「しんぶん赤旗」紙面より
 JA淡路日の出代表理事組合長の石田正さんとの対談が、7日付「しんぶん赤旗」の近畿のページに掲載されました。
 以下、転載します。
 
堀内
 明けましておめでとうございます。昨年は、JA全中(全国農業協同組合中央会)による10月の全国JA大会に、わが党の志位和夫委員長をお招きいただきました。

 
石田
 各政党のなかで志位さんのあいさつが、一番拍手が多かったですよ。

 
堀内
 大会の特別決議で、〝政権交代という大転換と生産現場の危機的状況のなかで、食と農業を守るために全政党にたいし国民運動を展開する〟と決められましたね。また、「新たな協同」「消費者との連携」も打ち出されました。

 
石田
 いまの時代に、農協も一部の政党に傾いていたんではねえ。農業政策を真剣に展開してくれることをどの政党にも求めていかんと。その延長に食の安全・安心があると思います。
 それとやっぱり、生産者だけでなく消費者に理解を得るような運動をしなければいけません。JAが中心になって消費者や地元企業とのネットワークを構築し、地域に貢献していこうとしています。


●少ない農業所得

 
堀内
 県内を回るなかで、「退職金で次の機械は何とか買えるかもしらんが、15年もして機械がめげたらもう続かへん」といったお話をよく聞きます。兼業農家の方が多いですから。どこでも、農業所得では食べていけないと切実に訴えられます。

 
石田
 全国の農業所得はこの15年間で半減しました。米の生産価格がピーク時の約6割まで落ち込んだことが主な原因です。肉や野菜、果物の輸入が増えたことも大きい。農業で食べられないから農業外収入を求めるのですが、不況で安定兼業先が見つからない農家は本当に厳しいです。だから若者が出ていき、本県の場合、農業従事者の64%が65歳以上という状況です。この現状をぜひ訴えてほしい。
 もうからなくても生産を続けられる体制はしっかりしとかんと。日本の1億2千万人の食料は必要ですから。

 
堀内
 農業は、環境保全などほんまに多面的な役割があります。地域経済でも要です。

 
石田
 その割には所得が少ない。たとえば、神戸ビーフになる淡路の和牛は、日本一の価格がつくほどの人気ですが、餌は輸入が多く値段が上がったり下がったりで、良いときと悪いときが激しい。牛の肥育は重労働で後継者がなく、畜産農家の多くは高齢です。


●欧米の農業は

 
堀内
 世界が食糧危機のなか、日本の農政のありかたが問われています。各国は自分の国の農業をちゃんと育てている。アメリカ、ヨーロッパでも農業所得の半分は政府の補助です。日本も見習うべきです。これまでは、輸出大企業の利益優先で農産物を代わりに輸入する、こういう大もとを正さなくてはあかんと思います。

 
石田
 そうでないといけません。従来の農政は、規制緩和や競争主義を農業にも求めました。その一環の規模拡大路線は、中小農家が多く、中山間地も多い兵庫県には合いません。政府自身が自給率50%を掲げながら、有効な施策はあまりありませんでした。

 
堀内
 県の農業会議の方と懇談した際も、「一番多い家族経営に光が当たる政策をやってほしい」とおっしゃっていました。


●FTAでどうなる

 
石田
 日米FTA(自由貿易協定)交渉は、もう少し慎重に検討する方がよいのではないかと思います。締結すれば米の完全自由化は避けられず、農家は大変なことになります。私どもの計算では、米の関税がゼロになると、戸別所得補償制度にもとづく農家への所得補償は毎年1兆7千億もいります。関税を下げて財政で支えるのは無理でしょう。

 
堀内
 国会で志位さんが、穴のあいたバケツに水を注ぐようなものだと鳩山政権を批判しました。

 
石田
 そうですか。

 
堀内
 主食の米まで売り渡していいのか、ということだと思います。共産党も日米FTA断固阻止の立場で、JAのみなさんと完全に一致しています。
 新政権が来年度から実施する戸別所得補償ですが、家族労賃の補てんが8割しかなく、生産費がまかなえないといわれています。

 
石田
 私たちは、農家がコスト割れした場合、直接の補償が必要だと国に訴えてきたので、このしくみ自身は基本的に賛成です。
 しかし、いろいろ問題が出ています。家族労賃補てんは10割が当然です。補償金額が全国一律であるのもよくないです。兵庫県は生産コストが高い方ですが、低いところと差が出てきます。交付の方法やJAの役割は、いまだにはっきりしません。

 
堀内
 私たちは、米でいえば、過去3年の平均生産価格をとって一俵1万7千円の価格保障、プラス所得補償で同千円、合わせて一俵1万8千円の保障を提案しています。西日本は中山間地が多いので地域性も加味して2万円近くにするなど、政治がしっかり農家を応援しようと。

 
石田
 JAの大会でも志位さんが「1万8千円の保障を」といって、大拍手でした。


●希望持てる政治へ

 
石田
 話は変わりますが、鳩山政権を見ていたら、まだ迷いがあるように感じます。子ども手当の財源など政策の不安もあります。国民が希望を持てる政治をしてほしいのですが。

 
堀内
 新政権は、財界、アメリカにちゃんとものを言えない弱点があります。だから財源の問題でも、軍事費など本当にメスを入れるべきところにメスを入れられないんです。そういうなかでも私たちは、成立が危ぶまれた肝炎救済法を通すなど、政治を前に動かす役割を発揮しています。

 
石田
 ええもんは賛成、あかんもんはあかんと、きちっというていくのがおたくの党ですね。

 
堀内
 ありがとうございます。県内のどこを回っても、農家のみなさんは大変ですが誇りを持ってやっておられます。それにこたえて、日本共産党が建設的野党としてますますがんばらなあかんと肝に銘じています。是が非でも夏の参院選で勝利したいと思います。

 
石田
 しっかりとひとつ、がんばってください。

石田 正(いしだ・ただし)さん

 1939年生まれ。元洲本市議、元兵庫県市議会議長会会長。現在、兵庫県農業協同組合中央会会長、淡路畜産農業協同組合連合会代表理事会長。