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2008年05月20日

講義「科学的社会主義の世界観」レジュメ

民青同盟学生合宿で講義
 17日におこなった民青同盟学生合宿での「科学的社会主義の世界観」についての講義のレジュメです。新入生や高校生もいたので、少し難しかったかも分かりませんが、今後の学習のすすめという意図もあって、マルクスやエンゲルスらの古典からの引用を中心にお話しました。

科学的社会主義の世界観


1、はじめに――なぜ科学的社会主義を学ぶのか

(1)激動の世界と日本だからこそ、大局をつかむ世界観的確信が大事

 「高い学費を何とかしてほしい」、「母子家庭で家計が大変」――「自己責任」か、それとも原因を究明し社会の根源に迫るのか。

 「環境問題を学びたい」、「戦争はなくせるのか」――「どうせ自分が動いても変わらない」か、それとも多くの人々と力をあわせて確かな展望をつかむのか。

 「いままで他人を見下していたけど、学ぶ中で一人ひとりを大切にできるようになった」――自らの成長にもつながり、これからの学生生活や人生にとってかけがえのない指針に。

 世界でひろがるマルクスへの注目――新自由主義経済の失敗、投機マネー、地球温暖化…資本主義の世界的な矛盾の広がりの中で。


(2)日本共産党、科学的社会主義を理論的基礎とする党

 「マルクス主義」とは呼ばない。旧ソ連などの大国の横暴とたたかって。つねにマルクスやエンゲルスに立ち返って理論を発展させてきた。21世紀の世界で重要な位置に。


(3)どう学ぶのか――古典研究とその方法

 科学的社会主義の学説の構成部分――世界観・哲学、経済学、社会主義の目標の理論、革命論など幅広い――そのなかの世界観を中心に学ぶ。

 古典におおいに挑戦を――そこには、マルクスやエンゲルスらが、当時ぶつかっていた問題に正面からとりくんで、理論を展開し、打開していった「変革の精神」と「科学の目」が生き生きと反映。その“生きた論理”をつかむこと。

 そのためには、「歴史の中で読む」ことが大事――著作や論文の背景を知り、彼らの思想の発展のどの段階の著作であるのか、また当時の社会全体の人間の知識はどういうものであったのかをよく踏まえて。


2、世界、ものごとをどうみるのか――唯物論

(1)青年マルクス、エンゲルスの模索

 ヘーゲル学徒から、社会の現実と格闘する中で唯物論者へ、そして史的唯物論の確立へ。


(2)ものごとをあるがままに見る決心――唯物論へ

 自然(存在)と精神(意識)とのどちらが本源的か――意識や精神よりも、存在、自然が本源的であり、自然も社会も客観的に実在するものとみるのが唯物論。

 世界観をはかる3つの質問――①人間より先に地球は存在したか、②人間は脳の助けを借りて考えるか、③他人の存在を認めるか。


(3)エンゲルスの唯物論的見地を証明した現代自然科学の到達

 人間の意識、精神活動の秘密、生命とは何かなど…自然科学の発展の中で、すべて物質的な働きによって説明されるようになり、かつては“神秘”につつまれた領域から、観念論の「居場所」がなくなる。


(4)人間の認識にかかわるもう一つの問題――不可知論

 そもそも世界を認識できないとする立場。不可知論への最大の反駁は実験と産業。

 観念論、不可知論批判のあり方について。人間の認識のありようにもさかのぼって。


3、豊かな世界をとらえよう――弁証法

(1)弁証法的見地の特徴を、形而上学との対比でとらえる

 弁証法的な見方←→形而上学的な見方
①ものごとを世界の全般的な連関のなかでとらえる←→ものごとを、個々ばらばらにとらえる

②すべてを生成と消滅、運動と変化のなかでとらえる←→固定した、いちど与えられたらそれきり変わらないものとしてとらえる

③固定的な境界線や「不動の対立」にとらわれない。互いに転化しあうものとしてみる←→ものごとを、白は白、黒は黒という絶対的な対立のなかでとらえる


(2)自然は弁証法の試金石――現代物理学…素粒子論、宇宙論と弁証法

 20世紀はじめの物理学の「危機」とレーニン。素粒子研究で世界をリードした日本の学者が座右にしたエンゲルス『自然の弁証法』。


(3)弁証法的唯物論の見地の大切さ

 これだけ自然科学が発展している現代に、占い、オカルト、スピリチュアルがなぜ流行る。「理論的思考」の放棄。さらには「判断」を他者に委ねる危険性。ものごとを弁証法的唯物論の立場でつめて考えないと落とし穴が。「自覚した(弁証法的)唯物論者」になろう。


4、社会は変わるし、変えられる――史的唯物論

(1)社会は不動ではなく、法則があり発展すること、その変革の担い手も明らかに

 史的唯物論のポイント。

①社会を見るとき、人間がものを生産する経済を土台にしてみる。

②労働によって社会をささえる人々が、どういう立場にあるかによって、経済の型が決まる。つまり生産手段にたいする人々の関係で階級的区分が決まる。原始を除けばこれまでの歴史は階級闘争の歴史であり、この人間集団の動きが大きな役割を果たす。

③経済の型からみると、これまでの人間社会は、おおづかみにいって4つの型があった。すなわち、(ⅰ)生産も未発達で、共同的な経済活動がおこなわれていた原始共産制、(ⅱ)働く人々や生産手段が奴隷主のもち物とされてしまった奴隷制、(ⅲ)農具は農民のものになったが、一番の生産手段である土地は領主のもので、生産物の多くが年貢などの形で領主に取り上げられてしまう封建制、(ⅳ)工場や建物をもつ資本家のもとで労働者が働く近代の資本主義。


(2)史的唯物論は、歴史や社会をみるうえで欠かせない視点、常識に

 最新刊の歴史書から――研究者が自覚していようが、自覚していまいが、社会をひも解こうと思えば、人々の暮らし、生産のあり方の分析が重要に。


(3)経済決定論ではない――あてはめ型紙主義におちいらない

 経済的な「土台」が当該社会の全てを決定するものではない。政治や文化など(「上部構造」)の独自の運動、作用が。社会の上部構造がどんな役割をして、どういう論理で動いているのか――“評判が悪くても自民党はなぜ選挙に「強い」のか”。


(4)歴史の中での個人の役割――歴史を動かす主体的な生き方を

 法則をにぎって社会に働きかけること、被支配階級である人民的な階級が、その社会的存在にふさわしい意識、自らの階級的利害にかなった方向にむかうようにすること。

 民青同盟の「学ぶ、つながる、変えられる」とりくみのもつ深い意義。


5、マルクスの経済学こぼれ話

(1)社会の「土台」である経済学の研究にすすんだマルクス

 先人の思想、人類の知的遺産に徹底して学ぶ姿勢。経済学研究から約20年、草稿の着手から約10年を費やした『資本論』第1巻。第2巻、第3巻にいたっては、草稿である程度構想をまとめておきながら、約20年生存中に刊行することはなかった。徹底した科学の人。


(2)マルクスの経済学研究(『資本論』)の特質

 資本主義絶対の立場に立たない。「資本主義」の名づけ親はマルクス。

 資本主義経済の発展の内面の論理をつかむ。資本主義経済の基礎である商品経済――市場経済の法則を明らかにし、そのうえに資本主義的搾取関係の解明、流通部面での資本の運動、さらにはより高度な資本主義経済独特の運動の分析へとすすみ、最後には資本主義社会の複雑な現実を総合的にすべてをつかむ方法。


(3)21世紀とマルクス

 マルクスは、資本主義の運命を左右する根本矛盾をつかみだした。つまり、生産をどこまでも発展させようとする衝動とその運動と、資本主義経済そのものの狭い枠組みとの矛盾、衝突――格差と貧困、投機マネーの暗躍、地球環境問題…。


6、最後に

 過去のブルジョア革命は大学から、政治家の最良の卵としての弁護士しか要求しませんでした。労働者階級の解放は、そのうえに、医師、技術者、化学者、農学者、その他の専門家を必要とします。というのも、政治機構の指揮ばかりでなく、あらゆる社会的生産の指揮をとることが大事だからです。ここでは、大言壮語のかわりに、しっかりした知識が必要です
――エンゲルス「国際社会主義学生大会へ」


 学問に平坦な道はありません。そして、その険しい小道をよじのぼる労苦をいとわない人々だけが、その輝かしい頂上にたどりつける機会に恵まれるのです。
――マルクス『資本論』フランス語版の序言


以上

投稿者 teruhoriuchi : 2008年05月20日 15:18

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