国会論戦・提案

2017年03月08日

堀内議員 事業所の窮地警告 衆院厚労委

日本共産党の堀内照文議員は8日の衆院厚生労働委員会で、要支援者への介護サービスを担う「総合事業」の低報酬問題が、事業所を窮地に追い込み、介護難民を生み出すと批判しました。

 要支援1、2の訪問・通所介護は介護給付から外され、4月からすべての自治体で「総合事業」に移行します。堀内氏は、川崎市では従来と同基準の訪問介護の報酬が月額制から週単位になり、実質的に8割に減少し、デイサービスも出来高方式に変更され4割台に減るケースもあると指摘。「専門職が担う現行相当サービスで8割はおかしい。従来の賃金が保証される報酬単価とすべき」と主張しました。塩崎恭久厚労相は「市町村が実情に応じて設定している」と自治体任せの姿勢に終始しました。

 堀内氏は、利用者や職員の処遇を守ろうとすれば経営が困難になり、介護の基盤が崩壊しかねず、ヘルパー難民があふれる前に真剣に受け止めるべきだと主張しました。

 堀内氏は、総合事業では、自治体が事業所にサービス提供拒否禁止を課していない自治体があること、採算がとれないからとサービス提供時間を制限し、自費での利用を促す事業所があることなどを指摘。「少なくない要支援者が公的支援から締め出され、自費か家族介護かの選択を迫られる」と批判し、制度改悪の撤回を求めました。

 

2017年3月9日 しんぶん赤旗

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議事録 2017年3月8日 厚生労働委員会

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。
 先週金曜日、三日の日の続きということで、介護の総合事業について引き続いて質問させていただきたいと思います。
 前回は、報酬が下げられた基準緩和型サービスを専門職が担わざるを得なくなっていること、そのもとで事業所が疲弊をし、専門職の処遇悪化が起こるということを指摘してまいりました。その中で、大臣は、専門性がある方が専門性のない仕事を担ってしまっていることが問題だということもおっしゃいました。
 要支援の方々への生活援助は、専門性が必要のない仕事ではありません。専門性を否定して、基準緩和だと、安上がりの担い手をつくること自体が、介護職全体の賃金や地位といった処遇を悪化させ、人材不足に拍車をかけているということを指摘しておきたいと思うんです。
 きょうは、基準緩和だけではなくて、現行相当サービスのところでも報酬減が起こっているんだということを取り上げたいと思っています。
 昨年四月から総合事業を実施している川崎市では、報酬の支払いを月単位の包括払いから週単位に変えたことで、専門職が担う現行相当サービスでも報酬が八割程度まで下がる仕組みになっています。
 資料の二枚目につけておきました。第五週まで実施をしてようやく現行と同水準の報酬となるわけです。そんな月は年に三分の一ほどあるかないかですから、ほとんどの月が第四週までで、八割の報酬になるわけです。デイの方も出来高加算方式にかわりまして、同じ時間を支援しても、事によっては四割前後まで報酬が減るというケースも起こるわけです。現行相当サービスなのにこんな報酬でいいのかと思います。先週の答弁では、この現行相当サービスの報酬単価については、専門的サービスであることや、事業者の員数、設備基準が従来の予防給付と一緒であるということを勘案して設定するとありました。
 これは、確認したいんですが、つまり、介護保険の予防給付と同じ水準だと理解してよろしいでしょうか。
○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
 総合事業につきましては、先回も御説明いたしましたけれども、多様な主体あるいは多様な担い手ということで担当していくという趣旨でつくり上げたものでございます。
 先日の委員会で、現行相当サービスの単価に係るお尋ねに対しまして、私の方から、訪問介護員等による専門的なサービスであること、さらには、従業員の員数や、設備基準は従来の予防給付と同等であるといったことを勘案して設定することをガイドライン等でお示ししているということを答えたところでございます。
 ただいまの先生からのお尋ねでございますけれども、こうした趣旨を踏まえて、総合事業のサービス単価については、これらガイドライン等を踏まえまして、事業の実施主体である市町村が設定するというのが基本でございます。その際、基本的には、予防給付の訪問介護や通所介護と同水準に設定することといったものを一応想定しております。
 ただ、いずれにいたしましても、事務連絡等で示してございますけれども、各市町村におきましてサービス事業者と十分に協議するといったことが重要であるというふうに周知をいたしておりまして、そうした中で具体的な額が設定されていく、こういうものと認識をいたしております。
○堀内(照)委員 同基準だということだと思うんですが、そうであるならば、一年の大半がこうした八割水準になるような報酬の設定というのはおかしいと思うんですが、いかがですか。
○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、基本的な考え方についてはガイドラインで示しておるところでございます。
 先ほど申しましたとおり、市町村が具体的な額を決定する、その際に、私どもとしては、基本的には同水準ということでございますけれども、具体的な個別の額については、これは当該市町村が、そうした考え方を頭に置きながら、かつ、当該市町村における事業者とよく相談をして決めていくということになろうかと思っています。
 個別具体的な川崎市の事例につきましては、もともとの額をベースにしながら、一定の事業者との協議の中で、週五回の場合、あるいは週四回の場合ということで具体的な額を設定されているということだというふうに認識をいたしております。
○堀内(照)委員 ですから、実際には、一年の大半が八割まで下がるということで、これでは本当に大変なんですね。採算がとれないので、もう既に大手は手を引き始めていると聞きました。
 直接私が伺った事業所では、断らないということをモットーに頑張っておりまして、昨年九月ごろから、よそでは受け入れられなかった方から問い合わせが相次いでいるといいます。しかし、この報酬単価ですから、利用者がふえればふえるほど赤字が膨らむということで、四つのヘルパーステーションを持った法人なんですが、今までは訪問部門というのは一番の稼ぎ頭だとおっしゃっていましたけれども、四月から十二月までで一千万の赤字になった。このままでは本当に続けられないという深刻な事態であります。これでは専門職の処遇にも影響しかねないと思うんです。
 大臣に伺いたいんですけれども、少なくとも現行相当サービスについては、専門職に現行どおりの賃金が保障されるような水準がやはり必要だと思うんです。報酬単価はやはりそういう水準にすべきじゃありませんか。
○塩崎国務大臣 先ほど局長の方から答弁をいたしましたけれども、新しい事業の実施主体というのは市町村に任せるということで、国としては、新しい事業は、訪問介護員などによって提供される専門的サービスであること、そしてまた従業者の員数あるいは設備基準は従来の予防給付と同様であるということを踏まえた上で、市町村自身が、地域の実情に応じて、適切なサービス単価をそれぞれバラエティーのあるサービスとして設定するということをもともと期待していた制度であるわけでございます。
 市町村が単価を設定するに当たって、事業所の経営の実情などを考慮するためにサービス事業者と十分協議をすることが当然重要であって、市町村に対してこれは助言をしてまいっているところでございます。
 御指摘の川崎市の訪問サービスの例を見ますと、さまざまな、バラエティーを用意してはおりますけれども、従来の予防給付では月に何回サービスを提供しても定額だった。それを、サービス提供が月五回以上の場合は定額払いにし、月四回以下の場合は一回当たり払いにするという、国の実施要綱で認められた方法を組み合わせて単価を設定していることにはなっているように私どもとしても受けとめるわけであります。
 単価設定に当たっては、事業所との意見交換、それから市議会への説明などを行った上で決定されたというふうに聞いておりまして、川崎市自身が地域の実情を踏まえた上で適切に単価を設定しているものというふうに私どもは考えているわけであります。
 厚労省としては、今後も市町村に対して、総合事業の円滑な実施に向けて、それぞれが知恵を出しながら、必要な助言を、私どもとしてもそれができるように、行ってまいりたいというふうに考えております。
○堀内(照)委員 基準は現行相当の場合は以前と同じですから、いわばコストは今までどおりかかっているわけなんですよね。しかし単価が八割に下がるということで、これは本当に大変なんだと思うんです。
 市町村に任せるというんですけれども、そもそも、報酬単価の設定について現行水準を超えてはならないという縛りを国が設けているからこうなると思うんです。つまり、月四回を一〇〇%にすると、五回の月は一〇〇パーを超えますから、そうならないようにしようと思ったら、どうしても月五回ということを一〇〇%に置かなきゃならなくなる。
 ですから、ほとんど週四回しかない月、一年のほとんどが八割になるということで、このままでは、利用者や職員の処遇を守ろうと事業者が頑張れば頑張るほど窮地に追い込まれるし、ほかに行き場のない人の受け皿になるような事業者ほど事業の継続が本当に困難になる。これでは、多様な担い手を育成すると言っているそばから、介護の基盤そのものを私は崩しかねないと思うんです。
 現場では、本当に、思ったより速いスピードで介護事業所が立ち行かなくなっているという声を聞きます。介護の支えが本当に崩壊しているという声があります。本当に、ヘルパー難民、介護難民ということを、あふれる前に、この声を真剣に受けとめて国がしかるべき対応をするべきだと申し上げたいと思うんです。
 深刻なのは、そのもとで利用者がサービスを受けられなくなっているということであります。
 川崎市は、今言いましたように、現行相当で報酬減になっていますので、多くの事業所が、介護人材の人件費を削減するためにサービスの時間短縮をしております。ケアマネジャーがケアプランを作成して、この人には六十分必要だということになっても、いや、うちの事業所では、要は採算がとれないということで、三十分や四十分しか提供できません、そういう事業所がふえている。それ以上にほかのサービスを受けたければ、例えば、調理だけしかできない、しかし、買い物とか、ほかをやってほしかったらあとは自費でお願いします、こういうことになっているというんです。
 大阪市では、市の説明会で、これは基準緩和の方ですけれども、大阪市は基準緩和、七五%の報酬単価です。これでは事業所がやっていけない、こういう声、批判が出たときに、市の担当者は、サービス提供拒否の禁止を外していますと。まるで、嫌なら提供しなくてもいいんだ、こう言わんばかりだったといいます。
 これでは、少なくない要支援者が、公的サービスから実質的に締め出される。自費や家族介護に頼るのか、そういう選択が迫られると思うんです。
 大臣、それすら、低所得で自費も払えない、家族もいない、こういう方は本当にどこに行けばいいのかということだと思うんですが、こういう方の受け皿、国としてどうお考えでしょうか。
○塩崎国務大臣 新しい制度でありますから、先生御指摘のように、よく実態を見ておくということは大変大事なことだというふうに思っております。
 厚生労働省は、各市町村に対して新しい事業の実施状況を確認いたしましたが、まず、利用者が一月に利用したサービスの利用日数に大きな変化は今のところ見られていないということが見てとれたところがまず第一点。二点目として、現行相当サービスは、ほぼ全ての市町村で従来の予防給付における報酬単価と同水準の単価設定が行われているということも見てとれたということがございます。三点目として、総合事業への移行を要因とする利用者の状態の悪化は見られなかったということがございました。そしてもう一点、新しい事業への移行による事業者の撤退や定員減によって、必要なサービスを受けることができなくなったというような苦情があった市町村は見られなかったということがございます。
 したがって、市町村からの報告では、今、堀内議員から御指摘をいただいたような事態はうかがえていないということでございまして、厚労省としては、要支援者向けの訪問介護や通所介護が市町村の実施する新しい事業へ移行した後も必要なサービスが利用者に提供されるということは、これは当然大切なことであるわけでございますので、引き続き、事業の実施状況を把握し、新しい制度への移行がしっかりと市町村のもとで行われて、必要な助言があれば、私どもも引き続き行ってまいりたいというふうに考えております。
○堀内(照)委員 今大臣がおっしゃいました調査というのは、恐らく一番最初に始めた、初年度から始まった七十八自治体の調査じゃないかと思うんですね、一点目と三点目の、利用日数の大きな変化がないですとか、状態悪化が見られないということは、これは、一番最初から手挙げした自治体、それなりに事業所の受け皿等があるところでの調査であります。それから、現行と同水準の単価がというのは、恐らく今実施されている、昨年度までの五百十四自治体での調査なんだと思うんです。
 川崎も今言いましたように第五週で一〇〇%にしていますから、その調査では、見かけは現行と同水準の報酬ということになっているんですよ、今ほぼ全てのところで同水準の単価が見られたと大臣はおっしゃいましたけれども、その中で、月包括から週単位に支払いを変えることで国への調査では同水準だと答えている市で実際には八割になっているという実態があるということを私は指摘しているわけであります。
 新たな撤退云々がないということも、ですから、今事業所のところでは時間短縮ということで、利用者が利用できないという事態が広がっているということを私は今指摘をしたわけであります。
 こういうことで公的な介護のサービスから利用者が締め出されるということになれば、これは本当に大変な事態だと思うんです。
 今大臣は、新しく始まった制度なので実態をよく見なければならないということもおっしゃいましたので、ここはぜひ、そこをしっかり見届けて、しかるべき対応を国がやはりやるべきだということ、それをしなければ本当に介護が地域から崩壊していくということを私は指摘したいと思うんです。
 それで、さらに、必要なサービスが受けられないという問題で、利用者を振り分ける基準の問題があるんです。
 要支援者のうち、現行相当か基準緩和かと振り分ける基準として、認知症高齢者自立度と障害高齢者の日常生活自立度を使う自治体があります。特に大阪市では、主治医の意見書で、認知症高齢者自立度二以上、障害高齢者自立度B以上でなければ、新規利用者は現行相当サービスを利用できないということになっています。
 確認したいんですが、それぞれ、認知自立度二以上、障害自立度B以上というのはどういう状態なんでしょうか。
○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
 今お話がございました認知症高齢者の日常生活自立度二というのは、日常生活に支障を来すような症状、行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる状態、こういうものを判定基準というふうにいたしております。
 また、もう一つ先生からお話がございました障害高齢者の日常生活自立度、これにつきましては、寝たきり度というふうに呼ばれているわけですけれども、ランクBにつきましては、寝たきりに分類されるグループでございます。具体的な判定基準でございますが、屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つことができる、こういう状態を判定基準というふうにいたしております。
○堀内(照)委員 資料の三枚目にその状態像をつけておきました。
 今ありましたように、特に障害高齢者自立度でいいますと、もう寝たきり状態ですね。そうでないと現行相当サービスを受けられない。これではもう要介護じゃないかと思うんですよね。新規の要支援者のほとんどが基準緩和サービスに振り分けられ、現行相当サービスなどが受けられないということになると思うんです。
 資料の最後、四枚目に、それぞれ、障害高齢自立度と認知症自立度でクロスして、それぞれ介護度のどこに当たるのか、その分布を表にしたものをお配りしましたけれども、ごらんいただいたらわかりますように、ほとんど要支援の方というのはおられないんです。少数です、おられても。
 こういう基準で振り分けるということが本当に適切なんでしょうか。
○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
 議員御指摘の、ある自治体の取り扱いだと思いますけれども、我が方から問い合わせたところ、幾つか、きめ細かな対応をしているということがわかってきました。
 幾つか申し上げますと、一つは、先生のお話では、認知症高齢者自立度二、あるいは寝たきり度を使って振り分けるという話がございましたけれども、まず、総合事業を開始する前からこの予防訪問介護を利用している場合は、これについては現行相当サービスを利用できるというふうにしています。
 新規について申し上げますと、振り分け基準が二つあるとお話がございましたけれども、一つ、まず認知症高齢者の日常生活自立度ランク二以上のところについてでございますけれども、このランク二以上に該当するほかに、例えば、認定調査における意思伝達や短期記憶、さらには視力、聴力などに課題がある場合、そうした場合については現行相当サービスが利用できるという基準が設定されてございます。
 さらには、先ほど先生がおっしゃいました、二つ目の基準であります障害高齢者の日常生活自立度ランクB以上の点につきましても、仮にこれに該当しない場合でも、例えば、歩行だとか移動、さらには嚥下等の生活動作に一部介助が必要な場合は現行相当のサービスを利用できる、こういう基準になってございます。
 さらに、以上のような幾つかつけ加わった基準で該当しない場合でも、最後、多職種による会議で必要と判断される場合には現行相当のサービスが利用できる、こういうふうにされておりますので、その意味でいうと、非常に個々人の状態に合った形でのいろいろな観点からの判断の上に現行相当サービスの利用を可能にしている、こういうふうに認識をいたしております。
○堀内(照)委員 個々人に合った判定をするというのは当然のことであって、今挙げました寝たきりに当たるような基準ということが私は適切じゃないと思うんですね。
 今丁寧にとおっしゃいましたが、それは当たり前のことであって、問題なのは、この基準があることで縛りになってしまわないかということであります。適切と言えないような基準はやはり改めさせるべきだと指摘をしておきたいと思います。
 総合事業は、そもそも、国が事業費の上限を七十五歳以上の人口の伸び以下に抑えるもとで、自治体によって報酬単価の引き下げや給付の抑制策がとられているわけです。専門職の処遇悪化、事業所の疲弊、利用者のサービスからの締め出し、家族の負担増や孤立といった、本当に深刻な事態をもたらしているし、これから全国でこれは実施されるわけですから、大変な事態になると思うんです。
 こういう公的な支援を、制度を後退させて自助、互助へという流れというのは、これからも制度改悪が予定されております。こういうことを続けては、地域での支えが本当に崩壊するんだ、こういうやり方はやはり撤回すべきだということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。