コラム

2018年03月04日
 

兵庫民報連載 真の働き方改革のために〈1〉

 安倍総理は、今おこなわれている通常国会を「働き方改革」国会だと位置づけ、予算審議の段階から熱い焦点となっています。

 とりわけ裁量労働制の拡大をめぐって、「厚労省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」との答弁が大問題となり、総理がついに答弁を撤回、のちに調査データにも多数誤りが見つかり、厚労省も過ちを認める事態にまで発展しました。問題のデータは、裁量労働で働くものの1日の「労働時間の状況」と、一般労働者の「最も長い1日の残業時間」に法定労働時間を足して“つくりあげた”労働時間とを比較したものでした。しかも塩崎前厚労大臣も同様の答弁を繰り返しており、厚労省は、これ以外に裁量労働の方が労働時間が短いとするデータはないといいます。つまり、政府が裁量労働の拡大をすすめる唯一の論拠だったのです。その根拠が崩れたのですから、法案は当然撤回すべきです。

 ※その後、総理は法案から裁量労働制の部分の削除を決めました。

2018022101_03_1b そもそも裁量労働制は、一定の「みなし労働時間」を決め、その分の賃金を支払えば、働く時間は労働者の「裁量」だという制度です。しかし、問題になっている調査でも、みなし労働時間を10時間以上に設定している事業所は0.1%しかないのに、実労働時間では10時間以上が31.7%もあることを、2月20日の衆院予算委員会で高橋千鶴子議員が明らかにしました。裁量労働制が「定額働かせ放題」「サービス残業合法化」だと指摘されている所以です。これには年収要件もなく契約社員であっても導入可能と政府は答えています。これでは多くの若者がターゲットとなり、みなし労働時間を超えて働かされれば、最低賃金すら割り込むことになるなど重大です。

 さらに、「残業代ゼロ法案」と厳しく批判されている「高度プロフェッショナル制度」(法案要綱では特定高度専門業務・成果型労働制)の導入も問題です。安倍総理は「働く方の健康を確保しつつ、その意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするもの」といいます。しかし、いわゆる健康確保措置も、年間104日以上、かつ4週間を通じ4日以上の休日を必ず定めなければならないとしていますが、年休を含む休日109日以外の256日は24時間働かせても合法というとんでもないシロモノです。しかも、裁量労働にはある始業、終業時間の命令禁止の規定もなく、「成果型」と法案要綱で謳いながら成果に応じた賃金支払い義務の規定などどこにもありませんから、会社の指示いかんでは、とんでもない長時間労働とならざるをえません。

 日本共産党、立憲民主党、希望の党、民進党、自由党、社民党の6野党が「働き方改革」関連法案の国会提出を見送ることを政府に求めることで一致、国会内外での共同も広がっています。

 安倍政権がすすめようとする「働き方改革」の問題と、真の働き方改革へ、4回連載で考えていきたいと思います。

(2018年3月4日付「兵庫民報」より 一部訂正)