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2006年11月24日
青年雇用問題シンポジウム(05年5月)での発言
昨年の5月の兵庫県赤旗まつりでおこなわれた青年雇用シンポジウムでの私の発言は以下のとおりです。(ちょうどこの2日前が、参院選挙区候補者発表をしたばかりでしたから、これが、参院候補としての“初仕事”になると思います)
深刻な青年の雇用
05年2月の労働力調査で、24歳以下の失業率は9.0%、男性では10.8%と全世代平均の2倍。大学新卒者の就職が多少改善したなどの見方も出ていますが、1980年には81%だったのが、2004年には55%へと落ち込んでいるので、改善とはとてもいえません。 一方、若者のなかに、パート、アルバイト、派遣、契約など、非正規雇用が急増、いわゆるフリーターは400万人をこえ、就職をあきらめてしまったり、いろいろな事情で仕事をすることができない「ニート」とよばれる若者を含めると約500万人にのぼり、いわゆる団塊の世代のサラリーマンにほぼ匹敵する規模となっています。雇用者全体のなかで、非正社員は3割を超えており、これ自身異常ですが、24歳以下では48%と2人に1人になっています。(グラフ①) 90年代後半から、日本の雇用、特に青年の雇用は劇的に深刻になっています。7割を割ったことがなかった大卒者の就職率が6割台に突入したのが95年、どんどん下がっていまでは50%台。若者の失業率も、95年に6%を突破し急上昇し、不安定雇用が急増しました。
使い捨てにされる実態
重大なことは、こうした若者がきわめて劣悪な労働条件のなかで働いているということです。今日も、青年自身から語られましたが、こうした実態は、特別なものではなく、当たり前になっているということです。
NHKが、「フリーター漂流――製造現場を転々とする100万人の若者たち」という番組を放送しました。ある工場に北海道から九州まで全国から集められた青年が住み込みで働くのですが、メーカーの都合で仕事の内容も、場所も次つぎ変わっていき、仕事中、突然集合させられ、「いまから別の工場に行きます」と指示される。メーカーは、モデルチェンジにあわせて機械を新しくするより、即応できる人材を投入するほうが安上がりだと言います。「しんぶん赤旗」にのったケースでは、会社が借り上げた住み込みの寮にはプライバシーがなく、部屋のカギを会社が持っている。朝遅刻しないために、退潮が悪かろうが、会社の人が起こして、引っ張り出すといいます。また、この寮の家賃だけでなく、部屋のテレビや冷蔵庫、洗濯機のリース料も給料から、相場からは高い額が天引きされるといいます。
また長時間労働・サービス残業も若い世代がもっとも過酷になっています。総務省の労働力調査でも、労働時間が一番長いのは30~34歳で次が25~29歳です。こうしたなかで、若い世代が心身ともにむしばまれています。社会経済生産性本部のメンタルヘルス研究所の「心の病」の調査では、「心の病」が増加傾向にあるとこたえた企業が6割で、大企業で71.2%。「心の病」がもっとも多い年齢層は30代で49.3%。大企業ほどその傾向が強く、従業員3000人以上の大企業では63%が30代とこたえています。2003年度の過労による精神障害の労災認定は108人でそのうち40人が自殺です。世代別では30代が39人で最も多く、次いで29歳以下が25人で、20~30代で6割を占めています。
長時間労働は、いうまでもなくリストラで人員が削減され、一人当たりの業務量が増えたことが原因です。そのうえ、若い世代は、「即戦力」とまともな教育も訓練もなく仕事をさせられ、いっそう長時間労働になっています。
派遣や請負など不安定雇用で働く若者の実態をみても、正社員だけでなく派遣社員でもひどくなる長時間労働の実態をみても、若者を「使い捨て」にしている社会と企業のあり方が問われています。「勝ち組」、「負け組」と言われていますが、「勝ち組」でも過労死するほどの長時間労働、「負け組」でも低収入と不安定雇用。若者にとっては、「勝ち組」も「負け組」もないのが実際ではないでしょうか。
青年の雇用問題は、日本社会の大問題
この問題は、ただ青年が大変だということにとどまらない、日本社会の全体にかかわる重大問題です。この就職・雇用の深刻さは、産業の各分野で技術が継承されない、日本の産業の存立、未来にかかわる問題でもあります。それが、ただ産業だけでなく、広く社会に重大で否定的な影響を及ぼす最悪の実例が、JR事故だったではないでしょうか。問題になっている新型の自動列車停止装置の設置の遅れは、まさにリストラが原因だったと言われています。この装置は、電車だけでなく、線路側にも設置が必要で、福知山線はそれが遅れていました。この遅れをJRは、「地上装置の設計をする専門知識をもった本社の技術者に限りがあった」と説明している。しかし、JRはこの電気部門の要員を、95年から03年の9年間に約1450人も削減、96年4月時点で約3000人いたことからすると、半減に近い削減です。
また、若い世代が就職難・劣悪な雇用におかれることで、社会保障制度の土台が崩れるのではないか、さらにこれが少子化の一つの要因にもなっていると言われるなど、日本社会そのものの存立にかかわる大問題にもなっています。21世紀をになう若い世代が夢や希望をもってがんばれる環境をつくってこそ、明るい社会が切り開かれるのではないでしょうか。
大企業と政府の責任は重大
90年代後半から乱暴なリストラを進めてきた大企業とそれを応援する政治の責任は重大です。この最たるものが、「産業再生法」。大企業がリストラすれば、減税をするというとんでもない法律で、これにより、99年10月から04年3月までに計9万人のリストラに870億円の減税がされました。例えば、みずほグループは7600人の人員削減計画に274億円の減税、純利益1兆円を超えるぼろもうけをしているトヨタでさえ、3200人の削減計画に3億5000万円の減税をうけています。
こうした雇用政策の最大の被害者が若者になっているといっても過言ではありません。将来をになう若者を無法状態で働かせ、使い捨てにしてきた企業の責任、そしてそういう状態を放置してきた政治の責任はきわめて重大です。
派遣の「規制緩和」など、不安定雇用を増やしてきたこれまでの政策をやめて、安定した雇用の確保や人間らしく働けるルールの確立へと、雇用政策を転換することが求められる。同時に、現にいまある派遣や請負での違法・脱法行為、ただ働きであるサービス残業などの無法状態を放置することは許されません。
これは何も無理な話を通そうと言うものではありません。その例として最近、国内の裁判での判決と海外での事例を紹介したいと思います。3月末、東京地裁で、ニコンの埼玉・熊谷工場で請負社員として働いていた23歳の青年が過労自殺した事件で、雇用主の請負会社だけでなく、ニコンにも過労自殺に追い込むような過酷な労働条件で働かせてきた責任があると認めました。若者を「使い捨て」の労働としてかりたてておきながら、直接の雇用契約をしていないからといって、自社の工場や関連会社で若者が悲惨な働き方をしていても自分たちは責任がないという態度は許されません。
海外の例の一つは、フランスのトヨタ。日本のトヨタは、長時間・過密労働を押し付けることでは日本で一番有名な会社ではないでしょうか。ところが、フランスに行けばこのトヨタが、週35時間労働、もちろん土、日は休み、有給休暇も年間30日の完全保障で、労働者は夏休みに数週間の長期休暇を楽しむ。もう一つの海外の例は、ドイツの企業でベンツなどで有名なダイムラークライスラー。労働協約で派遣労働者など不安定雇用労働者は、全労働者の4%以内に収めることになっています。しかも、派遣も正規も同一労働同一賃金です。つまり、派遣会社の維持運営費も含めて、派遣労働者に支払う賃金以上を支払うことで、正社員を雇った方が割高になるようになっています。不安定雇用はあくまで例外であり、不安定雇用の労働者の権利を保障することで正社員の権利を守ることにもなります。
ヨーロッパでは当たり前の働くものの権利を守るルール、しかも、日本の企業もヨーロッパに行けば、そのルールに従って経済活動してしっかり利益もあげているわけで、これを日本でも実現すると言うのはそんなに無理な話ではないはずです。
この間、政府が行ってきた青年雇用対策といえば、職業訓練や就労体験、職業紹介の改善ぐらいです。その根底に「自立していない若者に問題がある」との認識があります。しかも、日本の雇用対策予算はGDP費でフランスの40分の1、イギリスの10分の1というひどさです。金も出さずにやることと言えば「説教型」の対策しかありません。
果たして原因は若者が「自立していないから」でしょうか。「ニート」85万人のうち、「非休職型」が増加しています(グラフ②)。その理由は、「病気、けがのため」が急増しています(グラフ③)。小泉内閣は、若者に責任を押し付けるのではなく、まず、無法・違法状態を許さない政府としての責任ぐらいは果たすべきではないでしょうか。
打開へ――声をあげよう
サービス残業をやめれば約160万人の雇用効果、有給休暇の完全取得で約150万人の雇用効果、あわせて約310万人の雇用効果があります。「若者に仕事を」、「人間らしく働けるルールづくりを」という要求は、きわめて正当で、社会的にも道理のあるものです。
いま、各地で青年が声をあげ、実際に労働条件を改善させた例が全国に無数にあります。実態を告発し、打開、解決の展望をともに学び、仲間とともに行動をおこしましょう。また、学びがい、生きがいをともに考えるなど、幅広い青年とともに力を合わせる工夫も必要です。日本共産党は、そのために全力をつくしたい、ともにがんばりましょう。
《2度目の発言》
今日は、最後に、少し兵庫県の数字を紹介します。失業率は、年齢別で見ると、15歳から24歳の若い世代では全国は02年9.5%だったのが、兵庫県は11.9%と高い。有効求人倍率も、今年1月時点で全国0.91に対して、兵庫は0.79と依然厳しい状況が続いています。それだけに、兵庫県で青年の雇用対策は求められますが、県自身が自ら率先して、採用を減らすのに熱心です。県では独自に、キャリアアッププログラムなるものを実施しています。ワークシェアリングと若年層の雇用対策というふれこみで、これだけ聞くとよく聞こえますが、実際には、2000年度から300人の正規職員を減らし、その一部の150人を不安定雇用に置き換えただけの話です。このなかで、県職員にもサービス残業が押し付けられ、精神疾患による長期療養者が99年37人、00年49人、01年56人と増えているという報告もあります。
県自身がこうした姿勢を改め、青年の雇用創出に思い切って乗り出す、県政をつくる、この大きなチャンスが今度の知事選挙です。金田峰生候補とともに、若い世代が安心して働き、くらせる兵庫県をつくるために、力を合わせてがんばりましょう。
投稿者 teruhoriuchi : 2006年11月24日 16:22
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