国会論戦・提案

失業給付、本則に戻せ 衆院厚労委 参考人が指摘 堀内氏質疑

衆院厚生労働委員会は14日、雇用保険法や育児休業を最大2年まで延長する育児・介護休業法について参考人質疑を行いました。

 「希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会」の天野妙代表は、改定案は待機児童数がブラックボックス化されるなどのデメリットがあると指摘。「保育所不足を解消せずに育休2年に手をかけるのは本末転倒」だと批判しました。

 男性の育休取得率の低さを指摘し、育休取得時の給付金100%支給などを、待機児童対策と同時にやるべきだと語りました。

 法政大学の上西充子教授は、職業安定法の改定について「面接時等に契約時で変更内容を明示すればよいとなれば、募集に際しての労働条件の明示義務の意味は損なわれ、募集時からの労働条件変更にお墨付きを与えることになる」と批判しました。さらに、一括審議でなく個別に議論すべきだと求めました。

 求人募集時に「固定残業代」の内容が隠されていたら、求人者は適切に労働条件の比較ができないだけでなく、誠実に求人情報を示した企業も被害をこうむると指摘。募集に際しての「虚偽の条件表示」に罰則があるが、立証は困難。募集時に明示する労働条件を「最低保証」とすることを求めました。

 日本共産党の堀内照文議員が「失業給付にかかる国庫負担は本則に戻し、給付拡大が必要ではないか」とただしたのに対し、厚生労働省の労働政策審議会部会長を務めた岩村正彦東大教授は「公労使3者で、本則の負担率に戻していただきたいというところでは一致している」と語りました。

2017年3月15日しんぶん赤旗

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衆議院会議録情報 第193回国会 厚生労働委員会 第5号

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文でございます。
 本日は、お忙しい中お越しいただきまして、また、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
 早速質問させていただきたいと思います。
 最初に、岩村参考人に伺いたいと思います。
 失業給付に係る国庫負担についてであります。
 私は、減らすのではなく、やはり給付の拡大に使うことが必要だと考えております。
 今、本則の五五%にまで下げられた国庫負担のあり方については、これまでの部会報告や国会決議で、できるだけ速やかにとか、早期に本則に戻すということが指摘され続けてきました。ところが、今回の部会報告では、基本的にはこの立場に立つべきだとしながら、きょうも冒頭の陳述では、過去に下げた例もあるということがありましたが、報告ではさらに、未来への投資を実現する経済対策での指摘も考慮してということで、一〇%にまで下げられております。
 きょう陳述の中で、国の責任を体現したものだということもおっしゃっていただきました。だからこそ三年間に限定をした措置なんだろうとは思うんですが、この本則へ戻すということの必要性についての御認識を改めて伺いたいと思っております。
○岩村参考人 御質問ありがとうございます。
 まず、審議会におきましても、この国庫負担の問題というのは、かなり真摯な議論をしたテーマの一つでございます。
 やはり公労使三者一致しておりまして、雇用保険会計における国庫負担というものは、先ほども申し上げましたけれども、国の雇用政策あるいは経済政策上の責任というものを具体的にあらわすものであるというところから、ぜひともこれは本則の負担率に戻していただきたいというふうに考えているところでありまして、この点は揺らぎがないというふうに申し上げたいと思います。
 ただ、いろいろな状況の中で、今回も引き下げを受け入れざるを得ないという苦渋の決断をしたということも事実でございまして、その点は、例えば雇用保険部会の意見書と報告書等にも記載しているとおりでございますので、もし機会があれば御参照いただければというように存じます。
○堀内(照)委員 前回、昨年の法改正のときの参考人質疑で、当時の井上全労連事務局長が失業する権利ということを言われ、私は新鮮に受けとめたんです。つまり、今ブラック企業が問題で、ここに入ってしまった場合、自己都合でやめたとしても、給付制限の期間なしに失業中の生活保障がある、安心して次の仕事探しができるということは大事だという指摘でありました。
 モラルハザードという議論もあるんですが、阿部参考人からも示されました中で、六十歳以上とそうでない層とではやはり再就職の動向が違うんだという指摘もありました。そうだろうと思うんです。やはり生活のために早く仕事につきたいというのが基本だと思います。給付制限期間の見直し等、給付の拡大こそ必要だなと改めて思ったところであります。
 続いて、天野参考人にお伺いしたいと思っております。
 子供を産むと損する社会という指摘は、ぐさっと、今の政治の一番の課題といいますか、そこを本当に当てた指摘だというふうに受けとめました。育休延長よりも保育園をというのも、本当にそのとおりだと思っております。その上で、育休を取得できる労働環境というか、職場環境をどうつくるのかということでお伺いしたいと思っております。
 これは矢島参考人からも、本当に的確なデータと、とりやすい環境整備をという指摘もあったところだと思うんですけれども、一つは、マタハラの増加の懸念と言われました。やはり、ただでさえ忙しい職場で、抜けるとそのしわ寄せが来るということだと思うんです。そういう意味では、今の長時間労働や過密労働といったような環境をどう改善するのかというのは課題だろうかと思っています。
 それから、男性の育児休暇の取得についても指摘をいただきました。仕事と家庭の両立ということも含めて考えても、やはりこの長時間労働の是正というのは待ったなしの課題だと思っているんです。天野参考人からは、男性の場合は特に、本人の意識と収入と代替要員等々、そういった壁があるんだということもありましたので、そういった働き方改革について、天野参考人の御意見、お考えをぜひお聞かせいただきたいと思っています。
○天野参考人 ありがとうございます。
 御指摘いただきましたとおり、育休延長を可能にする労働環境というところですが、これも女性活躍推進と同じ話だと思っております。まず、制度がきちんと整わなければいけないということ、そしてあと女性が活躍できる機会、皆さんの意識の部分ですね、そしてあと女性本人の意識、やはりこの三つがセットになっているのではないかなというふうに思います。
 やはり、制度がなければ使うことはできませんので、そういった設計が必要ですし、機会、これは男性の職、仕事を提供するだかとか、あとマネジメントの部分でどういうふうに差配をしていくのかというところが大きな課題なのかなというところ、そしてあと、女性側の意識のところについても、育休二年になったからラッキーというような考え方ではなくて、いかに会社に貢献できるか、社会に貢献できるか、そして家族をどうやって大切にできるかといったところの視点を意識高く持つ必要がやはりあるのかなというふうに思っております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 もう一点、天野参考人に伺いたいんですが、この間、待機児童対策では、規制緩和をして小規模保育をふやしていく、それが結局、三歳の壁という新たな問題も生み出しております。そういう点で、待機児童対策に何を求めるか。保育園ということがここに書いてあるように、受け皿ということで何を求めるのかということを、ちょっと御意見を伺いたいなと思っています。
○天野参考人 話し始めるとすごく長く深くなってしまうんですけれども、三歳の壁を御指摘いただいてありがとうございます。
 おっしゃるとおり、小規模保育園というのが近年できまして、ゼロ、一、二までが入ることができるんですけれども、三歳になると追い出されちゃうわけですね。
 今、現行制度で、小規模保育園に三歳も入れられるような形に変わろうと、変化しようとしていますけれども、三歳児を持っているお母さんたちがおっしゃっていらっしゃるのは、小規模保育園というのは、名前のとおり面積が小さな保育園になります。やはり例えば三歳の男の子とかになりますと物すごく活動量が大きいですし、こんなに小さな空間に押し込めていいのかなという思いがお母さんたちに一つあるのかな、親御さんたちの思いに一つあるのかなというところと、狭さだけではなくて、外遊びもなかなかしにくいような場所。マンションの一室とかにどうしてもなりますので、雨が降ったらもちろん外で遊べないんです。やはり、そういったところでちょっと遊ばせてあげる、雨がやんだから外に出せるね、園庭に出せるねというような状況にないというところになると思います。
 三歳の壁のお話もありますけれども、いろいろなことを踏まえていって、待機児童を解消していく先に、何か義務教育化みたいな話も一部でありますけれども、またそこは、義務という話になるといろいろ御意見があるとは思いますけれども、待機児童を解消することと、受け皿をふやしていくこと、そして保育の質を同じように担保していくことが必要。そのステップの上でまた、今、待機児童は八十万人、百万人とも言われていますけれども、そこのところの受け皿の無償化だとかそういったところも含めて視野に入れながら、一つ一つ手を打っていただきたいなというふうに期待しております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続きまして、上西参考人にお伺いしたいと思います。
 学生の就職活動を間近にごらんになって、その実際からの提言だと、深く納得して聞かせていただきました。募集時からの労働条件の変更へのお墨つきを与えてしまうという指摘も、本当にそのとおりだと思いました。
 それで、お聞きしたいのは、その問題で、労働条件変更の内容を明示すればいいということになれば後出し変更を許すことになると。これは、この委員会での質疑のことも先ほど御紹介いただきましたけれども、はなから変更を見込んでいたらそれはもう虚偽になるんだということでありましたが、それではどこで虚偽を見分けるのかというのが大問題なんだろうと思っています。参考人からも、その立証は困難だという話がありましたけれども、そういう能力を見きわめるとか、本当に困難だという点をもう少し詳しく述べていただけたらと思うんですが。
    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕
○上西参考人 この求人トラブルの問題は二つに分けて考えることが必要だと思っていまして、一つは固定残業代を隠すという問題ですね。それからもう一つは、仕事とかいろいろな労働条件を途中で変えるという問題です。
 固定残業代を隠すという問題については、人を見て変えるということはあり得ないので、そこを隠せないようにするために、最初の募集要項の段階できちんとそれを明示させることを省令で定めるということが大切だと思っています。
 一方の、人によって職種とかいろいろな労働条件を最初の募集と実態で変えるということが虚偽かどうかというのがわかるのかというのは、十日でしたか、高橋議員もやりとりがありましたけれども、本当に、一人、二人だったら、その人に見合ったものをやったんですよみたいに言われちゃうんですよね。
 例えば百人を事務職で雇ったのに百人全員販売職に配置をしました、これはやはり明らかにだめだよねということはわかるんですけれども、では、それが一人、二人だったらどうかというと、やはり実証ができない。
 例えば女性と男性の賃金に格差があるかというのは、一つの会社の中で何十人という女性と何十人という男性を比べて、ある程度合理的な格差があるかどうかというのは判断できると思うんですけれども、就職の場合というのはそうではない。本当に、数名だけ入るとか、十数名しか入らないという場合はありますので、その中で、何か大量観察みたいな形で、これは虚偽ですねと判断ができるかというと、できない。
 ですので、虚偽かどうかというところでの厳格化というのは恐らく不可能であって、募集時のきちんとした表示というところにより焦点を当てることが大切だと考えています。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続きましても上西参考人に伺いたいと思います。
 今ありましたように、募集時にしっかりやると。特に固定残業代の場合は、変更どころか隠されてしまっているということでは、なお問題があるわけで、募集時の明示というのが非常に大事だということは非常によくわかる指摘だと思いました。
 そのことも含めた虚偽求人で、実際に学生さんや卒業生の皆さんが長時間労働を強いられたり、心身ともに壊されていくようないろいろな実態があろうかと思うんですが、先生御自身がいろいろ接した中で見てこられたような、そういった卒業生、学生の実態、実際というもの、御紹介いただけるものがございましたら何か教えていただけたらなと思っております。
○上西参考人 今、募集要項の段階できちんと確認するということが大切で、でもそこに隠されてしまっている問題があるというお話をしましたけれども、今、就活が始まっていますね。では、就活に関して何が語られているかというと、いろいろなところを回りましょうねとか、マナーはきちんとしましょうねとか、何かそういうことばかりで、入った後にそういう求人トラブルというのはすごく表面化をするんだけれども、今就職活動している学生たちにそこが届いていないんですね。なので、私なんかも、今就職活動している人に、募集要項を見てということをすごく言いたいんです。
 最初に、労働条件は余り気にしないで、やりたいことを考えて就職活動する、最終の面接ぐらいの段階で、実は残業代が入っているんだけれどもいいよねみたいに言われちゃうというのが現実にあるんです。そうすると、学生からすると、まあそこだけ我慢すればいいかみたいに思ってしまうんですね。実際、そういう相談を聞いたことがあります。ほかは全て自分はこの会社に満足だ、ただ、残業代が入っていることを最後の段階になって知った、どうしようかと思っているけれども、でも行こうと思いますというような話なんですけれども、それは本当は、最初の段階できちんと検討していれば、また違った企業への就職ということを考えたんじゃないかなと思います。
 そういう意味で、最初の段階で、募集の段階できちんと明示をさせるということと同時に、ワークルール教育、労働条件の見方とか、契約とは何かとか、そういうことに関して学生がきちんと認識できるような、ワークルール教育を含めたキャリア支援というのが必要だと考えております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 先生がこれまでお書きになったものなんかを読みますと、それこそ、面接のときに労働条件を質問すると何か目をつけられるとか不利になるというようなことも指摘されて、ああ、なるほどなと思った次第であります。
 ブラック企業規制が大きな世論になって、若者雇用促進法にも対策の一端が盛り込まれましたけれども、このような虚偽の求人や、また隠されるような実態というのが助長されるようでは、やはりこの間の規制の流れからも反するんだと思っております。
 きょうは、本当に貴重な御意見、ありがとうございます。質問を時間の都合でできなかった皆様もありましたけれども、御容赦いただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございます。