います。
 今度の法案は国保の抱える構造的な問題を解決するんだというわけですが、今言いました高過ぎる国保料というのが解決するのかということであります。
 大臣は、本会議での我が党の高橋千鶴子議員の質問に、これは大臣から先ほど御答弁がありましたけれども、今回の改革においても、毎年三千四百億円の追加的な財政支援を行うことにより、国保の財政基盤の強化を図るとともに、保険料の伸びの抑制などの負担軽減につなげ、保険料を納めやすい環境を整えてまいりますとお答えになっておられるわけですが、具体的にどう負担軽減を図り、保険料を納めやすい環境をつくるのかということをお伺いしたいと思います。
○塩崎国務大臣 今回の改革におきましては、国保の財政基盤を強化して制度の安定化を図るために、平成三十年度より、毎年三千四百億円の公費を投入するということとしたわけでございます。
 具体的には、本年度、二十七年度から、低所得者が多く加入をいたします保険者に対して合計千七百億円の財政支援の拡充をまず実施する、そして平成三十年度以降は、子供の多い自治体や医療費適正化などの取り組みをしっかりと進めている自治体、ここに対してさらに千七百億円の公費をまた投入するということにしておりまして、結果として国保の財政基盤を強化し、そして国保の保険料水準を抑制していくということで、保険料を納めやすい環境を整えていきたいというふうに考えておるところでございます。
○堀内(照)委員 今、いろいろありましたけれども、大臣は一方で、この三千四百億円の追加公費投入で、一般会計からの繰り入れの必要性は相当程度解消すると考えているとも述べられております。
 今、市町村が独自に行っておりますこの一般会計からの繰り入れをやめてしまったら、これは保険料の軽減につながらないんじゃないでしょうか。
○唐澤政府参考人 一般会計からの繰り入れにつきましての御質問でございます。
 国保はさまざまな御指摘のような構造的な問題を抱えておりまして、私どもの方は、計画的、段階的な赤字の解消に取り組んでいただくよう、これまでも市町村の方にお願いをしてまいりました。
 今回、先ほど大臣からお話がございましたように、三千四百億円の財政支援の拡充を行うことにしております。このほかに、予期せぬ給付増あるいは保険料の収納不足ということで財源が足りなくなった場合に備えまして、財政安定化基金というものを都道府県に設置することとしております。また、このほか、保健事業の推進でございますとか、医療費の適正化等の取り組みも行っていただいて、保険料の適切な設定に取り組んでいただきたいと考えております。
 一般会計からの繰り入れにつきましては、これは自治体の判断で御判断いただくことでございますので、私どもがこれをどうということは申し上げられませんけれども、今回の改革によって、さまざまな、三千四百億や基金の設置等をあわせまして国保の財政基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 いろいろ言われましたけれども、今、一般会計の繰り入れは三千五百四十四億円ですね。ですから、その額だけ見ても、保険料軽減ということにはやはりつながらないと思うわけです。
 また、法案では、都道府県が市町村に標準保険料率を示すということになりますが、この標準保険料率というのは、市町村が行っている一般会計からの繰り入れを解消するということを一方で言われているわけですから、この保険料率には繰り入れというのは反映されるんでしょうか。
○唐澤政府参考人 都道府県の定める標準保険料率でございますけれども、一般会計の繰り入れ自体は、今現在は市町村の方の御判断で実施をされているものでございますので、私どもの方は、現在の考え方は標準的な住民の皆さんの負担の見える化を図りたいということで、納付金の算定に当たりましては、一般会計からの繰り入れというものは勘案をせずに算定をしていただきたいというふうに考えております。各市町村が、共通な、基本的な要素で納付金の算式を示したいということを考えているところでございます。
○堀内(照)委員 これでは、当然、多くのところで現に今被保険者が支払っている保険料よりも高い額の標準保険料率が示されることになるわけです。保険料はあくまで市町村が決めるということで、繰り入れの問題も今独自の判断だという御答弁がありましたけれども、一般会計からの繰り入れの解消、こういうことを示すことによって、都道府県が市町村に解消せよということを押しつけるようなことは当然あってはならないと思いますけれども、それは御確認いただけますか。
○唐澤政府参考人 今回の三千四百億円という規模は、現在の国民健康保険の保険料が約三兆円でございますので、一割強というような水準の財政基盤の強化をお願いしたいと考えているわけでございます。
 したがって、一般会計の繰り入れの現在赤字の対応にはかなり効果を発揮できるのではないかと考えておりますけれども、ただ、今御指摘いただきましたように、一般会計からの繰り入れをどうするかということにつきましては、それぞれの自治体で御判断をいただく。ただ、私どもといたしましては、国民健康保険の健全な運営ということに努めていただきたいと思いますが、これを制度によって禁止するというふうなことは考えていないところでございます。
○堀内(照)委員 繰り入れをやめさせるということは一方的にできないということを確認しておきたいと思います。
 ならば、この保険料が高過ぎるという住民の声に応えた市町村の努力にこそ国が応えるべきだと思うわけです。この法案の方向は、標準保険料率を示し、将来的な保険料負担の平準化を進める、一般会計からの繰り入れも解消を目指すような方向だということでは、保険料の軽減にならないということはもう明らかだと思います。
 さらに、納付金の問題であります。
 市町村が都道府県に納める納付金は医療費水準や所得水準を考慮されるとしながらも、決定された額を当然納めなければなりません。この納付金は、各都道府県がそれぞれ市町村ごとに決めることになりますけれども、その際、各市町村での保険料の収納率というのはどのように想定されるのでしょうか。
○唐澤政府参考人 現在私どもが考えております納付金、これは、具体的な仕組みは、今後、地方三団体も含めて御協議をさせていただいて、また、各都道府県ごとに県と市町村の間で御協議をしながら最終的には決めていただくものでございますけれども、私どもの現在の考え方は、これからは都道府県が財政運営の責任を持つ、支払いの責任を持つということで、そのために必要な資金と費用というものを各市町村から納付金という形で納めていただくという仕組みにさせていただきたいと考えております。
 具体的に納付金の算定方法でございますけれども、現在の考え方は、一つは、その市町村の医療費の水準を反映するということで、これは、いろいろな保健事業などの御努力をいただけば、その成果が医療費水準ということで比例的に反映するような形、それから、他方では、負担能力に応じた負担ということをお願いするという観点から、市町村ごとの所得水準を反映するということを基本にさせていただきたいと考えております。
 したがいまして、各市町村の収納率につきまして、納付金に勘案するということは考えていないところでございます。
○堀内(照)委員 考えていないということですが、都道府県が示す納付金に市町村での保険料が大きく左右されかねないということは当然あるわけです。市町村の収納率が、市町村自身がこれは恐らく想定されるということになると思うんですが、その想定より低ければ、納付金を全額納めるためには、保険料の引き上げか一般財源からの繰り入れかで納付金を確保するしかありません。
 しかし、一般会計からの繰り入れがないことが本来のあり方だということであれば、これは保険料を引き上げて徴収するしか道はなくなるわけであります。幾ら市町村が保険料率を決定するんだといっても、今見てきましたように、標準保険料率のあり方や納付金のこの制度のあり方から見ると、どれも保険料引き上げの圧力になるじゃないかと思うわけであります。
 また、こうした仕組みが、納付金のためにその原資である保険料の徴収強化にもつながったり、滞納者への一方的な差し押さえ等、制裁の強化にもつながりかねないと思います。大臣の言う保険料の納めやすい環境とはとても言えないと思うわけであります。
 その上、重大なのは、保険者努力支援制度を設け、都道府県に医療費適正化計画等、医療に要する費用の目標を定めさせることと一体に、国保の財政運営を握った都道府県が医療費抑制策に乗り出すということになっていることであります。こんなことは絶対に認められないと指摘をして、次の問題に移りたいと思います。
 患者申し出療養の創設についてであります。
 この制度は保険外の診療を保険診療と組み合わせて行うものでありますが、既に行われている保険外併用療養費制度に加えて設けられます。
 前提の問題として確認したいと思います。いわゆる混合診療については厚生労働省も原則禁止という立場だと思いますけれども、この混合診療について厚生労働省の基本的な考え方を、大臣の言葉でお示しいただきたいと思います。
○塩崎国務大臣 いわゆる混合診療の全面解禁というようなことでございますけれども、そういうことをやりますと、安全性、有効性が確認されない医療が行われるおそれがあり得るということが一つ。もう一つは、先進的な医療が保険収載につながらないで保険外にとどまり続けてしまうということで、誰もが一定の負担で必要な医療を受けられなくなってしまって、いわゆる医療格差が生じてしまうのではないのかというおそれがあるわけであります。
 やはり皆保険制度というのが世界に冠たる日本の制度としてこれまで実現してきたわけでありますので、その基本は全く継続をしていかなければならないと考えておりますから、それに反するようなものは考えられないというふうに考えるべきだろうと思います。
○堀内(照)委員 今度の患者申し出療養というのは、先進医療の対象にはならないけれども一定の安定性、有効性が確認された医療について行うものだとされております。この安全性、有効性というものは、これまで先進医療でも掲げられてきたものと同じ水準であるというふうに確認してよろしいでしょうか。
○唐澤政府参考人 患者申し出療養につきましては、困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるために、先進的医療について、患者さんの申し出を起点として、安全性、有効性を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにしたいというものでございます。
 その際、安全性、有効性というものはきちんと確認しなきゃいけないわけでございますけれども、これにつきましては、新たに設置をする専門家の会議におきまして、医療機関が作成するデータでありますとか、あるいは保険収載に向けた実施計画等に基づいて審議を行うこととしているところでございます。
 その水準につきましては、もちろんこれから詳細については設計をしていくわけでございますけれども、現在、先進医療で行われているものと基本的には同水準の安全性、有効性というものは求めていかなければいけないだろうと考えているところでございます。
○堀内(照)委員 保険適用されていない医療について安全性、有効性を審査するのが、今の保険外併用療養のもとでは先進医療会議ですね、今度の患者申し出療養のもとでは、患者申し出療養に関する会議ということになっていると思います。
 これまでの先進医療会議では、十一人体制で、そこに三十人の技術委員がサポートをする。さらに、それと別に二十人の先進医療技術審査部会があり、ここにも先ほどの三十人の技術委員がサポートをするということですが、この先進医療会議十一人と医療技術審査部会二十人という二部体制になっています。ここで、未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴う医療技術についてであれば、おおむね六カ月かけて審査をしてきたわけであります。
 今度の患者申し出療養に関する会議はそれを六週間に短縮するということでありますが、今、同水準ということを言われましたけれども、これは維持をする担保があるのかということであります。
 この患者申し出療養に関する会議の体制はどうなるのか。当然、期間を縮小するということであれば、今の先進医療会議以上の体制が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○唐澤政府参考人 患者申し出療養の審査の体制でございまして、その期間につきましては、今先生の御指摘いただいたとおりでございます。
 そして、私どもは、患者申し出療養につきましては、例えば、がん治療のような場合には迅速に御使用を希望するというような方がいらっしゃるということで、できるだけ早くということでこのような目標を現在設定しているわけでございますけれども、前例のないものでございますが、六週間で審査を行うためには相応の体制の確保が必要であろうと思っております。
 具体的にどういうふうにしていくかということはこれからでございますけれども、専門家による会議が、透明性を確保しながら効率的に審議ができるような体制をつくっていく必要があるというふうに考えております。
○堀内(照)委員 具体的にはこれからということなんですけれども、今のような二部構成とかそういうイメージでよろしいんでしょうか。
○唐澤政府参考人 これは、全くこれからでございます。
 先進医療の方は、薬事関係が、承認済みのものだけを使っているケースと、あるいは未承認の医薬品や医療機器を使うケースなどによって区分をしているわけでございますけれども、どのような区分を設けてやるのが安全性の審査、有効性の審査、あるいは効率的な審査という観点からよいかということにつきましては、またさまざまな御意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 安全性の問題というのは、特に患者団体の皆さんが一番懸念をし、反対をしているところなんですね。
 六週間といいますけれども、実際の事務手続の時間などもありますので、それを除くと実質一カ月ぐらいしか期間がない。これは、きのう、当局からレクチャーを受けたときにもそうおっしゃっておりました。きのうレクチャーを受けた中で、機動性を確保する上では今のような二部構成にはならないんじゃないかというようなニュアンスも言われておりましたけれども、いずれにしても方向がまだということでありますけれども、今の先進医療会議よりも体制が少なくなるということは、やはりあってはならないと思うんですね。
 患者申し出などとあたかも患者のためと言いながら、一番重要な審査体制についてまだ具体的に明らかにされていない。それから、現行の先進医療会議よりも強化されたものになるという見通しもまだ見えません。これは本当に重大だと思うんですね。
 日本難病・疾病団体協議会が四月六日に出した声明では、「現行の特定機能病院でさえ、信じられない医療事故が絶えないなか、現在の先進医療にさえも入らない新しい治療技術を、申請からわずか六週間という短期間で結論を出す医療技術に、安全性、有効性の保障がどこにあるでしょうか。」と指摘しておりますが、まさにそのとおりだと思います。
 また、同声明では、「「患者の申出」を起点とするだけに、「自己責任」として、医療事故があった場合の公的な救済制度は適用されないおそれがある。」としておりますけれども、副作用や事故が起きた場合の責任の所在、補償はどうなっているんでしょうか。
○唐澤政府参考人 患者申し出療養で事故などが起きた場合の対応の問題でございますけれども、まず、制度の中では医療機関から実施状況の報告を求めるということにしておりますので、その中に重篤な有害事象、事故や副作用についてもきちんと報告を求めることにしたいと考えております。
 それから、事故や副作用が起きた場合の責任や補償の問題でございますけれども、現在の治験の制度あるいは先進医療の制度、そういう中での対応を踏まえて具体的な制度の検討をしていきたいと考えております。
 例えば、治験の場合では、治験の依頼者と実施の医療機関というものは、まず健康被害の補償に関する事項、こういうものに関しまして契約を締結するということを定めております。また、治験の依頼者は、被験者に応じた健康被害の補償のため、あらかじめ保険の加入でございますね、そういうものについて必要な措置を講じなければならないというふうにしているところでございますけれども、こうしたものも踏まえまして詳細について検討してまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 患者団体の皆さんが心配されているのは、公的な救済制度があるかということなんですね。今の先進医療の枠でも、民間保険で対応されているわけですね。そういう意味では、公的に支える仕組みがないということだと思うんです。
 また、患者申し出療養の前例を扱ったことのある医療行為については、審査期間はわずか二週間だと。臨床研究中核病院が患者に身近な医療機関を審査する。これは、国には届けるだけで、身近な医療機関を臨床研究中核病院の協力医療機関に追加をさせて、医療行為を行うというわけです。
 この前例というのも、一旦、患者申し出療養に関する会議で認められたら、実際の治療や医療行為が行われていなくても前例とみなされるわけです。つまり、一例でも二例でも先例の治療行為があって、安全性が確認されつつあるということでもないのに、一度承認が得られたらということで前例として、二週間の審査でいいんだと。
 ここには患者申し出療養に関する会議は出てきませんし、国の関与は届け出だけであります。これでは、過大な責任を臨床研究中核病院に負わせることになるんじゃないか。それこそ、問題が起きたとき、臨床研究中核病院の責任ということにならないのか。国は、責任も補償の責務も、この点でも負わないということなんでしょうか。
○唐澤政府参考人 御指摘いただきましたように、前例のあるものとないものに分けて考えているわけでございますけれども、前例のあるものにつきましては、その前例を担当いたしました臨床研究中核病院におきまして、ほかの医療機関からの申請を審査、承認していただきたいというふうに考えているところでございます。
 こうしたときに、先ほど御指摘のございましたような有害事象、副作用というようなことが発生した場合につきましては、きちんとした対応が行われるように、先ほど申し上げましたような治験や先進医療の対応も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
 また、これは一連の制度でございますので、それぞれのところが、それぞれについて相応の責任を持っているということでございますので、臨床研究中核病院だけということではないと考えているわけでございます。
 これは具体的な事例に即して判断しなければいけないことでございますけれども、いずれにいたしましても、現在の治験、先進医療、そういうものも十分精査をいたしまして、それから、患者団体などの皆様ともよく御意見を伺いながら、詳細について検討してまいりたいと考えております。
○堀内(照)委員 やはり、公的な救済制度というのは対象外だということだと思うんです。国の責任は後退、回避をした制度だと言わなければなりません。
 医療機関と患者との当事者同士の関係に任せられれば、いわば、リスクを承知して申し出た患者の立場というのは一層弱いものになるではないかという懸念の声が上がっていることは、さきの難病患者の団体の声明で、患者申し出が起点とされ、自己責任とされることに強い懸念を示しているということを紹介したとおりであります。
 もう一点、中医協の審議でも懸念が表明されている、製薬メーカーなどが、治験や先進医療などの審査の手続に時間も手間もかかるということを嫌がって、短期で承認される患者申し出療養で使ってほしいと患者の背中を押すとか、主治医に働きかける、こういうことを防げるのかどうかという議論がありましたけれども、この点、いかがでしょうか。
○唐澤政府参考人 御指摘をいただきましたように、例えば、本来は治験で実施すべきものをこちらの方で出してくるというふうなことは望ましいことではないわけでございます。
 患者申し出療養ということでございますので、患者さんが治療の内容等をきちんと理解して、そして御納得をいただいた上で申し出をしていただくということが最も重要なことであると考えております。そのためにはどういう仕組みを設けるかということもございます。
 それから、患者さんだけではなかなか御判断ができないということもあろうと思いますので、かかりつけ医などが患者さんからの相談に応ずるような、御協力をいただけるようなことも関係団体に要請してまいりたいと考えております。
 それから、いろいろな病院にも、現在は先進医療担当窓口みたいなところはなかなかないんですけれども、この患者申し出療養に関連をして、高度な医療の相談に応ずるというような窓口を設置していただくというようなことも検討してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、申請に当たりましては、御理解と御納得ということが大変重要でございますので、それを担保できるような仕組みをきちんと考えていきたいと考えているところでございます。
○堀内(照)委員 考えていきたいということで、本当にこれで防げるのかと思うわけなんですね。困難な病気と闘う患者のためと言いながら、安全性、有効性が担保できる体制が今本当に見えないわけであります。これで本当に進めていいのかと思います。
 患者申し出療養の創設というのは、そういう意味では、もう本当に撤回すべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 今、さまざまな論点について御質問いただいて、また、それに対して局長の方から答弁を申し上げましたけれども、患者申し出療養は、国においてその治療法の安全性、有効性の確認をまずする、そして保険収載に向けて医療機関に実行計画の作成を求める、国においてそれを確認して、そして実施状況等の報告も求めるということにしておりまして、先生御懸念のような、無制限に、いわゆる医療格差をもたらすような、あるいはまた皆保険制度の根幹を揺るがすような混合診療を解禁するものではないというふうに考えているわけでございます。
 今後も、適切な形で保険診療と保険外診療を組み合わせる仕組みを講ずるということで、世界に誇る我が国の国民皆保険を堅持しながら、安全性、有効性等の確認を経た上で、必要かつ適切な医療について、基本的にやはり患者本位で保険適用をしてまいりたいというふうに思います。
○堀内(照)委員 本当にこれは安全性が確保できるのかということ、大変な問題だと思うんですね。
 きょう質問しました国保の問題でも患者申し出療養の問題でも、やはり患者負担をふやすということですとか、それから、保険外診療を拡大していくという問題では、本当に安全性が確保できるのかというふうに思うわけであります。
 私、神戸在住で、ことし阪神・淡路大震災二十周年でありますけれども、私の知人に、あの震災を生後二週間で体験した、ですから、ことし成人になった男性がいるんですが、彼が成人の日を喜べなかったのは、お父さんを直前、去年亡くしたわけですね。
 そのお父さんというのは、神戸市長田区の地場産業、ケミカルシューズで働いておりましたけれども、工場が被災をし、転々とする。倒産をやはり余儀なくされて、その後、タクシー運転手として働いていたわけですが、国保だったんですね。保険料がやはり払えなくて、保険証が手元にないということで、ようやく病院に行き着いたときには末期のがんで手おくれだったということでありまして、本当に、あの震災からの二十年、苦労して、困難な中でも、息子を中高一貫の私立に入れて国立大学に入れるということで、国立大学に進んだわけですけれども、そうやって手塩にかけた息子の成人の日も見られなかったわけですね。
 医療にアクセスできないということで、こういう事態をやはり起こしてはならないというふうに思うわけであります。
 今度の法案は、安全性、有効性が確認された必要な医療は保険適用して、一定の負担額で国民に提供されるべく整えられてきた保険診療の制度、国民皆保険制度を根本から掘り崩しかねないもので、撤回すべきだと強く厳しく指摘をして、質問を終わりたいと思います。