国会論戦・提案

2016年11月29日

年金カット法案 衆院本会議 反対討論

自公維 年金カット法案強行

野党反対押し切り会期延長 衆院本会議 共産党「満身の怒り込め抗議」

自民、公明、維新などは29日の衆院本会議で、環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案や「年金カット法案」などの成立を狙い、30日までの今国会会期を12月14日まで延長することを決めました。日本共産党、民進、自由、社民の各党は反対しました。衆院厚生労働委員会で25日に強行採決された「年金カット法案」は本会議で自民、公明、維新などの賛成多数で可決され、参院に送られました。民進、社民、自由の各党は採決の際に退席。共産党は採決で反対しました。

厚労委員長解任・厚労相不信任を否決

 「年金カット法案」の反対討論には、日本共産党の堀内照文議員が立ちました。

 堀内氏は「質疑を通じ問題が噴出しているにもかかわらず、野党の反対を押し切り、審議打ち切り、採決を強行したことに満身の怒りを込めて抗議する」と力を込めました。反対の理由として、際限のない「年金カット」のための新たなルールを持ち込むことなどを挙げ、「将来にわたり、現役世代の賃金が下がれば年金も下げる、最悪の悪循環を生みだすものだ」と批判しました。

 さらに、「高齢になっても、障害をもっても、人間らしく尊厳をもって生きることは当然の権利だ」と強調。「公的年金制度こそ、憲法25条を体現し、生存権を支えうる制度であるべきだ。最低保障年金もなく、際限なく減らされる年金制度を将来世代に残すわけにはいかない」と述べ、同法案の廃案を求めました。

 日本共産党の塩川鉄也議員は会期延長に対する反対討論で、「いまなすべきことは、国会を閉じ、TPP承認案・関連法案、『年金カット法案』などの悪法を廃案にすることだ」と主張しました。

 塩川氏は、日本主導でのTPP発効に固執する安倍晋三首相の姿勢は「きわめて危険で有害だ」と批判し、「TPP協定の国会承認を思いとどまることは、今後、米国の理不尽な市場開放と規制撤廃要求を拒む足場になる」と強調しました。さらに、「政府・与党による『強行採決』発言が相次ぎ、そしてその言葉通りに年金カット法案などの強行採決が行われたのは極めて重大だ」と指摘。「その上、会期延長に乗じ、カジノ法案や『部落差別』永久化法案を党利党略で強行することなど断じて許せない」と批判しました。

 同日、共産、民進、自由、社民の野党4党は、「年金カット法案」の委員会採決を強行した丹羽秀樹衆院厚生労働委員長の解任決議案と、同法案を担当する塩崎恭久厚生労働相の不信任決議案を衆院に提出しました。両決議案は本会議に上程され、日本共産党の高橋千鶴子議員が塩崎氏の不信任決議案に対し「野党の必死の抗議を『演出』などと言う厚労相の不信任は当然だ」と賛成討論しました。

 両決議案は自民、公明、維新などの反対多数で否決されました。

2016年11月30日 しんぶん赤旗より

 

動画はこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=hMr5ILeAec0

 

「年金カット法案」への堀内議員の反対討論(全文) 衆院本会議

 私は日本共産党を代表して、「国民年金法等の一部改正案」に対し反対の討論を行います。

 

 本法案は、年金で暮らす方々の生活を揺るがす重大法案であり、質疑を通じ問題が噴出しているにも関わらず、野党の反対を押し切って審議を打ち切り、採決を強行したことに満身の怒りを込めて抗議をします。

 厚生労働委員会は、終始与党・委員長の強引な運営がなされました。委員長職権による委員会開催があいつぎ、参考人質疑も当日の朝に議決するという異例の運営で、しかもその日に採決するなど、あまりに乱暴です。年金制度の原則を根底からかえる法案であり、審議時間も19時間では到底議論が尽くされたとは言えません。当然委員会に差し戻すべきであったと強く指摘するものです。

 

 本法案に反対する最大の理由は、際限ない「年金カット」のための新たなルールを持ち込こむことです。

 これまで政府は、購買力の維持のために物価にあわせ年金も改定すると説明してきました。この国民への約束を一方的に投げ捨て、賃金の下げ幅に合わせて年金額も削減するという今回の改定は、国民への明白な背信行為です。

 たとえ消費税増税などで物価が大幅に上がっても、賃金が下がれば年金は引下げられるのです。政府は「万一、不測の事態に備える」ための措置だといいますが、労働者の実質賃金は低迷を続けているのが実態であり、詭弁と言わざるを得ません。

 将来にわたり、現役世代の賃金が下がれば年金も下げる、最悪の悪循環を生みだすものであり断じて認められません。

 

 さらに、年金を賃金・物価以下に抑制するマクロ経済スライドの未実施分を繰り越す、キャリーオーバーの仕組みの導入です。

 繰り越しには、制限がありません。削減できなかった調整分は貯まり続けることにもなり、物価、賃金が上がった際にまとめて差し引くため、実質的な年金削減が繰り返されます。ただでさえ乏しい年金の最低保障機能をますます弱め、生存権を脅かすものに他なりません。

 マクロ経済スライドの調整は、基礎年金部分に長くかかる仕組みであることから、国民年金のみの受給者や、低賃金に苦しんできた女性労働者、働くことが困難であったり、就労による収入が限られ年金で生活を支える障害をもつ方々等、いまでさえ生活に窮する方々により過酷なものであり、この点からも許されるものではありません。

 

 参考人質疑等でも明らかになったように、年金で暮らす方たちは、ただでさえ少ない年金が目減りし続けることに大きな不安を抱えています。

 親せき・近所づきあいなど社会的なつながりを削り、食費を削り、必要な医療費や介護費用を削り、「これ以上どこを切り詰めろというのか」という悲痛な叫びが、安倍内閣には聞こえないのですか。

 低所得者には「社会保障全体で総合的に講ずる」などと繰り返していますが、介護も医療も負担増、給付減の連続であり、それが高齢者の生活を脅かしているのです。

 政府は、「将来世代」のために必要な改革と強調しますが、年金削減により高齢者が苦境にたてば、介護や医療の負担が子どもや孫にのしかかり、現役世代の暮らしをも直撃しかねません。現役世代と高齢者の対立をあおり、年金削減を強行することは絶対に許されません。

 

 短時間労働者への被用者保険の適用拡大は早急に進めなければならない課題です。しかし今回の措置では、厚労省の答弁でも、対象者50万人のうち実際に加入できるのは5%程度になりかねりません。

 「将来世代」のことを本気で考えるならば、中小企業への保険料負担軽減等支援を強めるとこととあわせて適用拡大をすすめ、短時間労働者の年金加入権を守ることが必要です。最低賃金の引き上げ、正規雇用の拡大や均等待遇の確立など、人間らしい雇用と賃金を確立することに正面から取り組み、年金財政の支え手を増やして、安定した年金制度の確立に向かうべきです。

 国民年金第1号被保険者の産前産後の保険料免除は、当然の措置です。しかし、その財源を捻出するために、ただでさえ負担の重い国民年金保険料を値上げすることには反対です。

 

 GPIFの組織・運用方法の見直しを言うなら、いま求められていることは、国民生活の安心を支える年金財政の安定に貢献する責任と役割を果たし、国民の年金を守ることです。

 ところが安倍政権は、GPIFの株式運用比率を倍増させ、年金積立金の運用を株価つり上げの道具にしたのです。国民の財産である年金積立金を危険にさらすことは許されません。運用で損失がでれば、そのつけは年金削減などで国民に押し付けられます。

 数百円、数千円の切り下げが生活を直撃する国民にとって、変動の激しい株式市場に大量の年金資金を投入することは許しがたいことです。年金への信頼回復のためには、まず危うい「投機的運用」から手を引くことこそ必要です。

 

 国民年金は、40年かけ続けても6万5千円であり、加入期間が欠ければ年金額はどんどん下がります。参考人も指摘したように「底なしの低水準」の構造こそが最大の問題なのです。年金の減額・抑制をこれ以上すすめれば、高齢者の暮らしは行き詰まり、いまでも深刻な貧困をさらに広げかねません。これでどうして社会保障と言えるのですか。

 高齢になろうと、障害をもっても、人間らしく尊厳をもって生きることは当然の権利です。公的年金制度こそ、憲法25条を体現し、生存権を支えうる制度であるべきです。最低保障もなく、際限なく減らされる年金制度を、将来世代に残すわけにはいきません。こうした「年金カット法案」は、廃案にすべきだと強く申し述べて反対討論といたします。