国会論戦・提案

保護児童にケアを 母親へのDV被害、心に傷 堀内氏

日本共産党の堀内照文議員は5月26日の衆院厚生労働委員会で、ドメスティックバイオレンス(配偶者や恋人などからの暴力、DV)の被害女性と一緒に施設に保護される子ども(同伴児童)が心に深い傷を負っている例が多いことを示し、回復を支援するための心理的ケア体制充実を政府に迫りました。

 堀内氏は、DV法で婦人保護施設等を位置付けたのだから、子どもの支援も本来業務とすべきだと指摘。「子ども独自の支援プログラムが必要だ。子どもに対する心理専門職や保育士は、加算対応でなく最低基準に定めるべきだ」と強調しました。

 塩崎恭久厚労相は「今年度から婦人保護事業の実態把握を行う。同伴児童に特化した支援プログラムの作成や職員配置を基準に組み入れるかどうかも実態を踏まえ検討する」と答えました。

 堀内氏はまた、児童相談所では、虐待で深い傷を負った子どもや発達障害の子どもなどが増えるなか、個別支援が必要な子どもたちにふさわしい居場所といえない事態も生まれていると指摘。国が定めた最低基準すら満たしていない施設が残されていることも示し、新たな基準策定や改修のための財政支援など、どの子にも最低基準の処遇が保障されるよう対策を求めました。

2017年6月8日 しんぶん赤旗より

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2017年5月26日 衆院厚生労働委員会 議事録

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 法案の審議ということで質問させていただきます。
 この法案は、児童虐待の対応にかかわって司法の関与を強めるというものであります。具体的には、第二十八条措置にかかわって家庭裁判所の関与を規定するとともに、一時保護の審査についても、親権者等の意に反して二カ月を超えて一時保護を行う場合に、家庭裁判所の承認を得なければならないようにするといったもの等々であります。
 親子の分離介入と再統合支援という複雑な機能と役割を持つ児童相談所の業務の困難さというのは、従来から指摘をされておりました。そして、司法の関与の必要性も指摘されてきたところです。親権停止を創設した二〇一一年の民法と児童福祉法の改正の際にも、審議会でもそういう議論がありましたし、参議院の法務委員会での審議で我が党の井上哲士議員が、親と児相との対立の解消という点でも、また、一時保護が長期になれば子供の権利侵害にもなりかねないという点からも、司法関与が検討されるべきだと提起をしております。
 その際、当時の江田五月法務大臣からは、司法関与が当時困難だった理由として、今の司法やあるいは児童相談所の体制の現実を考慮しますと、迅速な一時保護が困難となって、かえって児童の保護が図られないおそれがあるという指摘もあったことや、この当時はそういう制度を、司法関与を取り入れなかったわけでございますが、その根本には、子供をしっかりと支えていく社会的なサポート体制の弱点であるとか、あるいは司法、とりわけ家庭裁判所の人員の脆弱性であるとか、そうしたものが根本にあるということを考えていかなきゃならないという答弁でありました。
 きょうは最高裁にも来ていただいています。このときと比べて体制が充実したのかということであります。司法の側の担い手でいえば家庭裁判所調査官になると思うんですが、この人員、当時の法改正の議論があったときと比べて増員されているのかということをまずお聞きしたいと思います。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 平成二十三年の改正のことをお話しされたかと思いますが、平成二十二年度以降、家裁調査官につきましては、増員はいたしておりません。
○堀内(照)委員 全国で千五百九十六人、今ありましたように、その前の法改正があった前に五人増員して以降、ずっとないわけですね。ですから、二〇一一年時点の議論で体制面の心配で見送った司法の関与なんですが、その後増員がないのに今回導入ということなんですが、これは対応できるんでしょうか。
○村田最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、家裁調査官の人的体制につきましては、家事事件及び少年事件の動向や事件処理状況に照らして検討をしているところでございまして、これまで行ってきた人的体制の整備の状況に加えまして、少年事件の事件数がこの十年だけ見ましても約三分の一程度にまで減少しているということなどに照らしますと、成年後見事件を含む家事事件の事件動向を考慮しても、家裁調査官の現有人員を有効活用することによって各種事件の適正迅速な処理を図ることができるものと考えまして、平成二十九年度においては家裁調査官の増員を行わなかったというところでございます。
 今般の法改正によります司法関与の強化を踏まえました人的体制の整備につきましては、まずは国会での御審議の結果を踏まえて考えてまいりたいと存じておりますけれども、現有人員の有効活用を図り、新たに導入される制度が法改正の趣旨を踏まえて円滑に処理されるよう努めてまいりたいというように考えております。
○堀内(照)委員 少年事件の減数ということをおっしゃったんですけれども、家事事件の方は一方でふえているということも今ありましたが、総数で見たらやはりふえているんですね、足しても、トータルでいえば。確かに、その全てが、調査官が関与することが必要であるとは限りませんけれども、一方で、社会がいろいろ複雑になる中で、扱う領域等もやはり広がっているわけですね。
 ですから、現場からはこういう声が上がっています。
 ことし三月の裁判所職員定員法の審議の際に、衆議院法務委員会で参考人として意見陳述をした中矢正晴全司法労働組合中央執行委員長は、離婚や子供をめぐる問題など家庭を取り巻く社会環境が厳しくなっているもとで、裁判所に求められる役割も大きくなっているということ、それから、少年事件が減っているというけれども、近年の少年の特徴として非社会的な少年がふえて、話を聞き出すのも非常に時間や手間がかかっているとの現場の声があるということ、そして、成年後見利用促進法の成立を踏まえた人的体制の整備の必要性などを挙げて、とりわけ家庭裁判所の増員が必要だ、特に、家裁の充実を図ろうと思えば、調査官の人員体制の整備なしには考えられないという声であります。
 それに加えて、児童虐待問題で今回、新たな役割が加わるということであります。
 今、この審議と法の施行状況を踏まえてということでありましたけれども、やはり必要な増員というのは図るべきだと思うんですけれども、いかがですか。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 裁判所といたしましては、これまでも、家事事件への対応を充実強化するために、家裁調査官につきましては、平成十二年度から十八年度まで、事務官からの振りかえも含めますと合計六十八人の増員を行っておりますし、先ほど委員の御指摘にもございましたが、平成二十一年度についても、少年事件における被害者配慮制度への対応として五人の増員というのを行ったところでございまして、家庭裁判所が、その特色である科学性あるいは後見性を十分に発揮して的確な事件処理を図れるよう、必要な体制整備を行ってきたというふうに考えておるところでございます。
 裁判所といたしましては、委員の御指摘にもございましたが、社会が裁判所に求める役割が増大しているということは認識をしておるところでございまして、これを踏まえまして、法改正に伴う事件動向あるいは事件処理状況等を注視しつつ、今後とも、的確な事件処理が図れるような、必要な体制の整備に努めてまいりたいというふうに思っております。
○堀内(照)委員 この中矢氏は、調査官の調査の対象となっている子供や家庭をめぐる状況がどんどん複雑になっているわけですから、その仕事も年を追うごとに複雑になり繁忙になっている、そして、人と向き合う仕事でありますので、時間で区切ることも難しく、きちんと行おうとすればするほど非常に時間と労力を要する仕事であることを御理解いただきたいということで、増員が必要だということも指摘していますので、改めて私からも、増員を図るべきだと指摘しておきたいと思います。
 続いて、児童相談所の一時保護所の問題であります。
 二十四日付の読売新聞の夕刊で、「児相「一時保護」施設不足」と報じられました。例えば、四人部屋に七人が入所しているとか、平均入所率が一〇〇%を超えている施設が八カ所ある、一時的に定員超過になるような入所率八〇%以上の施設が十九カ所に上っているということであります。また、虐待対応が二〇一五年度は過去最多の一万七千八百一件、保護期間も長期化し、定員オーバーが目立つという報道でありました。今回の法改正の背景にも、この長期化の問題もあろうかと思います。
 また、虐待事案がおよそ半数を占め、家庭環境に深刻な問題があり、保護される子供自身も深い心の傷を負っていることや、発達障害などの子供もふえ、一人一人に応じた個別の支援が必要になってきております。一時保護所が緊急避難的な場所であり、保護された子供たちの心の安定の場所であるとともに、生活の場所であるという必要性が増しているんだと思います。また、本来、一時保護所の役割は、安全、安心の確保とともに、アセスメントを行って次の支援につなげていくという役割を持っているわけであります。しかし、その役割にふさわしい場所になっているのかということであります。
 一時保護所には、設備、職員配置の基準というのがあると思うんですが、それは児童養護施設の最低基準の規定を準用するというものであります。
 しかし、現場からは、例えば、聴覚過敏により、他の子供たちの喚声やテレビの音で平穏を保てなくなる子がいるとか、男性といるだけで心理的に負担になる性暴力被害に遭った子供が、日中、男性と同じ部屋で過ごさざるを得ないですとか、突然、フラッシュバックで、集団の中にいること自体がしんどくなる子供ですとか、そうした対応のために部屋やスペースをつくっていかなければならないということや、プレールームを潰して幼児の生活の場にした例ですとか、パニック障害の子が落ちつくスペースがないということで、廊下の階段の下のスペースをそういう場として利用せざるを得ないとか、設備の面で、とりわけケアが必要な子供たちの居場所とは言えないような実態があるんだと思うんです。
 大臣に伺いたいと思うんです。
 求められる一時保護所の役割を果たすためにも、今、児童養護施設の最低基準の準用ということになっているんですが、一時保護所独自の設備基準というのがきちんとあるべきじゃないか、設けるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 おっしゃるように、一時保護所は全国それぞれでございまして、決して満足できる状態のところばかりではないことは、私も現場を見て、そのように感じたところでございます。
 今お話のあったとおり、一時保護は、虐待等を受けた子供について、迅速に安全確保をまずする、そして支援につなげるためのアセスメントを行う、今おっしゃったとおりでありまして、そういう機能を果たすわけでありますけれども、現行の児童相談所の一時保護所の設備あるいは運営につきましては、今御指摘のように、児童養護施設の面積や職員配置などの基準を準用するという格好で運営をさせていただいているわけであります。
 一時保護所の基準につきましては、昨年の三月の、社会保障審議会児童部会の新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会というのがございまして、そこの報告において、子供の年齢等を勘案しつつ、原則として個室対応を基本とする、そして、ケアワーカーなどによる個別対応を可能とするような職員配置と環境整備を行うべき、こういうことで職員配置や、配置基準、整備基準などに触れているわけであります。
 昨年四月に策定をされた児童相談所強化プランにおいても、一時保護所については、個々の児童の状況等に配慮した対応を確保するために、居室の小規模化、児童の年齢そして入所事由等に応じた処遇確保等の改善を図ること、こういうふうになっています。
 さまざまな事情を抱える一時保護中の子供たちにきめ細かく対応しなければいけないわけでありますので、一時保護のあり方については、厚生労働省の新たな社会的養育の在り方に関する検討会がございますが、そこの検討でその議論などをしっかりとしていただいて、一時保護所の基準についてどう考えるのかということを、今の堀内先生からの問題点指摘も受けて検討してまいりたいというふうに思います。
    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕
○堀内(照)委員 ぜひ独自の基準をと求めておきたいと思います。
 一方で、今のその準用、児童養護施設の最低基準を準用するとされている現行の基準自体は、二〇一二年度に改正をされています。適合していない施設がどれぐらいあるか、おわかりになれば教えていただきたいなと思っています。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のように、今現在においては、一時保護所の設備あるいは運営につきましては、児童養護施設の面積あるいは職員配置基準等を準用するという形になってございますが、私ども、それぞれ自治体の設置しております一時保護所でありますものの、その準ずる基準をベースに、基準を満たしているかどうかというところについての実態について、詳細、手元に把握をしてございません。
 これまでの定期的な調査の中では、そのような形で把握できてございませんが、私どもとして、今回、一時保護所についていろいろと今後研究するに当たりまして、まず自治体から状況について、時間をいただきながら報告を求めて、実態把握に努めさせていただきたいと思っております。
○堀内(照)委員 つかんでいないのが現状なんですが、日本子ども家庭総合研究所の和田一郎先生らが平成二十五年に調査し、まとめた一時保護所の概要把握と入所児童の実態調査というのがありますが、これによれば、例えば、児童福祉施設最低基準第四十一条に示されている一部屋の定員四人を超えた施設というのが約二割あるですとか、そのうち四件は平均値が六人を超えていたですとか、面積では、一人当たり四・九五平方メートルの基準に満たない施設が約四割もあった。これはいずれも、乳児のみで使用している場合もありますので、必ずしも全てが基準を満たしていないかというと、厳密に見ていかないといけないところはあると思うんですけれども、それでも、乳児基準の一人当たり三・三平方メートルに満たない施設でさえ約一割あったんだということであります。
 これは、二〇一二年改定の最低基準なんですが、適用は、それ以後に建てられた、もしくは大規模改修で対応できたものに限っているから、こういうことになっているんだと思うんです。自治体にとっても、国から一定の財政支援、きょうも何度も大臣から答弁ありましたが、財政支援はあるんですけれども、やはり独自の負担も自治体としても発生しますので、なかなかこの基準に合わせた改築等が進まなかったと思うんです。これでは、やはり最低基準にならないんだと思います。
 大臣に伺いたいと思います。
 今後、新たな独自の基準も設けるんだと、それに基づいて整備をしていかなければならないと思うんですが、これまでのような取り組み方では、やはり最低基準としてきちんと生かされていくのかなと思うわけであります。今、現状をつかんでいきたいというお話もありましたから、ぜひ、整備が進まなかった原因も含めて把握いただいて、実際に改築等が進むように、必要な財政支援はもちろんですが、どの子にもこの最低基準の処遇が保障されるような国としての支援のあり方というのを具体化すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 一時保護所の整備については、先ほど来答弁も申し上げておりますけれども、改修をするということになれば、必要な整備費の補助は従来から行ってきて、先ほど申し上げたように、二十八年度の補正では、特例的に国の補助を二分の一相当から三分の二相当に引き上げるということで対処してまいっているわけでありますが、いかんせん、これまで一時保護所に対する問題意識というのが必ずしも十分ではなかったように私は思います。
 もちろん、先進的にやっている、福岡なんかはそうでしたが、ツーフロア使って一時保護施設がございまして、ワンフロアは完全に個室になっていて、難しい子供さんはそちらできちっと対応していくということになっていますが、それ以外、もう一つのフロアは相部屋になっているというようなことでありまして、多分、随分整備費がかかったんだろうなと。立派なツーフロアでありました。
 そういうことを考えてみると、一時保護所独自の基準の策定についてお話がございましたが、そういうことを考える中で、一時保護が必要な子供の安全などを適切に確保するために必要な支援はどうあるべきかということを本格的に考えなければいけないし、その分、一時保護そのものの長期化を防いで、むしろ短期化を図るために何が必要なのかということを考え、当然、一時保護の際は大変難しい状況で入ってくる子供さんたちが多いわけでありますから、専門性のある方々がそこに待ち構えていていただかなきゃいけないという意味においても、短期化を図るんだったらばそういうことも一緒にやらなきゃいけないので、整備の基準だけではなくて、人的なリソースについても一緒にやっていかなきゃいけないんじゃないか、そんなふうに思っているわけでございます。
 いずれにしても、今の問題意識をしっかりと受けとめて、財政支援についても、応援団が多くないといけませんから、先生方にぜひ御協力いただいて、しっかりとした予算を確保してまいりたいと思います。
○堀内(照)委員 ぜひお願いしたいと思うんです。人的なことも、この後聞こうとは思っています。
 子供たちの処遇の問題で私が驚きましたのは、施設によっては、威圧的な命令口調で子供と接しているとか、私物の持ち込みを認めずに、下着まで番号の振られた施設のものを使用させられるなどの実態があるということです。
 これは、先ほど大臣が少し言われました、この四月に行われた新たな社会的養育の在り方に関する検討会でも、そのことが報告されております。報告したNPO法人リビング・イン・ピースの慎泰俊理事長は、一昔前の暴力的な体育教師のあの口調での命令が朝から晩までずっと続くのです、保護所は安全な場所であるとは思うのですけれども、心の中の安心が本当に得られる環境であるのかというと、とてもそうは思えないようなものでしたと報告されています。
 一時保護所に入所する児童は、心身ともにさまざまな暴力に尊厳を傷つけられた子供たちも多いわけです。安心、安全な場で、温かく当たり前の生活を保障する場であるべきです。そして、人として尊重される場でなければなりません。集団を管理する過剰なルールというのは極力控えるべきだと思うんです。
 これは大臣に伺いたいんですが、この検討会で報告されているような実態、これは私はふさわしくないと思うんですが、大臣の認識はいかがですか。
○塩崎国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、去年の児童福祉法の改正で、第一条に子供の権利というのを初めて明確に示したわけでありまして、当然、今の一時保護に当たっても、全ての子供は可能な限り健全なる養育を受ける権利を持つわけでありますから、一時保護中もその権利は当然あるわけでありますから、今お話しのような、威圧的な態度で児相の方々が接するというのはいかがなものかなということを感じるわけでございます。
 私どもとしては、もちろん、一時保護中の規律は大事でしょうけれども、あるいは、一定のルールを持っていないと、親からまた、携帯なんかを持っているとアプローチがあって、いろいろな電話を通じた威圧的なことも親からまたあったりというようなこともあってもいけないので、ルールは必要でしょうけれども、しかし一方で、健全な環境の中で子供たちは、一時保護といえども生き続けなければいけないというふうに思います。
 一時保護所についても、子供の権利擁護を図って、運営の透明化を図るために、平成二十九年度の予算に新たに、第三者評価、これを受けた場合の費用の補助を盛り込むなど、その質の向上を図ることとしております。
 こういうような取り組みを通じて、最大限、子供の権利擁護を図って、一時保護の目的を達成することができるように、そしてその短期化、そしてそこから出るということが早く実現するように取り組んでまいりたいと思います。
○堀内(照)委員 やはり、子供の安心まで奪うような行き過ぎた管理や指導というのは間違っているんだということだと思うんです。
 今、第三者評価という話もありました。私は、それと同時に、こういう点でも、子供たちにふさわしい対応ができるようにするためにも、先ほどありました人的な配置、これはやはり非常に大事なんだと思うんです。
 これも大臣に伺いたいんですけれども、人員の配置の面でも、子供の心のケアを初め専門職を正規できちんと配置していく、これは現状からの増員も含めて、そういう検討というのが基準をつくっていく上で必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 児童相談所の一時保護所において、子供が適切なる処遇を受けて、そして子供の心に寄り添う支援を行うことができるようにするためには、保育士であったり、あるいは心理担当職員であったり、さまざまな専門職の配置が必要ではないかというふうに思います。場合によっては、看護師さんのような医療がわかった人がいる方が便利なときもあるかもわからない。
 こういうことで、一時保護所にこうした職員を配置するための財政支援を厚労省として行っているわけでありまして、今、児童相談所一カ所当たりの人件費として、保育士一人、それから心理担当職員一人、主任児童指導員一人、調理員一人、こういうことを定めているわけであります。
 一時保護所における職員の配置基準につきましては、現行、児童養護施設の基準を、これも準用する形で定められておりますが、今後、先ほど来出ている新たな社会的養育の在り方に関する検討会において、一時保護のあり方について検討もしていただくということになっていますので、その中で、専門職の位置づけを含めて、一時保護所の職員の配置基準についてもしっかり検討してまいりたいというふうに思います。
○堀内(照)委員 もう一点、一時保護の問題として、これもきょうずっと出ていますけれども、子供の学習権の保障の問題であります。
 一時保護される子供らには、そもそもそういう学習という面では課題のある子も少なくありませんし、学校にも行けない一時保護となりますと、その後、学習のつまずきにもなりかねないわけであります。そうならないようにということで、きょうは通学保障というお話もありました。私も必要だと思っております。ただ、同時に、行けない子も確かにいるわけですし、そこの中で、やはり一時保護所の中でどう学習権を保障していくかということも大事なんだと思います。
 さきに紹介した和田先生の調査では、九割の施設がプリント形式の対応になっているんだ、個別対応でないというところが三割以上に上るということも報告されております。
 識者の中には分校の設置ということを提唱する人もいますが、私は、少なくとも正規職員として教員を置く、最低、教員を置くということがやはり必要じゃないか、これからつくっていく基準の中でそういうことも盛り込んでいくことが必要じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○塩崎国務大臣 一時保護所においても、当然、子供さんたちは教育を受ける権利があるわけでありまして、個々の子供さんの学力に応じた学習指導というものが行われるべきでありますので、今、教員OBなどを学習指導協力員として配置するなどの取り組みを行っております。厚生労働省では、協力員の配置に要する費用への補助、これを行っておるわけであります。
 平成二十七年度に実施をした調査によりますと、回答のあった一時保護所のうち、約六七%の一時保護所におきまして、教員資格等を有する職員が授業を行っている、それから、約六二%の一時保護所において、個々の学力の進みぐあいに応じた学習プログラムを整備している、こういうことになっているわけでございます。
 今後も、こうした子供さんの最善の利益を図るという観点から、子供に寄り添った支援を行うことができるように、学習支援を含めて、一時保護所における処遇の改善というものを子供さんたちのために図っていかなければならないというふうに思います。
○堀内(照)委員 学習権の問題は、きょうもいろいろ出たように、それでもやはりなお課題があるんだと思いますので、私、正規の配置も含めてということで提起しましたので、ぜひ検討いただきたいなと思います。
 次に、婦人相談所の一時保護所及び婦人保護施設における同伴児童への支援について伺いたいと思っております。
 婦人相談所に駆け込む女性のほとんどがDV被害者です。わらをもすがる思いで駆け込んでこられます。その同伴児童は、当然、常に家庭でDVにさらされ、直接的に暴力の被害を受けた子供も少なくありません。被虐待児童そのものであります。婦人相談所の一時保護所や婦人保護施設というのは、そういう意味では、ここも被虐待児の受け皿になっているんだと思うんです。
 一つ伺いたいのは、婦人相談所において、こうした同伴児童はケアされるべき対象として位置づけられているのかということであります。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
 DV被害に遭われた女性の方々の同伴児童につきましては、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律、いわゆるDV法におきまして、婦人相談所や、これは一時保護所も含みますが、婦人保護施設において同伴児童の保護を行うと法律上まず位置づけられております。
 その上で、具体的に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針、これは、内閣府、国家公安委員会、法務省、そして私ども厚生労働省の共同告示でございますけれども、この基本的な方針におきましては、同伴児童は児童虐待を受けている可能性もございますので、アセスメントを行うとともに、必要に応じて、適切な支援が実施されるように児童相談所と密接に連携を図っていくということが必要だという旨も明記をしてございます。
 さらに、このような同伴児童に対する支援を行うに当たりましては、婦人相談所の一時保護所あるいは婦人保護施設において、心理的ケアを行う心理療法担当職員の方、あるいは同伴児童の保育それから学習支援などを行う指導員の方が配置できるように今手当てをしてございまして、このようなことが相まって、同伴児童に対する適切な支援を行う体制の整備を図っているところでございます。
    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕
○堀内(照)委員 被虐待児としてしっかり扱って、心理的な支援も行うんだということでありますが、そして、今、体制整備の途上だということですかね。ですから、現実にはなかなか十分ではありません。心理療法担当職員は、ほとんどの施設で一人いるかいないかというような状況、ゼロのところも少なくありません。ですから、そういうことをうたっているんですけれども、まだ実際には追いついていない、現実はそうなっていないということなんだと思います。よく指摘されていますのが、同伴の子供というのは支援対象から事実上外されているじゃないかという指摘がされています。
 DV被害に遭った子への支援については、やはりとりわけ専門性が必要なんだと思います。
 初鹿さんのさっきの資料、パンフでも、暴力が脳にどんな影響を与えるのかということも厚労省自身が出しておりますが、暴力による支配が当たり前の中で育つと、暴力で人を支配することが普通のこととしてインプットされてしまう。こういう境遇になったのは母親のせいだとか、もしくは自分が悪かったからだということで、その感情が母親や自傷行為として向かうこともある。
 こうした暴力の連鎖を断ち切って子供の回復に向かうためには、例えば、それまで親から、いろいろなことがあっても外で言うなと口どめされてきたようなことなんかを、自身のそういうつらい状況や経験を話せるように心を開かせていくこと、その感情の表出を受けとめてやり、子供が個人として尊重されるようになることや、暴力の定義を学ぶとともに、両親間の暴力に子供は何の責任もないこと、暴力というのはそもそもいけないんだということ、自身の感情を知り、その表現方法を学び、非暴力コミュニケーションを身につけていくこと、そうしていわゆる自己肯定感を高めていくんだ、こういうプロセスを経て回復へと向かう心理的なケア、そういう支援プログラムが必要だということがいろいろ指摘もされております。
 そうした専門的なケアが必要ですが、実際には、今言いましたように、専門職の配置というのがまだまだ十分ではありません。子供独自の支援プログラムが組まれているわけでもありません。
 大臣に伺いたいと思います。
 婦人相談所の一時保護所そして婦人保護施設、ここにおいても、DV法で位置づけたわけですから、子供の支援を本来業務としてしっかり位置づけて、位置づけを高めて、子供への独自の支援プログラムを持ち、それにふさわしい人員体制、今の心理担当職員や保育の職員というのは加算の対応だと思うんですが、これも最低基準でしっかりと配置できるようにすべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 婦人相談所の一時保護所とか、それから婦人保護施設における被害女性の同伴児童の問題についてお取り上げをいただいております。
 まず、婦人相談所におきましては、一時保護された女性の同伴児童、子供さんに対して、児童相談所と連携を図りながら支援を行っておるわけであります。次に、婦人保護施設においては、各入所者ごとに自立促進計画をつくるということになっておりまして、同伴児童の支援についても、母親への支援計画の中に盛り込まれる形で、支援計画の一部をなしている、こういうことだと思います。
 また、これらの施設において同伴児童に対する職員配置への支援、これにつきましては、少し古くなりますが、平成十四年度に、非常勤の心理療法担当職員の配置に対する財政支援というのを始めました。平成十九年度には、その対象を常勤職員にも拡大いたしまして、加えて、平成二十一年度からは、同伴児童の保育や学習支援等を行う指導員の配置に対しても財政支援を行っているところでございます。
 さらに、平成二十九年度の予算では、こうした指導員の配置に対する財政支援について、その上限を二名から三名に拡充するなど、これらの施設における同伴児童への適切な支援体制の整備を進めてまいっているところでございます。
 婦人保護事業につきましては、今年度より、その実態把握、これをやることにしておりまして、同伴児童に特化をした支援プログラム作成の必要性や、同伴児童対応職員を、今御指摘の配置基準、この中に組み入れるかどうかについても、実態等をしっかりと踏まえて検討してまいりたいと思います。
○堀内(照)委員 例えば、厚労省からちょっといただいた資料を見ますと、宮城県の婦人保護施設は、乳幼児二十六人、小学生十五人いますが、保育士、その他同伴児童対応職員はゼロです。心理療法担当職員も非常勤でようやく一名です。大阪は、二カ所で乳幼児八十四人いますが、保育士が非常勤で一人のみ。二カ所で一人というのは一体どういうことなのかよくわからないんですけれども、そういう実態なんです。
 二〇一五年度婦人保護施設の役割と機能に関する調査報告書というのがありますが、そこでも、加算がとれずに、必要性があっても配置できないという声があります。
 ぜひ、独自の支援プログラム、今、母親の計画の中でということですが、やはり独自のプログラムと、そして人的配置、しっかりと行っていただきたいということを重ねて申し上げ、最後に、面会交流について伺いたいと思います。
 これは、大臣も本会議で、子の最善の利益の観点から適切に判断されることが重要だということでおっしゃいました。ところが、この間、痛ましい事件が相次いでいます。
 初鹿さんも先ほど取り上げられましたが、私の地元の兵庫県でも、四月末に伊丹市で、四歳の娘が巻き込まれる父子心中事件が起きました。報道によれば、元夫は生活費を月二万しか渡さずに、借金を繰り返し、暴力も続く、まさにDVでありました。離婚調停後初めての面会交流が最悪の結果になったわけです。それ以前には、ことし初めに長崎で、元夫によって元妻が、面会交流のために二歳の長男を元夫宅へ連れて行った際に殺害されるという事件も起きています。
 これはいずれも家裁の決定による面会交流じゃないということでありますが、面会交流の決定に家裁が関与しているか否かにかかわらず、今後の面会交流の判断のためにも、この間の事件については、面会交流のあり方がどうだったのか、実態をよくつかんで検証していくことが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 事件の検証についてのお尋ねでございますが、裁判所にそもそも何らの申し立てがされていないような事案でございますと、裁判所といたしましては、その事案について何ら事情を把握していないということになりますので、これについては検証することは難しいと言わざるを得ないかと思います。
 また、裁判所に何がしかの申し立てがあった事案につきましてですが、最高裁判所事務総局といたしましては、裁判官の独立との関係がございますので、個別の事案でその審理や判断等の当否をこちら側から、事務当局側から検証するというのはできかねるということは御理解をいただきたいと思います。
 その上で申し上げますと、一般的な面会交流の審理のあり方につきましては、これまでも裁判官あるいは職員を集めた裁判所内部の研究会などで数次にわたって取り上げられてきておりまして、今後も、面会交流についての適正な審理、判断がされるよう、そういった必要な取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。
○堀内(照)委員 命がかかわる事件が相次いでいるわけですから、やはりそういった社会的な事象からもしっかり学ぶということが必要だと私は申し上げたいと思うんです。
 面会交流についての家裁での取り決めの法的な効果について伺いたいと思います。判決と同等の重みがあるのかという点ですね。よろしくお願いします。
○村田最高裁判所長官代理者 家事事件手続法上、面会交流を定める調停調書あるいは審判については、執行力ある債務名義と同一の効力を有すると規定されておりますので、判決と同様の効力を有するということになります。
○堀内(照)委員 ですから、これは非常に重いんです。それだけに、一たび決定されてしまえば、当事者にすれば、自身が怖くても決定に従わなければと、面会交流に応じざるを得ないんだと思うんです。
 この点で、一つ最後に、ちょっと時間が来ましたので確認だけして終わりたいんですが、ことしの四月十一日に参議院の法務委員会で我が党の仁比議員も確認したんですが、家裁で一旦取り決めがされた場合でも、必要と認めるときには変更することができるとされています。面会交流を是とはしたものの、その後、一方の状況に変化があれば、これは子の最善の利益にならない、面会交流自身がならないとなれば、当然、その変更があり得るということであります。
 この点について、状況に変化があれば取り決めの変更ができるんだということをあらかじめ、当初の調停や審判の際に当事者に周知する必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○村田最高裁判所長官代理者 面会交流に関する定めにつきましては、民法七百六十六条三項におきまして、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、これを変更することができると定められております。
 したがいまして、個別の事案における具体的な事情を踏まえまして、調停委員会あるいは裁判官の判断によって、委員の御指摘のような点を当事者にお伝えしているという例もあるかとは思います。
 もっとも、一般論として申し上げますと、一度、裁判所において、当事者の合意あるいは裁判所の判断によって面会交流について何がしか定められたということになりますと、事情の変更がなければこれに沿って履行されるということが期待をされますので、全ての事件においてあらかじめ明示的に御指摘のような点をお伝えするというのは、難しい面もあろうかなというふうに思います。
 もっとも、家庭裁判所におきましては、手続の利用を検討されている方から家庭裁判所の手続に関して御不明な点のお問い合わせがあれば、申し立て方法やその後の手続について説明をしておりまして、面会交流に関しましても改めて調停や審判を申し立てることができるんだ、こういった点も含めて家庭裁判所における手続について説明をさせていただいているものと承知しております。
○堀内(照)委員 手続上の問題として周知するということであれば問題はないと思いますので、ぜひ検討いただきたいと思います。
 ありがとうございました。終わります。