国会論戦・提案

2017年04月12日

介護保険改悪 自公、突然強行採決 共産・民進 強く抗議 衆院委 自民、「森友」質問を理由に  ※議事録などは午前の対総理質疑部分

厚生労働委員会は12日、介護保険法案について、安倍晋三首相が出席した質疑が午前中に行われました。

 

介護保険改悪 自公、突然強行採決  共産・民進 強く抗議  衆院委 自民、「森友」質問を理由に

介護サービスの自己負担割合の引き上げなどを盛り込んだ介護保険法等改悪案について、自民、公明は12日の衆院厚生労働委員会で質疑を一方的に打ち切り、採決を強行しました。

 

自民党は、民進党が森友問題で首相に質問したことをあげ、「信頼が壊された」として突然、一方的に質疑終局と採決を求める動議を提案し、与党と維新の多数で採決を強行しました。日本共産党と民進党は、与野党で協議していた日程も無視したもので論外だと厳しく抗議。委員会へ差し戻し質疑を続けるよう求めました。

 同法案は、自己負担割合を一定所得のある人を対象に3割へ引き上げます。40歳から65歳の保険料を収入に応じて計算する「総報酬割」を導入。利用者の自己負担増と、「地域共生」の名で医療、介護、福祉などの公的サービスを縮小する狙いを盛り込んでいます。

 安倍晋三首相が出席した同日の委員会質疑で日本共産党の堀内照文議員は、「(法案は)負担増のみならず、『我が事・丸ごと』地域共生の社会づくりなど一層の自助・互助を強め、福祉のあり方を大きく変質させるものだ」と指摘。堀内氏が2割負担への引き上げの影響についてまともな検証もないのに、新たな負担増を強行しようとする安倍政権の姿勢を批判したのに対し、安倍首相は「制度の持続可能性」などを口実に「引き続き適切な利用者負担をお願いする」などの答弁に終始しました。

 堀内氏は財務省の改革工程表に「軽度者」へ生活援助サービスの切り捨てが検討されていることを批判し、撤回を求めました。

(2017年4月13日 しんぶん赤旗より)

 

 

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議事録 2017年4月12日 衆議院 第193回国会 厚生労働委員会 (午前の対総理質疑部分)

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文でございます。
 きょうは、安倍総理に質問させていただきたいと思います。
 本法案は、負担増のみならず、内容も多岐にわたるとともに、我が事・丸ごと地域共生社会づくりと一層の自助、互助を強め、福祉のあり方を大きく変質させる重大なものだと考えております。質疑の中で塩崎大臣も、大きな転換だということをおっしゃっております。まだまだ審議時間が足りないと思っております。そのことを冒頭に述べさせていただきまして、質問に入りたいと思います。
 利用料の、一部所得の方、三割負担が盛り込まれております。二割負担等、前回の負担増の影響についてまともな検証もないじゃないかとこの委員会でも議論になりました。この間の政府の答弁は、今も総理からもありましたが、利用者数に顕著な差異が見られないなどというものでありました。これは井坂委員も示されましたが、塩崎大臣は質疑の中で価格効果はあるんだと、すなわち、利用の抑制効果はあるということはお認めになりました。
 きのうの参考人質疑で、認知症の人と家族の会の田部井康夫副代表理事は、利用者、家族はサービスを利用しなければ生活は成り立たない、回数が減ることはあっても利用者の数が減ることはないと強調されていました。配付された資料には、このままどんどん負担がふえると生活が成り立たなくなる、年金でつましくやりくりしている者にとって厳しいと、本当に切実な声があふれておりました。
 総理は、本会議での私の質問に対して、負担できない人からも負担を求めるものではない、要介護者を支える家族の支援を破綻に追い込むとの批判は当たりませんとおっしゃいました。二割負担で実際に困っているという声を上げておられるこれらの人に対しても、総理は負担能力ありだと言えるんでしょうか。
    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕
○安倍内閣総理大臣 平成二十六年の利用者負担の見直し、二割負担の導入は、保険料の上昇を可能な限り抑えつつ、制度の持続可能性を高めるため、負担能力に応じた負担を実現する観点から行ったものであります。
 二割負担については、これは六十五歳以上の高齢者の上位二〇%に該当する方を対象としたものであり、それ以外の低い所得の方は一割負担を維持いたしました。
 実際の利用状況を見ますと、平成二十七年八月の二割負担の導入前後において、サービスの受給者数の伸び率や、一割負担者と二割負担者の間のサービス利用回数等の傾向に顕著な差は見られませんでした。こうしたことから、二割負担の対象の方々は引き続きサービスを適切に利用しつつ利用料を御負担いただいているものと考えておりますが、引き続き、サービス利用等の実態把握に努めてまいりたいと思います。
○堀内(照)委員 本当に同じ答弁を繰り返すだけなんですが、これは塩崎大臣自身も、利用抑制がないとは言っていないとおっしゃっているんですね。
 それで、実態をやはりよく見るべきだと私は思うんです。現実には、今総理、低い方を一割に抑えたとおっしゃいましたけれども、一割負担でさえ厳しい現実があります。
 きのうの参考人で副会長がおいでになりました全日本民主医療機関連合会は、先日、「介護困難八百事例調査」報告を発表しました。少し紹介したいと思います。
 六十八歳、要介護一で独居の男性。糖尿病と心疾患があり、食事内容に配慮が必要な方です。配食サービスを利用していますが、朝昼食は自分で準備をしなければならない。つえで歩行は可能なんですが、台所作業は身体への負担が重くて困難がある。食生活や掃除が行き届かなくなると病状が悪化する。週三回の訪問介護の生活援助を受けておられます。しかし、一割負担が大変重いということで、冬場は、灯油を控えるために、布団をかぶり寒さに耐えて過ごしているということです。
 七十四歳、要介護二の女性。要介護一の夫と二人暮らし。自営業で経営状況が悪く、預貯金はほとんどない。返済もあって、年金収入も少ない。一割負担で、本来であればヘルパーの生活援助が必要ですが、負担できるのが月額五百円未満ということで、歩行器のレンタルが精いっぱいだ。これで何とか生活を保っている。
 七十八歳、要介護の男性。夫婦世帯。右半身麻痺があり、屋外は車椅子で移動です。ベッドサイドに手すりのレンタルをされています。夫婦ともに国民年金で、満額もらっていません。月六万円程度だといいます。一割負担でも利用料が高く、今言いました手すりのレンタルしか利用されておりません。
 利用料一割負担でさえ、その負担の重さがサービス利用を阻んでいるという実態が広くあるんだということを示していると思います。
 総理は本会議で、医療、介護の利用者負担の見直しは、所得の低い方々などにはきめ細やかな配慮を行いつつ、負担能力に応じた御負担をいただくと答弁されました。ならば、低所得の方への利用料の負担軽減策こそ検討すべきだと思うんですが、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 介護保険制度では、制度創設以来、保険料と公費と利用者負担を適切に組み合わせて財源を確保しているのは御承知のとおりでございます。
 御指摘の利用者負担については、所得の低い方を初め、原則一割負担とするとともに、所得に応じて一カ月の負担の上限額を設定しています。
 今般の見直しでも、所得の低い方については負担割合や負担額を据え置いており、きめ細かな対応をしています。その上で、所得の低い方については、社会保障・税一体改革において、介護保険料の負担軽減を行っているとともに、平成三十一年十月までに年金生活者支援給付金の創設など、社会保障全体を通じた対策を講じることとしています。
 高齢化が進展する中で、制度を持続可能なものとして次世代に引き渡す必要がありまして、低所得者には配慮しつつ、引き続き適切な利用者負担をお願いしたいと考えております。
○堀内(照)委員 きめ細やかに全然なっていないから、今私が紹介したような実態がやはりあるんだと思うんです。
 これは、負担が重いことで、本来認められている支給量、介護の受給ができていないわけです。これは重度化防止にもならないと私は思うんですね。高齢者の三人に二人は住民税非課税であります。せめてそういう人たちに対する利用料の減免制度など、負担軽減が必要だと思うんですが、再度、いかがですか。もう一度。
    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕
○塩崎国務大臣 自己負担の問題について引き続き御指摘をいただいているわけでございますけれども、基本的な考え方は先ほど総理からも答弁申し上げたとおりであって、当然、我々は、助け合いの仕組みとして、負担能力に応じた負担ということ、そして世代内、世代間の負担の公平性というものを考えた上で今回のことも決めさせていただいているわけで、当然、二割を導入したときも同じようにやってきたわけでございます。
 もちろん、必要なサービスは、御指摘のように、サービスとしてきちっと提供されることを確認しながらやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、そういうような事態がないようにするということは大変大事なことで、そういう意味で、先ほど来お話が出ているように、施行に向けてさまざまな調査をしてそういったことを確認した上で、サービスとして、必要な方に必要なサービスがいくようにするということを守ってまいりたいというふうに考えているわけです。
 いずれにしても、負担については、所得の低い方は引き続き原則一割負担ということでありますし、低所得者に関してはさまざまな総合的な対応を社会保障全体を通じて行っているということでございますので、そのようなことで御理解を賜りたいというふうに思います。
○堀内(照)委員 サービスが使えない実態がないようにというんだったら、負担軽減策を検討すべきだと私は申し上げたいと思います。
 総理は昨年十一月の未来投資会議で、これまでの介護は目の前の高齢者ができないことを世話することが中心、これからは、高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置くと発言されました。
 私はこれは本会議でも取り上げましたが、その際、総理からの答弁は、本人が望む限り、介護が要らない状態までの回復を目指すものであり、サービスを使わないことを強要するものではないというものでありました。
 しかし、総理は、この会議で明確に、自立支援に軸足を置くと述べておられます。それは、自立に役立たない生活援助などはもう介護保険の対象からは外していくということなんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 昨年十一月の未来投資会議において、二〇二五年に向けて、介護については、高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置くと述べたことについて、三月二十八日の衆議院本会議において、これは、本人が望む限り、介護が要らない状態までの回復をできる限り目指すものであるとお答えをしたわけであります。
 ここで言う自立支援とは、高齢者が、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう支援することであり、それぞれの時点で必要な介護保険サービスを利用いただくことは、これは当然であるわけでございます。
 いずれにせよ、なるべく自立した生活を行いたいと多くの方が望んでおられます。それをしっかりとサポートしていくことに軸足を置いていこうということでございまして、いわば、自立が難しい、あるいはその他のサービスを必要としている方々に対してそうしたサービスを切っていくということではもちろんないわけでございまして、できれば自分の足で歩いてトイレに行きたいということを多くの方々が望んでおられるわけでありますから、それをしっかりとサポートしていくということにもちゃんと重点を置いていこう、こういうことでございます。
○堀内(照)委員 それぞれの時点で必要なサービスを受けるのは当然だとおっしゃいました。そうであるならば、軽度者に対する居宅での生活援助サービスを介護保険給付から外すということなどあってはならないと私は思うんです。
 次期報酬改定で検討されている、軽度者に対する生活援助を行う人員基準の緩和とそれに応じた報酬の見直し、これは、改革工程表でも見直すという方向が打ち出されて、検討されているわけです。これは撤回すべきじゃありませんか、総理。
○安倍内閣総理大臣 軽度者に対する生活援助サービスのあり方については、高齢者の自立を支援し、介護の重度化を防ぐという介護保険の理念を踏まえまして、厚生労働省の審議会においてしっかり検討を行ってきたところであります。
 これを踏まえ、昨年末に改定された経済・財政再生計画改革工程表において、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準の緩和等について、関係審議会等において具体的内容を検討し、平成三十年度介護報酬改定で対応することとされております。
 この改革工程表に沿って、高齢者の自立支援等の観点を踏まえつつ、制度の持続可能性の確保や介護人材の確保の観点にも留意して、引き続き検討を行ってまいりたいと思います。ということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○堀内(照)委員 自立支援や重度化防止など介護の理念を踏まえてというふうにおっしゃいましたが、全く矛盾していると思うんですね。
 きのうの参考人質疑で、民医連の山田智参考人からは、厚労省の資料も示され、軽度の人ほど重度化する傾向があり、専門職の介入、充実が必要だという指摘がありました。資料の一枚目につけておきました。また、認知症の人と家族の会の田部井参考人からも、認知症初期の人に対しても、専門職による適切な支援の必要性ということが指摘されました。資料の二枚目につけておきました。
 軽度者に対する生活援助サービス、こういう人こそ必要なんだという声なんです。こういうところから専門職の支援を外すということは、基準緩和というのは、結局これも重度化防止に私は逆行すると思うんです。
 改革工程表から外して、これはきっぱり撤回すべきだと申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。