国会論戦・提案

2017年03月28日

「地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等改正案」が審議入り

 

介護保険改悪 審議入り  堀内議員“高齢者の尊厳奪う” 衆院本会議

介護保険利用料の一部3割負担引き上げなどを盛り込んだ政府提出の介護保険法等改悪案が28日、衆院本会議で審議入りし、日本共産党の堀内照文議員が質問に立ちました。

 同改定案では、2014年の利用者負担増の検証もしないまま、3割への引き上げを盛り込みました。自立支援や重度化防止を市町村に競わせ、目標達成状況を評価して交付金を支給するとしています。また、公的な社会保障制度をいっそう「自助・互助」へ置き換える「我が事・丸ごと」地域共生社会を進めるとし、障害福祉の事業所が介護サービスも担えるよう基準緩和します。

 堀内氏は、「介護離職」が毎年10万人規模で推移し、介護殺人・介護心中もあとを絶たず「献身的に介護し続けた末、経済的に追い詰められ、家族介護が限界となり、悲劇が生み出され続けている」と指摘しました。

 一方で、安倍晋三首相が「高齢者が自分でできるようになることを助ける『自立支援』に軸足を置く」と表明していることに触れ、「自立とは、障害があっても病気になっても、公的制度・社会支援を利用し、尊厳をもって生きることだ」と強調。「介護保険からの『卒業』を目標に、交付金によって介護制度軽減を競わせればサービス利用の阻害につながりかねない」とただしました。

 安倍首相は「自己負担増による状態悪化やサービス利用の減少は確認されていない」などと、実態を直視しない答弁に終始しました。

(2017年3月29日 しんぶん赤旗)

  

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議事録 193衆 – 本会議 – 13号  2017年03月28日

○堀内照文君 日本共産党の堀内照文でございます。

 私は、日本共産党を代表して、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 介護保険制度が始まって十七年を迎えます。目標とされた介護の社会化に誰しも希望を見出しました。しかし、この間、介護離職は毎年十万人の規模で推移し、介護殺人、介護心中も後を絶ちません。家族によって引き起こされた、六十歳以上の要介護者に対する殺人、心中事件は、未遂も含めればほぼ一週間に一度のペースで発生しています。介護疲れが動機の自殺者もふえています。献身的に介護し続けた末、経済的に追い詰められ、家族介護が限界になり、悲劇が生み出され続けているのです。
 総理は、悲劇を生み出す原因はどこにあるとお考えですか。
 医療、介護の制度で相次ぐ負担増、給付抑制が、過酷過ぎる家族介護に追い打ちをかけているのではありませんか。
 とりわけ、二〇一四年の介護保険法改悪では、給付を抑制するため、要支援一、二の訪問介護やデイサービスを介護保険から外し、市町村に丸投げしました。
 このもとで、無資格者やボランティアによる支援が推奨されました。その結果、専門職の支援を受けられず、心身の状態が悪化する高齢者がふえ、また生活援助の時間を削られて家族の負担が一層重くなるなど、深刻な悲鳴が上がっています。
 総理は、こうした事態をどう認識していますか。
 ところが総理は、昨年十一月の未来投資会議で、これからは、高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置くと述べられました。この会議では、要介護度改善のみを尺度とする自立支援介護が提起され、そのための報酬改定が検討されています。
 一体、総理が考える高齢者の自立した生活とは何ですか。介護サービスを使わないことなのですか。
 本来、自立とは、障害があっても、病気になっても、公的制度、社会的支援を利用し、尊厳を持って生きることです。年をとって、次第にできることが限られていく中にも、その人らしく暮らしていけるよう支援することが介護保険の役割ではありませんか。介護保険からの卒業を求め、サービスを使わない自立を強要することは、高齢者の尊厳を傷つけ、介護者の一層の負担増を招き、地域で安心して暮らすことを困難にするものです。明確な答弁を求めます。
 以下、法案について具体的に質問します。
 法案は、自立支援、重度化防止等に向けた市町村の取り組みを支援するため、目標の達成状況を評価し、交付金を支給するとしています。
 国は、何を指標に評価するのですか。要介護認定率の低下や介護給付費の縮減を競わせるのですか。
 介護保険からの卒業を目標に、交付金によって介護度軽減を競わせれば、サービス利用の阻害につながりかねないではありませんか。答弁を求めます。
 次に、利用者負担の見直しについてです。
 前回の改定で、一定以上の所得や預金がある方へ、利用料二割負担の導入や施設利用時の食費、居住費補助の打ち切りが行われました。負担増の影響を調査した認知症の人と家族の会は、施設を退所させる、ショートの回数を減らした、家族の生活も破綻してしまう、こつこつためた老後の介護資金は見る見る減るなどの実態を示し、余りに過酷と見直しを求めています。
 全国百を超す介護施設で、支払い困難を理由にした退所者が出ているとの報告もされています。厚労省は、受給者数だけを取り上げ、変化なしとしていますが、それで深刻な実態をはかることはできません。
 総理、この間の負担増は、要介護者を支える家族の生活をさらに窮地に追い込んでいるのではありませんか。
 本法案では、この上に三割負担を導入しようとしています。
 前回改定の検証もせず、年金収入等三百四十万円であれば三割負担が可能であるとどうして言えるのですか。利用抑制や介護者、家族の生活圧迫につながらないのか、その根拠を明確に示すべきです。
 高齢者を狙い撃ちにした社会保障の負担増と年金削減の中で、これ以上の重い負担を課せば、高齢者のみならず、介護者、家族の暮らしが破綻しかねません。今後、二割負担、三割負担の対象者を拡大することはないと断言できますか。総理の答弁を求めます。
 介護医療院について伺います。
 法案は、介護療養病床を廃止し、新たに介護医療院を創設するとしています。
 介護療養病床は、医療的ケアが必要な重介護の高齢者の受け皿として、施設や在宅介護の困難な高齢者、家族を支えてきました。
 介護医療院は、この介護療養病床とどう違うのですか。なぜ介護療養病床を廃止するのですか。
 介護医療院は、生活の場としての機能を強調し、みとり、ターミナルケアの場であるともしています。そうであれば、患者の生活の質の向上と尊厳が守られるよう、医療、介護の人員配置、施設基準について、現行の介護療養病床より抜本的に拡充することが当然必要ではありませんか。厚労大臣の答弁を求めます。
 続いて、共生型サービスについてです。
 共生型サービスは、障害福祉の事業所が介護サービスも実施できるよう、基準緩和を行うものです。
 しかし、障害を持つ方たちが真に望んでいるのは、六十五歳になったというだけで、サービス支給の縮小、打ち切りとともに定率負担が課せられる介護保険優先原則を廃止することです。障害福祉事業所が介護事業所を兼ねれば済むということでは断じてありません。大臣の見解を求めます。
 障害者自立支援法違憲訴訟団との基本合意は、障害福祉サービスと介護保険の統合を明確に否定しています。本法案は、この基本合意に反するのではないですか。障害者サービスの介護保険への統合に踏み出したのではないと言えますか。
 障害者の生存権、平等権、尊厳を公的に保障する障害者福祉制度を確立すべきであり、保険原理を持ち込むことは許されません。
 本法案は、我が事・丸ごと地域共生社会づくりを進めるとしています。厚労省の目指す地域共生社会とは、効率化、生産性向上、自助、互助、地域住民の助け合いを最優先に求め、公的責任を後退させ、福祉、介護費用の抑制を狙うもので、今後の社会福祉のあり方を大きく変質させかねません。
 厚労省は、この地域共生社会で、障害者も高齢者も子育て支援も含めた包括的な支援体制を提起しています。
 この体制とは、効率化や人材不足解決のために、相談支援窓口や施設、専門職員の共用、兼務を進めることにすぎません。本来必要なことは、福祉労働者の処遇を抜本的に改善し、それぞれの専門職をしっかりと配置することではありませんか。
 また、厚労省の提起する地域共生社会は、地域の困難はまず住民同士の支え合いで解決せよと言うのですか。地域の助け合いやボランティアは、不足する人材を補うものではありません。厚労大臣の答弁を求めます。
 憲法二十五条は、国民の生存権を保障し、そのための社会保障の向上、増進へ国の責務を定めています。その国の責任を果たすことこそ今最も切実に求められているということを強く指摘して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 堀内照文議員にお答えをいたします。
 介護保険制度についてお尋ねがありました。
 介護をめぐる悲劇を防がなければならないということは言うまでもありません。ただし、その原因は事案ごとにさまざまであり、一概に申し上げることはできません。
 医療、介護の利用者負担の見直しは、所得の低い方々などにはきめ細かな配慮を行いつつ、負担能力に応じた御負担をいただくものであります。
 また、総合事業は、要支援の方を介護保険の対象外とするのではなく、引き続き、介護保険の対象として、地域の実情に応じて、必要なサービスを効果的、効率的に提供する仕組みです。これによる利用者の状態悪化やサービス利用の減少は確認されておらず、指摘は当たりません。
 昨年十一月の未来投資会議においては、二〇二五年に向けて、介護については、高齢者が自分でできるようになることを助ける自立支援に軸足を置くと述べましたが、これは、本人が望む限り、介護が要らない状態までの回復をできる限り目指すものであり、サービスを使わないことを強要するといった指摘は当たりません。
 介護保険の利用者負担の見直しについてお尋ねがありました。
 平成二十六年の利用者負担の見直しは、保険料の上昇を可能な限り抑えつつ、制度の持続可能性を高めるため、負担能力に応じた負担を実現する観点から、所得の低い方々などにはきめ細かな配慮をしつつ行ったものであります。
 今回の改正案は、同様の観点から、特に所得の高い層について利用者負担の見直しを行うものですが、一方で、所得の低い方々の負担は引き上げないなど、配慮を行っています。
 したがって、負担できない人からも負担を求めるものではなく、要介護者を支える家族の支援を破綻に追い込むとの批判は当たりません。
 制度の持続可能性を高める観点から不断の見直しが必要ですが、今回の利用者負担の見直しは、今後の対象者の拡大を前提としたものではありません。
 地域共生社会についてお尋ねがありました。
 今回、市町村の努力義務とした、法律に新たに位置づける地域共生社会の実現は、地域住民が主体的に地域の課題に対応し、関係機関が総合的に相談支援を行う体制をつくるものです。地域住民の自助努力に全てを委ねるものではなく、社会福祉の実施主体である自治体がしっかり責任を果たすことに変わりはありません。
 公的責任を後退させる、社会福祉のあり方を変質させるなどといった批判は当たりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

 ○国務大臣(塩崎恭久君) 堀内照文議員にお答えを申し上げます。
 自立支援、重度化防止に向けた取り組みに関する評価指標等についてのお尋ねがございました。
 高齢者の自立支援や重度化防止の取り組みを進めていくためには、PDCAサイクルを活用して市町村の保険者機能を強化していくことが重要であり、今回の法案でも必要な仕組みの創設を盛り込んでおります。
 この一環として、保険者のさまざまな取り組みを評価できるよう、客観的な指標を設定した上で、市町村等に対する財政的インセンティブの付与を予定しております。
 具体的な指標等については、適正なサービス利用の阻害につながらないことが前提であるとともに、各保険者における高齢化率や地域資源の違い等も踏まえ、アウトカム指標とプロセス指標を組み合わせて、関係者の意見も伺いつつ、公平な指標を設定してまいります。
 三割負担の導入についてのお尋ねがございました。
 今回の法案では、介護保険制度の持続可能性を高めるため、世代内、世代間の負担の公平や負担能力に応じた負担を求める観点から、現役並みの所得を有する方の負担割合を二割から三割に引き上げることとしております。
 三割負担の対象となる方につきましては、二割負担者よりも一層範囲を限定した、特に所得の高い、現役並みの所得を有する方とすることとしており、また、月額四万四千四百円の負担の上限額は据え置くといった配慮を行います。
 今回の見直しの趣旨や内容につきましては、利用者の方に丁寧に説明を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 介護医療院についてのお尋ねがございました。
 介護療養病床につきましては、医療と介護の役割を明確化する観点から廃止することとし、老健施設等への転換を進めてきましたが、介護療養病床で提供される日常的な医学管理や、みとりやターミナルケア等の機能は重要なものと考えております。
 一方で、長期間の療養が必要なため、入院先が実質的に生活の場となるような利用者にとっては、それにふさわしい環境も重要です。
 そのため、今般の制度改正では、日常的な医学管理や、みとりやターミナルケア等の機能だけではなく、生活施設としての機能を兼ね備えた施設として、介護医療院を新たに創設することとしております。
 また、介護医療院の具体的な基準や報酬等については、適切なサービスが提供できるよう、今後、社会保障審議会介護給付費分科会等で検討してまいります。
 共生型サービスの創設等についてのお尋ねがございました。
 共生型サービスの創設により、障害者が六十五歳以上になっても、従来から障害福祉サービスとして受けてきたサービスを継続して受けやすくなります。このことは、障害福祉サービスを介護保険制度に統合しようとするものではなく、障害者自立支援法違憲訴訟団との基本合意に反するものでもありません。
 地域共生社会についてのお尋ねがございました。
 今回の法案は、高齢者、障害者、児童などの分野ごとの相談支援機関が、それぞれ直接対象とする方の課題のみならず、それ以外の、世帯全体の課題も含めて、丸ごと受けとめる体制をつくるものであり、効率化のために相談支援窓口等の共用や兼務を進めるものではありません。
 福祉人材の確保については、希望を持って保育や介護などの道を選んだ皆さんの高い使命感にしっかりと応えていくことが重要であり、本年度予算においても、処遇改善に取り組んでいくこととしております。
 また、今回の法案では、包括的な支援体制の整備を新たに市町村の努力義務として規定し、自治体の関与を強めており、決して、地域住民に解決の全てを委ねたり、地域の支え合いやボランティアを福祉人材として補ったりするものではございません。(拍手)