国会論戦・提案

2016年11月25日

衆院委 年金カット法案・参考人質疑

高齢者も家族も直撃 衆院委 年金カット法案・参考人が反対 堀内氏が質問

年金カット法案についての参考人質疑が25日の衆院厚生労働委員会で行われました。

 NPO法人ほっとプラスの藤田孝典代表理事は「年金が足りず、生活していけない高齢者が広がっている」として法案に反対を表明。高齢者の相対的貧困率が18%と非常に高く「少なくとも700万人が生活保護基準以下で暮らしている」と述べ、病院の受診抑制や社会参加の機会も失われ、自殺まで生んでいる深刻な実態を紹介。介護などの負担増に加えて年金削減によって「高齢者と家族の生活に重大な影響を与える。十分慎重に議論すべきだ」と強調しました。

 全日本年金者組合大阪府本部の加納忠書記長は、法案について「最低限度の文化的生活を保障するという視点がほとんどない。ひたすら給付引き下げを進めるものだ」と批判。8万円の障害年金で暮らす78歳の男性や41年働いて月13万円の年金で暮らす72歳の女性の思いを紹介し、「一律に削減を進めるのではなく、最低保障年金こそ議論し実現すべきだ」と強調しました。

 質問した日本共産党の堀内照文議員は、“将来世代の年金確保のため”というが若い世代ほど削減されると指摘し、高齢者と現役世代を対立させるような議論は間違いだとして意見を求めました。

 藤田氏は「高齢者の年金を下げて若者は救われる、とはならない。年金制度全体の信頼が揺らいでいる現状で、若者につけを回さないという言葉自体に飛躍がある」と指摘。

 加納氏は「世代間の助け合いをと政府は言うが、一番の問題は1%の富裕層と99%の庶民との対立。所得再分配が最大の問題だ」と主張しました。

2016年11月26日 しんぶん赤旗より

 

動画はこちら↓

https://youtu.be/Zhp0U4xquO0

 

議事録 

第192回国会 厚生労働委員会 第9号 平成二十八年十一月二十五日(金曜日)

○堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文でございます。
 きょうは、皆さん、本当に貴重な御意見、ありがとうございます。限られた時間ですので、早速質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、藤田参考人にお伺いしたいと思います。
 今回の法案を、政府は、将来世代の年金の確保のためだ、こう言って説明しております。しかし、よほど経済状況がよくならない限り年金は下がるということは確実ですし、経済状況がよい場合でも、マクロ経済スライドが発動されてカットされていくという仕組みであります。それによって改善されるという中身も、マクロ経済スライドの調整期間、短縮はわずか一年、所得代替率の上昇効果も〇・三%だというのが政府の答弁でありました。
 若い世代の中での問題ということでいいますと、藤田参考人自身も著書などで指摘をされていますように、低賃金、非正規雇用が広がっていく。むしろこれは、無年金、低年金予備軍が広がっているじゃないか、大量につくられているというのが実際だと思います。この解決こそ将来世代の年金のためにも急がれると私は思っております。
 若い世代のためにという今度の法案で、若い世代の皆さんのこうした問題の解決の寄与になり得るんだろうか。先ほども少しございましたけれども、そういう問題と、それから、こうした高齢者と現役世代を何か対立させるような議論のあり方について、御意見がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○藤田参考人 そうですね。まず、私は今現在三十四歳なわけですけれども、団塊ジュニア世代よりも下の世代です。実際には、この間、経済の状況によってだと思いますが、現役は今の高齢者の方よりも相当金額が下がるだろうということがあらかじめ見通しとして立っておるわけですので、この状況で私たち世代が年金をどう見るかということを考えれば、高齢者はもらい過ぎだよという感覚が出てきたりとか、あるいはもう少し下げろという感覚が出てくるというのは、若者の率直な感想なのかなというふうに思っております。
 ただ、問題は、今の高齢者の年金を下げて、では若者が救われるかというと、もう先生おっしゃるとおり、そうならないだろうというふうに思いますし、そういう保証はもう全くないでしょうし、そもそも、百年安心という中で、わずか十年くらいでこの状況だと思いますので、現状としては、年金制度全体に対する国民の信頼が揺らいでいるという状況を思えば、若者にツケを回さないというその言葉自体も、私はちょっと飛躍があるのかなと思わざるを得ないということは思っております。
○堀内(照)委員 同じことを加納参考人にもお伺いしたいと思います。
 これは陳述の中でも、藤田参考人からも、将来世代のためと言いながら、今の皆さんの年金をカットするということは、現役の、現在の家族にツケが回るということになるじゃないかということもありました。そうした政府が将来世代のためと言っているこの議論について、どうお考えなのか。
○加納参考人 社会サービスを含めて医療費や住宅問題が大変なときに現実の年金水準が非常に低くて大変だということは、いろいろ話をされていました。その中で、年金の役割として生活の基礎的な部分を持つということで、いろいろなやりとりがありましたけれども、現実に日本の基礎年金と言われているものは、四十年きっちり掛けて六万五千円という水準であって、例えば、いろいろな事情で二十年しか掛けられなかったとか十五年しか掛けられなかったという方の基礎年金はどんどん下がっていく、いわゆる底なしの低水準の構造になっているという点が最大の問題であって、これをきちっとしたものにするためには負担と給付の関係が必要だという、そのとおりなんです。
 いわゆる世代間の助け合いということを大きくは言いますけれども、ただ、今一番問題は、世界でもいろいろ言われていますように、大企業を含めて一%の富裕層と九九%の貧困化していく庶民との対立ということであって、本当に所得再分配を考えるならば、この富裕層の部分と一般層との格差が広がっている原因が何か、これを所得再分配せなあかんという点が社会保障としての所得再分配の最大の問題点だと思っています。
 以上であります。
○堀内(照)委員 同じく加納参考人にお伺いしたいと思います。
 参考人からは、今の年金では生存権が保障されていないという指摘がございました。年金で暮らしが賄えるのか、今もずっと議論がありましたけれども、大臣が、国民年金については、年金で全てを賄うことは難しく、ある程度の蓄えをお願いせざるを得ない、こう言っているわけです。率直にどうお感じになるかということをお聞かせいただきたいと思います。
○加納参考人 今おっしゃった点について言えば、確かに、基礎年金だけでどうなのかという点はいろいろ言われていますが、現実に生活保護がきちっと機能していない中で、みんなが老後を基本的に安心して暮らすためには、社会的なサービスを充実するのはもちろん当然ですけれども、やはり最低限度の所得保障を年金制度に持つということが一番現実的なことではないか。
 先ほどスウェーデンの例も言いましたけれども、スウェーデンも、最低限度の生活に到達しない年金の方にはプラスの最低保障年金制度を渡すことによって高齢者の生活は安定をする。生活保護に類似する制度は、原則的には現役の労働者または現役世代を対象とするのが基本的な仕組みであって、例えば、障害のある方については、障害であるということで、一定の水準はありますけれども、それをきちっと社会的に保障しよう、高齢者については、高齢であるということで一つ社会的に支えるということは必要だと。
 ということで、もちろん、社会サービスとのバランスということがありますから、一律に今幾らという、機械的に将来決める必要はないんですけれども、そういう仕組み、本当の意味での最低保障の仕組みをつくることがぜひ必要だと思っております。
○堀内(照)委員 もう一問、加納参考人に。
 その社会的サービスの方も今、医療も介護も、負担もふえ、給付も減っていくという状況であります。逆に高齢者の暮らしを脅かすような状況になっているんじゃないかと思うんですが、その点の実感といいますか、お聞かせいただきたいと思います。
○加納参考人 まさに、私、年金者組合でいろいろな高齢者の生活問題また相談を受けておりますが、やはり年金受給者の最大の、最大といいますか、今現在、将来不安の大きな点は、負担、いわゆる医療費がどんどん上がっていく、介護保険料が上がっていく、住宅の家賃も払っていく、そして消費税がまた一〇%になるんじゃないか、こういうことで、今の水準の年金でも将来を見通すと先が見えないという不安は非常に深刻に受け取っております。
 そして、今出ているような年金の水準を下げるということについて、そういう社会サービスが全然できていない中で下げていくということは本当に許されないことだなというのが私の実感であります。
○堀内(照)委員 ちょっとこれらの問題について藤田参考人にもお伺いしたいと思っています。
 NPOの活動も通して、高齢者の生活実態というのをさまざまに見てこられたんだと思います。蓄えも含めてという大臣の答弁も先ほど紹介いたしました。しかし、蓄えが多少あっても、藤田参考人の著書なんかを読みましたら、それこそ医療の不備、介護の不備ということで、病気など一たび何かあれば、もしくはお子さんも含めて家族に何かあれば、あっという間に貯蓄、蓄えも底を尽きて貧困に落ち込むということなんだと思います。
 蓄えも含めて何とかせいと。今、社会的にも支える他の医療や介護の制度がそれだけなかなか助けにならないという中で、蓄えということだけにはいかないということにもなると思うんです。そういう中、自己責任で済ませてしまっていいのかなと思うわけでありますけれども、その点いかがお考えでしょうか。
○藤田参考人 そうですね。まさに本当におっしゃるとおりで、いろいろな世帯があります。
 実際には、蓄えがたくさんある世帯もあれば、もう全くないという世帯もあって、どちらかというと高齢者世帯は二極化されているという状況で、当然お金がある世帯もたくさんあるんですね。
 そちらは、年金を幾らもらおうが、それこそ数千円、数万円下がろうが、余り関係ないという世帯も当然あるかもしれないですが、問題はこの一番下の層が非常にふえてきているという状況で、私はそちらの方を危惧しております。今や貯蓄ゼロ世帯が高齢者世帯で一六%程度あって、この貯蓄ゼロ世帯がふえてきているという状況をどう見るかということです。
 これは、一億総中流社会であって、貯蓄が形成しやすい、あるいは確実性がある社会というんですか、大体将来が多くの場合展望できる、多くの方が、それこそ日本の福祉国家モデルと言われますけれども、男性正社員で、奥さんはパート、アルバイト等で支えて、子育てをして、家事、育児ができてみたいなところで、そのモデルが非常に崩れている社会ですので、その状況に応じて、本来年金はどうあるべきかということを考えないといけないので、だから、ためておいてくださいということが、貯蓄ができる世帯が実際には減ってきているということが今の現代社会であろうと思っております。
 できれば、貯蓄をふやす、できやすいような支出を下げる政策、現物給付策、先ほどから出てきますし、あるいは現役時代にちゃんと働いて賃金が得られやすいようにしておくという、こういった雇用対策、経済対策がやはりあわせて必要なんだろうと思いますし、現行においては残念ながら貯蓄ができにくい社会になっているということは言わざるを得ないことかなというふうに思っております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 続いて、神野参考人にお伺いしたいと思います。
 私、先日の質疑の中で障害年金について取り上げさせていただきました。基礎年金しか受け取っていない方が非常に多いわけで、マクロ経済スライドなどが発動されますと、もろに影響を受けるわけであります。ところが、年金部会での議論を拝見しますと、この問題がなかなか議論されていないんですね。いろいろ調べてみましたら、欠席された委員からの意見ということで、ペーパーが資料で入っておりました。その中でこんな言及があったんです。
 「先天的な障害により二十歳前障害基礎年金のみを受給する者を含め、資産等の蓄えが乏しく稼働能力も十分でない障害者にとって、マクロ経済スライドによる給付水準低下の影響は大きい。」「フルスライド導入をめぐる議論の中で主張される世代間の公平性といった議論は、もっぱら老齢年金を念頭におくものであり、障害年金と結びつくものではない。」「マクロ経済スライドのかけ方について慎重に検討する余地があるのではないかと思われる。」という意見でありました。
 この意見についてどのようにお考えなのかということを率直に、ぜひお聞かせいただきたいと思っています。
○神野参考人 おっしゃるとおり、年金部会の方ではマクロスライド等々について、主として老齢年金を念頭に置いて議論し、その中で、現行制度の年金を今の枠組みを維持するということを前提にしながら、どうやって維持させていくのかということで議論をしてまいりました。最初にも御説明したと思いますが、個別にそういう意見を出されたという方もいらっしゃったんだけれども、それは大きな声になっていなかったので、全体の共有の認識としては年金部会として提示しておりません。
 ただ、個人的な意見を言わせていただければ、繰り返すようですが、年金以外の制度と組み合わせて、障害者の問題とかは、お金を配るということではなく個別にサービスをきちっと提供して守ってあげるという制度をつくっていくことが私の考え方に合っています。
 それから、ちょっと別なことで申し上げておくと、先ほど来の、最低保障年金等々を含めて抜本的に年金制度を変えようという御意見があろうかと思うんですが、私の認識では、これをやるにしても、現行の年金制度を維持しておかないとできないんです。つまり、二十年とか三十年とかかけて二十分の一とか三十分の一ずつ制度は変えていきますので、とてもすぐにはできませんから、現行制度は維持しておく必要があると思っております。
 それは、財政の方からいうと、カナールという人の、旧税は良税なり、新税は悪税なりという有名な言葉があります。これは、古い税金はいい税金で、新しい税金は悪い税金だということなんですね。つまり、税金というのはしょっちゅう変えるとかえって不公平になってしまうということわざです。
 税金ですらそうなので、年金制度についてはかなり持続的に維持していかなくちゃいけません。したがって、憲法では財政について単年度主義を入れているんですけれども、いずれの国でも、基本的な会計から外して、特別会計なりなんなりで独立して年金制度や社会保障制度を維持しているんですね。これはなぜかというと、やはり継続性を持たせないと無理だからということだと思っております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 あるべき抜本改革ということで、ちょっと最後にお聞きしたいんですけれども、加納参考人に、最低保障年金制度、既にもういろいろ部分的にはおっしゃられましたけれども、改めてまとめて、あるべき姿ということでお示しいただけたらと思っています。
○加納参考人 最低保障年金制度は本当に緊急の課題だと私はずっと言っています。これは本当の意味の、日本の現実の中で、高齢者の生活、安心して暮らせる、そういう社会にしていく上で、今欠かすことのできない課題だと思っています。
 この中身は、やはり全額国庫負担による最低保障年金ということでございます。ということは、いわゆる加入要件を問わない、誰でもが基本的に、例えば六十五歳以上になれば基本的な部分は最低保障年金で保障するという制度なんですが、この財源は、やはり消費税に頼ることなく、今の日本の税制の中で、非常な、一方的な大企業優遇とか高額所得者優遇の税制が、この約二、三十年の間に富裕層の所得税率や、また法人税がずっと約六〇%ぐらい減っていっている、これを戻すだけで財源は基本的には当面いけるやないかということで、今の制度を根本的にあり得ないという形にしなくても実現可能な制度だと思っております。
 以上です。
○堀内(照)委員 抜本改革も緊急性があるんだというお話だったと思います。それまで当然今の制度を維持するということですが、それが今の法案の方向でいいのかというのはいろいろ議論があるんだというふうに思っております。
 最後に藤田参考人にも、本来あるべき年金も含めた社会保障制度全般、基本的な考え方ということでお示しいただけたらなと思っております。
○藤田参考人 先ほどから出ている最低保障年金ですが、少なくとも日本では、健康で文化的な最低限度の生活を送る権利を保障するということになっておりますので、それが何をあらわすのかというと、一応国がナショナルミニマムということで保障しているのは生活保護基準ということになりますから、先ほどからずっと御議論あるとおり、その最低限度の生活に満たない年金で暮らしている方とか、あるいは医療、介護、さまざまな障害等を含めて支援が必要な方たちについては、当然、年金とあわせていろいろなサービスを入れていくというような、そういったことが今後も考えられてしかるべきだろうと思いますし、できれば、年金だけの議論にとどまらずに、ほかのサービスを充実させていくということを検討いただきたいなと思っております。
 昨今残念なことは、ほかのサービスを入れようとすると介護費負担、医療費負担が重たくて、要するに、こちらも保険ですので、介護保険なんというのはもう、二〇〇〇年に発足しましたけれども、保険料負担ですが、その当時から平均金額が倍に上がっていますので、年金が下がり、保険料負担が上がるということになると、当然ですが、健康で文化的な生活ということに支障が出てくるという世帯は出てくるんじゃないかなと思います。
 今後も高齢者に負担を、ほかの社会保障でも負わせていく、社会保険で負わせていく限りは、この少ない年金でそれを補わないといけないということになりますから、現金と現物の入れ方も含めて詳細に検討いただけたらありがたいなと思っています。
 残念ながら、これは今ミスマッチが相当起こっているんじゃないかなというふうに思いますし、そのひずみが低所得の人たちに当然起こって、降りかかっているんだろうというふうに、そう捉えざるを得ない状況かと思っております。
○堀内(照)委員 ありがとうございます。
 全ての皆さんにお聞きできなかったこと、御容赦ください。終わります。