国会論戦・提案

2017年04月18日

介護等改悪案が可決 衆院本会議 堀内氏、拡充必要と反対討論

介護保険法等改悪案が衆院本会議で18日、自民、公明、維新の各党の賛成多数で可決され、参院に送られました。共産、民進、社民の各党は反対。採決に先立ち日本共産党の堀内照文議員が討論に立ち、「保険料を払っても介護サービスを使えない状態に拍車をかけることは許されない」と訴えました。

 堀内氏は、31本の法律を束ね、高齢者のみならず障害児・者など多岐に影響が及ぶ法案を、地方公聴会も開かず22時間の審議で打ち切った乱暴な手法を批判。利用料を2割負担へ引き上げ、食費・居住費補助を打ち切った2015年の改悪が利用者と家族を追い込み、塩崎恭久厚労相も利用抑制を認めざるをえなかったことを示し「これ以上の負担増は高齢者とその家族をますます窮地に追い込む」と批判しました。

 改悪案が、自立支援や重度化防止の名目で保険者の自治体にインセンティブ(財政優遇)を付与し、介護度軽減や給付費低減を自治体に競わせようとしていると指摘。「地域共生」の名で、障害児・者と高齢者支援を同一事業所で行う「共生サービス」についても、高齢障害者の生活を脅かしている介護保険優先原則を堅持するものだと批判し、「いま必要なことは、憲法25条に基づく公的制度の充実だ」と強調しました。

(2017年4月19日 しんぶん赤旗)

 

 

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衆議院 本会議 2017年4月18日(火曜日)議事録

○堀内照文君 日本共産党の堀内照文です。
 私は、日本共産党を代表して、地域包括ケアシステム強化のための介護保険法案に断固反対の立場で討論を行います。(拍手)
 まず冒頭、十二日の厚生労働委員会での採決強行に強く抗議をするものです。
 本法案は、塩崎厚生労働大臣自身が福祉の根幹をつくり直すと述べたように、社会保障制度のあり方を根底から揺るがしかねないものです。
 本法案は、三十一本もの法律を束ね、その対象と内容が、高齢者のみならず、障害児、障害者など多岐にわたるとともに、地域の福祉のあり方を大きく変えるものです。にもかかわらず、自民党は、地方公聴会も行わず、関係者の声もまともに聞かないまま、わずか二十二時間の審議で打ち切り、与党と維新の多数で採決を強行しました。
 自民党は、一方的に質疑を打ち切った理由に、民進党議員が森友問題で総理に質問したことを挙げています。質問内容をもって質疑打ち切りがまかり通れば、与党の許容する範囲でしか質問ができないことになり、国会の自殺行為です。言論の府においてこのような不当な理由で議員の質問権が奪われたことは暴挙と言うほかなく、断じて認めるわけにはいきません。
 本法案に反対する第一の理由は、介護保険利用者に新たな負担増と給付削減をもたらすことです。
 一昨年八月に、一部、所得や預貯金のある方々から利用料二割負担を強い、施設入所時の食費、居住費補助を打ち切ったばかりです。これ以上の負担増は、高齢者と家族をますます窮地に追い込むものです。
 政府は、二割負担等の導入によっても、受給者数の伸びに変化がなく影響はないとして、対象者がその負担に耐えられるのかの検討もなく、利用料三割負担の導入を決定したのです。
 しかし、各種調査でも、特養ホームの退所や利用料の滞納が報告されています。在宅に切りかえ、介護サービスの利用を減らし、生活費をぎりぎりまで切り詰めるなど、家族の生活も大きく圧迫しています。この先何年続くかわからない介護生活に、高額な支払いがいつまで続くのか、家族が共倒れになる、蓄えがなくなったら妻を施設から退所させて一緒に死のうと思うというところまで追い込まれています。
 審議を通じ、厚生労働大臣自身が利用抑制を認めざるを得ませんでした。利用料二割負担は即刻廃止するとともに、三割負担を撤回すべきです。高い保険料を払い続けても介護サービスを使えない、詐欺とも批判される状態に拍車をかけるようなことは絶対に認められません。
 本法案はまた、自立支援、重度化防止のためのインセンティブ付与として、市町村に交付金を支給するとしています。
 交付金の支給は、介護度軽減、介護給付費の低減を競わせ、自治体を、介護保険からの卒業の強要や介護認定の厳格化、自治体窓口での門前払いなどに駆り立てる圧力となりかねません。
 しかも、厚労省は、高齢化率など、自治体間格差を是正するための調整交付金を使うことを否定していません。国が自治体の取り組みを評価し、ペナルティーを科すことはあってはなりません。
 本来、自立とは、公的制度、社会的支援を利用し、その人らしく尊厳を持って生きることです。サービスを使わない自立を強要し、介護保険からの卒業に追い立てることがあってはなりません。必要な介護を利用できず苦しむ高齢者、家族をこれ以上ふやすことは到底許されません。
 第二に、我が事・丸ごと地域共生社会の名のもとに、地域住民等の支え合いをまず求め、高齢、障害、子供などの福祉サービスの包括化への第一歩を踏み出そうとしていることは重大です。
 法案は、その一環として、障害児者と高齢者への支援を同一事業所で行う共生型サービスを創設しようとしています。これは、介護保険優先原則を堅持するものです。
 介護保険優先原則は、サービスの打ち切り、縮小、定率負担を課せられるなど、高齢障害者の生活や生存を脅かしており、即刻廃止すべきです。
 障害者自立支援法違憲訴訟団は、本法案について、障害福祉も介護保険を基本とする制度に変更する狙いがあると批判しています。国と訴訟団との基本合意は、障害福祉サービスと介護保険の統合を明確に否定しています。障害者の生存権、平等権、尊厳を公的に保障する障害者福祉制度こそ確立すべきであり、障害者施策に保険原理を持ち込むことは断じて認めるわけにはいきません。
 政府は、我が事・丸ごとで地域の支え合いと福祉サービスの包括化を推進する理由に、老障介護、社会的孤立、がんや難病患者の福祉など、縦割りの現行制度で対応困難な課題があるとしています。しかし、これらの問題は、政府自身の施策のおくれや福祉サービスからの排除により生じているのです。
 それぞれの分野、課題に応じた専門的支援の充実の上に立った連携強化こそ求められています。
 公的財源の保障もなく、地域の支え合いや社会福祉法人による慈善的な事業に肩がわりを求めることは断じて許されません。
 今必要なことは、国民の生存権を保障し、そのための社会保障の向上、増進への国の責務を定めた憲法二十五条に基づく公的制度の拡充であることを強く指摘し、反対討論とします。(拍手)