国会論戦・提案

2017年04月11日

参考人が負担増批判/堀内氏 介護保険改定ただす

衆院厚生労働委員会は11日、介護保険法等改定案について参考人質疑を行いました。「認知症の人と家族の会」の田部井康夫副代表理事は、サービス利用料の2割負担への引き上げや低所得者への負担を軽減する補足給付の削減など2015年の制度改悪によって「利用者家族の生活に極めて厳しい状況をもたらしている」と訴え、「3割負担まで進める今法案には到底賛成できない」と表明しました。

 田部井氏は、安倍政権がサービス受給者数に変化がないことを根拠に制度改悪後も利用控えが起きていないとしていることについて、「利用者・家族は、サービスを利用しなければ生活は成り立たない。回数が減ることはあっても利用者の数が減ることはない」と強調しました。

 全日本民主医療機関連合会の山田智副会長は改定案について、「『給付の適正化』の名のもとに介護費用を削減する提供体制となれば、在宅生活は困難になり、事業所の経営困難も必至」だと指摘しました。

 日本共産党の堀内照文議員は、介護度が改善した場合などに自治体に財政優遇策を改定案が盛り込んでいることについて「介護からの卒業と称して必要なサービスを打ち切られた実態もある」と指摘。山田氏は、改善の見込めない人がサービスから排除される恐れがあると懸念を示しました。

(2017年4月14日 しんぶん赤旗)

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議事録 2017年4月11日 厚生労働委員会 第13号

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 きょうは、貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございます。
 時間に限りがありますので、全ての皆さんに御意見を伺うことができないことを初めにお断りしておきたいと思います。
 初めに、山田参考人に伺いたいと思います。
 今度の法案では、自立支援、重度化防止へ、自治体に介護度改善などを指標にして財政的インセンティブまで与えようとしております。介護保険からの卒業と称して必要なサービスを打ち切られたなどの問題も起こっております。こうしたやり方が、自治体が介護度を軽くするために窓口で認定を受けさせないとか、さまざまな利用抑制につながることにならないかと考えますが、先生は認定審査にも携わっているということでありますので、その点の懸念についてどうお考えでしょうか。
○山田参考人 ありがとうございます。
 三点ですね。
 自治体によっては、二十五項目を使わないとかいうところもありますけれども、まだまだ、介護認定審査会にお昼から臨むんですけれども、私自身は少し、いわゆる非該当が最近ふえてきているなと思いまして、もう少し丁寧な認定調査の聞き取りをやってほしいというのが、こんなことを言ったら怒られてしまうかもしれませんけれども、少し、意図的に減らすためにやっているんじゃないの、そのぐらい思えるときもありますので、ちょっとこれは問題かなというふうにまず思っております。
 それから、重度化の問題に関しましては、それをインセンティブで改善させたらということになりますと、別な問題として、状態のよくなりそうな人をとっていくみたいな、悪くなりそうな人が受けられなくなってしまうみたいな、そういうふうな受療権の問題にもなってくるなということで、少し、そのあたりのところが起こらないように注意して見ていかなくちゃいけないのかなと思っています。
 それから、自立支援の問題に関しましては、やはり自立にとって重要なことというのは、周りの環境がとても重要になりますので、その環境を整備しないで自立だけ促すということであれば、なかなかうまくいかなくなるだろうなと思っています。その環境というものを整備していく、その人にとって役立つものを整えていくということも必要になるだろうと思っております。
 以上です。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続いて、田部井参考人に伺いたいと思います。
 今後の方向として、要介護一、二の方を軽度者として、次期報酬改定で、生活援助サービスの人員基準の緩和ということが検討されようとしております。いわゆる軽度とされる方は、認知症の方も多いと思います。
 人員基準の緩和については、先ほど参考人からは、やるべきではないという趣旨の御発言があったと思います。特にその中で、認知症初期の人への適切な支援、軽度者こそ、認知症初期だからこそ専門職による支援が必要だということですとか、また、総合事業の影響ということで、チェックリストで必要な支援から遠ざけられてしまったり、卒業の勧奨もあるんだというお話も先ほどございました。
 認知症初期の人こそ専門職の支援が必要だという点と、実際、総合事業でのさまざまな影響で、ほかに具体的な事例などがありましたら教えていただきたいなと思っております。
○田部井参考人 認知症の初期の支援、この調査結果でも、認知症初期の場合にはADLに関してはほとんど問題はないわけですね。ですけれども、実際の家事であるとかそういうところにサポートがあれば、ひとり暮らしもできる、あるいは家族も仕事に行けるというふうな形で、家事援助というのが非常に重要な役目を果たしている。
 そのことによって、丁寧なあれというのは、例えば初期の人ですと、言葉かけ一つでも、どうしたいですかとか、何が欲しいですかというふうな形での質問というのは、その方にとっては無から何かを生み出さなければいけませんので、質問でも、Aがいいですか、Bがいいですか、Cがいいですか、この中でどれがいいですかとかいう形での質問とかというふうな、非常にきめの細かい配慮が必要になってきます。そういう意味でいきますと、やはり初期であればこそ、そういう配慮のできる専門的な支援が必要だ。
 もし、そこの支援が適切であれば、最近は、私も三十五年ぐらい認知症のことにかかわっていますけれども、十数年とか非常に穏やかな状態で過ごせるという人がふえてきているんですね。
 本間昭先生なんかに聞きかじったのでいきますと、でも、そのことによって寿命が延びるという証明はない、つまり死期は決まっていて、いい状態で比較的長く推移できるということは、重度にならずに、重度の期間は非常に短くして最期を迎えることができるということをあらわしているとも言えるというふうに先生もおっしゃっていましたけれども、そういうことが初期においては、生活上の支援、穏やかに今までの生活を続けていけるということが意味があると言えるというふうに思うんですね。
 そのことのために、やはり、最初の段階できちんと認知症があるという形でスクリーニングするために、安易な基本チェックリストではなくて、複数の目がきちんと入った、認知症をきちんと評価するスクリーニングが必要だろう。
 私も認定審査会の委員をしておりますけれども、実際、非該当が少しふえているなと言われると、要介護にならずに要支援の二でとどまっている人がふえているなという感じもありますし、実際に認知症があるにもかかわらず総合事業の対象になっている人というのも、先ほどの意見の中でも申し上げましたけれども、そういう人が出ている傾向というのがあるというふうに思いますので、そのことについては非常に注意をして見ていかなければいけないだろうというふうに思っております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続いても、田部井参考人に伺いたいと思います。
 負担の問題が議論になっております。応能負担というのはもちろん私も当然だと思うんですが、今度の三割負担の対象者が果たしてその応能に当たるのかという議論もありますし、財務省は二割が原則だということを打ち出している中で、これがそこへ向かう危険性もあるじゃないかと思っております。
 田部井参考人がお書きになっているものを拝見いたしますと、社会保障費の国の予算に占める割合をEU並みにしようじゃないか、その財源で介護保険の税負担部分の比率を引き上げる、制度発足時の水準に戻すんだという指摘もされているのを拝読させていただきました。
 税の財源のあり方でいえば、私たちはもちろん、消費税増税ではなく、それこそ税の部分を応能負担を原則にやるべきだと思っておりますが、そういうことも含めて、介護のあり方をこうあるべきということでいろいろな提言もされていると思うんですが、その点、詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
○田部井参考人 御紹介をいただきましたように、先ほども申し上げましたけれども、私は、やはり、そのベースは、基本となるのは、税金でやるべきだ。それはそれぞれの人が負担をしなければいけないとしても、同じ財源を多くの人で負担をすれば小さい負担で済むわけですね。そういう形でまず制度のベースをつくるということが大事だろうというふうに思っております。そのことによって財源を確保して、制度を形づくって運営していくことがまず大切だろうというふうに思っています。
 まず、私は、どういう負担をするにしても、政治と負担をする側との信頼関係というのが築かれていなければ成立はしないだろうというふうに思いますので、社会保障の財源というのは、必ずしも支出だけではないわけですね、そのことによって経済が回っていったりということにつながっていくわけですので、その発想でもって、まずEU並みの社会保障の比率に引き上げて、そのことで介護保険が発足したときの一割負担のあの状況に戻して、そこからまた新たに次の、よりよい制度にしていくためのスタートに立って運営していくべきであろうというふうに思っているのが私の真意なんです。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 山田参考人に伺いたいと思います。
 負担の問題では、民医連独自の介護困難事例調査の一端もお示しいただきました。利用料負担の重さでいうと、そもそも一割負担でも負担が重くて、必要な介護の支給よりも満たない利用の実態もあるかと思うんですが、先生が接しておられる患者さんや利用者の中でそういう実例などがございましたら、お聞かせいただけたらと思います。
○山田参考人 直接、私の事業所では聞いておりませんが、私たちは全国組織でございますので、その中で、やはり、先ほどあったような、二割になった、そのために施設を退所せざるを得なかったとか、そういう例は伺っております。
 そして、ケアマネジャーの方が、私たちのところで困難を乗り越える、そういうふうなケアマネが多いものですから、何とかその人の負担にならないような形の中で乗り越えていく、あるいは、サービスをほかのところでかえて何とか見ていけないか、そういう取り組みもしているのも事実でございます。それがまだ上がってきていないので、先ほども言いましたけれども、今のところ、その困難がまだ表面化していないというのもあるかと思っています。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続いて、山田参考人に伺いたいと思います。
 今度の法案では、障害の事業所でも介護のサービスができるようにということで、共生型サービスが打ち出されております。障害者の方々が六十五歳になった途端に介護保険が優先されることへの対応とされているわけですけれども、障害者も高齢者も子供もということで、そういう中で専門性が保てるのかという懸念もあると思います。政府がいろいろ出している文書、我が事・丸ごと地域共生社会ということも今度打ち出していますが、いろいろな文書を見ておりますと、人材不足の中で、兼務ですとか人材の共用ということも出てくるわけであります。
 介護保険優先原則のもとでの障害サービスと介護保険との併用の問題、それから、今後打ち出されようとしている人材の共用といったことに対する先生の考えというのをお聞かせいただけたらと思っております。
○山田参考人 ありがとうございます。
 皆さん、障害者の方の、例えば車椅子を想像していただきたいと思います。障害者の方の場合ですと、機能性を重視しますので、いろいろなサービス、いわゆる特注という形でつくるということになるわけですよね。ところが、その方たちが六十五歳になって介護保険優先という形になりますと、言葉は悪いですけれども、この車椅子しか使えないよとか、機種を限定されるという中で動けなくなってしまうみたいなことが、現実問題として今起こっております。
 ですから、その中で、地域の中では非常に困難を来していますので、そのあたりのところを含めて、ぜひ一律にしないでほしいというのが私たちの願いでございます。
 それから、サービスを提供する側の問題としましても、皆さん御存じのように、もう老健で、小児の、障害者を持った、気切しているみたいな子供たち、人たちが今レスパイトで入ってきています。その人たちに対して、たんを引けるとか、たんを引けないとか、そういう準備も何もできないままで出発しているので、結構大変な思いをしていますので、そういうところに少し余裕を持たせていただければなと思っています。
 それからもう一つ、今後、デイサービス等でも障害者の方たちと一緒になって障害児のことも見ていくということ、これはこれでいいことだと思うんですけれども、高齢者の方たちは、リハビリですから、落とした能力を獲得するために何とか介護する人にしやすい姿勢で臨んでくれるんです。ところが、障害児を持った人は、ハビリテーションですから、最初からそんな能力はなかったから、それで、こちら側が起こしてあげようと思っても、全くこちらのやりたいようにはしてくれませんので、そういうことになれていくといいましょうか、なれた人たちにやってもらわないとなかなかうまくいかない。
 プロフェッショナルとそうでない方たちというのが今後少し目立つようになってくるんじゃないかと思って、そのあたりのところをうまく補正できるようなシステムが急がれると思っています。
 以上です。
○堀内(照)委員 ありがとうございました。
 本当にテーマが多岐にわたって、十分にお聞きできなかったことをお許しいただきたいと思います。それだけに、皆さんの御意見をしっかりと参考にして、今後も充実した審議を図っていきたい、私も力を尽くしたいと思っております。
 ありがとうございました。