国会論戦・提案

専門知識持つ人員拡充を 児童福祉法改正案で参考人 堀内議員が質問

衆院厚生労働委員会は30日、児童福祉法改正案について参考人質疑を行いました。

 性的虐待などに苦しむ若年女性の支援活動に取り組むBONDプロジェクトの橘ジュン代表は、身近なおとなからの虐待などにより若い女性が居場所をなくし、深刻なトラウマを抱えて自殺、自傷を繰り返したり、性被害にあうなどの一方、児童福祉法の保護年齢の18歳を超えていたり、担当者の無理解から支援が受けられない実態が多くあると指摘。「児童虐待という言葉ではくくれない被害を受けながら、回復支援につながれないたくさんの若年女性たちがいる」と述べ、児童相談所や家庭裁判所への専門的知識を持った人員体制の拡充を求めました。

 精神保健福祉士で子ども虐待防止ネットワーク・みやぎの鈴木俊博事務局長は、「児童が権利の主体であるという趣旨の文言が法に明記されたことは大きな一歩」と改正案を評価しつつ、一時保護や指導勧告に司法介入の強化を盛り込んだことはバランスを欠いていると指摘。「まずは子どもが身近な存在のおとなから不当な暴力を受けたとき、すみやかに対処できる制度を整えることが必要」だと指摘しました。

 日本共産党の堀内照文議員は、支援につなげるために行政が努力すべき点は何かと質問。鈴木氏は、「官民問わずスキルを持った人をネットワークに入れていく仕組みが必要だ」と述べました。

(しんぶん赤旗 2017年5月31日より)

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2017年5月30日 衆院厚生労働委員会 議事録

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 きょうは、貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございます。
 私の方からも、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、吉田参考人に伺いたいと思います。司法関与のあり方で、一定、今回措置をするということですが、今後のあり方ということでちょっとお伺いしたいと思っています。
 今回は、一時保護を二カ月以上継続するときに親権者の同意のない場合、それから二十八条措置で関与ということでありますが、私、非常に大事だなと思ったのは、分離ということだけではなくて、在宅支援ということで、参考人が言われましたように、相談の九〇%が在宅であって、そこでも裁判所の勧告に従っての親への支援、指導になるんだということで、非常に大事なのかなというふうに伺いました。ただ、体制の問題もあって、現状で対応可能な制度の構築というふうにおっしゃいました。今後さらに見直すことの必要性ということも言及がございました。
 今後、どういうものを目指していくのかということで、御見識があれば伺いたいなと思っております。
○吉田参考人 御質問ありがとうございます。
 在宅支援で裁判所がかかわれるようになってきたというので、一つは、親の、その指導に応じているかどうか、それが効果が上がっているかどうか、それを家庭裁判所に報告し、そして、指導を受けていないとか効果が上がらないとすれば次のステップに進んでいくというので、分離であったり親権剥奪であったり、そういう制度も用意されています。ですので、そういう方向に進むというときには、やはり、それに応じた手続なり書類の作成ということが必要になってきますので、今後、家庭裁判所の関与による在宅支援を充実しようというのであれば、そうしたスタッフであり、力量だったりということはまず充実していく必要があろうかと思います。
 それからもう一つは、そういうステップを踏まない、在宅が継続するという場合であっても、これは検討会でも議論になりましたけれども、裁判所の判断、裁判所から都道府県への勧告というのは必ずしもお墨つきだけではないんだ。検討会であったのは、それはアクセルの役割なのかブレーキの役割なのか、アクセルだということで考えますと、裁判所のお墨つきがあるから言うことを聞きなさい、こういう機能に誤解されがちだ、でも決してそうではないだろうということなんですね。
 先ほども申し上げましたように、裁判所が公正な、中立な立場から判断した、そういう適切な指導なんだということを、これを児童福祉司が認識した上で親に働きかけるということが大事になってくるだろう。ですので、それは、従来のソーシャルワークをさらに充実していくということと同じ方向だと思うんですね。むしろ、裁判所の関与があるのでソーシャルワークがやりやすくなるということとか、親に対してより権威的に対応できる、そういう方向ではないだろう。
 現在の児童虐待の対応が、いわゆる介入的ソーシャルワークということで、かつてからのソーシャルワークのような、申請に基づいて福祉サービスを提供するというのではなくて、意に反してでもソーシャルワークをしていく、この傾向が虐待防止で強まってきた。それは、そういう手段を講じざるを得ないからそういうふうにしているのであって、それが本来の姿ではないわけです。
 ですので、基本としてのソーシャルワーク力を高めるということは、今回の司法関与が制度化されたとしても、これは依然としてやらなければいけないことだというふうに思っております。
    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 関連して、藤林参考人に伺いたいと思うんです。
 分離による児相と親との対立を避けるということでいうと、特に一時保護の場合は、今回は二カ月継続ということなんですが、やはり、ぶつかるのは一番最初の保護なんだと思うんですよね。本当は、そういうところから対立が生まれないようなあり方というのが望ましいんだと思うんですけれども、ただ一方で、やはり緊急を要する場合というのがあるわけであって、その兼ね合いというのがあると思うんですが、司法関与の今後のあり方ということで、その辺、今後さらにもう少し拡大していった方がいいのか、現場の実感としてどういうふうにとらえておられるのか、お聞かせください。
○藤林参考人 御質問ありがとうございます。
 今回、一時保護の裁判所の審査は二カ月を超えた場合というふうになっておりますけれども、私も委員会で発言してまいりましたが、諸外国の例を見ましても、もう少し短期間での審査ということもあり得るのではないか、その方が、保護者の方にとっては適正手続が保障されたわけですから、その後、児童相談所と保護者との支援関係がより形成しやすいんじゃないかなというふうに思っております。
 ただ、保護後一週間とか二週間ということでいきますとかなりの件数になってしまうということで、児童相談所にしましても、家庭裁判所にしましても、その対応が本当に可能だろうかといった意見があるのも事実かなというふうに思っております。
 先ほどの意見陳述で述べましたように、今後、法施行後、具体的に運用する中で、二カ月で妥当なのかどうか、実際に短縮するべきかどうか、それが可能かどうか、児童相談所の体制、家庭裁判所の体制を見ながら、また引き続き検討していく必要があるんじゃないかなというふうに私は思っております。
 以上です。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続いて、橘参考人にお伺いしたいと思います。
 きょうお話を伺いまして、とりわけ若年女性の支援というのが本当にエアポケットになっているという実態、本当によくわかりました。居場所がないという中で、結局、性暴力被害に遭うリスクというのは本当に高まっているんだと。そういう中で、なかなか御自身として声を上げることができなかったり、支援を求めていいということも、思いもよらなかったり、またその方法も知らなかったり、声を上げること自体がやはりつらいということもあるわけですから、話すこと自体がつらいということもあるわけですから、本当に難しい課題なんだなというふうに改めて思いました。そういう点では、ただ相談窓口をあけて待っているだけではだめなんだ、アウトリーチというのが今本当に求められているというふうに、お話を伺って私も実感したところです。
 それで、行政がどういう役割を果たすべきなのかということをちょっと伺いたいんですね。
 本来といいますか、そういう民間団体の皆さんの先進的な取り組みを学んで、やはり行政もそうしたアウトリーチを行っていくということなんかも必要なのかなと思ってみたり、また、そういう民間団体の皆さんの取り組みを行政として支援していくということや連携していく、さまざまあると思うんですけれども、今の時点で、行政が果たすべき役割ということで何かありましたら伺いたいなと思っております。
○橘参考人 ありがとうございます。
 やはり、自分が被害を受けているということ自体、気づいていない女の子たちも多いので、自分が悪いからそういうことをされているんだと言っていて、暴力とか性虐待もそうなんですけれども、それは嫌だけれども、でも、親から認められたい、親は好きと言って、親を犯罪者にしたくないから被害を誰かに相談するなんてことはできないと言って、どんどんどんどん、つらい気持ち、居場所がないという思いを自分に向けて、自殺未遂や自傷行為などを繰り返しちゃう、そういう女の子たちもいるんです。
 やはり、本当の気持ちや相談したいこと、それを話すまで時間を必要とすると思うんですね。まず人間関係もつくっていかなきゃいけないですし、大人をそもそも信用できない女の子たちなので、私たちにだって、すぐに話してくれるかというと、話してもらえないんですね。ただ、一緒に過ごすという場所が必要なんじゃないかなと思うんです。一緒に御飯を食べたり、どこかに出かけたり、つらくて苦しいだけじゃなく、楽しい時間も彼女たちと過ごせたらいいなと思うんですね。
 そういった意味では、今、女性支援ができる場所というと、十八歳未満だったら児童相談所だったり保護所だったり、十八歳以上は婦人保護施設というところになると思うんですけれども、そこにさえたどり着けない子たちがいるということを考えたときに、でも必要としていると思ったら、やはり、今の条件ではない、もうちょっと彼女たちに合わせたニーズで受け入れる場所というのが必要なんじゃないかなと思うんですね。
 そういう行政だけでは担うことができない取り組み、いろいろなところが民間団体でもやっていると思うので、そういったところを、ノウハウを集めて、そして困っている人たちのために役立てるということができればいいんじゃないかなと思っているので、どうぞ、仲間に入れてほしいなといつも思っています。
 どこかにつなぐと、その後、私たちに、こういうふうに彼女はなったよという報告というのはいただけないんですね。なので、つなげたらもうそれっきりになってしまうんです、本人から連絡がないと。だから、そのチームに入れてもらえないんですよ。
 でも、そこにうまくなじめなくて飛び出してきちゃう、またうちに来るという子もいて、あれっ、あなたはあそこにちゃんとつないだはずなのにどうしたのとなると、もう耐えられなくて出ちゃったと。だけれども、その出ちゃったということをそこの施設の方たちが教えてくれなかったりするので、行政機関もなんですけれども。ぜひ私たちも、私たちは情報を提供して彼女たちの保護をお願いしているんですけれども、仲間として入れていただけたら女性支援はしやすくなるんじゃないかなといつも思っています。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続きまして、もう一問、橘参考人に、今のともちょっと関連するんですけれども。
 例えば、支援につないだとしても、そこの窓口でなかなか、理解のない人であったりというお話もありました。大体、説教をし始めるというのも、ちょっとどうなのかなということですけれども。そういう意味では、今、居場所の問題やチームでというお話がありましたけれども、行政の窓口なりでそういうスキルを持った専門職というのがやはり必要なんだと思うんです。
 人材を育成したり配置をするということになると思うんですけれども、なかなかそれも時間がかかるということだと思いますので、まず当面、今の話だったら、チームで一緒になってということで、ある程度解決するのかなとは思うんですけれども、そういうスキルのある人をしっかりと、相談窓口にそういう人がいるよと、安心して相談ができるような環境を今すぐどういうふうにつくっていくのかということでいうと、何が必要なのかなと。
○橘参考人 やはり、担当者の方たちへの私たちが知っている実態をお話しする機会とか、そういうことで知っていただくということもいいのかなと思うんですよ。
 ある専門職の方たちが集まる講演でいろいろとお話をさせてもらったときに、私は、そこが女の子がたどり着く一番の場所だろうと思っていたら、その講演中に、こういった現状って知っていますよねと聞いたら、何かちょっと、しいんとされちゃって、えっと思ったんですね。何だろうと、何か違和感みたいに感じて、講演が終わった後、あれっ、一番その被害のことを聞いていいはずの専門職の方がなぜ聞けないんだろうと思ったときに、やはり、そんなことはあるだろうと思っていても、実際にそういう子の相談が来ないということが一番の問題だと思っているんですよ。相談窓口があっても、相談に行けないわけじゃないですか。そこをどうにかしていかなきゃいけない。
 あと、違うことでいろいろ女の子たちは相談すると思うんですよ、核心に触れないまま。でも、きっとこの子はこういったことが、虐待があるんだなというのを念頭に置きながらお話を聞ける人たちがふえていけば、気づいてあげられると思うんですよ、SOSも。
 もう本当に、行動というか、様子もいつもびくびくしていますし、あと、一緒にいるときに虐待している親から連絡なんかあったときには、もう固まっちゃうんですね、過呼吸になったりパニック障害を起こして。離れているんですよ、安全な場所にいても、もう、はいしか言えなくなっちゃうんですよ、スイッチが切りかわったように。
 離れていたってそういう状態になってしまう子たちが帰れるわけがないと思っているし、そういう子の安全な居場所と、あと、そういう子の背景にはきっと何かがある、虐待がある、暴力があるということをちゃんと理解できる専門職の方への研修というのが大事だと思っています。
○堀内(照)委員 ありがとうございました。
 続いては、鈴木参考人にお伺いしたいと思います。
 アウトリーチということでは、鈴木参考人もきょうの意見の中で、日本の福祉行政というのは大体、申請主義なんだというお話がありました。本当に困った人が支援にたどり着くにはまず何が必要なのかということなんです。大きくこの制度のあり方を見直すという必要性は、もちろん私もそういう点があるのかなと思うんですけれども、しかし、今の時点で、少なくとも、困った人をどうつなげていくのかということで、お知恵というか、行政として努力すべき点というのがありましたら伺いたいなと思っています。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。
 そういう意味では、例えば児童相談所に専門の職種の人を張りつけるという改正なんかも出てきているわけですけれども、橘さんも言っていますけれども、民間か行政かというんじゃない、そこにある、スキルを持っている人をどんどんネットワークの中に入れていくという機能がないと、やはり、今の今何か対応しようと思うなら、まずそこだと思うんですね。そういう意味では、やはり要対協というあの枠組みをもっと柔軟にしていく。そういう意味で、児童相談所、あるいは地域の、市町村の枠組みの中で、中心に要対協はあるわけですけれども、そこをもうちょっと柔軟に、対応のために柔軟に使っていく。
 もちろん、現行でもやろうと思えばできるんです。これは何にでも共通しているんですが、運用次第。
 例えば、今回、一時保護に対する司法関与ということを言っていますけれども、実は、児童福祉審議会がちゃんと担保されているんですよね、今の制度でも。ところが、全然それが使われていない。つまり、制度をつくっても、それが運用されているかどうかというのが、やはり全然検証されていない。
 この辺というのはどの制度をつくるときもとても重要で、本当にそういう意味では、申し上げて失礼かもしれないですが、お金がない、人手がつけられないというときにどうするか、この議論は確かにありなんでしょうが、その結果、何が起きているか。例えば、児相だけでは耐え切れないからもっと市町村におろそう。ありでしょう。市町村にその準備があるか。実際、ないんです。今回も、裁判所にももっと広くかかわってもらおう。ではその金と人をつけているのか、この法律に。
 つまり、理念法ばかりつくって、動かない。でも、やっていることはやっていますよ、こういうアリバイづくりじゃないかと、僕は現場にいるとすごく感じるんですね。
 つまり、十万件というウナギ登りになっている、こういう状態を維持するための装置に、私たちはそう思っていないですよ、一人一人本当に何とかしたいと思っていますけれども、結局そういうふうに、今やれることという範囲の中でこうやって責任を薄く広く延ばしていく。しかし、そこに金も人もいない。ここで何が起きているかということを真剣に考えてもらいたいと思います。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続いても鈴木参考人に伺いたいと思うんですが、今も少しございましたが、九万三千百五十五件の行方というお話がきょうもありました。そういう意味では、やはり深刻になってからではなくて、それ以前の、リスクのあるところ、拡大再生産させないために、地域にいるそういう方々への支援をどうするのかということなんだと思います。
 予算と資源と人手をしっかりという話も陳述の中ではございました。最後、社会的コストはむしろその方が下がるんだということをおっしゃりかけて時間がありませんでしたので、ちょっとその辺、改めて、きょう最後に伺いたいなと思っております。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
 先ほども申し上げましたけれども、要するに、子供に人手とお金をかければ社会保障費がかなり減ると、僕は地域にいてすごく実感しています。
 つまり、研究者の中に、虐待による社会的コストを計算された先生がいらっしゃいます。僕は数字的には甘いぐらいに思っているんです、もちろん根拠は示せません、僕はそういう研究者ではありませんけれども。
 しかし、先ほど申し上げたとおり、現場の支援をしていると、結局、対人関係がしっかり持てないというバックボーンに、大切にされた経験がない、他者を信じる力が弱い、自分を信じる力が弱い、そういうバックボーンを抱えた大人が次の世代をつくって、同じような養育環境を繰り返して、その結果、医療費、生活保護費、それからそういう法務関係の矯正にかかわる予算、そういうものがどれだけの影響を受けているかということを本当にお金をかけて調査してみてほしいと思います。そうしたら、いかに、費用対効果でいったら、子供に手をかけ、お金をかけていくことが合理的かということがわかっていただけるんじゃないかなというのが、僕が現場にいる実感です。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 時間の都合で松田参考人には伺えなかったことを御容赦ください。
 終わります。