国会論戦・提案

追徴で被保険者負担 国保料算定ミス 堀内氏が対応迫る/遠方でも通院費支給 石綿労災補償 堀内氏に厚労省

 日本共産党の堀内照文議員は9日の衆院厚生労働委員会で、厚労省のシステムの誤りで後期高齢者医療制度の保険料を過大・過少に徴収していた問題で、「被保険者の不利益にならないような対応を徹底すべきだ」と求めました。

 同システムの設計ミスで一部の被保険者の判定が制度発足以来間違っていたにもかかわらず、厚労省は発覚後も公表せず個別対応で済ませていました。過大徴収されていた人には速やかに還付し、過少徴収の場合は説明の上で不足保険料の納入を求める方針です。

 堀内氏は神戸市で被保険者に届いた追加納付書を示し「今後1年間での納付を求め、期限内に納めないと保険証をとりあげ短期保険証へと切り替えるというものだ」と指摘。当年分と合わせて合計3年分の支払いを求め、9割減免から全額自己負担になった人では30倍もの負担増になると指摘。「本人には何の責任もないのに重い負担を課して、短期証や延滞金といったペナルティーまで科すなどあってはならない」と迫りました。

(しんぶん赤旗 2017年6月22日より)

 

 日本共産党の堀内照文議員は9日の衆院厚生労働委員会で、アスベスト(石綿)の労災補償にかかわり、中皮腫患者が遠方の医療機関を受診した際の通院費が補償されない事例についてただしました。厚労省の山越敬一労働基準局長は「療養上の必要性があれば距離にかかわらず支給する」と答弁しました。

 堀内氏は、通院費に関する2009年通達が周知されず認められない事例があると指摘。山越氏は「周知に努める」と答えました。

 アスベストなどの遅発性の疾病は、事業場の離職日が労災休業給付の基礎日額の算定基礎となります。

 堀内氏は、再雇用の退職日が算定基礎とされたことで給付額が低くなった事例を示し、「16年7月の労働保険審査会裁決では丁寧に勤務実態をつかみ定年退職を離職日としている」と指摘。同裁決の立場で通達を出すよう迫ったのに対し、山越氏は「16年7月の裁決などを踏まえ適正に判断する」と述べました。

(しんぶん赤旗 2017年6月22日より)

質問動画はこちら

 

2017年6月9日 衆院厚生労働委員会 議事録

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 きょうは、ちょっと盛りだくさんでお願いをしておりますので、早速質問に入らせていただきます。
 まず初めに、後期高齢者医療保険料の算定誤りの問題についてであります。
 昨年末、後期高齢者医療保険の保険料の均等割部分の軽減判定が誤っていることが判明をいたしました。そして、公表されております。驚いたことに、制度発足以来、誤っていたんだと。しかも、二〇一一年以降、問い合わせがあり、誤りを認識していながら、公表もせず、個別対応で済ませてきた。このたび、ようやくシステム改修へということなんですが、誤って賦課していた被保険者に対しては、徴収過大の方には速やかに還付をし、徴収過小の被保険者は、個々の事情を伺いながら丁寧に説明した上で、本来の保険料を納付していただくこととしております。対象となるのは、家族で経営するような小さな事業所の方々です。過去二年分を一年で払えということになれば、合計三年分を一年間で支払わなければならなくなります。
 大臣の認識を伺いたいんですが、これは完全に厚生労働省の責任で起こった問題です。なのに、こんなに重い徴収を課せられるということがあっていいのかと思うんですが、いかがですか。
○塩崎国務大臣 御指摘の後期高齢者医療制度の保険料算定誤り、これは広域連合の電算処理システムの設定に、プログラミングに誤りがあったということでございます。被保険者のうちの一部の方につきまして、保険料の軽減判定が誤って行われてしまって、本来納付すべき金額とは異なる保険料が賦課をされていたもので、過払いの方もおられれば逆の場合もある、こういうことが起きてしまいました。
 この件につきましては、被保険者の皆様方、そして広域連合の皆様方、あるいは市町村の皆様方に大変御迷惑をおかけしておりまして、まずはおわびを申し上げたいというふうに思います。
 現在、保険料の還付等を進めているわけでございますけれども、これまで過小賦課となっていた方には、他の被保険者との公平性の観点も踏まえて、保険料の追加納付をお願いしているものでございます。御理解を何とかいただければというふうに考えているわけでございますが、その際、被保険者の経済状況等はさまざまでありますので、広域連合あるいは市町村において、個々の事情によく配慮をいただきながら丁寧に御対応をお願いしたいというふうに考え、その旨を伝えているところでございます。
    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕
○堀内(照)委員 神戸市で対象になる方に配付されている文書をきょう資料でつけておきました。当初用意した文書、私の方で配慮が足りませんで、理事の皆さんの御指摘をいただき、ちょっとその部分は直して配らせていただいております。
 それで、保険料を、二十七年度分一万九千四十一円、二十八年度分一万九千三百十九円、これが追加で納付をお願いする保険料なんだ、申しわけありませんが、平成三十年五月末日までにお支払いいただきますようお願いいたします、それ以降の納付となりますと、保険証の有効期間が短くなってしまいますので、何とぞ御理解のほど、よろしくお願いいたしますということで、短期証への切りかえと、わざわざ二重下線も引かれて、これを受け取った方は本当に驚いたんだと思うんですね。
 私が伺った事例では、八割五分減免の人が例えば五割減免になったとか、そもそも減免そのものがなくなって全額負担になったんだとか、ひどい人は、夫婦とも九割減免だったのが全額負担になった。九割減免が全額負担になると、そもそもの保険料が十倍になっているんですね。十倍になった保険料を今後一年間で三年分払えとなれば、前年比でいったら三十倍の負担になるわけなんですよ。それを、本人の責任もないのに、期限までに納付できなかったら短期証だ、こういうペナルティー。これは、期限を超えると当然延滞金もつくんですよ。こんなことがあっていいのかとやはり思うんですね。
 こんなペナルティー、やはりあってはならない、徹底すべきだと思うんですけれども、いかがですか。
○鈴木政府参考人 神戸市の追加徴収についてお尋ねがございました。
 御指摘のような追加納付のお願いの方法等が適切か否かにつきましては、当該被保険者の経済状況にもよることから、一概にお答えすることは難しいと思います。
 また、もちろん、保険料につきましては、他の被保険者の方々との公平性の観点も踏まえ、本来の金額をお支払いいただくということが原則ではございますけれども、御指摘のとおり、本件は標準システムの誤りによるものでございまして、被保険者の方々への説明、それから徴収、還付等を行う広域連合や市町村においては、個々の事情によく御配慮いただきながら丁寧に対応していただきたいというふうに思っております。
○堀内(照)委員 本当にこういうことがあってはならないと思うんです。
 大臣、具体的に目も配っていただいて、厚労省の責任で起こった問題ですから、被保険者に不利益にならないようにぜひ配慮いただきたいと思うんです。一言、いかがですか。
○塩崎国務大臣 まず第一に、これはプログラミングの間違いでございますので、私どもとしては謝罪するしかないわけでありまして、今局長から申し上げたように、この対応については、個々の事情によく配慮して、いろいろな立場の方々がおられますので、丁寧に対応してもらうように、広域連合や市町村に呼びかけてまいるということでございます。
○堀内(照)委員 ペナルティーや不利益になることが絶対ないようにお願いしたいと思います。
 兵庫県では、この疑いのある人が一万三百三十人もいるということなんです。もちろん、全てが実際に誤っているというわけではありません。しかし、とにかくこの一万人以上の方々に調査をかけてみないと、そのうち一体どれだけの人が誤っているかというのはわからないわけです。
 後期高齢者医療保険制度の兵庫県の広域連合の懇話会の議事録というのを、私、一月に行われたのを読んだんですが、事務の手間についてということで、計算、抽出するツールが国から配付されており、抽出後、各市町村に所得を照会する、その結果をまた入力しないといけないため、やはり手間がかかる、所得が入力されれば機械的に計算してくれるとはいえ、かなりの手間がかかると考えている。それから、所得照会書を三年分取り寄せないといけない。つまり、前年の収入がどうだったかというのにもかかわりますし、所得がどうだったかにもかかわりますので。通常一年分であれば、被保険者の氏名や税務課の宛先などが自動的に出てくる、しかし、今回の追加分に関しては、システムが非対応ということで、一件一件手でつくるか、あるいは各広域で独自のシステム改修をして対応するようにとのことなので、システム改修をするべく見積もりをとるなどして準備を進めているんだと。
 これは、国に経費というのを認めてほしいということで、要望も出ているかと思うんです。こういう対応をぜひすべきだと思うんですが、いかがですか。
○鈴木政府参考人 今回の対応に関する必要経費についてお尋ねがございました。
 今回の後期高齢者医療制度の保険料算定誤りにつきましては、国が委託して作成した標準システムの誤りに原因があるということでございますので、広域連合において、本件の対応に関連して発生する費用については、基本的に特別調整交付金で対応するということを検討しております。
 具体的な範囲についてはまだお示しする段階にはございませんけれども、広域連合等の御意見も踏まえながら、本件の性質に鑑み、適切に対応してまいりたいというふうに思います。
○堀内(照)委員 ぜひお願いしたいと思います。
 次のテーマに移りたいと思います。
 老舗のゴム製品製造会社昭和ゴムで、社会保険料の不払いが起こっております。その内容は、二〇〇九年末から二〇一二年夏季にかけて、五回分の賞与の際の年金、医療、介護の保険料を労働者から徴収しながら納めていなかったというものであります。二〇一二年にOBからの問い合わせで判明したものの、まともな対応がなく、二〇一五年に表面化をしたわけです。
 年金保険料は追って納付ができたわけですが、医療、介護の保険料については納付できないまま、労働者から預かった保険料をいまだに会社が持ち続けております。そのままだと不当利得になると思うんです。
 昭和ゴムは、それ以前の二〇〇八年六月にアジア・パートナーシップ・ファンドが経営権を握り、昭和ゴムの資金二十七億円をタイにあるこのファンドの子会社に還流させる一方で、会社分割を強行、それらを追及した労働組合員に降格や減給など懲戒処分を繰り返すなど、労働者を犠牲にして企業を食い物にしてきている、そういう会社がこういうことをやっているわけです。
 会社側は、保険料の未納を認めているものの、賞与支払届を年金事務所に郵送したが、年金事務所から通知が来なかったから払ってないだけだとしているんですね。年金事務所の方も、記録がないんだと。労働組合がこの間何度も言っているわけですが、そう言うだけであります。
 この保険料を今からでも納付することというのは可能なんでしょうか。
○鈴木政府参考人 過去の医療保険の保険料の徴収権についてお尋ねがございました。
 一般論としてのお答えでございますけれども、過去の保険料につきましては、健康保険法第百九十三条第一項におきまして、「保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によって消滅する。」というふうにされております。
 したがいまして、協会けんぽの適用事業所の件につきましては、二年を経過すると徴収権が消滅するということでございますので、徴収事務を行う日本年金機構においては保険料を徴収することはできないということになります。
○堀内(照)委員 つまり、受け取れない、持ってこられても受け取ることはできないということなんだと思います。
 ですから、既に徴収権を失って、納付先がそもそもないんだ。なのに、会社側は、年金事務所から時効で受け取ることができないという趣旨の文書が届いてないなどとして、今もなお、今も言いましたように、預かった保険料を持ったままなんですね。
 労働組合は、天引きした保険料を労働者本人に返すことを求めていますが、会社側は、調査中だとして返還に応じておりません。労働者から預かった保険料を、納付先がなくなってもなお会社が持ち続けるなんということがあっていいんでしょうか。
○伊原政府参考人 個別の事案の件につきましてはちょっとお答えすることはできないと思いますけれども、事業主が天引きをして、それをまだ手元に持っているということであれば、その取り扱いについては、事実に基づいて、不当利得であれば返還になると思いますし、そうでなければ別の方策になるというふうに思います。
 ちょっと、個別事案についてのお答えは差し控えさせていただきます。
○堀内(照)委員 不当利得であれば、当然、返還なんだろうということでありました。
 今、個別事案ということなんですが、こういうことはあってはならないんですけれども、起こり得るんだなということを改めて私思ったのは、賞与にかかわる保険料なんですね。給与にかかわる保険料なら、毎月なので、そもそも支払届等がなければ、やはりおかしいということになって、すぐに年金事務所なんかからも行くんだと思うんです。ところが、賞与というのは、出している会社もあれば当然出していない会社もありますので、会社の側から支払届がなければ、そもそも保険料が発生するかどうかというのもわからないんですね。いわば、そういうことを悪用してやっているということで。
 私、ちょっと大臣に、通告してないんですけれども、こういう賞与については、届け出なければ、実際には支払っていても、保険料が発生しているかというのは年金事務所の方でわからないわけなんですよね、今の制度上そういうことになっているわけで、そういうことで悪用して今回はやっているということですから。こういうことを放置されていたのでは、制度の信頼性にもかかわると思うんですが、こういうことを防いでいくような手だてというのはないんでしょうか。
○伊原政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、本来、保険料を徴収した事実などは、事業主自身に届け出義務が課されておりますので、出していただくということが基本ですが、御指摘のように、届け出漏れとか報酬額の誤りといったおそれもあります。
 そうしたことから、日本年金機構では、事業所に対する調査というのを行っております。特に、平成二十四年度からは、原則として四年間で全ての適用事業所を調査する取り組みを開始しておりまして、従業員ごとに賃金台帳などを確認しまして、被保険者としての届け出漏れがないかどうか、報酬額の届け出誤りがないかどうかを確認しております。
 加えまして、被保険者御本人にも、こうした徴収された年金保険料が正しいかどうかを御確認いただくために、毎年、ねんきん定期便をお送りしております。そこには、標準報酬の額も賞与の額も書かれております。あるいは、ねんきんネットというものも提供しておりまして、いつでも年金保険料の納付記録を確認できるようにしています。
 万一、保険料を賞与から源泉徴収されているにもかかわらず、年金納付の記録がない、こうした記録に疑義があるという場合は、年金事務所に御連絡いただければ、これを受けまして、年金事務所では実態の調査を行っております。
 こうした多面的な取り組みを通じまして、事業主が保険料を徴収した事実をしっかりと正確に把握しまして、御指摘のような事例がないように対応してまいりたい、このように考えております。
○堀内(照)委員 二〇〇九年末から二〇一二年の夏の間に五回と私は申し上げたんですが、実は、その間、二〇一〇年末だけはちゃんと支払届を出しているんです。それはなぜかというと、そのときに年金事務所が調査が入っていたから。今の四年に一回なんです。四年に一回だと、二年の時効、さっきの、徴収権が失われる、発覚したときにはもう時既に遅しということにもなるわけなんですが。ですから、あり方の検討が必要じゃないかということをちょっと指摘させていただきたいと思います。
 次に、宿直勤務の労働時間の取り扱いについて伺いたいと思います。
 宝塚市にある、宝塚公益社という葬儀会社があります。これは、全国に展開している公益社というのはまた別の会社だそうです。ここで労働者に対する残業代の未払いがあり、裁判になっております。
 会社は、宿直の許可をそもそも得ずに、夜間勤務を宿直と称して、宿直手当のみで従事をさせておりました。ほかにも、労働契約は口頭のみ、就業規則はなし、三六協定なし、有給休暇は年四日のみ、本当に問題だらけの会社でありました。残業時間は月百時間から百六十時間にも上ると言われております。
 管轄の西宮労基署にも申告をし、労基署は会社を臨検、是正勧告も行ったと言っております。しかし、その後の会社の対応は、告発をした社員を解雇したり降格させたり、またパワハラもひどくなった。そういう中で、体調を崩しうつ状態と診断をされ、休職に追い込まれた職員もおります。そして、パワハラと長時間労働によるうつ病発症だということで、今、労基署へ労災の申請中であります。
 多々問題はあるんですが、この夜間業務の労働時間の扱いについて伺いたいと思うんです。
 ここの会社では、仮眠があったとはいえ、一たび電話を受けて葬儀の依頼があれば、火葬場の予約、寝台車の手配、病院や施設への御遺体のお迎え、葬儀会館や御自宅までのお送り、ドライアイス当て、日程や式場の打ち合わせ、宗教者の手配や打ち合わせなど、通常と変わらない業務が始まります。電話での問い合わせは、その方が亡くなってから来るわけですから、夕方であろうが深夜だろうが明け方だろうがかかってくるわけです。電話が来れば、一連の対応を行って、大体それが三、四時間かかるんだ、一晩に二、三件も依頼があればもう一睡もできないということであります。
 これも、個別の案件には答えられないでしょうから一般論で結構なんですが、このように、たとえ仮眠をしていたとしても、一たび電話があれば直ちに通常業務につかなければならないような状態での待機というのは、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインというのがありますが、それから見ても、当然、労働時間とみなされるんだと思うんですが、いかがでしょうか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 個別の事案についての御回答は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、御指摘もありましたように、本年一月二十日に厚生労働省において策定をいたしました、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインにおきましては、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たるとしているところでございます。
 そして、このガイドラインでは、使用者の指示があった場合に即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機などをしている時間、いわゆる手待ち時間でございますけれども、これは労働時間として扱わなければならないとしているところでございます。
 したがいまして、このような態様が認められる場合には労働時間に該当するものでございますけれども、個々のケースについての判断は、その実態を踏まえて、個別具体的に判断する必要があるところでございます。
○堀内(照)委員 今ありましたように、ガイドラインに照らしても私は明白なんだと思うんですが。
 先ほど、うつ病で労災申請中だということも申し上げました。その労災を申請した労働者が、労基署で事情聴取を受けた際に担当職員から言われたのが、宿直時間の全てが労働時間であるかどうかの判断が難しく、判断次第では長時間労働に当たらないかもしれない、こう言われたんだと。これはまだ調査中ですから断定的なことは言えないということもあるのかもしれないんですけれども、そう言われた労働者は大変不安に思っているわけです。
 そして、申請からもう半年以上もたっているんですが、決定に至っていません。その間に、会社側は、休職中の職員に対して、この七月一日付で解雇の通知もしてきております。早く労働時間とみなして、労災認定すべきだと申し上げたいと思うんです。
 この会社、そもそも許可を受けずに宿直をさせていたわけですが、その場合、罰則というのはないんでしょうか。
○山越政府参考人 労働基準法第四十一条及び同法の施行規則第二十三条におきましては、使用者は、宿直等の勤務で断続的な業務として、所轄の労働基準監督署長の許可を受けた場合は、同法に定める労働時間などに関する規定の適用なく、労働者を使用することができるとされております。
 こうした労働基準監督署の許可を得ずに宿直をさせること自体は、直ちに労働基準法に違反するものではないわけでございますけれども、この場合は、労働基準法に定める労働時間等に関する規定は適用されるため、結果として、例えば、三六協定を締結せずに法定労働時間を超えた労働や法定休日労働をさせていると認められる場合でございますとか、三六協定で定める延長時間を超えて時間外、休日労働をさせた場合でございますとか、実際の労働時間に応じて適切に割り増し賃金を支払っていなかった場合につきましては、労働基準法違反になりまして、罰則の対象となるものでございます。
○堀内(照)委員 今、宿直届を出さないでさせていても、直ちにそれ自体が法令違反ではないんだ、ただ、付随する割り増し賃金の支払いが不十分であったりとか、三六協定より超えてであれば、当然、それに関する法令によって、違反となれば是正されるべきなんだという趣旨だったと思います。
 ばれなければ手当だけで済ませられるというようなことで、届け出ないで、宿直と称してさせているというようなことだとすれば、私はかなり悪質なんだと思うんですね。そういう意味では、そういう悪質さに加味したような、罰則とまでは言わなくとも、厳しくやはり対応していくということが必要じゃないかと申し上げたいと思います。
 続いて、アスベストの労災補償にかかわって質問をさせていただきたいと思います。
 まず、中皮腫の労災通院費についてなんですが、この取り扱いについてお答えいただきたいと思います。
○山越政府参考人 労災保険法第十三条におきましては、療養補償の対象となる療養の給付の範囲を規定しておりまして、いわゆる通院費も、同条に規定されております移送に該当するものでございますれば、補償されるところでございます。
 具体的な取り扱いにつきましては、中皮腫を含む全ての傷病につきまして、平成二十年十月三十日に発出をいたしました、労働基準局長通達であります、移送費の取り扱いについての一部改正により支給範囲を定めているところでございまして、この範囲でございますけれども、同一市町村内に所在する当該傷病の診療に適した労災指定医療機関への通院、同一市町村内に当該傷病の診療に適した労災指定医療機関が存在しない場合は隣接する市町村内にある当該傷病の診療に適した労災指定医療機関への通院、同一市町村及び隣接する市町村内に当該傷病の診療に適した労災指定医療機関等が存在しない場合は最寄りの当該傷病の診療に適した労災指定医療機関への通院とされているところでございます。
○堀内(照)委員 加えて、中皮腫については、こうした専門医療機関が近隣にあるとは限らない状況もあることから、遠方の通院であっても、主治医の紹介等に基づく通院であることが確認でき、診療に適した医療機関であると該当すれば、当然、認められるというふうに思うんですが、中皮腫について、さらにその上に、そういうふうに扱っていると思うんですが、間違いないですね。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 中皮腫につきましても、今の基準が基本的には適用されるものでございます。
○堀内(照)委員 ちょっと経過をたどってみたいと思うんです。
 この中皮腫の労災通院の取り扱いについて、そもそも取り決められたのが二〇〇五年、平成十七年十月三十一日の通達「中皮腫の診療のための通院費の支給について」だと思います。この直前、十月十八日の記者会見で、当時の尾辻大臣、中皮腫の通院について何と語っておられますか。
○山越政府参考人 平成十七年十月十八日の記者会見におきまして、当時の尾辻厚生労働大臣は、労災の一般的な交通費については、最寄りの病院に行っていただくことになっている、ただし、中皮腫については、常識的な範囲で患者さん方の納得なさる病院に行っていただくということが一番よいと思っている、そのような解釈により、直ちに交通費を支払うという形にしたいといった趣旨の御発言をされておられます。
○堀内(照)委員 資料の二枚目に、その記者会見の部分を引用しておきました。
 今ありましたように、一般的な交通費の出し方は最寄りなんだ、しかし、中皮腫の場合は、やはりなかなか該当する病院がないわけですから、患者さんの納得ということを大臣が言われているわけです。
 次の資料三枚目、これはその記者会見の翌日です、衆議院厚労委員会での質疑。質問されているのは古屋現副大臣でございまして、答弁に立っているのが中野副大臣で、下線を引いております。
 中皮腫の患者が医療機関に通院する場合の交通費に関しましては、当面、その方の通院が医師の紹介による等、当該通院機関でのより専門的な診療が療養上の必要性に基づく適切なものである場合には、これは、いわゆる距離の問題ではなくて、現行の支給基準を満たすものとして取り扱うこととしておりまして、そのことも早急に全国の労働局に通知をする予定でございます。
ということであります。
 ですから、中皮腫については、もちろん、今ありました、現在では平成二十年十月三十日の通達が基本でありますけれども、その上に、中皮腫の特性、なかなか医療機関が全国的に難しいんだ、確保しづらいんだという実情を踏まえて、最寄りといってもなかなか難しい、だから、その通院費の支給の判断に当たっては距離の問題ではないとここで定められたんだと思うんですが、そのことは確認したいと思うんですが。
○山越政府参考人 労災保険における通院費の支給に当たりましては、これは傷病にかかわりませんけれども、近隣市町村に診療に適した労災指定医療機関がない場合は、診療機器の整備状況でございますとか、専門知識、経験を有する医師の有無、そして主治医の紹介等による通院かどうか等を考慮した上で、距離の制限なく、最寄りの診療に適した労災指定医療機関への通院費を指定しているところでございます。
 そして、中皮腫につきましてでございますけれども、主治医の紹介による療養上の必要性に基づく適切なものである場合は、距離によらず支給することとしているところでございます。
○堀内(照)委員 距離によらずということで確認させていただきました。
 尾辻大臣の会見もあり、最初の平成十七年、二〇〇五年の通達は、今ありましたように、平成二十年、新しい通達で廃止はされたんですが、その内容が否定されたわけではありません。それは新しい通達でも対応できるからということでありまして、中皮腫については従前どおりしっかり取り扱いなさいということを、改めて、実は、二〇〇九年、平成二十一年に事務連絡を発出しております。それが資料の次のページであります。今も答弁いただいたように、中皮腫についてはやはり距離ではないんだということで、きちんと対応しなさいということなんだと思います。
 ところが、各地で、遠方の医療機関にかかった場合、中皮腫の通院費が認められない事例というのが見受けられます。神奈川県の方が、県内の医療機関から紹介状を出してもらって、山口県の医療機関を受診し、手術をしました。ところが、労基署の判断は、自宅のある神奈川から山口まで通院しなければならない医学的合理性は認められないと、一部不支給になっております。
 他の事例も含めて、私は、複数の事例の復命書ですとか、審査請求に対する決定書というのを読ませていただきましたが、その判断をする根拠として挙げられている文書が、昭和三十七年九月十八日付通達と、今ありました平成二十年十月三十日付通達のみで、その後出された、平成二十一年の、中皮腫については従前の取り扱いどおりとする事務連絡については言及がないわけなんです。
 この平成二十年通達の中にある最寄りという規定に、判断がそれで左右されていたんだとすれば、距離の問題ではないんだと対応してきた中皮腫の通院費のあり方とは違うことになってしまうと私は思うんですね。
 改めて、この二十一年の事務連絡で強調している中身というのを、通達を出すなり周知すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○山越政府参考人 移送費の取り扱いでございますけれども、御指摘もございますように、平成二十年の労働基準局長通達、そして平成二十一年の補償課長補佐事務連絡などによりまして、各都道府県労働局に指示をしているところでございますし、これに加えまして、これまでも、全国会議などの場で取り扱いの徹底を指示してきているところでございます。
 今後とも、全国斉一的な取り扱いが徹底されますよう、しっかりと周知や指導をしてまいりたいと思います。
○堀内(照)委員 とりわけ、平成二十一年の事務連絡を踏まえているのかなとちょっと疑問を持つようなのもありますので、ぜひ徹底いただきたいと思うんです。
 最後に、同じくアスベスト問題で、労災の休業給付について、離職後に診断が確定した場合、労災の休業給付の算定、これはどのように行われているかを伺いたいと思います。
○山越政府参考人 労災保険の休業補償給付における平均賃金についてでございますけれども、これは、原則として疾病の発生が確定した日、診断確定日が平均賃金の算定事由発生日となるものでございます。
 ただし、既に疾病の原因となる有害業務に従事した事業場を離職して石綿関連疾患を含む遅発性疾病を発症された場合は、有害業務に従事した最終の事業場を離職した日以前三カ月間に支払われた賃金により算定した金額を基礎といたしまして、算定事由発生日、これは確定診断日でございますけれども、この日までの賃金水準の変動率を乗じることにより平均賃金を算定しているところでございます。
○堀内(照)委員 一旦定年退職をして、再雇用をされ、またその離職後にアスベストによる疾病の診断が確定した人が、休業給付の基礎日額の算定に当たって、再雇用後の退職をもって離職した日とされたことで、再雇用時の低い賃金が算定基礎になって、給付も非常に低くなってしまったという事例が起こっております。
 しかし、再雇用で従事した仕事は、定年退職以前と同じ職場であったとしても、賃金など労働条件が変わっております。一旦会社を退職して、新たに従前とは異なった労働契約を結んで再雇用されたわけであって、アスベスト暴露のおそれのある作業に従事した最終の事業場を離職した日というのは、定年退職の日とみなすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○山越政府参考人 アスベストに係ります最終暴露事業場の離職日につきましては、労働者のその疾病の発生のおそれのある作業に従事した最後の事業場を離職したときがどの時点かということを、個別の事案に即して判断しているところでございます。
 定年退職後に引き続き再雇用された後に石綿関連疾患などの遅発性疾病を発症された方の離職日については、当該事業場において雇用が実質的に継続しているかどうかということを基本といたしまして判断をしているところでございます。
    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕
○堀内(照)委員 雇用の継続性等の実態を見て判断をしているんだということでありますが、私は、就労の実態というのを本当に丁寧に見る必要があるんだと思うんです。
 二〇一六年、平成二十八年七月二十日の労働保険審査会の裁決というのがありまして、これは本当に丁寧に勤務実態をつかんでいるんですね。もともと、原処分は、同じ会社に翌日から契約社員として雇用されているからということで、雇用継続だということで、再雇用を退職したときを離職した日とみなして、だから、当初は低い給付で処分されていたんです。それを再審査等々を申し立てて審査した裁決なんですが、勤務実態をよくつかんで、再雇用の人でも、定年退職をもって事業場を離職した日としてみなしております。いわば、だから原処分を覆している、その判断を覆しているわけですが、具体的には以下のように丁寧につかんでおられます。
 つまり、正社員から契約社員に変わったということ、役職も解かれているということ、勤務日数も減り時間外労働や休日労働にも従事していないこと、正社員当時あった資格の手当等もなくなったこと、基本給も下がっていることなどなどを挙げて、就労実態が大きく異なっていることからすると、請求人は、定年退職を契機として、一旦会社を離職し、その後、新たに会社とは従前とは異なった内容の労働契約を締結し、会社に改めて再雇用されたものと見るのが相当であると結論づけております。
 実態を見るというのなら、単に、翌日から同じ会社で雇われているから継続だとかいうことではなくて、このように定年前後で就労実態がいかに変わっているか、やはり具体的に把握して判断する必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○山越政府参考人 御指摘をいただきました労働保険審査会の裁決でございますけれども、これは、御指摘もございましたように、個別事案の実態を把握した上で、定年退職を契機として、一旦会社を離職し、その後、新たに会社と従前とは異なった内容の労働契約を締結して、会社に改めて再雇用されたものと見るのが相当として、継続勤務ではないと判断したものと受けとめております。
 したがいまして、今後におきましては、定年退職後に再雇用された労働者の業務上疾病に係る給付基礎日額の算定でございますけれども、労働保険審査会の裁決などを踏まえまして、個別の事案につきまして適正に判断をしてまいりたいと思います。
○堀内(照)委員 今、労働保険審査会の裁決を踏まえてと言っていただきました。
 この裁決が出た後にも、各労基署ですとか地方の審査官の判定なんかを見ますと、単に同じ職場で働いているからということで継続とみなされているという場合がかなりあるわけなんです。そのうちの一つで、こういう文言もありました。その理由に、じん肺については作業転換の特例が施行規則により定められているが、石綿に関しては特別な規定も通達も存在しないというものでありました。
 今、労働保険審査会の裁決を踏まえてと言っていただきました。その内容を本当に徹底していく上でも、そういう内容を踏まえた取り扱いについて、通達なり周知徹底が必要だと思うんですが、いかがですか。
○山越政府参考人 御指摘のございました、じん肺にかかられた労働者の給付基礎日額の算定についてでございますけれども、これは、当該労働者について、じん肺の症状を原因として作業の転換があった場合の特例を労働者災害補償保険法施行規則第九条で定めているものでございまして、じん肺にかかった労働者につきましては、徐々に症状が悪化していきますために、作業転換をして賃金が低下した後に療養を必要とする場合が多いことから、こういった規則が設けられているものでございます。
 御指摘をいただきました、定年退職後に引き続き再雇用された方が離職後に石綿関連疾患などの遅発性疾病を発症された場合でございますけれども、これにつきましては、個別事案ごとに適正に判断をしていきたいというふうに考えております。
○堀内(照)委員 別に、じん肺と同じようにせいと言ったわけでなくて、それは判断された向こうの側がそういうことを言っていることを紹介しただけで、私が申し上げた趣旨は、先ほど答弁ありましたように、労働保険審査会の裁決を踏まえてと言っていただきましたので、そういう趣旨が徹底するような手だてが必要じゃないかということで申し上げましたので、ぜひ検討をいただきたいと思います。
 きょう大臣には最初の方に幾つかの質問しかしませんでしたが、ぜひ、ほかの課題も含めて、大臣の方にも目を配っていただきたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上で私の質問を終わります。